2019-07-23

 何時もより少し遅く目覚める火曜日の朝。今日は休暇を取っている。誕生日なのでちょっと別の事を、と思っていたのだが、起きた時点でどうするか全く決めかねている。
 18きっぷで少し遠出をしようかと思っていたけど、5日分を使い切れる自信は無く、ちょっと迷っている。迷う間に肝心の休みが来てしまった。
 妻を送り出し、少し家事をする間に、時間が経つ。岡山の方まで足を延ばすプランは無くなった。結局、折角休みにしたのだし、少し生産性のある事をしようと方向だけ決める。最終的な決断はしないまま、家を出た。

 膳所の駅に着くまでに18きっぷを買うふんぎりがつく。今日1日で終了なら高い買い物だが、何とかなるだろう。根拠は無いけど。
 ある程度は時刻表を見てきたが、適当なので膳所でほぼ15分待ち。

 膳所の待避線に貨物列車が停まっている。昔は隣の石山共々貨物扱いがあったそうで、その名残で貨物時刻表には膳所の時刻が出てくるのだけど、貨物列車を受け入れる体制はこの待避線以外に残っていない膳所の駅に停まる貨物列車は、イレギュラーの証拠である。今日も東海道線、東側で何かあったか。

 ほぼ15分待って東海道線下りを京都まで。今日はここから引き返す。

 上りホームにやって来た新快速は湖西線経由の敦賀行き。今日はこれで福井まで行く。目的は田原町駅

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 福井都市圏のインターバーンであるえちぜん鉄道福井鉄道。どちらも既に乗っているのだが、訪れた頃から変化があって、この二社の結節点、田原町駅で二社の線路がつながって、乗り入れ運転が開始されている。このつなぎ目は当然乗っていない。全線完乗のタイトルは剥奪されたが奪還を志す身には気になるレールなのである。この際乗ってしまおう。これを生産的と言うのかは知らないが、どうでもいい。
 新快速は山科で来た道を分かれ湖西線へと歩みを進める。大津京、と言う駅名には馴染めないが、その先、琵琶湖が見えてくる。遠くに大津プリンスホテルを望む湖西線からの眺め。普段とだいぶ違って、新鮮である。逆光なのが若干は残念。
 琵琶湖線を名乗る東海道線よりも湖西線の方が琵琶湖ビューであり、逆光ながらも楽しく進んでゆく。18きっぷシーズンの混雑を心配していたが、実際には非常にがら空き。

 近江今津で後ろ8両を切り離し、となる。身軽な4両となったが、実に空いたまま。夏休みと言えども、この辺りは18きっぱーとは縁が無いようだ。
 湖西線というか湖北線といいたくなるような辺りを各駅に停まりつつも快走する新快速。北陸線接続の近江塩津から長い長いトンネルを抜けて日本海側へ。

 工事現場に差し掛かる。北陸新幹線の工事現場だ。2023年の敦賀延伸に向けて工事たけなわなのであった。まだだいぶ先と思っていたが、工事真っ盛りであった。
 11:15、定刻に終着の敦賀となる。京都から1時間半ほど。京都からなら通えなくはないけど、通いたくない距離ではある。この先は20分程待ち時間。ちょっと改札外に出てみた。

 2019年の北陸線敦賀駅。記憶にある敦賀の駅から少々変わっている。正直、もう少し大きな駅と言う感覚があった。自分の敦賀駅の初見は1981年。当時は小学生になりたての頃だし、駅が小さくなったのではなくて、自分が大きくなったのだろう。
 駅そばのコーナーがあって、少し空腹なので食べてゆく。かけそば300円とか、天ぷらそば410円とか安いなぁ。きしめんなんてものもメニューにある。名古屋文化圏の端か。滋賀県中日新聞スギ薬局なら、名古屋経済圏の侵略を受けているが、きしめんは見た事がない。

 透き通った醤油色に東の匂いを感じる敦賀の駅そば。麺は北陸ならではの黒い蕎麦。関西の食べ物には無い雰囲気を410円で味わう。京都から90分の距離とは思えない違いだが、湖西線の距離ではなくて北前船の距離を思わないと行けないのかも知れない。
 18きっぷを駅員に見せてホームに戻る。何となく18きっぷの旅らしくなってくる。今度は福井行きの普通列車。自分が足繁く18切符を使っていた頃には419系とか、そんな電車が行きかっていたが、

