2022-07-23

週末の朝を旅先で迎えた。

 高知の西、中村の街。既に外は明るくなっている。時刻はもうすぐ6時になる所。今日は一日、クルマで移動する。歩き足りなくなるのが明らかなので、朝のうちに少し歩いておく。
 ホテルを出て四万十川の方へ向かう。

 もうすぐ河口、という四万十川はさすがに河原が広い。その名前から頭に浮かぶ情景とはだいぶ違う景色。

 赤鉄橋の下流側に宿毛へと延びる土佐くろしお鉄道の橋梁がある。そちらを宿毛行きの始発列車が駆けてゆく。
 少し街中を歩いて30分少々。歩数としては足りないが、ひとまず戻る。昨日入りそびれた大浴場で朝風呂の後、朝食へ。

 ご飯の友達がやたらと目立つ朝食バイキングを頂く。
 中村の滞在は今日まで。ホテルをチェックアウトして車で移動しつつ、少々観光をたしなむのが今日の予定。うっかりテレビ番組なんぞを見てしまい出発が遅れたが9時を過ぎて、ホテルを発つ。
 まずは海を見に行く。妻がご実家の家族旅行で行った事がある、という竜串海岸を目指すドライブ。土佐清水へと向かう国道を流して40㎞少々。10時をちょっと廻ったぐらいに目的地に着く。 

 太平洋に面した入江にある海水浴場へ。絶好なビーチだけど、この辺までわざわざ泳ぎに来る人はわずか。先客としてクルマは数台。日陰にテントを設営しているから、日の当たるところだけ見ると無人の海岸に見える。
 泳ぐ準備はしていないけど、ビーチサンダルぐらいはある。靴から履き替え、海岸線に立ってみる。

 水が本当にきれいだ。絵に描いたようなビーチ。泳がないのが勿体ないかも知れない。
 泳ぐ準備はないので海に足だけ浸かって少々。撤退する。次は土佐清水の方へと向かって
www.johnmung.info
 ジョン万次郎資料館に立ち寄る。社会科の教科書で出ていたジョン万次郎はこの辺の出身。

 その生涯と功績を伝える施設を少し見てゆく。



 乗っていた舟が遭難し、無人島に流され、アメリカの捕鯨船に救助され、アメリカに渡り勉強して、日本に帰ってから日米関係の構築に尽力した。その生涯は薄らぼんやり知っていたが、しっかりと理解するのは初めてである。
 同じように遭難し、捕鯨船に助けられた人は万次郎だけではなく、たくさんいた事。その中で万次郎に教育を授けたホイットフィールド船長の人を見抜く力は見習いたいなぁと思う。それと明治の偉人に共通しているのかもしれないけど、何事か成したのは20代から40代の時。万次郎も44で病に倒れ、それ以降は静かな余生だったとか。今の自分の方が歳がいっていると思うと、複雑な気分になる。
 11時半になって移動再開。土佐清水から宿毛の方へと向かう。途中、大月と言う街の道の駅に寄り道。時刻は12時を過ぎている。様子を見て昼食が行けるようなら、と思ったのだが、そんな感じでなくここでは断念。その代わりに
ichigoori.com
 苺氷り、なるものを頂く。字面の如く

 凍った苺クラッシュ練乳掛け。旨くない訳がない。
 大月での昼食を見送ったので、その次は宿毛となる。昨晩も今晩も海産物を頂く事になりそうなので、肉っぽいものにする。宿毛の駅近く、市街地の外れにはなるのだろうが、そちらのローカルチェーン店で

 四国ローカルのブランド豚らしいとんかつを頂く。
 さて、ドライブ再開。宿毛からは海沿いに国道56号を進む。間もなく高知から愛媛県へ。宿毛と言う街は愛媛の方が圧倒的に近いのだった。宇和島へと続く道。その途中、寄り道のために国道を逸れる。海へと突き出た半島を登り坂で。登り詰めると

 南予リアス式海岸が見て取れる。こちらも絶景なのだが、今度の目的はこちらの展示館。
www.nanreku.jp
 著名な航空基地とは縁遠い筈の南予に何故紫電改が、と思ったのだが、この辺りの海から引き揚げられた機体と知り納得する。レプリカではない実際の機体は日本国内にはこの1機だけだそうだ。その貴重な機体が

