朝の気配で目が覚めた。時刻は7時過ぎ。昨晩遅くチェックインしたホテルの一室。外に広がるのは、
バンコクの街並み。
妻によると夜中、雷が鳴っていたらしい。窓外に広がる景色、路面が濡れている。窓を開けると案外涼しい風が吹いている。昨晩の31℃が嘘みたいだ。
まもなく時刻は8時になる。タイで8時と言えば、国歌斉唱。公共の場所にいれば一瞬動きが止まるのだが、ここはホテルの一室。朝8時にタイを感じるなら現地のテレビを見るに限る。
いくつかあるタイのチャンネルにテレビを合わせて見てみる。8時を過ぎて、各局ぱらぱらと国歌を流し始めた。日本なら寸分違わず一斉にだろうが、各局で時間差がある。国歌斉唱が終って別の局にチャンネルを変えると、まだ国歌を流している、という具合。
再び動き出した街。
窓外を頻繁にBTSが行き交う。今日は金曜日。バンコクは朝ラッシュだ。
今回のホテル。朝食は付けていない。最終日は朝早い出発だし、そのほかにも朝早く動く日がある。ならば、食べる日だけ別払いにしようという事で、付けなかった。
今日は別払いの日、だったのだが、バイキングを食べる程、空腹では無かった。ならば、今日は外で軽くと決まる。向かうのは粥の店。暴飲暴食をした次の日には相応しい。
早朝の雨は止んだが、雲で太陽は隠れている。灼熱から逃れたバンコクの街、朝九時。過ごしやすいのが幸いで、春の日本から来た身には優しい。雑多な街を歩き、粥の店に向かう。
大通りの脇にある細長い店に入る。戸惑いながら席に座ると外国人と分かるのか、
英語メニューを出してくれる。その中から夫婦で各一品。それに共通で
油條を頼む。タイにもあるんだねぇと思うが、粥が来ない間は、ただ眺めるだけ。
さて、粥がやって来る。
米粒がなくなるまで煮込んだ中華粥スタイルの粥。粥と言うより米スープ。どろどろになったスープを匙ですくって口に運ぶ。油條を浸して口に運ぶ。美味しい。
さて、今日のToDoリストを片付けよう。まずはタイ国鉄、ファランポーンの駅に向かう。今いるサパンタクシーンの駅からは、タクシーで向かうのが一番近くて速いのだが、渋滞が気になるのでBTSと地下鉄を乗り継ぐ。朝ラッシュが終ったBTS、サパーンタクシーンの駅へ。訪タイ6度目にして初めて、BTSのICカードを買い求め、乗車。
まずはBTSでサラデーンへ。さらに地下鉄に乗り継ぎ、ファランポーンへ。10時半前に到着。
ファランポーンで買い求めたのは明後日のチケット。
週末運行のファランポーン発ナムトクサイヨーク往復、観光列車の乗車券。バンコクから日帰りで往復できる未乗区間。ナムトク線。終点ナムトクの先まで行く列車のチケットを手に入れる。
これでファランポーンの用事は終わったが、折角来たので少しだけ構内を覗いて行く。
以前はプミポン国王の肖像があった所に、新しいラーマ10世、ワチラーロンコーン国王の肖像画が掲げられている。が、駅でも街中でも圧倒的に存在感があるのが、やはり昨年崩御された前国王のラーマ9世、プミポン国王。
広いコンコースを挟んで向かいある前国王。死してなお圧倒的な存在感を放っている。
ホームに並ぶ列車も少しだけ。
どこからかの到着列車。座席車中心だが、寝台車の姿もあるので、長距離の快速列車だろうか。
こちらは特急列車。一昨年の夏に乗った7列車だ。時刻的には間もなく出発だが、水と洗浄液を掛けられ、念入りに清掃中。出発は遅れていた。
列車の出発が一段落した時間だし、妻と一緒なので、列車の見学はこのぐらいにしておく。再び地下鉄に乗る。先程買い求めたBTSのICカード、地下鉄とは共通化されておらず、少々使いづらい。ただ、BTSの切符売り場は混み合うが、地下鉄の切符売り場はそうでもない。ここはおとなしく切符を買い求める。出てくるのはICチップの入ったトークンだけど。
2駅、サラデーンに戻る。ここから暫くは妻の時間となる。旅行は夫婦共通の趣味だが、旅先での興味は違うので、お互い譲り合いつつ、と言う事になる。サラデーンのモールで少々探し物にお付き合い。ToDoリストには無かったけど、前に妻単独で訪泰した時に、混んでて入れなかったスイーツの店ががら空きだったので、入ってしまう。
アイスコーヒーを頂く。うろ覚えだが100バーツぐらいだったか。今朝のお粥が40バーツである事を考えるとちょっとお高い。気分的には¥1,000を投じたようなもの。
頂いたのはトーストの塊にアイスを添えたもの。これは1つを2人でシェアする。ただただ、ひたすら、甘いだけ、という食べ物ではないのでそこそこ食べられる。
落ち着くと12時になる。サラデーンの駅近くにあるタニヤへ赴く。昼の歓楽街は惰眠を貪っているが、その中で数少ない営業中の店、タニヤスピリットで両替。10,000円が3,065バーツに化ける。空港より100バーツぐらいレートが良いか。
さて次。この時間、サラデーンと隣駅のチョンノンシーの間に市場が出来る。そちらの見学が次の予定。朝からの曇り空が持てば有難いけど、この時間、ちょっと日が差してきた。
