JL33 JA706J B777-200ER HND→BKK

 日付が変わって週末土曜日。そして勤務先の夏季休暇となる。今年は2月だったか3月だったか忘れたけど、燃油代が下がったタイミングでバンコク行きのチケットを取ってしまった。
 妻とは休みが合わないので、この休みについては一人旅となる。そんな訳で普段はやりづらい鉄道鉄道、また鉄道的な旅を出来る範囲でやろうかと思う。
 
 搭乗開始になっても、本当にバンコクに行くのか何か意識が向かわないまま脚を運ぶような感じで飛行機に向かう。
 
 待っているのはJA706J。プレエコ付きの機材である。今日はエコノミーの予約がプレミアムエコノミーを通り越してビジネスまでアップグレード。いわば二階級特進で、なんでこんな事になったのだろうとは思う。プレエコ、空席あるみたいだし。
 とにかく宛がわれた座席に座る。深夜羽田発の便、初めての搭乗である。枕と毛布の準備があって、明日の朝食のリクエストシートがある。入国書類が早々に配られた。代わりに新聞や雑誌は無し。そりゃそうだ。こちらも早々に寝たい気分だ。
 0:30、Doorclose。バンコクまでの飛行時間6時間と告げられる。着陸前に少々揺れが予想されるそうだ。0:36、Pushbcuk。0:42、Taixing。深夜の離陸はD滑走路からかなとも思ったが実際にはC滑走路に向かう。0:49、Takeoff RWy34R。 
 一瞬寝落ちたような気もしたが、0:57、ベルト着用サイン消灯の合図で目が覚める。
 
 ウェルカムドリンクが省略されてその代わりに水のペットボトルを貰う。
 夜食を出すそうで、一緒の飲み物を聞かれる。軽く一杯飲むか飲まないかで寝るつもりなので、ブランデーをロックでもらう事にする。
 
 
 まず飲み物が、ついで簡単な食事が出てくる。周りで見ている限り、貰っている人が8割。寝に入っている人も居て、乗り慣れているなぁと感心する事になる。6時間しかないフライトだし、本当なら早々に寝るのが一番なのだろう。その点、自分は何時まで経っても出されるものを食べ、飲むものは飲む。ダメ人間だよなぁと内省はするが改める気配はない。
 頂くものを頂いたら早々に寝ようかと思う。食事は下げて貰ったのは覚えているが、グラスは気が付いてたら無くなっていた。少し寝落ちたか。
 座席を真っ平にする。平らではあるが水平では無い。インボラの身であまりとやかく言ってはいけないが、ライフラットタイプの座席は体は楽だけど。眠れるかと言うとまた別の話な気がする。
 とにかく、横になって目を瞑る。時折寝苦しくて目が覚める。シートが暖まるとどうもダメだ。普段のベットでは余りないのだけど、座席だと熱容量が小さいのだろう。すぐに椅子自体が温まってしまって、それが不快で目が覚めるのケース。寝返りを打って、熱くなった所を空気に晒して冷ます努力をする。曲りなりに寝返るが打てる椅子なのは素晴らしいとは思う。
 2時間か2時間半か、日本時間の4時過ぎに目が覚めて寝付けなくなった。バンコク到着は5時。時差が二時間あるから到着まであと3時間。まだ時間があるなぁとぼんやり考えていたら、機内、少し明るくなった。もう朝か、朝なのか。 
 おしぼりが改めて出てくる。朝のサービス開始らしい。バンコク到着、現地時間の4時半となっていて、到着2時間前。早着する分、寝る時間が削られたと言う事か。
 
 そしてお目覚めのスムージーなるものを渡される。瓶のふたをあけてコップに注ごうとしたら出てこないから、ん、と思っていたら引力に負けるまで少々間があったようで、一気に出てきた。危うくこぼす所だった。
 
