2021-03-19

金曜日の朝。いつもよりも30分早く起きだす。世の中平日だが、今日は自分の会社は休み。せっかくなので1日出掛ける事にしている。ちょうど18きっぷのシーズンだし。
 身支度少々。始発電車に間に合うように膳所の駅へ。この時間、改札業務はやっておらず、遠隔で18きっぷを確認してもらう。なんだけど若干不穏な雰囲気。ホームへ。

 始発電車、5:08。

 15分遅れだそうだ。何があった???
 遅れているのが始発電車だけらしくJR西日本のアプリからはプッシュが来ない。来てもどうしようもないけど、構えと覚悟が違う。案内があって夜間工事遅れのためだそうだ。

 貨物列車は定刻らしく通過する。2063列車。EF66-131号機牽引。

 上り待避線には普段いないと思う貨物列車がいる。待避すべき列車はいないと思うので、工事遅れの影響か。
 下りはしばらく間が空いて

 65列車だと思う。EF210-310号機牽引。
 写真を撮りつつ、リカバリ案、バックアップ案を考える。当初予定を変更する事に決める。

 約15分の約を除いた本当の所を知りたい。16分なのか14分なのかでだいぶ結果が違う。

 結局、15分といっていい範囲で列車がやってくる。見直し案で何とかなりそうと目星がついて身を委ねる。逢坂を越え、東山のトンネルを抜けると京都。リカバリ案発動。

 まぁ何とかバスには間に合った。
 本当は新大阪からバスに乗るつもりでいたのだが、京都の方が乗り継ぎ時間が多少なりとも確保できそうなこと、バスに乗り遅れた場合、京都は20分後の6:00に次のバスがあるが、新大阪だと25分後となり、6:35まで待つ事。新大阪で待つぐらいなら大阪まで行って阪急でも何とかなるかなとは思ったけど、結局、当初予定にもって行ける可能性が高い京都で乗り換えた次第。
 18きっぷ、今のところ3駅240円分しか使っていないけど、そこは置いておいて、バスに揺られる。案外と混んでいて、2人掛けに2人来る席も出る。「少々混みあいましてご迷惑をおかけいたします」と運転士案内。
 結局、伊丹空港には予定よりも少し早く到着となる。


 減便率、6割といったところだろうか。先程のバスが少々お客さん増えていたように2月に比べると減便率は下がっていて、そこそこお客さんも居るように見受けられる。

 那覇行きの2081便は相変わらず機材繰りに苦労しているみたいで、今日は座席変更のお断りが出ている。
 今回は手続きは何もない。新大阪発を京都発に切り替えて、少し時間に余裕があるので展望デッキに出てみる。

 104便はすっかりB787-8が定番になっているようだ。今日はJA848Jが充当。

 JA244Jが18番搭乗口にいる。これは102便か。

 JA325Jが19番搭乗口に。こちらは千歳行き、2001便になるのだろう。
 展望デッキから降りて保安検査。そしてラウンジに入る。少々間があるので充電と朝食。

 軽く時間を潰すと間もなく搭乗時刻。少し遠い搭乗口に向かう。

JL2341 JA212J ERJ-170 ITM→IZO

 出発20分ぐらい前を目安にラウンジの席を立つ。ちょうど7:30の104便、すべてのお客様を案内している所。それを横目にさらに先へ。

 J-AIRの機材が並ぶ様子を見て今度は左に曲がる。急に昭和感がターミナルに満ちる。その奥、20番搭乗口が今日の乗り場。

 向かう先は出雲。
 膳所18きっぷを使い始め、京都まで乗ったきり使っていないのだが、出雲まで行って戻りに18きっぷを使おうという魂胆。時刻表を見ると色々とパターンが考えられる。出雲ゆきの航空券一枚でたくさんの妄想が出来て、結構楽しかった。楽しいあまりにもう一枚、出雲行きの航空券を買ってしまったのだが、それは後日談。
 既に優先搭乗は終わっているので、適当なタイミングで乗る。