街中に溢れる前国王への哀悼の意。今回訪泰するにあたって、服装には少々気を付けているし、ちょっと悩んだ。黒い服じゃないとダメなんじゃないか、とか。全体的に地味目の服にしており、今日も暗めの服にしている。結論から言うと気を使い過ぎだったようだ。空港の職員とか、公務に就いている人は1年間は喪に服すそうで、上下黒という人が見受けられたけど、街を行く人はそこまででもない。
街行く人を見る限り、黒が多いのは事実だが、一色ではない。気を遣うに越したことないけど、使い過ぎなくてもいいのかなという感じ。さすがにピコ太郎はダメだろうけど。
市場に着く。路地がずっと食べ物やら衣類やら、雑貨を売っている市場になっている。ただ常設ではなくて、平日の昼から夕方に掛けてだけ現れるそうだ。チョンノンシーの辺りは業務地区で、近隣で働く人たちが休憩で出て来るのを狙っての市場、だとか。
狭い路地をかき分け、くまなく見て回ったがお買い上げには至らず、大通りに戻る。先はまだ長い。今度はサイアムに向かう。
今日2度目のBTSに乗車。外がだいぶ暑くなってきたので、ちょっと乗る間だけの強烈な冷房が嬉しく思えるようになった。終点のナショナルスタジアムまで乗り通す。
今度向かったのはサイアムのMBK。何時の間にか外装が変わっている。今度も妻の探し物。タブレットを物色する。日本で買うより少々安くなる、みたいな話もあり、真剣に見て回る。ただ調べると、微妙にスペックが違うみたい。値段差なりのスペック差がある、という結論になって今度も見合わせ。別の店でTシャツだけ買い求めると時刻は午後2時半になる。
そろそろ昼食。サイアムではベタかも知れないけど東北料理の店、ソムタム・ヌアに向かう。
2007年に家族で訪泰した時に入り損ねた店なのだが、それ以来、9年ぶりの訪問となる。こんな大きい店だっけ?と記憶を反芻した。2017年の今日は、お昼のピークは過ぎているからか、さほど待たされずに入店できる。
店の名前にもなっているソムタムは当然注文。喉が渇いているのでジュースと適当に頼んでしばらく。
コカ・コーラは瓶で提供。現地語のロゴは当然タイ文字。この3文字でコカ・コーラと読むのか。表音文字の筈だけど、読めるのか。
もち米が先にやって来たのち、
ソムタムとソーセージがやって来る。9年越しでソムタム・ヌアのソムタムを味わう。口に入れると後から辛さがじんわりとやって来るタイプ。美味しく頂く。
食事が終わると15時過ぎ。もう少し買い物が続く。引き続きサイアム。この界隈、日本人の姿が目立つ。その中でバックや小物の店。さらにスーパーマーケット。タイでは高級バターが日本よりもかなり割安で手に入るのだそうで。
17時近くになる。荷物も少し増えたので一旦ホテルに戻る。サイアムの駅からBTSでサパーンタクシーンへ。サービスアパートメントに戻ると時刻は17時半。
朝の雨はすっかり上がった。雨が塵を洗い流したのか、透き通った空が広がっている。
部屋に台所があり、少し大きめの冷蔵庫がある。その中にペットボトルの水やらビールやら、バターやらが入る。ちょっと所帯じみてきたバンコクの宿。荷物を整理して少々休憩。暗くなってから夕食のために出かける。
サパンタクシーンの街にもちょっととた食べ物の店はあり、屋台が並んだりもしているが、今日は
何度目かのBTSに乗る。向かうのは二つ隣りの駅、チョンノンシー。昼間歩いたエリアにまた舞い戻る事になる。昼間は賑やかだったチョンノンシーの街。19時を過ぎて人影は疎らになっている。そんな街、大通りから路地に入ってすぐ、
海鮮の店が目的地。地元の人と観光客が半々ぐらい。通されたのは手前のオープンエアの部分。暑いが、屋根のファンが廻っているから、暑くてバテる、というほどでもないだろう。素直に座る。
黙っていても英語メニューが出てくる。数並ぶメニューの中から四品と飲み物を選んで注文。
まずは飲み物が運ばれてくる。チャンビアは95バーツ。一緒に並んでいるのはシンハの炭酸水。最近、シンハのミネラルウォーターとかチャンのミネラルウォーターとか、そんなのは見かける機会が増えたが、炭酸水まで出たのか。
エビの和え物が先に運ばれてくる。エビは生だけど、気にせず食べれば、美味しく頂ける。
プーパッポンカリーがやって来た。ソンブーンと違って、解した蟹が入っているカレー炒め。一緒にやって来たご飯と頂く。美味しいし、殻のない分、食べやすくて好感を覚える。
中華圏、東南アジアではお馴染みの空芯菜。どこの国でも、どこの店でも、空芯菜を不味く作れる店は無いと思うが、ここの店のものもGood。
食事を頂き滞在40分。サービスアパートメントに戻ると21時。ここの宿の良い所は宿の下がちょっとしたデパートになっている事。そちらの地下、
スーパーに寄って土産物を物色してから自室に戻る。歩く距離も長く、疲れた。まだまだ早い時間帯だったか、早々に寝てしまう。