 改めて和食を頂く。
 
 
 朝から結構メニューが豊富で、どちらかと言うと飲みたくなるようなメニューではある。 
 
 変わり種はご飯の友達。納豆。空の上で納豆をかき回す日がくるとは思っていなかった。
 
 〆は日本茶にする。食事を下げて貰うまで20分少々。まだ5時前である。到着まで1時間半ほど残っている。再び座席を倒して寝る事にする。むしろ二回目の方が良く眠れる感がある。
 日本時間の6:12、バンコク時間なら2時間前の4:12、ベルト着用サインが点灯する。バンコクの天気、小雨で気温は24℃と告げられた。通路と人の向こう、小さく見える窓を通して街灯りがみえてくるようになる。4:25、Geardown。機外カメラの映像が前方に切り替わる。一面の街灯りの中に滑走路が見えてきて、大きくなる。4:28、Landing、RWy19R。4:34、Spot in SP G4。
 
 案外と涼しいバンコク。この時間、飛行機を出る瞬間に熱気に包まれる、と言う事は無かった。関空からの便も着いたようで、そこそこの数のお客さんが、入国審査へ向かう。
 ビジネスクラスと一緒にファストレーンのパスを貰っていたのだが、Wifiがつながらないかなとやっていたら通り越してしまい、到着したのと反対側の審査場まで来てしまう。結果として悪くなったようで、行列は短かった。早々に入国審査完了。荷物の受け取りは本来の到着側なので戻ってみると、荷物はまだ出ておらず、荷物待ちの人も少々。日本からの到着便が重なる時間帯だけに、本来の入国審査場は混雑しているのだろう。
 荷物を受け取って保安検査の外に出ると5:10ぐらいだった。非常に順調。しかしここから先、
 
 街へ向かうCityLineは始発が5時。日本人も含めて待たされ小僧が何人も屯っている状態。両替もしたいのだが、レートが良いと聞いていた両替商は6時からの営業。24時間営業している両替商もあるのだが、1万円で100バーツ強違うのをどうとらえるか。
 急ぐならさっさと両替してタクシーで市内へ向かうのが吉だろうが、今日の予定は10:50の3列車を考えている。よって待ちぼうけをそのまま受け入れる。
 
 両替商が開店するのを待って両替。1万円が2,805バーツになる。24時間営業の店が2,604と表示があったと思うので100バーツどころか200バーツ近い違いではあった。その代り始発のCityLineは出てしまった後なので、その次を待って市内へ移動する事にする。
 旅行客半分、清掃の係員が半分という体裁のCityLine。空港を出ると間もなく高架に上がる。
 
 曇り空の下、電車はバンコク中心地へ。タイの鉄道は時間にルーズと言うが、新しいエアポートリンクはそんなことは無く、快速快適にバンコク市内へと連れて行ってくれる。
 
 
 今日はマッカサンで下車。地下鉄に乗り換えてファランポーンの駅を目指す。通路が長くて評判の悪い乗換駅。確かに遠いのだが、エスカレータはあったし、予め遠いと思っていれば、大したことないように思えてくる。
 
 途中、タイ国鉄東線の線路をまたぐ。エアポートリンクとほぼ平行して走っていて、こちらに乗ってもファランポーンには行ける。とはいえすぐに列車が来るとは思えず、頻発の地下鉄を利用する。ファランポーンに着いたのは7:10ぐらいの事。空港から1時間と言った所。8時ぐらいに出る列車なら十分に乗る事が出来る時間である。
 まずは時刻表を貰っておく。タイ国鉄の時刻表アプリなんてものが出来ていて、最新の時刻表はそちらで分かるのだが、紙の時刻表の方が何となくありがたく思え、そんな訳で紙もほしい。タイ北線、7月にダイヤ改定があったらしいのだが、貰えた時刻表は昨年の物だった。まだ印刷が出来ていないのだろう。
 次いで出札窓口。今日乗る列車の指定券。そして明後日乗る夜行列車の寝台券を所望する。今日乗るのはディーゼル特急でこちらは特に問題なく手に入れることが出来る。問題は明後日、チェンマイからバンコクに行く寝台列車。14列車を第一希望に聞いてみる。二等寝台は満席。一等に1席空席があるというので、出してもらう。
 