 今日は小さい方のERJ、ERJ170。70人乗りの機体だが案外と混んでいる。

 後ろの方まで満遍なく埋まった。隣も埋まっている。「こんな小さいの初めて」なんて会話も漏れ聞こえる。
 7:34、Doorclose。遠くまで歩いてきた代わりに動き出しが早いスポット。Pushbuck抜きで7:38、Taixing。誘導路を南に向かう。小さいERJはA滑走路から離陸かと思ったら

 律儀にB滑走路、結構先まで行く。滑走路端までやってきて7:44、Takeoff RWy32L。駐機場に今日もJA009Dの姿が見えた。B777問題は何時まで続くのだろう。
 北西に向かう今日のフライト。でも律儀に伊丹のカーブを左に左に、いったん南に機首を向ける。

 右手の機窓に神戸の街が見えてきて、今度は右に旋回。

 さらに右に機体を向けて北西へと機首を向けた。7:50、ベルト着用サイン消灯。この後10分でベルト着用サインが点灯するかも知れないという予告があっての消灯。出雲空港到着は8:25を予定しているそうだ。
 出雲までの飛行時間は短く、よって飲み物のサービスは割愛。その代わり、ではないだろうが飲めないものは配られる。

 除菌シート♪。そして

 ルートマップ♪
 飛行機はゴルフ場の目立つ神戸西郊からさらに西へと飛んで行く。少し薄雲が出て地上が見えづらくなる。飛行機は西に向かいつつ少しずつ日本海側へと進んでゆく。
 霞みつつも地上が分かるようになる。

 鳥取砂丘だ。それよりも湖山池の方が大きいのか、なんてことを上空から見て初めて知る。
 8:07、ベルト着用サイン点灯。15分で着陸だそうだ。飛行機は鳥取県日本海に沿って西に向かっている。高度を下げたからか地上が良く分かるようになる。高規格道路が見える。中国道から伸びる高速道路だけじゃなく沿岸を結ぶ高速道路も出来つつあるのかぁと上空から見て初めて認識する。
 飛行機は日本海に出て西に進む。そのまま島根半島に差し掛かる。

 中海の海岸線が見えてさらに降下。

 今度は日本海の海岸線。目まぐるしく景色が入れ替わる。雲の中で少々強めの揺れ。すかさず、安全な飛行には差し支えない旨のフォロが入る。
 宍道湖に差し掛かり、そのまま出雲空港。東側から着陸だと思ったのだが、不意に北に飛行機は向かう。今度は西。

 今度は出雲平野。どうやらランウェイチェンジ。飛行機は東に機首を向けて降下してゆく。逆光になった景色が近づいてきて

 8:22、Landing、RWy07。宍道湖に突き出た滑走路端までゆき、Uターンして滑走路を進む。8:26、Spot in SP1。
 降機。後ろの方なので少々間があって搭乗橋へ。

 伊丹では撮れなかったJA212Jを一枚、撮影。制限エリアの外に向かう。荷物を預けた人が多いんだなぁと感心しながら、外へ。

 この時間、大阪、東京、名古屋と主要都市から飛行機が来るのね。福岡からのJACも姿を見せていた。出雲の航空路、案外と充実している。
 この後はバスで出雲市に出る。切符売り場があって短い行列。そちらに並んでリムジンバスのチケットを買う。展望デッキに出たりお手洗いに行く余裕、あるのあなぁと思いつつバス乗り場に出ると、バスが出発するのが見えた。松江ゆき。出雲市ゆきもウィンカーを出して今にも動く勢い、っーかドアが閉まっている。
 猛アピールして乗せて貰ったけど、普通に降りてきて、切符買って、それでもうバスに乗れないのか、と思う。秋田空港辺りだと、切符売り場のあたりにいる係員と運転士が連携して、まだいるから待てとか、もう大丈夫とかやっているけど。こんなんで良いのでしょうか>一畑さん
 とにかく何とかバスには乗れた。次は電車に乗れるか乗れないか会議。今日はタイトな乗り継ぎが続く。まぁ乗り継ぎ不成立でも何とかなるので、あえてタイトでも入れてみた次第。
 バスは出雲市まで35分との案内で進む。途中、道は混み気味。考えてみると今日は平日金曜日。時刻は8時台。何のことはない、朝ラッシュだ。

