2021-07-23

 4連休の二日目。 旅先の四国は南予宇和島のホテルで目が覚める。時刻は5時前。無駄に早い。昨日寝落ちてそれで起きてしまった。

 明るくなった街を見る。曇り空。涼しそうな空気が漂う。
 今日は9時過ぎの出発。だいぶ間がある。ひとまず少し歩こうかと身支度をする。
 知らない街を少々散歩。なんだけどホテルの脇にこんなのがいた。

 鉄道ホビートレイン。この後6:04に宇和島を出発する窪川ゆきになる。

 後方は切妻のまま。
 ひとまず今日は港の方へと歩いてみる。駅からは1㎞弱。港の近くには道の駅もある。ここの駐車場、他県ナンバーの車がちらほら停まっている。昨日も思ったけど、この4連休、遠出をしている人が目立つ。


 旅客船の姿がちらほら。宇和島の港からは宇和海に散らばる島々で向かう航路がいくつも出ている。

 物流の拠点でもあり、貨物船の姿も目立つ。
 駅に戻ると6時をちょっと過ぎた所になる。

 宇和島から松山まで足を延ばす普通列車が出発する。先頭から2両がキハ185の格下車。3100番台。一番後ろには

 海洋堂ホビートレイン。かっぱうようよのキハ32が連結されていた。

 今度は宇和海4号になる車両が入って来る。朝は混雑するのか5両つないでいた。

 八幡浜ゆきになる普通列車がキハ54で入って来る。
 短くも充実した朝の宇和島駅頭。宇和海4号の出発を送るかとも思ったが、そろそろ1時間が過ぎている。いい加減、ホテルの自室に戻る。
 軽く汗を流してからホテルの朝食。昨日、チェックインした時に、朝食の時間、メニューだけで無く、テーブルの場所まで選んだ状態。時間に合わせてレストランへ。

 今日、ここで鯛めしに行く。宇和島風の鯛刺身と卵かけご飯スタイル。朝から贅沢なものを頂いた。量はこのぐらいでちょうど良いかも知れない。

 部屋に戻る。ちょっと遠いが宇和島城が姿を見せている。
 さて、出発は9時過ぎ。まだ時間がある。荷造りを緩々。今後に備えてお手洗いも絞り出す。そろそろチェックアウト。

 まだ改札口は閉まっている。9:20に改札開始との事。コンコースではクリアファイルやらを売り出している。せっかくなので少々お買い上げ。

 手作り感に溢れる案内が出ている。しまんトロッコに乗車する人にはプレゼントがあるのね。へぇ。
 っーか
twitter.com
 公式ツイッターなんてあるんだ。
 9:20より前に改札口が開く。構内に入る。3番線にこれから乗る列車が出発を待っている。

 今まで姿を見せていた列車と違う装いの気動車。後ろには

 人を乗せる列車としては異形の姿を見せる列車。

 しまんトロッコ、の文字が見える。
 今日はこのしまんトロッコ、に乗る。
 予土線トロッコ列車は歴史が古く、1984年に貨車を改造したトロッコ、清流しまんと号が登場している。その名前の印象が強いのだけど、2013年に改装されて、今のしまんトロッコになっている。

 車内はこんな感じ。ただしトロッコ車両に乗れるのはこの先、江川崎から土佐大正まで。そこまでは先頭に立つキハ54に乗る事になる。

 ロングシートの背中部分に座席番号が書かれている。ここは自由席の筈だが、座席の目安と理解して、手元の指定席と合う所に座る。
 発車直前、

 松山からの特急宇和海5号がやって来る。先頭のアンパンマン列車に見覚えがある。今朝、宇和海4号で松山まで行った列車のうち、2両だけが松山8分停車で戻って来たのだった。
 乗換客が会って、立客も出る頃、予土線のしまんトロッコが出発する。
 駅の案内では「しまんトロッコ」と告げていたが、あくまで定期普通列車の看板架け替え。北宇和島では普通に一般客が乗って来る。普段は空いているであろう列車が混んでいて、さぞかし迷惑な事に違いない、とは思う。
 列車は予讃線と分かれ、予土線のか細い道へと入ってゆく。沿線の景色、山の中の景色となるのだが、