 出てきた切符。チェンマイからバンコクまで1等個室寝台1,953バーツ。二等だと800バーツぐらいの筈で、恐ろしく高い。高いが、Coach typeには「ANS JR」とある。JR型。つまり、日本からやって来たA個室寝台である。全く期待してなかったものが取れてしまった。先日、全く取れなかったカシオペアの仮をバンコクで返してもらえた、そんな気分になる。
 さて、予想以上の首尾で指定券確保を完了。当然、今日、これから乗る列車。北線特別急行3列車。スワンカローク経由シラット‎行きの指定券も無事に手に入る。3列車の出発は10:50。今は7:20だから3時間以上ある。指定券を取ったのはシラットの一つ手前、ウッタラディットまでだが、ウッタラディットに行くのであれば、8:30にチェンマイ行きの7列車があってそちらの方が圧倒的に早く着く。それでも今回は7列車ではなく3列車。それまで時間があるので、ひとまず荷物を預けてしまう。
 
 駅構内にある手荷物預かり所。夜行列車で着いたばかりの観光客。ほぼほぼ100%欧米系のバックパッカーが荷物を預ける列に紛れて、キャリーバックを一つ預かって貰う。
 
 街に出てもいいかと思っていたが、3時間強の待ち時間。駅で過ごす事にする。ただ、待合室でぼっとしている訳ではなく、この時間、発着する列車を見ようというのが魂胆。
 
 頭端式のホームに夜行列車だろうか、2本の列車が到着している。その様子を眺めつつホームの端まで行く。すると、
 
 
 12系と14系。日本からやって来た客車にまずは出会う事になる。こちらは恐らくイベント用なのだろうか。塗装が他とはだいぶ違う。その手前
 
 こちらは寝台車。チェンマイ-バンコクのサボが入っていて、特別急行14列車が止まっているのだろう。B寝台車、食堂車を挟んでA個室寝台車と並ぶ。恐らく乗るのは今チェンマイに向かっている相方の編成だろうが、目的にぐっと近づいた感はある。
 
 出発列車もいる。東線、281列車のKabin buri行き。3等客車がずらっと並ぶ。この客車もいろいろといて、一番多いのがまるで日本国鉄の10系軽量客車みたいないでたちの車両。なかにはもっと古そうな客車もいて
 
 狭窓を連ね、内装は木なんて装いの客車も混じる。
 
 ホームを代わると12系が別の装いで停まっている。2等エアコン車として座席が替えられたとか。車内は見ていないけど、この先、特急レベルの列車では割と見かける事になる。逆サイドのドアが
 
 フォークとスプーンのマークは食堂車。長距離の快速列車にも連結されていて、これは13時にバンコクを出発する南線、Sungai Kolok行きの快速171列車の食堂車。ピンクの服は食堂車係員の制服らしい。生活感の滲み出るような光景だ。
 
 こちらはファランポーン発8:05。東北線急行75列車、Udon Thaniゆき。だと思ったら7月のダイヤ改定でラオス国境のNong Khaiまで行くようになったそうだ。気動車5両編成で、真ん中にエアコン付2等車。前後4両はファン付3等車。ステンレス製のキハ25にキロ25といった所か。2年前にアユタヤまで2等車に乗った事がある。客車ほどの魅力は無いけど、10時間以上を走る気動車急行という存在も日本からは消え去って久しい。
 まもなく8時になる。ファランポーンの駅舎内ではそろそろ国歌が流れて、全国民起立、となる時間帯。
 