 それでも30分で出雲市駅前までやって来た。時刻は9:05。思ったよりは余裕ができる。最初捻りだしたA案を発動する。が、この後も18きっぷを使わないのがA案。
  ここまで18きっぷに日付印を入れて貰い、ほぼ18きっぷは使わずに出雲市まで来ている。

 ちょっと歩いて、電鉄出雲市の駅前へ。これから一畑電鉄で松江に向かう。
 先程、出雲空港からバスで西に来て、今度は東へ。行って戻るようなもので、色々と気になる事は沢山あるが、とにかく、気が付いたらA案はそうなっていた。
 松江まで片道だけの乗車なのでごくごく普通の普通乗車券を買い求める。松江しんじ湖温泉駅まで電鉄出雲市駅から¥700。案外安い。JRは出雲市-松江が¥590で対抗するため極端な遠距離低減を取っている。そんな話が小学生の頃に読んだ電車百科みたいな本で読んだ記憶が蘇る。
 ところで。一畑電鉄といえば京王から5000系、今となっては「旧」とか「初代」とつけなくてはならないが、が嫁いだ先。初代5000系も京王から地方に散って四半世紀。各地で退くものも出ていて、一畑でも新規車両(新車ではない)が来ている。今日、一畑電鉄に乗るのは1本だけ。何が来るだろう。一種のギャンブルである。
 高架になっている電鉄出雲市の駅。地上からは停まっている車両は見えない。何がいるかとあまり期待せずに階段を上がる。どこの会社も新規車両(新車とは限らない)が来るとそちらを優先して使用する。お古はラッシュ時のヘルプ専任になったりして、徐々に第一線を退くものだ。


 そこにいたのは元東急1000系であった。昨年は福島交通で見かけたか。一畑にも来てたのね。やっぱり初代5000系じゃないかなぁと思いつつ、とりあえず乗る。どこかで元京王5000系に出会えればいいけど、
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 9年前に悉く振られた前科が一畑にはある。さて。
 2両の電車。座席にぱっと散らした程度のお客さんの中、幼稚園児の団体が目立つ。賑々しいが、誰もいないよりはずっと良い。発車ベルが鳴ってけたたましい磁歪音がする。東急1000系、初期の東洋GTOであった。最近聞かなくなった音が思った以上に懐かしい。
 一畑に乗ろうと決めた際に、出雲市から出雲大社を往復しようかとか色々と考えたのだが、後の行程と相性が良いのが、松江まで行っちゃう案であった。そんな訳で松江までの通しで切符を買っているのだが、川跡についてみると出雲大社前に行く電車は

 2101-2111編成。元の5119と5869である。良いなぁと思ってみていると

 5010-5110編成が松江方面からやってくる。元の5717と5767。今回は自分の引いたクジ以外は全て当たりか。それはそれで嘆かわしい。
 幼稚園児が5110を見て「あっちの方が良い!」なんてやり合っている。自分も共感するのだが、自分が幼稚園児並み、って事か。
 電車は失意と賑々しさを乗せて出雲平野から宍道湖の北岸へと向かってゆく。空港の北側にあたり、いわば出雲平野を行って戻ったような感じになる。
 先程来の幼稚園児は「湖遊館新駅」駅で降りて行った。湖遊館新駅が固有名詞というか駅名という不思議な名前の駅である。この辺から宍道湖岸となる。

 宍道湖が見えてくる。この時間、北側から逆光でみるせいか景色としてはイマイチである。水も濁っているように見えるが、水深が浅いからかも知れない。以前なら素直に景色として受け止めただろうが、膳所の住民になってからの宍道湖はどうしても琵琶湖と比べてしまう。総じて琵琶湖が上、と思ってしまうが、その辺はお互い様だろう。
 一畑口の駅に着く。松江側からも電車がやってきて