 2019年の北陸線を行く電車は521系。まるで膳所辺りで乗る223系みたいな電車が来た。車内広告も東海道線と同じ大学の広告だったりする。
 2両編成が埋まる。特急が先に行くのが2019年でも北陸線北陸線の証拠。間もなく出発。北陸トンネルの区間、携帯の電波が入らない旨のお断りがある。確かに最近の都会はトンネルの中でも電波が通じるのが当たり前になった。

 山間の抜けると武生が近付く。今日の目的となる福井鉄道の起点だ。田原町を挟んで直通運転をしているのは武生を毎時12分に出る急行電車だけ。これは調べてきた。そして今乗っている電車が武生に着くのは12:08。同一駅なら4分乗換は絶妙で感謝なのだが、JRと福井鉄道武生駅は微妙に離れている。
 武生の4分乗換は無理だなぁと思ってどうしようかと思っていたのだが、この二つの電車、共に福井方面へと走る。JRの方が駅が少なくて速度が早いから、先に行けば行くほど差が付く。何の事は無い、JR北陸線で福井まで行って、福井鉄道の最寄り駅まで歩けば、福井鉄道からえちぜん鉄道に乗り入れる目的の電車には余裕で間に合う。
 そんな訳で福井まで北陸線を乗り通す。高架になった福井駅は初めてだっけ。だいぶ様子が違うが、既視感のある駅ではある。この駅前から福井鉄道の駅まで歩く。
 北陸線福井駅からの福井鉄道の最寄り駅は福井駅前。ただ、これは本線から分かれた枝線で、今追いかける急行電車は福井駅前にはやってこない。本線の駅まで行かねばならない。昔は市役所前、と言ったはずだが、今は福井城址大名町、と言うらしい。
 そこへ向かってあろこうとしたのだが、

 福井駅前の様子がだいぶ違う。これ、駅前に向かって延伸したのか、と今更ながら気づく。

 昔はこの辺りが福井駅前駅だったよね。安全帯があったとは思うけど、道の真ん中に鉄道線の大型車が入ってきてステップだけ降ろして乗客を乗せていた。女子高生のパンツが見えるんじゃないかと言う勢いの駅だった。

 伸びたなら乗るべきだが、どうしようかと思ってから、この電車で隣りの駅まで行けば良いじゃん、と言う至極当然のことに思い至る。なので乗ってしまう。目の前にいるのは元々名鉄岐阜市内線にいた770形だ。モケットは名鉄柄。20年前の福井鉄道鉄道車両が市福井市内の軌道線に乗り入れるインターバーンだったが、21世紀の福井鉄道は市内電車が郊外へ足を延ばす風になっている。とはいえ岐阜市内線もインターバーンだったか。
 予定外で福井鉄道福井駅前改めて福井駅から一駅だけ乗る。延伸したのはほんの100mぐらいと思われ、すぐに既乗区間となる。先程歩いたので完全に自己満足の世界だが、全線完乗と言う行為自体が、自分ルールの自己満足で完了する世界だから、これで良い。
 電車は越前武生ゆき。本線に戻った福井城址大名町でスイッチバックとなる。ワンマン電車なので運転士が最後尾となる車両から改めて先頭となる運転台に移動したのち、降車扱いとなる。


 電車は改めて越前武生めざし進む。そこへ

 越前武生から福井駅経由の田原町ゆきがやって来る。結構忙しい。これが折り返し福井駅と向かうと

 武生では間に合わなかったであろう、急行電車の到着となる。こちらに乗り込む。先程見てきた名鉄のお下がりではなくて流行りの低床電車。


 急行だが、福井市内の軌道線区間は各駅に停まる。問題の田原町は二駅先。まもなく真新しいホームが流れ、田原町駅となる。20年前は福井鉄道えちぜん鉄道が同居するだけのあばら家、という雰囲気だったが、すっかり建替えられ、小ぎれいな駅になっている。福井市は公共交通機関への転換にだいぶ力を入れていて、福井鉄道の電車も平日の昼間としてはそこそこ使われていた。その力の入れようが、伝わるような田原町駅の変貌であった。
 電車はこのままえちぜん鉄道に乗り入れる。いつ渡ったか分からないまま郊外電車の規格であるえちぜん鉄道に乗り入れる。


 隣の福大前西福井で降りる。郊外電車規格のえちぜん鉄道に乗り入れる低床電車用にホームが高床用、低床用に分かれている。福井城址大名町からここまで230円。初乗り合算では無く、割引があるようだ。
 田原町駅をもう少し見たくて、歩いて戻る。この時間の福井は暑い。空は晴れ、梅雨明けを思わせる雰囲気だ。