 ファランポーンのホームでは起立しているおばちゃんの後ろでスマホを弄ったままのおっさんがいたりする。8時の起立。そんな徹底している訳じゃないんだなと思う事になる。
 出発列車が落ち着いたのでそろそろ食事にする。ファランポーンの駅舎内。ホームに向かって右側の1階にフードコートがあった。そちらに入ってみる。予めお金をクーポンに変えて、店との支払はクーポンを使って行うタイプのフードコート。適当に100バーツをクーポンに変えてみる。
 
 Curry Over Rice の文字があるが要するにぶっかけ飯。二つおかずを貰ってみる。
 
 これで40バーツ。バンコク中央駅、ともいうべきファランポーンで供されるとは思えないほどの低価格。だけど、3等を使えば安価に移動できるタイの鉄道は、庶民の脚に違いないから、それ相当のお値段と言う事なのだろう。味は、辛くて美味しいとしかいいようがなく、つまり、汗が噴き出るお味であった。
 
 食堂の中、猫が闊歩している。外国人観光客に餌を貰えるのか、食堂に限らず、待合室でも何匹か猫を見かける事になる。
さて、駅構内に戻る。8時半のチェンマイ行き特別急行7列車。3両の気動車がホームに横付けされている。ホームでは、
 
 車体の洗浄が進んでいる。こんな水をまき散らすのはびっくりだけど、どうせすぐに乾くのだろう。水かけ祭りに通じるものがあるかなと思う。よく見ると出発列車はホームに横付けになると必ず水洗いをされている。洗浄液を掛けて、人がブラシでゴシゴシ。最後に水をぶっかけるという手順。
 特別急行だけで行われるケータリングの積み込みに少々手間取っていたけど、
 
 駅員と車掌の双方で緑旗を振り合って気動車が黒煙を上げ動き出したのが8:30。定刻である。2008年に乗った事があるけど、この時は出発列車が全体的に30〜40分遅れていた。
 
 どこからか定かでないけど、夜行列車が到着する。座席車と寝台車と連ねているから急行列車だろうか。前の方へと歩いて行くと寝台車がいる。
 
 寝具が勢いよく降ろされてゆく。日本なら車両基地に引き上げてからやる事をこちらでは駅構内で行っている。夜行列車は特に長めに停まっているようで、昨晩の後始末と今晩の準備、両方が進んでいる。
 
 先頭には入換用の機関車が付いている。小一時間、準備をしたらファランポーンの留置線に引き上げるようだ。
 先頭から待合室の方にプラプラ戻る。
 
 サボの予備品、と言うのか何というのか。客車列車が現役だった1993年ぐらいまでは秋田駅でもこんな光景が普通にあった。いまでもキハ40が走っているような所ではあるのだろうか。鉄道の点景はどこに行っても一緒だなぁとは思う。
 3列車の出発まであと1時間。
 
 スワンカローク経由シラット?行きの案内が出ている。列車はまだ姿を見せていない。列車の影も少なくなったので待合室に座る。
 10:30近くになり、ホームをちらっと覗くと列車が来ている。それではと荷物を引き取り。そろそろ乗り込む。
 
 タイ北線、特別急行3列車。スワンカローク経由シラット?行き。気動車の3両編成が発車を待っている。先程出発を送った7列車は韓国製の気動車だったが、こちらの車両は英国製だとか。
 例によって車体洗浄が始まり、そして、
 
 ケータリングの食事やら飲料の積み込みが始まる。乗客が乗り込んでいって、いったんドア閉め。水のぶっかけが始まった。
 
 
 2人掛けのリクライニングシートが車内に並ぶ。乗客は4割ぐらいだろうか。欧米系のバックパッカーが3〜4割。日本人も少々いる様子。タイの人は4割ぐらいと思われる。
 10:50、定刻に列車が出発する。早速、という調子で運ばれてきたのが、
 