 進行方向右側の空が青いのに対して

 進行方向左側の空は曇りというか霧というか。一瞬雨が窓を叩く。ほんの一瞬。天気の境目のような土地を走っているらしい。
 予土線ノロノロ列車は、多少なりとも地元の人を集めて進む。昨晩の予土線終列車の行先、近永で少しずつ増えた地元の人が降りてゆく。代わりに少し乗って来た。近永駅、この辺りでは人を集める中心地らしい。今まで乗って来た地元の人が降りてゆき、入れ替わりに乗ってくる人もいる。
 大多数の観光客は気怠い空気を纏ったまま、居眠りしたり、本を読んだり。列車は愛媛と高知の県境を越えて江川崎に到着する。しまんトロッコトロッコ車両、乗車はここから。車内を通ってお移りくださいとの案内。
 トロッコ車両、ほぼ満席になる。

 見学の人に見送られ
 今回の指定券。先週末に思い立って購入した。案外空いているものと思ったが、結局は売れたらしい。あいにく通路側なのだが、幸か不幸か、一番後ろの座席であった。

 すぐ後ろが貫通路という所。ほぼ展望席になる。
 二軸車両、タン、タンという感じの独特なリズムと突き上げる感触。貨車そのままの構造なので空気ばねなんて高級品ではなく、コイルバネですらなく、板バネの振動がそのまま伝わるかの如く感触。速度を落として景色が見えるように、という考慮もあるだろうけど、速度が上がると、振動でとてもとても、という感じなのだろう。よく言えば野趣溢れる感じ。日本各地にトロッコ列車は走っているけど、貨車をそのまま流用したトロッコは限られる。唯一無二ではないが、珍しい乗り物には違いない。

 トンネルに入ると天井の白熱灯が薄暗く車内を照らす。キハ54車内の明るさと世界がまるで違う。
 列車は半家の駅に着く。

 禿の鬘がベンチに常備。誰の思い付きで持ち込まれたものか。
 半家の名前、車掌さんの解説によると平家の落人集落なのだそうだ。「平」の文字を少しずらすと「半」になる。なるほど。

 列車名にもなった四万十川が現れている。時折橋を渡り、右手に行ったり左手に行ったり。どちらかの窓側の方がベストポジションということなく川が見れるのは良い。

 もちろん、最後尾からの景色も良い眺めに入る。列車はゆっくり、タン、タン、タンとジョイントを刻んで四万十川沿いに進んでゆく。
 川はうねうね曲がりくねるが、昭和40年代に開業した予土線のこの区間はトンネルと橋を駆使して、割と真っすぐに作られている。なので

 ガーター橋を渡り、

 トンネルへと入る。冒険心くすぐる乗り物になっている。

 沈下橋が見えてここで観光停車。
 50分程でトロッコ乗車区間の終点、土佐大正となる。ここで元の気動車に戻る事になる。


 早朝、宇和島から窪川へ向かった鉄道ホビートレインの折り返しが待ち合わせで停車している。向こうへと乗り換える人もいたようで、気動車の席、余裕が出来た。こちらは間もなく出発。人が変わったように速度が上がる。窪川まではあと30分という所。江川崎までの気怠さもなぜか吹き飛び、むしろ充足感に満ちてくる。
 2時間半のトイレ無し列車を無事に乗り切り、窪川到着となる。


 列車は入替作業の後、宇和島行きのしまんトロッコとなる。乗り換え列車は高知方面は1時間待ち。中村方面はすぐの発車があるが、お手洗いに行くには慌ただしすぎて、1本見送る、
 ちょっと入替作業を見る。

 トロッコ用の無蓋車がぽつんと残り、そこに宇和島側に回った気動車が近づく。

 連結。この後、1時間程間をおいて、宇和島行きとなる。
 今日はこの後、中村まで足を延ばす。駅構内にカフェがあったが、小さなカフェはトロッコを降りた乗客で混雑している。次の列車までに食事が終わる気が全くしなくて、駅前からちょっと歩いた所にあった、酒屋兼インディーズコンビニ兼インディーズ100円ショップで若干の買い物。それと宇和島で食べきれずに持ち歩いていたパンを列車の中でいただく。
 ホームに戻る。間もなく、

