2022-07-24

 普段と違う朝の気配で目が覚める。日曜日の朝。四国は西の果て、宇和島の街で迎える。
 カーテンを開けると眼下は駅。

 始発の特急が5:27に出て行っていた後。目覚めたというよりは、早起きの子を送り出して二度寝、みたいな光景。

 宇和島駅の西外れ。つまり四国の鉄道の果てに鉄道ホビートレインが停まっている。アイドリングの後が軽く聞こえてくる中、係員が乗り込んでホームへと移動する。6:04、予土線の始発窪川ゆきとなる。
 ちょっと歩いてくる。

 晴れてはいるが、涼しい風が流れている。散歩にはちょうどいい空気。街中を少々。

 宇和島城を見てから道を変えて駅の方へと引き返す。

 街中を流れる川がどことなく地元、膳所相模川のような雰囲気。宇和島城の堀としての役目もあるのだろうなぁと思ってみた。

 不自然な直角で川が曲がってゆく。曲がった先にあるのがほづみ橋と昨日訪れたほづみ亭。

 宇和島駅の外れ、跨線橋の所まで来る。先程ホームに入った鉄道ホビートレインと、予讃線の松山ゆきの普通列車が停まっている。
 6:04、鉄道ホビートレイン窪川に向けて出発。夏休み期間だが、6:04宇和島という列車は観光客向けではなく、がら空きであった。

 しっかり盛ったグラマラスな顔と

 オリジナルを残してのっぺりとした顔を見せて紫煙を上げる。

 ついで松山行きの普通列車。一般車に格下げられたキハ185系が使われている。こちらもがら空き。

 宇和島運輸区の留置線脇を紫煙を上げて出発してゆく。
 この時間、出発する列車が少々あり、留置線からも車両がやって来る。

 今度は宇和海4号となる列車が入って来る。朝の多客対応でアンパンマン含め4両。昨年の同じ列車は5両だったと思った。

 ついで6:47に出発する八幡浜行き。キハ54が入って来る。

 1番線と2番線に仲良く並んで出発を待つ。こちらも線路際で出発を待つ。

 6:38。1番線の特急宇和海4号が松山に向けて出発する。ずっと2両、3両と言う特急ばかり見てきたので、4両と言うのが随分長く感じる。

 留置線の脇が登り坂になっていて、気動車には苦しい線形。蒸気機関車の頃はもっと大変だっただろう。

 次いで八幡浜までの普通列車が出発してゆく。
 いい加減、この辺で切り上げてホテルに戻る。滞在しているホテルの朝食は時間指定制。7:10からの回、というのを予約している。
 朝食は定食方式。これも前日のうちにメニューを指定している。

 今回は焼き魚がメインの和定食にしてみた。一番人気は鯛めしらしいけど、昨晩頂いたので。
 朝食を頂き、部屋に戻って落ち着くと8時前。今日は帰宅日。8:40という列車に乗る。あと1時間弱しかない。

 眼下にやって来る列車も気にはなるのだがキリがない。荷物を作り、身支度を整えると部屋を発つ。改めて駅へと向かう。

 発車10分前。宇和島駅の改札へ。ここからまた列車とバスを乗り継いでの帰宅となる。結構時間が掛かるが、それはおいおい。
 手元のバースデーきっぷは今日まで有効。そちらを生かすが、生憎、宇和海にはグリーン車が設定されていない。普通車指定席に落ち着く。


 列車はちょっと増結、3両編成。宇和島の時点では3両を持て余している感じの乗り具合。先頭1号車の区画を区切って設定されている指定席には7~8人ぐらい客がいるだろうか。
 8:40、定刻に動き出す。外から見るときつそうに登ってゆく留置線脇の坂を軽々と登り、山の中へ。宇和島自体は港町だけど、昨日ずっと見てきたとおりにリアス式海岸の港町。どこに行くにも山を越えて向かうことになる。

 線路の向こうにトンネル。

 トンネル、トンネル。そしてトンネル。こんな調子でミカンの山を越えると遠くに入り江が見えて、の繰り返し。
 途中、下り列車の待ち合わせ、と案内があり停車する。やって来たのは