 またですか。2013-2113。元5121と5766である。
 失意が倍加する。一畑乗るなら確率を上げるべく何本か乗った方が良かったのかも知れない。次の課題だ。逆光の宍道湖を眺めて考える。
 もう1本、途中すれ違った列車は一畑の手で新造された7000系だった。でも結構な確率で初代5000系が活躍しているのね。
 終着、松江しんじ湖温泉到着。

 ホームで客扱いしているのはこんな感じなのだが、

 側線でパンタを上げて休んでいる2104-2114。分散8個のクーラが凛々しい。2つドアクロスで登場していたら、なんて妄想を半分叶えてくれた所も楽しい。

 改めて近くに寄ってみる。一畑にはいずれまた来なくてはならない。そう刻むと駅を後にする。ここまで朝から5時間。日付印を入れた18きっぷを殆ど使っていない。
 JRの松江駅までは歩いてみる。途中、

 宍道湖大橋を渡る。宍道湖を横目に見て駅へと向かう。こうしてみると松江も湖畔都市だったかぁと認識を改める。

 途中、桜の花が結構な勢いで咲いていた。今年は開花が早くて、彦根以外の西日本各地から開花の便りが届いている。まさか山陰の松江で今年最初の桜を見る事になるとは思っていなかった。
 道を歩いていると出雲大東ゆき、なんてバスを見かける。出雲大東木次線の駅。そういえばローカル路線バス乗り継ぎの旅、第何弾かで松江駅から出雲大東までのバス、乗っていたような。

 松江駅まで3㎞弱。30分少々かけて到着。時刻は11時前。飛び道具を使ったおかげでこんな時間に山陰の相当な所まで来ている。今日はここから帰宅予定。ひとまず駅構内に入る。少し空腹を感じたが、駅弁売り場があったのでつい一つ買ってしまう。そして駅弁を買ったならとビールも1本。
 ホームに上がる。まもなく列車がやってくる。

 キハ47の2両編成は出雲市行き。先程通ったばかりの出雲市である。今度は山陰線、宍道湖の南岸を通ることになる。
 列車の出発までは間がある。

 上り、出雲市始発の特急やくもがやってくる。もはや懐かしの顔、形。国鉄以来の381系である。1980年代に新製された車両だから国鉄といえども末期。つい先日引退した踊り子の185系、地元の草津線を走る117系と同じ時期の車両になる。

 下り線には安っぽい造形のキハ187系スーパーおきがやってくる。とは言え、鳥取9:29→14:41新山口という走行時間、378.1㎞という走行距離。現代の列車が忘れたような世界を走る昔ながらの列車。
 特別急行列車が出発していった後、普通列車の出発時刻となる。こちらのキハ40系列はエンジンが換装されていて、先日乗った秋田のキハ40に比べれば、走り出しは鋭い。まぁ現代の鋭さとはだいぶ違うけど。
 列車は宍道湖の南を西に向かう。先程出雲空港についてから、西→北→東ときて再び西。ずっと宍道湖の周りを廻っているだけの3時間になりつつある。本当に今日のうちに膳所まで戻るのか、という感じ。

【今日の駅弁】山陰名物 かに寿し ¥1,320 合資会社一文字家

 そんな訳で先程買い求めた駅弁を頂く。案外と空腹になっていたもので。だいぶ寂れた山陰本線といえども、駅弁屋が盛業中だったのは幸い。細道へと逸れる前に買い求めて、さっさと食べておく。