 ランチである。客室乗務員が2セットずつ往復して運んでいる。一番デッキに近い席だったので、一番先に受け取る事になった。
 前回、2008年に乗った時にも出ていて、その時はランチボックス的な感じだったけど、今日は、、、何だろうこれ。
 ビニールのふたを開けてみる。
 
 サバカレー、鶏肉のスープ、ご飯、の組み合わせ。さらにレベルが下がった感がある。カレーが生臭く、妻が一緒でなくてよかった、と言う感じ。取りあえず空にする。
 
 次いで検札が廻る。パチンパチンと鋏の入る検札なんて久しぶりだ。行先を一人一人読み上げるが、人の行先までは聞こえない。スワンカロークまでは1日1便だけなのだが、みなさんはどこまで乗るのだろうか。
 踏切待ちか何かで少し停まる。踏切待ちというのは列車を待たせて道路を先に通す事。タイ国鉄が遅れるのは、どうもバンコク市内の道路交通との絡みが一因にあるように思える。他にも原因があるようだが、この先いろいろと経験する事になる。
 列車はバンコク市内を走っている。早速掃除が入る。客室乗務員と別に掃除の係員が乗っている。ファランポーンの駅でも見かけた制服で、3両の列車にしては沢山の人が運転に関わっている。
 バーンスーに11:19。ここは地下鉄の北側の終点であり、上り列車に乗ってきても降りる人が目立つ駅である。ここで多少乗って来るかと思ったが、案内と乗客が増えないまま発車。列車はバンコク市内から郊外へと歩みを進めてゆくが、ここで眠くなった。どうせ途中のピサヌロークまでは乗っているから、がっつり寝るのでも構わない。
 途中、ドンムアンに停まったのを覚えている。ちょっと遅れが膨らんでいるようだ。少々お客さんが乗って来る。再び寝る。
 気が付くと1時間が過ぎている。時刻は12:15。定刻ならアユタヤに着く時間だが、どこだろうか。 
 
列車は大きな駅を通過してゆく。駅名は良く読み取れない。駅を離れると加速。速度は80〜90km/hといったところだろうか。
 速度が緩むと女性乗務員が車内を廻り「アユタヤ」と声を掛ける。降り支度を始める人がちらほら。定刻12:15のアユタヤに12:44の到着。ファランポーンで見かけた日本人も含めて10人少々が降りてゆく。バンコク近郊区間の移動に二等特急を使うのは贅沢な話であり、ほぼほぼ外国人観光客と思われた。代わりに乗り込んでくる人も外国人観光客。列車が動き出すと客室乗務員はミールを運び出す。
 
車窓には青空が広がっている。タイは雨季で世界の天気、を見るとバンコク辺り、ずっと雨マークが付いているが、実際には降るのは一瞬で晴れている間の方がずっと長い。今日も朝のバンコクはくもり空だったけど、お昼になって晴れてきた。
 
 どこまでも続く水田。スコータイ王朝の頃に、「田に米あり、水に魚あり」と謡われた豊かな大地がどこまでも続く。二期作、三期作に取り掛かるのか、刈り取られた田圃もちらほらと。稲作北限の地、日本からみると恵まれた環境には違いない。この時期はタイよりも日本の方が暑いぐらいだけど。
 列車はタイ北線、チェンマイまで続く700㎞の道のりを進んでいる。バンコクから2時間以上が経過して、現在、アユタヤを出てしばらく。地図で見るとバンコクからなかなか離れられない体裁。複線の続く線路、ふと黒い影が見える。
 
 バンコクに向かう貨物列車、ではなかった。こちらの列車と同じ方向に向かって走っている。ジリジリと追い上げて、
 
 最後は抜き去る。同じく下りの貨物列車であった。何度か隣の線路をすれ違う列車を見ていたが、ダイヤによって器用に使い分けをしているのだ。外国ではよく聞く線路の使い方であるけど、実例を見たのは初めて。タイの鉄道はしっかりとした信号システムを運用できるようだ。ダイヤがいつも乱れるという所に捉われがちになるけど、想像以上に立派である。
 まもなくロッブリーに到着。定刻13:00が13:27となっている。数人が乗り込んでくる。すぐに発車となる。
 