 アンパンマン、君か。JR四国はやっぱりアンパンマンファーストだ。
 さて、汽車の中で昨日食べきれなかった土用餅を頂く。

 餅自体は普通のあんころ餅、だと思う。食欲の落ちる時期に、カロリーのあるものを食べて勢いを付けましょうという感じか。今はとにかく、昔は贅沢品だっただろうし。
 窓外に見える外の景色が開けて来る。

 河畔に城が聳える大洲に到着。乗客に多少出入りがあり、差し引き増える。
 列車は大洲を出ると旧線と分かれ、山間を貫く新線へと進む。正確に言うと初日に乗ったキハ185系が登場した1986年の開業だから、そんなに新しい訳では無いけど、今までの線路とは雰囲気が変わる。

 途中、下り特急の通過を待つ。先程来、こちらが待たされることが続いている。
 道を譲ってこちらも発車する。時刻は9:40を過ぎて、まだ内子を出た所。松山は遥か彼方、と思えるが、山の中の近道を行くと30分で松山となる。トンネルと谷間のフリッカーを進むと左右に聳える山が低くなり、辺りが開ける。一気に平野に躍り出て松山市街地へ。
 終着、松山駅の手前で信号停車。少々待たされたのち、ゆっくりと松山駅に入ってゆく。これで定時であった。

 今日は松山で乗り換え。乗って来た宇和海は折り返し宇和島行きとなるため、乗務員が交代。清掃も始まる。次に乗る列車は


 同じホームの高松寄りに停車中。こちらも先程到着して折り返し準備中。車内清掃に入っているので先に少々買い物をしておく。

 そんな訳でバタバタと10分少々の乗り継ぎ。10:18、先程乗って来た宇和海が折り返し宇和島へと出発。10:21、残された特急しおかぜ14号+いしづち14号が出発となる。
 今度は岡山ゆきのしおかぜに乗る。最後尾の半室がグリーン車になっており、そちらを使える。先客は1組のカップルだけ。バースデーきっぷのグリーン車用は使われている気配が濃いのだが、肝心のグリーン車に乗ると、空いている事が多いように思える。

 あまりがら空きだと設定が無くなりそう。空いている事は望ましいが、バランスが肝心。
 列車は松山郊外へと出る。平坦な所を行く印象が何となくついて回る予讃線の松山から東だが、カーブは意外と多い。振り子式の機能をしっかり生かしてカーブに突っ込んでゆく。
 席に落ち着いた所で先程の買い物から

 ビールを頂く。グリーン車で飲み鉄、と思ったら一昨日は運転を控えていたからNG。昨日は乗る機会が無く、今日だけしか機会が無かった。午前中からの飲酒は控えたいと思っているが、今日はやむを得ない。
 列車は瀬戸内海を左手に見つつ東に向かう。

 昨日見た宇和海、今朝越えて来たリアス海岸を思うと実に穏やかな海。人にとっては優しい環境に違いない。魚に取っては流れのはやい瀬戸内の方が厳しい環境か。とにかく、眠気を誘うような景色が流れる。
 一昨年の四国旅行では宿泊地になった今治に着く。グリーン車から先客が降りて、車内は自分たちだけになる。日曜日の午前中。指定席は半分弱埋まっているようだけど。少々寂しい乗車率。
 そのせいか知らないが、上下の特急がすれ違う時はこちらの列車が待たされる。

 アンパンマンではない普通のしおかぜ+いしづちにも道を譲る。
 新居浜かどこかで、グリーン車に1人お客さん。全部で3人になって愛媛県からうどん県へと進む。朝8時以来の愛媛県は延々4時間近く。列車に乗っていると、静岡とか新潟とか、延々続く県というのはあるが、愛媛もその類だったか。初めて認識した。

 久しぶりに海が近付く。瀬戸内らしい多島海を見て東に。多度津土讃線と合流すると車内案内、列車分割に注意喚起を促すようになる。
 列車は坂出に着く。

 前3両が高松行きのいしづち。後ろ5両が岡山ゆきのしおかぜに分かれる。グリーン車は後ろ5両の一員。このまま乗ると瀬戸大橋を渡り、次は岡山県児島駅。手元の切符は児島までは使える。折角なのでそのまま乗る。

 瀬戸大橋を渡ると本州に戻る。列車は減速して児島到着。JR四国JR西日本の境界。バースデーきっぷが使えるのも児島までである。従って、グリーン車からは降りねばならない。