 田原町まで来る。踏切から眺めると線路がつながっている様子がしっかり分かる。狭い意味ではこのために福井まで来たのだが、今日眺めた福井鉄道と言うインターバーンは面白かった。その再発見を生産的と言うのかどうかは分からない。
 帰りはえちぜん鉄道で福井まで行ってみる。30分毎の電車を待つと、

 どこかで見た形の電車は愛知環状鉄道からやってきたもの。名古屋のお古が福井の街を闊歩しているの図。
 30分毎のえちぜん鉄道も混んでいた。行政主導で鉄道を使いやすい環境を整えているらしいけど、思った以上に賑やかな二つの鉄道。立席客を乗せて、電車は終点の福井まで。この高架区間も初乗りか。
 1時間少々で福井駅に戻る。今日はこれで帰宅する。遅くまで乗り倒す事も出来るだろうけど、その元気は無いし、夕食は自宅で食べたい。
 合間に昼食。ソースかつ丼、とも思うが、駅のコンコースで6時から23時半まで営業している立ち食いソバがどうしても気になる。福井程度、といったら失礼だが、その程度の駅なのに、始発から終電まで営業する勢い、と言うのは余程街に愛されているそば屋だ。

 にしんそばは破格の450円。出汁は敦賀よりも色が濃く、関東風になる。蕎麦は黒いしっかりした蕎麦。昼時は過ぎているがお客さんは絶えず、やはり街に愛されている様子。
 北陸線のホームに戻る。

 まだ発車まで30分あるが、敦賀行きの普通列車が出発を待っている。駅も電車も新しくなったが、この辺りの運用は田舎汽車のまま。お客さんが早々に乗り込んで発車を待っているのも田舎汽車のままだ。
 自分も発車まで時間があるから、では無く席に座って発車を待つ。まぁ根が田舎なので。

 福井はオリジナル缶を作って貰えるのね、いいわねぇと思いつつ時間がつぶれる。お客さんが増えて、特急が追い抜いて行き、移って来る客もいて、ようやく発車時刻になる。動いてしまえば汽車は速い。武生までのインターバーンに勝ち目はないが、1時間毎の汽車相手だと、勝負になるのかもなぁ。
 武生までで半分お客さんが降り、その代り乗って来る人もいて、そのまま北陸トンネルを越える。福井は嶺北嶺南と地域を呼ぶが、嶺南側の敦賀まで行く人は案外と少ない。
 敦賀からはアーバンネットワーク、と言うらしい(笑)。新快速に乗り換えとなる。20分の待ち時間があるので、その間にビールを買う。そして、

 ご自慢のアーバンネットワークを駆け抜ける新快速(4両編成)が到着。折り返し姫路行きとなる。4両の電車を持て余すぐらいに空いている。20年前のアーバンネットワークじゃない北陸本線419系普通列車は、やっぱり空いていたなぁ。寝台電車からのお下がりとなったおおぶりなボックスシートでビールを飲んだっけ。

 今日もビールを頂く。うっかり1本目を発車前に飲み干してしまい、2本目はゆっくりと。
 列車は深坂越えをして滋賀県、湖北に戻って来る。

 湖北はすっかり夏色。これは絶対に梅雨明けだ、なんだけどスマホのプッシュ通知で大津豪雨なんてのが来る。どうなっている?

 各駅停車の新快速。近江今津で8両増結し12両となる。一応は体裁は整う。電車は空いている。この辺は湖東を行く東海道線とだいぶ差がある。

 順光になった琵琶湖を眺めて大津を目指す。所々に別荘がある。湖水浴場というのか水泳場もあったり、テニスコートがあったり別荘地らしい。この辺りに住めば、と思わなくもないけど、会社通いが大変だだけだ。
 徐々に住宅地が増え、新快速も快速運転になる。琵琶湖の南湖側に進むにつれて空模様が怪しくなる。堅田から見る南岸側は雨に煙っているようだ。

 大津京で降りるとそこは大雨であった。
 買い物少々の間に大雨は過ぎる。京阪電車の駅まで歩いて帰宅する。

 大津のインターバーン、石山坂本線。石山側は路面電車の親戚だが、坂本側が郊外電車の雰囲気。ここ皇子山改め京阪大津京もまるで郊外電車の駅だ。
 帰宅ラッシュの走りでお客さんの多い電車に揺られる。電車に乗る間に雨は上がり、幸い自宅までは傘を差さずに帰れる。18時前に帰宅。明日から、また会社。
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