1042列車 Saemaul 東大邱(Dongdaegu)→ソウル(Seoul)

 続いて乗車するのはKTXが開業するまで、韓国を代表する列車だったセマウル。KTX開業後も多少は存置されていますが、釜山(Busan)6:05のあとは10:20まで間隔があきます。その間に慶全線馬山(Masan)始発列車やこれから乗る東海南部線からの列車が入っています。その他にも釜山郊外のリゾート地、海雲台(Haeundae)始発列車があったり、地方都市とソウルを結ぶ優等列車、という位置づけに変わりました。
 
 駅の案内、次の発車として1042列車と1044列車を表示しています。出発時刻は同一時刻。蔚山(Ulsan)からの1042列車と浦項(Pohang)からの1044列車が慶州(Gyeongju)で一緒になってやってきたもの。日本で言う分割併合列車です。日本の場合は列車番号、どちらか一方のものになるけど、韓国はあくまで二本の列車と言う扱いなんですね。   
 
 ほぼ定刻、セマウルが姿を現しました。
 
 乗り込んだ特室。こちらは2-2列に赤いシートが並びます。日本国鉄の特急列車のグリーン車を思い起こすような雰囲気。車内は空いており、出張に行くらしいサラリーマンのグループが目立つ程度。定員64とあった車両に乗客10人ぐらいでしょうか。
 指定された座席へ。昨年の夏に乗った江陵(Gangeung)からのセマウル普通席とあんまり変わらない感じ。あの時はシートにオーディオサービスは無かったかな、そのぐらいの違いしか見当たらない。列車が動く。車掌さんがやって来る。こちらの鉄道員は制帽を被っていないので、一瞬係員と気付かなかったりする。自分に向かってゴニョゴニョ仰るので検札かと思ったら、ヘッドホンをくれた。やっぱり特室、らしい。
 列車が動き出す。セマウルに乗ったからにはぜひとも行っておきたいところへある。それは、「食堂車」
 「さっき食べたばっかりじゃないですか〜」と思いっきり言われそうです。でもセマウル、またはムグンファの食堂車は日本を発つ前からの宿題でしたので。京釜線・湖南線・全羅線系統のセマウルと京釜線系統の一部のムグンファには食堂車が連結されてます。日本ではほぼ全滅した食堂車。韓国でも衰退の方向と聞きますが、それでもまだ、多数の列車に連結されています。食堂車は隣の車両。特室と食堂車が隣り合わせってのも昔の日本国鉄特別急行みたいですね。
 食堂車へ。乗客が数人。それ以上に目立つのが数人固まっている鉄道員。溜まり場になっている感じ。
 まず真ん中のカウンタへ行き、注文。食べたばかりなので軽いものが良いのですが、Lunchboxかドリンク類か。コピ飲むのもなぁとも思って、一番安いLunchboxを注文。先払いだって。ふ〜ん。7,000W。
 真ん中のカウンタ(調理場)を隔てて特室側にボックス席が、普通席側にはカウンター席が。昔、白山についていたコンビニエンスカー(今でも、能登に車両だけは残ってますけどね)を思い起こすような雰囲気。ボックスに座って調理が出てくるのを待ちます。
 
 食堂車の様子。座り込んでいるのが鉄道の係員。
 
 出てきたLunch。トンカツランチ、とでも言うのでしょうか。日式定食かな。しかし、2時間前に朝食を食べた身には、重い。残念ながら全部は食べられず。カツが揚げたてなら多少は食指も沸いたかもしれませんが。
 一応、食事を切り上げる。自席に戻ろう。最後に食堂車の全景を撮っていこうかと思ったとき、係員に止められた。
「カメラ要りません」と日本語で。
 写真撮影は以前ほど厳しくなくなったと聞くし、実際ここまで、全くお咎めなしだったのだけど、止められたものを撮り続けるほどの度胸も必要もない。おとなしく引き下がる事にする。
 列車は京釜線を走っている。東大邱(Dongdaegu)から北はKTX専用線が完成しているので、この区間ではセマウルは王様。だれにも邪魔されずに北上を続けるけど、停車駅は結構多い。 
 
 金泉(Gimcheon)の駅で。ホームに大勢のお客さんがいて、乗ってくるかと思ったけど全く動かず。どうやら後発のムグンファを待つ様子。すぐ後にやって来るムグンファでもソウルに着くのは20分遅くなるだけ。
 車内に設けられたモニタは、さっきからお笑いらしいプログラムをやっている。何をやっているのかまでは分からないけど、同じプログラムの繰り返しではない事だけは分かる。今度はドラマらしい。もしかするとテレビ番組をそのまま流しているのかもしれない。
 ちょっと寝てしまった。列車は大田(Daejeon)に着いている。大田からのちょっと先、湖南線との分岐を見たいなと思ったのに、また落ちてしまう。今回の旅は結構寝てしまう事、多いなぁ。目覚めると天安(Cheonan)。ホームの向こうに地下鉄1号線の電車が見えている。首都圏電鉄の南限だけどソウルまではまだ96.6kmあるから、感覚的には熱海辺りまで京浜東北線がやって来る、と言った感じかな。天安(Cheonan)からは方向別複々線となる。
 
 平澤(Pyeongtaek)の駅で。手前が列車用の低いホーム。線路を挟んで向こうが電車用の高いホーム
 
 首都圏近郊らしい光景が広がり始める。
 
 地下鉄1号線の電車を追い抜いてゆく。
 仁川からの路線が合流してくるともうソウルも間近。線路が幾重にも重なり合うような光景は大都会そのもの。列車は永登浦(Yeongdeungpo)に停車。KTXに抜かれると最後の一区間。4日前の旅立ちの駅、龍山()をゆっくり通過すると12:49、2分延でソウル到着。
 
 ところで、さっきからお腹の調子が悪い。ダルさも感じる。ソウルについてから仁川空港を飛び立つまで若干時間があるのだけど、どうしよう