 かにの身にカニフレーク寿司ご飯の組み合わせ。盛がいいのはありがたいけどフレークご飯は浅い方が食べやすいかも、知れない。
 列車は宍道湖の南岸を走る。

 先程の一畑電車から見たのと違って順光の宍道湖。だいぶ印象が違ってくる。こうしてみると結構綺麗な湖に思えてくる。こうしてみると湖の南岸に沿って走る鉄道がある宍道湖は良いなぁ、と思えてくる。
 途中、上り列車とすれ違いつつ、宍道の駅まで。時刻は11時半になっている。先程の起点、出雲空港から直線距離で2㎞も離れていない。ほぼ宍道湖に沿って一周してきた感じになるが、ここからは宍道湖を離脱する。乗り換えるのは

 木次線。備後落合行き。次の列車は11:27。僅か3分という好接続。2両つないでいて先頭はセミクロスのクルマ。JRになってからの導入車両で朱色に塗られた事は無い筈だが、経費節減で単色化されている影響で、キハ120も首都圏色、朱色5号になっている。

 もう1両はロングシート車。塗装は木次線に入った際のオリジナル塗装だと思う。
 2両目のロングシート車の方が空いている。そちらに席を求める。ただ、案内によると途中の出雲横田で後ろ1両切り離し、との事。
 木次線に乗ったのは1997年の夏が最初で最後。社会人になって最初の夏休みだった。さすがに京王線恥辱を始める前なので、紹介は出来ない。臨時大垣夜行から西に向かって福山から福塩線で塩町、備後落合と来て、夕方の木次線に乗った。途中で夜になり、宍道から松江だったか米子まで行って宿泊、だったと思う。
 その後、2018年の夏に乗ろうとした。この時は出雲横田の旅館も予約したのだが
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 7月に集中豪雨があって長期間運休となった影響で木次線経由を諦めている。この時は木次線自体は損傷が無かったのだが、広島のCTCセンターからの制御が出来なくなった事が運転見合わせの理由だったと記憶している。旅行日直前になって、別の経路で制御出来る事が分かったからという事で、運転再開になっている。
 結局、何だかんだと24年ぶりの木次線。このあたりの陰陽連絡線。乗りつぶし目的に2000年前後に乗って以来ご無沙汰の所が多い。これを機に少し乗っておこうかと思う。
 乗客はほぼほぼ18きっぷのお客さんと思われる。総じてみると40人ぐらいだろうか。まもなく出発。山陰線から急カーブで別れる。急にローカル線に入った感じにする。さほど離れていないはずなのに、鄙びた感が出てきた。
 乗客はほぼほぼ18きっぷのお客さんと思われる。総じてみると40人ぐらいだろうか。まもなく出発。山陰線から急カーブで別れる。急にローカル線に入った感じにする。さほど離れていないはずなのに、鄙びた感が出てきた。そしてとろんとして来る。窓から差す日差しといい、速度感といい、色々と緩んでくる。

 綻び始めた桜の花が見える中、エンジンを震わせて谷沿いを登ってゆく。線路に沿う道路も消えて一つ峠越え。川の流れ、向きが変わって峠を越えた事を知る。隣の谷に移って加茂中。ここは斐伊川の支流、赤川沿い。今度は赤川に沿って登ってゆく。遡ったところが出雲大東。先程見かけたバスの姿も見える。雲南市立病院、なんて建物が見える。馴染みの無い名前だが平成の大合併で出来た市だろうか。
 列車は赤川を離れて登り坂へ、今度は斐伊川の本流へと出る。木次線の北側。97年に乗った時は暗くなった時間帯。明るい時に改めて乗ると、谷から谷に渡るなかなか大変な路線である。出雲市から出て斐伊川に沿って走る路線だったらもう少し速度が出たかもねぇ、と思う。
 斐伊川本流沿いの木次に到着。宍道から34分かけてようやく21.1㎞進んでいる。

 少しの間、停車。地元の人が少し降りて、少し乗ってくる。今まで座っていた2両目。この先の出雲横田で切り離される。今のうちに1両目に移動しておく。ボックス席は無理だが、ロングシート部、空いている所に座っておく。
 列車は斐伊川を離れ、支流の久野川に沿って登ってゆく。