 安定して5割程度の乗車率を保ったまま、列車は北へと進んでゆく。まもなく女性乗務員が食事を配り、そして男性乗務員が検札に廻る。パチンという鋏の乾いた音が遠くから聞こえる。

 右下に見えていた線路が消える。ロッブリーからは単線のようだ。そして速度が緩んだ。遅いのに揺れる。スプリンターの人が変わったみたいにみえるが、線路が悪くなったのだろう。二年前に乗ったタイ南線でも大きな揺れが続く区間と、安定して走れる区間の落差が激しかった記憶がある。
 どこかの駅で停車。停車駅ではないようだ。どうやら車両の点検をしているようだ。線路に加えて車両もダメか。
 点検はさほど関わらずに列車は出発。しかし速度は上がらない。線路のせいなのか、車両のせいなのか、もう分からん。
 
 外は晴れたり翳ったり。田園地帯、青々としたり刈られたりした田圃を眺めて列車はゆっくり走る。そして遅れが膨らむ不満をなだめるかのように、14時ちょうど、第二のサービス開始。菓子パンと飲み物の提供が始まる。
 
 菓子パンはチョコレートの入ったパン。飲み物はコーヒー、オレンジジュース。コーラから三択。大きな氷が入っているのが気になるが、飲んでしまう事にする。最初に出された昼食と違って、万人受けしそうな味。
 列車は速度を上げ始める。明らかに人の変わった感じで、徐行解除、と言った所か。揺れはかえって少なくなった。線路の状態が悪い所があって、その影響での徐行、と言った所か。
 15:04、ナコーンサワンに到着。大きな街で降りる人が大勢いたけど、乗って来る人も大勢いる。かえって席が埋まったぐらいだ。
 
 乗って来たのは明らかに地元の人たちという雰囲気。この辺り、バンコク郊外よりも列車本数が減っており、高価な二等特急も大事な地域の脚なのだろう。何か性格が変わったような二等特急3列車。間もなく出発。先程までは新しい乗客のある度に昼食を運んでいた女性乗務員。今度のお客さんには何も出してこない。先程配られたおやつの菓子パンも無し。地域の脚、には菓子パンなんて余計なサービスではある。
 先程の徐行で遅れは1時間ほどに広がっている。まあ定刻とは思っていないので遅れても一向に構わない。
 
 相変わらず水っぽい景色が続くタイ北線。ナコーンサワンを出ると比較的こまめに列車は停まる。チュムセーンにほぼほぼ1時間遅れて15:28。ここで気動車3両編成の列車と行き違う。普通402列車らしい。上り列車は比較的正確に走っている。次はバーンムーンナーク。定刻14:42のところ、15:42の到着。その度に少々乗り降りがある。バーンムーンナークでは快速102列車とすれ違う。窓を開け放った3等客車を連ねた列車はチェンマイを早朝に出て夜にバンコクに到着する列車。バンコクから5時間かけて3列車が来た道を隣の快速列車はこれからなぞり返す。定刻なら21時過ぎにバンコク到着の筈だが、例によって遅れるのだろう。
 
 車内は少しずつ空いてきた。二つ三つ駅を飛ばしてまた停まり、その度に少しずつ乗り降り。そして列車はピサヌロークに停まる。ここまで乗っていた8割近いお客さんが降りてゆく。代わりに乗って来る人は少々と言った所で、バンコクからのお客さん、あらかた消えてしまった。アユタヤからの外国人観光客もみんなピサヌロークで降りる。ここからスコータイに向かうのだろうか。
 