 佇んでいた。プロペラが曲がっているが、これは着水の衝撃によるものだそうだ。


 単座のレシプロ機っていうと何となく小さい機体を想像するのだが、目の前にいる機体は圧倒的な存在感を放っている。
 それと共に展示されているのはこの機体が墜落した7月24日。その日に還らなかった搭乗員の人となりが分かる展示。皆さん二十歳そこそこで殉じている。生きていれば色々な可能性があっただろうに。涙腺のゆるみを感じる。
 77年前の明日に思いを馳せ、紫電改展示館を後にした。
 時刻は15時半。後は宇和島まで何事もなく辿り着けば今日は無事終了となる。道は順調で16時半には宇和島市内に入る。
 宇和島市内で妻からリクエストストップ。
www.hatada.co.jp
 こちらで、お土産。それと妻がケーキを買ってくれるという。今日は自分の誕生日。ホールケーキは絶対無理だけど、カットケーキ1個ならと選ぶ。
 店員さんからは「ご一緒に土用餅はいかかですか」と売り込まれる。土用の丑の日に餅を食べる風習は知らない。知らないので買ってみる。店員さんも「私もハタダに入社するまで知らなかったですけどね」との事。
 今日は駅前にホテルを取っている。レンタカーを返却し、ホテルにチェックイン。まだ明るい時間帯だ。 

 ホテルの部屋からは宇和島駅構内が見える。2番線に予讃線八幡浜まで行く普通列車が停まっている。1番線には松山ゆきの宇和海がいるのだが、こちらは屋根が半分見えるだけ。
 汽車を見ながらケーキを頂く。カットケーキ1個でお腹いっぱい。土用餅なんてとてもとても。
 ちょっと落ち着いたところで駅に赴く。


 七夕飾りが目を惹く宇和島駅の改札口。宇和海が出て行った後で暫く余裕がある時間帯。この間に明日に指定券、ちょっと変更を掛ける。昨年はみどりの窓口が営業していたと思ったが、今年の初めに営業が終わっていて、指定席券売機の遠隔対応になっていた。
 切符を変えて貰うと駅近くのスーパーへ。街全体が少々浮ついた空気が流れている。どうしたのかと思ったら、今週末は宇和島の祭りがあるそうだ。
ushioni.gaina.ne.jp
 コロナ禍で2年間中止。三年ぶりのうわじま牛鬼まつり、との事。
 買い物をホテルの部屋にしまい込むと夕食に出掛ける。昨年、なかなか入れなかった店であり今年は予約している。19時までちょっと間があり、アーケード街で行われている祭の踊りを見てから

 3年連続三回目となる宇和島の大衆割烹、ほづみ亭へ。折角予約してきたが、祭があるからか、店は空いていた。予約は19時。祭は20時から花火だそうだ。そりゃ、みんな花火を見に行くわな。

 お通しが既に準備されているテーブル席に案内されて、適当に注文する。

 まずは飲み物。昨年は売り切れていたヱビスビールを頂く。

 旬の刺し盛を頂く。種類は聞かなかったが、マグロ、ハマチ、鯛といった所か。

 宇和島では外す事が出来ないじゃこ天を頂く。

 伊予豆腐って何?と思って頼んだら思ったのとちょっと違うものが来る。

 こちらも基本となる鯛めし。1人1杯は要らないと思い、2人でシェアしたら、店の人が気を使って香の物やら何やら、2人前用意してくれる。
 そんな沢山頼んだわけでないのだが、意外とお腹いっぱいになる。先程のケーキが意外と効いた。
 お会計を済ませると20時。店を出る瞬間、ドン!と音が鳴る。花火だ。
 店の前からは花火は見えないけど、ちょっと歩くと

 見えるようになる。この時間、涼風が吹いているし、花火の方、つまり港に向かって少し歩いてみた。


 結構大きく見える所まで近づける。これだけ見えれば、棚ぼたの花火としては十分に満足。
 30分程で終了。あたりの人も帰り始める。自分たちもホテルへ引き上げ。午前中の青い海。夜の花火。絵に描いたような夏休み。縁は無いけど田舎に帰ったような夏休み。
 ホテルに戻る。宇和島駅のホームが見て取れる部屋で発着する列車を見る。

 夕方も見かけたキハ54が八幡浜ゆきとして停車中。花火帰りらしい浴衣姿もちらほら見かけるが、混雑、と言う感じではない。夕方、家人に送って貰ったり、タクシーで乗り付け、祭なんだからクルマじゃこれない、なんて飲む気満々の若い人を何人か見かけたが、汽車を使おうと思う人はあんまりいないみたい。それとも、今頃、花火が終わって飲み屋に繰り出している頃だろうか。宇和島のこの辺り、街の規模に見合わない程、たくさんのスナックを見かけるのだが、それらが今頃、満員なのかも知れない。

 八幡浜ゆきが出てゆく。駅には閑古鳥が啼く。

 到着列車を迎えると、エンジンのアイドリング音がカラカラと聞こえてくるのだが、折り返しではなく、基地へと引き上げてゆく。到着列車を何本か迎えて、宇和島の駅も眠りにつく。が、その前に自分の方が眠くなる。

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