 先程乗って来た一畑電車の色と同じ石州瓦が屋根に乗る家を眺めて、鈍足列車に身を委ねる。川と別れるとまた峠。今度はトンネルで抜ける。大きくは日本海側、海沿いの宍道から中国山地へ分け入る鉄道だが、いくつもの峠を越えて、その度に速度が緩める。これでは現代の道路交通には最初から勝てないよなぁと思うことになる。
 少し平らな土地が開けて出雲三成となる。先程別れた斐伊川本流に戻っている。このあたりは奥出雲町、というらしい。
 せっかく斐伊川沿いに戻ったが、懲りずに支流の谷に入ってゆく。今度は亀嵩川沿いに谷を登る。砂の器の舞台になった亀嵩である。その亀嵩駅

 駅蕎麦がある。正確に言うと駅舎が蕎麦屋になっている。蕎麦の方が主だから蕎麦駅というのか。そしてここの蕎麦、事前に電話しておくと列車まで届けてくれるサービスがある。
www.kamedakesoba.jp
 今回はここの蕎麦、予約しておいた。97年に乗った時はスルーしたのだけど、結構な人たちが頼んでいて羨ましく思ったもので。24年ぶりの味、となるのか。

【今日の駅弁】亀嵩駅そば弁当 大盛 ¥1,000 扇屋そば

 おつりが出ないようにと1000円札一枚になる大盛りを選択。列車のドアのところでやり取りをして、自席に戻る。この時間、お昼時で12時を過ぎてから駅弁を広げる人も何人かいたから、ロングシートで蕎麦も全く持って問題なし。


 中身はこんな感じ。手打ちそばに出汁がつき、温泉卵ととろろ芋。デザート替わりか、キャンディーが付いてくる。蕎麦は見た目は野趣に富み、口に含むと歯ごたえしっかり、味わいは繊細。
 列車は出雲横田に到着。13:13まで12分停車との事。その間に後ろ1両切り離しとなる。折角なのでちょっと外に出る。

 この時間、だいぶ気温が上がっている。コートは席に置いてきたが、それでも暖かい。

 この先、備後落合へ向かう線路を眺める。宍道から52.3㎞。少し標高が上がったのか、今までよりも春浅い感じがする。
 折角なので駅前に出る。

 立派な駅舎、まるで神社のような姿をして陽光を浴びている。列車待ちの人は数少ない。駅前も閑古鳥が啼いているがそれでも店がいくつかある。その中からちょっと気になって店に入って、少々買い物。
 構内に戻る。

 列車の切り離しは完了している。落とされた2両目は折り返し木次ゆきになるようだ。
 席に戻る。先程買ってしまった


 稲荷寿しを食べる。さすがに昼食三回目は多いな、とは思う。
 出雲横田までは一般の客さんも少々いたけど、多分、18きっぷのお客さんだけが残っている感じになっている。木次線、通学時間なら別かもしれないけど、日常の利用はもはや無いのだろう。18きっぷのシーズンだから乗っているけど、そうでない時は悲惨なんだろうなぁ。ローカル線の役割、外から人を呼び込む道具になっている所も多いに違いない。それをどう地域の活性化につなげるのか。
 列車はさらに山間へと遡ってゆく。何度も別れては寄り添った斐伊川とまた別れ、山間に進む。

 細道も細道になり、時折腫れ物に触るかのように鈍足になる。JR西日本の極端なローカル線。保守を簡略化するためか、こんな制限を設ける所が増えている。先程から25km/h程度で走る事が増えてきた。
 出雲坂根に着く。発車は13:50と案内。

 線路の先は山の中で尽きている。ここは有名なスイッチバックの駅。列車は向きを変える。だいぶ時間があるので外に出る。もちろん、乗っている人もそんな人が多い。

 駅舎は真新しい。前回訪問時から建て替わっているようだ。

 有名な延命水も整備されていた。24年前の訪問時はホームの脇に簡単な水飲み場があるような感じだった記憶がかすかにある。
 そこそこの人が集まる訳だが、この時間、駅構内は何もない。
www.hiikawa-summit.info
 観光列車が動く時は色々とあるみたいだけど、ちょっと勿体ないと思う。
 駅構内に戻ってもう少し。