 高知から中村までの特急あしずりがやって来る。2両編成の列車からそこそこお客さんが降りてきて、その代わりに乗り込む。海側の座席に座ると間もなく出発。

 目の前のテーブルに、中村線開業50年の文字。
www.tosakuro.com
 今日廻っている高知県西部。鉄道の恩恵に預かったのは昭和40年以降の事。これから向かう中村という所も長らくは陸の孤島と言っても良い所であった。現在では高知-中村は特急なら1時間半ちょっとではあるけど。
 そんな大変なところで 

 ビールなんぞを飲みながら今日は進む。四万十川上流の窪川から、四万十川の河口に位置する中村へ。一気に山を駆け降りる線形で、険しい道が続く。

 15分程で海岸線に出る。この間に200m程、下っている。変化の激しい中村線の景色を眺めて30分。中村駅に到着。時刻は13:24。
 今日は中村泊だが、ホテルに入るには相当早い時間。列車に接続して四万十川を巡る観光バスがある。
www.kochi-seinan.co.jp
 そちらに乗ろうと思っている。
 http://www.kochi-seinan.co.jp/obj/pdf/tour_ashizuri2021.pdf
 お手洗いなんぞを済ませて、さてバス乗り場、と探す。路線バスの案内はあるが、観光バスの案内は見当たらない。観光案内所が目に付いたのでそちらで確認してみる。そんな事をやっている間に、いつの間にかバスの出発時間が過ぎていた。どうやら観光バスは駅前ロータリーの真ん中から出発するらしい。そんなトリッキーな事だと思わず、バスが停まっているのを思いっきりスルーしていた。
 どうしたものか、なのだが、
 http://www.kochi-seinan.co.jp/obj/pdf/tour_trolley2021.pdf
 もう一つ、巡る系のバスがあった。先程乗り損ねた定期観光バスではなく、Hop on Hop off Busみたいなやつ。

 これが停まっているならおやっと思う。先程ちらっと眼に入ったバスは路線バスと変わらない感じだった。こちらに乗る。プランは無いけど、沈下橋で一度降りるか、散策を短く切り上げて、郷土博物館を見学するか。そんな感じで考える。
 乗客は自分と妻の二人だけ。自然と運転士さんと会話になる。色々と気を使ってくれて泊まるホテルで荷物を預ける時間を作ってくれる。その方が動きやすいだろうから、と。他に乗客がいないからかも知れないが、おかげさまで自由が利くようになる。
 沈下橋で15分停車。一本落として屋形船に乗る事を勧められたが、迷いながら橋に向かう。  

 中村は四万十川でも下流域。川幅はだいぶ広い。
 沈下橋としては足の便が良い所なので観光客の姿も多い。

 少なくなった瞬間を見計らって撮ったけど、無人というわけには行かない。
 この橋の手前でアンケートなんてものに捕まる。一瞬何かと思ったけど、県の人であった。観光客の調査といったところ。観光にアクセルを踏むかブレーキを踏むか、微妙な舵取りが続いているが、答えが役に立ったかどうか。
 結局、屋形船は見送ってバスに戻る。沈下橋でめでたく乗客が2人増えて全部で4名になる。妻の見立てだとしまんトロッコでも見かけた人だとか。しまんトロッコ予土線中村線の結節点、若井で捨てると先程乗った特急よりも1本早い普通列車に乗る事が出来て、中村には早く着く。そこまでは想像がつくが、その先の沈下橋までの足取りはちょっと想像付きかねる。
 次の郷土博物館で降りる。中村の市街地手前で道を逸れ、山道を登ると相当高い所まで。そのてっぺんに博物館はある。 

 まるでお城だが、これは復元したもの。場所的には中村城の二の丸跡。
www.city.shimanto.lg.jp
 郷土博物館に気を向けたのは今やっている企画展に興味を持ったから。
www.city.shimanto.lg.jp
 川エビの唐揚げ、なんてテーマで博物館が企画展を成立させられるのか、と非常に不思議に思ってしまったもので。