 列車はしばらく停まっている。ホームに記念撮影をしている人たち、ってウェディングドレスを着ているような、着ているような。。。。
 列車は1時間近く遅れている。何時出発するか分からないから大人しく座っていたが5分程は停まっていた。ピサヌロークは運転の拠点でもあり、どうやら運転士交代が行われた様子。
 ドアが閉まってさぁ出発。エンジンが震え、微速前進。停止。あう、停まった。窓下で人が集まって何か始めている。
 
 エンジンの点検。車両不調はどうやら事実としてあるようだ。駅の人も集まって、10分15分、いろいろ弄っていたが、どうやらOKとなった。運転士が車内に戻り、再びエンジンが震える。列車は心地よく加速してゆく。けどまた遅れが膨らんだ。
 列車は夕方、傾き始めた太陽を浴びて快走、快走し、そして停まる。駅だがドアが開かない。信号が赤となっていて通過待ちの様子。散々待ってやって来たのは通勤型の気動車。406列車のようだ。先方は停まらずに通過してゆく。優等列車を待たせる普通列車とは少々?だが、散々遅れた3列車に合わせて定刻の406列車を遅らせる判断は出来なかった様子。こちらも再び動き出す。
 
 今度は408列車と待ち合わせになる。ずいぶんと普通列車が多いが、これが北線の最終。列車はボックスに3〜4人ぐらいのお客さんを乗せて、列車は出発していった。
 
 ピサヌロークからは降りる一方。ファランポーンから乗っていた人もどこか途中で降りて行った。時刻は18時過ぎ。定刻ならあと1時間で終着のウッタラディットだが、まもなくウッタラディットの37㎞手前、バーンダラージャンクション。
 
 37㎞なら1時間も走れば到着する。定刻到着となりそうだが、これから3列車は大きく寄り道をする。列車はバーンダラーを出発。すぐに停まると、バックする。転線である。今度は側線に入る。運転士が後ろの方へと歩いて行く。外を駅員がタブレットを持って歩いて行く。
 バーンダラーの分岐点から列車は北線の枝線である、サワンカローク枝線に入る。28㎞程走ってサワンカロークに着いたのち、再びバーンダラーに戻って、そしてウッタラディット、終着のシラアットへと向かうのである。
 列車はバンコク方向に向かって走り出す。本線から分かれてサワンカロークへ続く枝線へと分け入る。この枝線を走る列車は1日1往復。すなわち。バンコクからの特別急行3列車のみである。夕方、バンコクからの3列車がシラアットに向かう途中、サワンカロークに寄り道する1往復のみ。逆にいうと、バーンダラーからサワンカロークまでの28㎞に乗ろうとすると、3列車を捕まえるよりほかない。
 そんな貴重な列車に乗っているのだが、時刻は18時半を過ぎた。タイ北部には夕闇が迫っていて、外は暗くなっている。
 
 列車は座席を逆向きにして走っているが、客室乗務員が座席の向きを変え始めた。このサワンカロークへ備えて、ではなく、シラアットからの4列車に備えて、なのだろう。数少ないお客さんの所は向きは変えずにそのまま。
 列車はゆっくりと走っている。線路の保線状態のせいか、車両の不調なのか、理由は分からないが、並行する道路を走るクルマに抜かれ続けている。時刻表上では30分でサワンカロークに到着するはずが、何時まで経っても、着く気配が全くない。途中駅のクローンマップラップを出てしばらく、外はほとんど見えなくなった。せめて1時間遅れで済んでいたら、まだ明るいうちにサワンカロークに着いただろが、はて、どうなる。
 サワンカロークの案内があって、暗闇の中、街が現れ、駅に着く。3列車の目的地の一つである、サワンカロークに到着。時刻は19:23、定刻から1時間半遅れている。
 
 1日1本の列車を迎えるサワンカロークの駅。思ったよりも立派な駅。定刻なら15分停まってシラアットへ向かうのだが、はて何分停まっているやら。ひとまず乗務員が外に出ている間は大丈夫と目星をつけて、
 