 反対側のホームに行って乗ってきた列車を撮る。使われているのか分からないこちらのホーム

 三段式スイッチバック、標高564mなんて手作り風の看板が出ている。

 この先の三井野原は標高726mである事も教えてくれる。ってかこの看板、JRになってから設置されたものか。

 今までやって来た線路が左。右に消えてゆく線路がこの先の線路。地図で見ると1㎞あるかないかの三井野原。線路はジグザグとぐるりを重ねて6.4㎞。そこを19分掛けてゆく。
 列車は進行方向を変えて動き出す。800mバックする旨の案内がある。山の斜面を切り開いたような線路。みるみる先程まで通って来た線路が下がってゆき、高度を上げてゆく。再び線路が寄ってきてシェルターを通って二度目の折り返し点。

 ポイントが切り替わり、さらに左に。斜面を切り開いた線路へ進む。

 列車はスイッチバックを過ぎてもカーブを繰り返し、距離を稼いで勾配を緩くして進む。このあたり、勾配に強い筈の道路もループ線を描いている。相当な山の中、一気に高度を稼ぐのである。

 勾配を登り切った感を覚える。景色は高原の趣。間もなくというかようやく、というか三井野原の駅に着く。
 戦後の開拓地、昭和の時代にはスキー場だった三井野原。スキー場は盛業中みたいだが、3月後半、雪も消えたスキー場はどことなくうらぶれた気配が漂っている。スキー宿も何軒か見えたが、盛業中なのだろうか。もちろん、乗客の乗り降りは無く発車。この先、広島県の備後落合に向かって下り坂を軽やかに降りてゆくことになる。
 宍道から81.9㎞を3時間かけて、終着、備後落合に到着となる。芸備線接続の備後落合。陰陽連絡線が機能していた頃には鉄道の街として賑わいだそうだが、地元からも使われないローカル線同士の接続駅としてもはや幾星霜。24年前の1997年に降り立ったが、廃屋ばかりが目立つ寂しい所だった。
 今日は写真のお客さん大勢に迎えられる。

 この時間、芸備線、新見からの列車と三次からの列車が備後落合に到着しており、三方向から列車が集まり散る。そうなっている。数少ない列車同士なのに好接続で、18きっぷのお客さんには極めて好都合なのだ。

 今まで乗って来た木次線のキハ120を見て、新見行きの客になる。発車まで少しだけ時間がある。



 駅舎の中、所せましと往年の写真が飾られている。これは24年前には無かったと思う。
www.sankei.com
 往年の備後落合を知る鉄道OBが何とか地域おこしをしようと取り組んでいる一環らしい。乗り継ぎ時間僅かの乗換客で申し訳ない。
 列車に戻る。今度は芸備線を東に。新見へ向かう。
 列車に戻る。今度は芸備線を東に。新見へ向かう。

 安芸、備後、備中を結ぶ意味だが、その機能はとっくにない。備後側、三次からやって来た広島支社所属の気動車が左。備中側、新見からやって来た気動車が右。それぞれが備後落合まで来ては戻るだけのローカル線になっている。三次からは1日5往復、新見からは1日3往復。乗ろうと強く決めて乗らないと乗る機会のない路線になっている。
 3方向へ戻る列車、一番最初に出発するのが14:38の新見行き。備後落合を出ると、北に向かう谷を遡る。 