 その企画展。唐揚げ、という切り口ではあるけど、

 川エビという切り口から生活、文化に切り込んでいて案外と奥深い展示になっていた。
 この博物館、天守閣、という風情で最上階は展望室になっている。もちろん、

 中村の市街地を一望できるし

 田園地帯も見えている。ちらっと見える川は四万十川の支流、後川。中村の城下町は東に後川、西に四万十川を控え、天然の堀となっている。
 展示は良かった。景色も良かった。とはいえ、さすがに1時間半はつぶれなかった。先程眺めた通り、市街地は山のすぐ下にある。10分も歩けばホテルに着くので、バスを待たずに歩くことにする。先程から親切にしてくれたバスの運転士に逆らってばかりいるような気がするが、仕方ない。
 城山から市街地へと下る道。緑生い茂り、蝉は鳴き、夏に溢れた中を歩く。リゾート感は全くないけど、夏休みで田舎に来たようなそんな感覚になる。
 ホテルに入る前、我が家では高名な和菓子屋に寄る。 

 中村を訪ねる理由の一つ、右城松風堂。
ushiroshofudo.jp
 こちらで名物の筏羊羹を買い求める。自宅用、両方の実家用と買い求めるとついつい数が増える。すると「こちらも連れて行ってください」って鮎最中をおまけに付けてくれる。荷物がだいぶ重たくなるが、仕方ない事。明日は頑張って荷物を運ぼう。
 ホテルにチェックイン。宛がわれた部屋に入ると16時過ぎだった。だいぶ早い。去年のようにここから高知に入る事も出来ただろうが、まぁ良い。
 ホテルに大浴場なんてものがあったので入ってしまう。一人前に温泉。アルカリ泉なのかヌルっとした感じがまた温泉に入っている感じを高ぶらせる。
 風呂を上がって17時ちょっと前。チェックイン時にワンドリンク券なる物を頂いていたのでホテル併設のレストランに行く。コーヒーor紅茶のイメージでいたら、生ビールor瓶ビールor日本酒のワンドリンク券であった。

 想定外で風呂上がりのヱビスビール
 どちらにせよホテルではワンドリンク。17時を過ぎたので外で食事を取って来る。目星をつけていた店。予約があるので19時までなら、との事。昨日の宇和島、今日の中村。どちらも混んでいる。言っちゃ悪いが四国の端でこんな感じなら、有名観光地はどうなっているのだろうか。

 展示を見た後、絶対食べようと心に誓った川エビの唐揚げを頂く。禁漁期間に来ていたら宿題を残すところであった。

 カツオではなくマグロのたたき。そして上にのっているのは仏手柑という柑橘類。お嫌でなければ、と勧められたのは仏手柑ごと頂くという食べ方。
 ちゃんばら、という煮物があり、不思議に思って頼んでみる。

 こんな巻貝であった。見た目ほど食べる所はないが、弾力があっておいしく頂ける。

 あおさの天ぷらはこの辺りでは定番の味。

 カツオのはらぼを頂く。

 芋の茎、という不思議な煮物が出ている。案外と柔らかい。違和感なく頂ける。


 変わったものばかり食べているように見えるが、ごくごく普通の刺身に焼き鳥もいただいて、1時間程。19時まで、と言われていたが特に差し支えなく終了。
 少々飲んだが、この後で地元のスーパーに行ってみる。ナスやおくらが安いのに大きかったり、多かったりして、ついつい買ってしまう。他にローカル味噌だったり、醤油だったり。そういえば宇和島でも中村でも、刺身の醤油は甘味を帯びた九州風だった。
 買い物を部屋に放り込んだ後で、締めにラーメン、というかジャン麺なるものを頂く。
 https://janmen.jp/about.html
 日本にはまだまだ知らない麺が多くある。

 川崎のタンタンメンみたいだなぁとは思う。味は案外と柔らかめ。食べた後の〆なのでご飯には行かなかったけど、ご飯とは合うだろうなぁと容易に想像できる味。
 ホテルに戻る。世の中はオリンピックの開会式、らしいけど、そこに至る前に飲んで潰えた。

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