 乗務員が交代。自分たちは下車。もう1人乗っていたお客さんも児島で降りたから、グリーン車無人になった筈。
 切符が使える北限、と言う理由でやって来た児島だが、これも何かの縁。少し歩いてみる。
 児島の駅、少々変わったところがちらほら。

 エレベータの扉がジーンズ柄。

 自動改札機のバーもジーンズ柄になっている。児島は日本におけるジーンズ草分けの街。折角なのでジーンズストリートなる所まで歩く。
jeans-street.com
 さすがにスーツケースを引っ張ってゆくのは辛く、荷物はロッカーに預ける。
 街はずれらしい児島駅から大通りを歩くと少々。どうやら古い中心街らしい所へ着く。立派な銀行の建物があり、古くは栄えた街であろうことを知る。少し入ると古い商店街

 ジーンズを垂らしただけでジーンズストリートな訳ではなく、ショップも色々と並んでいる。

 シャッターが目立つ街並みではあるけど。

 こんな路地にも元銀行と思しき建物。こちらもショップに再生されている。
 ちょっと店を冷やかしている間に13時半を過ぎる。昼食をどうしようか、悩むところだが、悩んでいる間に時間が無くなる。えいやで、食事を取ることに決定。目星を付けていた喫茶店に入る。

 和食が続いたので児島と全く関係なさそうなパスタのランチを。まぁ旨かったけど。
 時刻は14時を過ぎてそろそろ持ち時間がゼロになる。駅へと戻る。その途中、街の中心地にあるもう一つの児島駅をちょっとだけ見ておく。

 遊園地の廃墟、とも思えてしまうが、下津井電鉄児島駅である。
ja.wikipedia.org
 瀬戸大橋線が開業するよりもずっと前、1913年に開業したナローゲージ下津井電鉄

 廃止になったのが1990年だから決して古い話ではない。存在も重々承知はしていたが、全国各地を歩ける年齢では無かったが、現役時代の下津井電鉄は生憎と知らない。昔見た写真と今の景色を何となく重ねてみるが、あんまり感慨に浸る時間も無かった。来た道を戻り、児島の街外れにあるJRの児島駅へ戻る。
 荷物を拾い、軽く買い物。ホームへと上がる。停まっているのは

 JR西日本の電車。この電車で岡山にゆき、新幹線なりなんなりで膳所に向かうのが順路だろう。が、今日は

 未練たらしくもう一度四国に戻る。やって来たマリンライナー、高松行きに乗車。先頭車両は二階建てで、2階がグリーン車、1階が普通車指定席となっている。折角グリーン車に乗れるきっぷを持っているので、グリーン車に乗る。未練たらしくというよりかは、しみったれ、かも知れない。

 今までは特急列車のグリーン車だったが、こちらは座席指定車とはいえ、快速列車のグリーン車。座席自体は首都圏を走っている普通列車グリーン車と変わらない。階下の普通席も視点が低くなるだけで、座席自体は変わらないようだ。
 早速海へと進む列車。その中で

 SORACHI1984を頂く。列車に乗る前に寄ったコンビニで売っていた。思いがけない僥倖。

 瀬戸内を渡る時間が豊かになる。
 列車は2時間前に走って来た瀬戸大橋を南へ戻る。坂出の工業地帯を見て左にカーブすると予讃線へ。30分程で終着の高松まで運ばれる。

 徳島、高知、愛媛と通って四国四県目、香川の県庁所在地、高松に到着する。隣のホームには

 この周遊の起点となる徳島へ向かう特急列車が発車を待っている。こちらに乗れば一周完成。だが、今は日曜日の15時。いくら何でも今から更に先へ進むのは帰宅が遅くなる。今日は高松からバスで京都まで戻る予定にしている。
 大阪までなら高速バスはたくさん走っているが、京都まで、となると急に少なくなる。高松を午前中に何本か出た後は暫く設定が無く、午後は15:40が最初のバスとなっていた。