 ホームの端で一枚。一応、サワンカロークへやって来た証拠として撮っとく。
 
 そして今までお世話になったスプリンター。こちらにはもう少しお世話にならなくてはならない。再び席に戻る。
 列車は5分程の停車で再度北線の本線、バーンダラーを目指す。今度は足取りが軽い。そうは言っても速度は60km/hぐらいだろうか。クルマには抜かれないからもう少し出ているかも知れない。軽くエンジンを吹かすと、エンジンを止め、転がるように下って行く。サワンカロークへは登り坂だったのか、と今更ながら気づく事になる。
 本日二度目のバーンダラーに20:17の到着。都合2時間近くの寄り道となる。客は数人が残るのみ。殆どはピサヌロークから乗った人で、必要以上の遠回りを強いられている事になっている。
 列車は最終コース、ウッタラディットとシラアットの2駅を残すのみとなる。先程とは見違えるほど足が速くなったスプリンターに揺られて、ウッタラディットに着いたのは20:40近く。バンコクから10時間近くが経っている。
 
 今日一日付き合った3列車とはここでお別れ。列車は後一駅、2.4㎞程走って隣のシラアットに向かうが、自分はここで降りる。
 
 これからどこに行くのか、人の目立つウッタラディットの駅。汽車の駅、なんて匂いがぷんぷんするホームに降り立つ。
 ウッタラディットに降り立った人はほんのわずか。三々五々散って行く。今日はウッタラディットにホテルを予約している。駅から遠くない筈だが、駅の出口が思ったのと逆。ホテルは駅裏だ。どうやって行けばよいのか正直良くわからない。
 
 メータータクシーはいない。トゥクトゥクか、もう少し簡単なものか、何か脚はあるだろうと思っていたけど甘かった。降りた時、ホームでメータタクシー、なんて声を掛けられたが、この国で客引きをするタクシーはメーターな訳がなく、ぼったくりだ。ほかにないので聞いてみると、車はタクシーでも何でもない。日本でいうところの白タクだ。そしてお代は100バーツと仰る。高っ。
 高いなあと一度は断ったのだが、いくら待っても他の交通手段がない。どうやらモーターサイらしいものは来るのだが、客引きをしないでさっと消えてしまう。どうしようもなくなり、結局、先程の白タクの世話になる。お代は100バーツ。気分が悪いからチップは払わん。
 駅の右に行き、途中踏切を渡り、駅裏へ。地図で見覚えのあるようなカーブに合流すると少々走って予約したホテルまで。駅からホテルでも時間を喰ったので、部屋に着くともう21時半を過ぎていた。
 明日の列車まで12時間ほどのインターバル。ひとまず空腹である。特別急行の食事からだいぶ経っている。14時のおやつ以来、飲むことも不自由していたから、いい加減、何か食べたい。
 
 バンコクに比べると眠っているようなウッタラディットの街。いくつかやっている店はあるようだけど、閉まっている店も多い。空いている店に入ったら、そこは粥の店であった。仕方ないので、
 
 25バーツの粥が今日の夕食となる。には少々寂しく、ホテルに戻る途中、
 
 コンビニの前に出ていた店で揚げものを買ってみる、1本5バーツは安い。
 ホテルの部屋に戻って缶ビールを飲んでいたのだが、どうも納まりが悪くもう一度外に出てみる。ホテルの前にちょっとしたバーがあって、生演奏が聞こえてた。
 
 先客は一組。ひとまずビールを貰う。ジョッキに入っているけど、ドラフトビアではなく、瓶ビール。1本飲んで、もう1本飲むときにカオパッドを頼んでみた。
 
 このカオパッドが塩の量を間違えたのではないかと思えるようなただただ塩辛いだけの味。驚いた。
 あまり上手でない演奏も含めてぱっとしないウッタラディットの街。ビール2本とカオパッドで240バーツのお会計を済ませてホテルに戻る。明日は9時の出発。早々に寝よう。