 大阪行きのバスが15:30に出て行った後、

 待機していたバスが

 バス乗り場へとやって来る。これが15:40の京都行き。来る時と同じく西日本JRバス。そしてよく見ると車体番号641-17934とある。一昨日京都から徳島まで乗ったバスと一緒であった。
 車内、3割も満たない程度の乗車で空いている。先程の大阪行きの方が乗客は多い様子。需要は圧倒的に大阪>>京都なのだろう。15:40定刻出発。高速に乗る前、高松市内を丁寧に停まって、そこそこの乗客がある。3割に満たない乗車が4割少々まで上昇した。
 東に向かう高速道に乗る。ついつい鉄道の線路で考えがちだが、高松から関西へは、坂出まで戻って瀬戸大橋を渡るより、大鳴門橋から淡路島を経由して明石海峡を渡る方が圧倒的に早い。そんな訳でバスは先程乗らなかった徳島行きの特急列車が走る高徳線の線路に沿って徳島方面へと走る。
 高松市内渋滞の影響で遅れている旨、案内があったが、途中で遅れを取り戻す。鳴門ICで来る時と同じ高速道となる。一応は四国一周が成立した事にはなる。

 17時前、鳴門の海を見て四国とお別れ。コロナ元年の2020年以来、縁あって夏のこの時期に四国を訪れているが、来年はどうなるか。
 徳島発着のバスは淡路島内にもバス停があったが、高松発着のバスは既に乗車扱いが終わっている。時々現れるバス停には目もくれず、夕方の色がだんだん濃くなる淡路島を北上する。休憩は室津パーキングエリアとの事。来る時と同じだ。17:30頃に到着。高松から2時間、京都まで2時間。正真正銘の中間地点となる。10分停車。

 この時間も室津パーキングエリアには四国からの路線バスが集まっている。隣には京阪バス

 京都-徳島と表示がある。2台仲良く、京都駅を目指す事になる。

 自車も出発までしばらく休憩。

 上り線のパーキングエリアからは瀬戸内海が見て取れる。この時間、逆光に島が霞んで見える。もうしばらく待てば夕陽に照らされるのかも知れないが、その時間を待つ事は出来ない。バスへと戻る。
 しっかり10分休憩で乗客が全員戻り、出発となる。この先、中国道の宝塚あたりで事故渋滞が発生しているそうで、阪神高速を経由して京都に向かうとの事。
 淡路島を北上すると高速道路が少々混んでくる。流れが悪くなるわけではないが、通行量は多い。

 そんな中、右手に大阪湾が見えていて、斜め前に明石海峡大橋が見えて来る。行楽帰りのクルマが混雑する中、

 神戸側へと渡る。帰って来たと思うべきなのだろうが、神戸の景色には、まだそこまで馴染めていない。
 バスは予告通り、中国道へは向かわずに阪神高速3号線へ。こちらは事故渋滞こそないが、流れは良くない。速度が落ちる場面も目立つ。途中定時運行まで戻したけど、一気に遅れそうだ。
 それでも神戸の中心地を抜けると少々流れるようになる。西宮から名神高速へ。高槻で降車の扱いが始まる。15分遅れとの事。降車無し。むしろ大山崎での下車が目立つ。
 京都南で高速を降りる。定時到着は無理そうだが、ちょっと巻き返した感がある。後は京都市内が流れている事を祈るのみだが、何とか何とか巻き返した様子。目立つ停滞は無く京都駅烏丸口に運ばれる。
 4時間弱で京都まで。

 時刻は19時半。既に薄暗い。しかし昼の暑さが残り、蒸し暑い。昨日の宇和島、一昨日の中村の夕暮れ時が恋しい。
 預けた荷物を受け取るとキリキリ歩いて改札へ。ちょうどこの時間、烏丸口からまっすぐ改札を抜けた1番線には草津線直通の柘植ゆきがいる。何とか間に合う。京都駅で階段を昇り降りすることない乗換が成立。高松でも同じく平面乗換だったから、マリンライナーの2階室からデッキへ降りる階段以来、平面移動が続いている。
 今日の昼間は爆発物処理の関係で運転見合わせとなっていた東海道線。この時間には影響も無くなり、柘植ゆきは定時運行、そして空いている。117系のボックス席を2人で使えたので、キャリーバックを持ち込んでも余裕の乗車となる、ありがたい。
 膳所まで戻る。荷物が重くなったので駅前からの京阪電車に頼る。

 涼しい電車に数分揺られて、京都よりは暑さがマシな膳所の街へ。3日ぶりの自宅は熱が籠っている。窓を開けたが風もなく、結局冷房頼り。
 明日に備えて弁当の準備だが、仕込んだ材料がない。手抜き弁当の定番、ジューシーの素に頼る。荷造り少々。疲れを感じて早めの就寝。

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