 人家の見えないような谷間。今度はカーブして南に向かい、また北にという調子でまっすぐは進めない。このあたり、芸備線でも一番お客さんの少ない所。それでもたまに乗ってくるお客さんもいる。木次線よりは多少使われているのかなと思える光景。
 ちょっとした街が現れて東城駅。ここまでが広島県、この先は岡山県という県境の駅だが、ここから新見側は区間運転があって6往復に増える。お客さんもちょっと乗って来た。こうしてみると芸備線の方がまだ地元に相手にされているような印象を受ける。
 県境を越える。一応は分水嶺だったみたいで川の流れ、向きが変わって新見に下る。途中、坂根駅がある。出雲坂根という駅を通って来たが、本家も近所だったか。
 左手から架線の張られた立派な伯備線が近づいてきて備中神代。ずっとローカルの中のローカル線を走り続けた4時間半が終わる。伯備線に入った気動車は人が変わったみたいに速度を上げた。
 久しぶりに大きな街が現れる。この列車の終着、新見の駅に着く。

 時刻は16時過ぎ。ここまでバタバタ慌ただしく、乗り継ぎも短く、とはいえ途中は間延びして、忙しいのか、長閑なのか分からない一日が、夕方を迎えている。
 新見では少々時間がある。改札を出て駅前をちょっと歩いてみる。

 駅前をちょっと歩くと高梁川。渡ったところに大阪行きの高速バス乗り場がある。梅田までは4時間少々、らしい。
 陰陽連絡線を乗りつぶしていた頃、新見で時間があって街中を歩いた記憶がある。寂れたアーケード街があったと思ったが、どこだったのだろうか。ちょっと廻ったけど分からなかった。古びたスーパーを見て、まだ開店前の飲食店街を通り、駅に戻る。
 改札内に戻る。先程乗って来た芸備線気動車は東条ゆきとして出発済。列車到着の案内があり、

 姫新線の列車がやってくる。名が示す通り、姫路と新見を結ぶ路線。大阪方面最短経路と思うが、姫路と新見を結ぶ機能は昭和の時代に中国自動車道に奪われている。

 出雲市からの特急やくもがやってくる。コロナ禍の影響で減便の対象になっており、2時間毎の運転。午前中に松江で見た特急やくもは可哀そうなほどに空いていたが、この時間は少々混みあいまして、ぐらいの乗り具合。
 その後に

 新見始発、伯備線の岡山方面三石ゆきがやってくる。先程乗って来た芸備線からの乗換客もいるのだろうが、4両つないだ列車に散らすと分からない程度に薄まる。時間的には高校生の帰宅時間だが、考えてみるともう春休みか。高校生もおらず極めて空いていた。これなら先程のスーパーでビールでも買えばよかった。
 列車は高梁川に沿って岡山方面へと下ってゆく。久しぶりにPCを出して京王線恥辱、今日の分をひとまず進めておく。 

 17時を過ぎて谷間に日は当たらないが、それでも明るい。だいぶ日暮れが遅くなったし、今日は西に来ている。明日は春分の日
 どこかの駅で列車行き違いのため停車する。

 備中の山間でも桜の花は咲き始めている。昨日まで滋賀では意識することが無かったので、あまりの咲き急ぎぶりに戸惑う。

 来る列車をちょっと待つ。木次線でも芸備線でも無かった時間。伯備線は何だかんだと生きている鉄道だ。
 下り列車接近の案内があって、

 貨物列車がやって来た。3081列車、EF64-1026号機牽引。
 席に戻るとこちらも出発。再び高梁川に沿って下る。備中高梁で少しお客さんが乗ってくる。総社で満席。通勤帰りらしい人が目立ち、すっかり別の列車、別の世界になる。
 列車は岡山を越えて山陽線、三石まで行く。でも備中高梁や総社で集めたお客さんは岡山で大量下車となる。時刻は18時半。入れ替わりたくさんのお客さんが乗車を待っている。
 自分も岡山で降りる。この先、姫路で乗り継げば22時過ぎには膳所まで戻れるけど、さすがに遅い。岡山からは姫路まで、新幹線に逃げようと思う。

 頑張れば52Aのぞみに乗れたようだが、流石にギャンブル過ぎる。その後の564Aさくらを用意している。ホームに上がるとちょうどのぞみが出発するところ。

 ホームには次発、というのか、こだまが停車中。もはや希少な700系であった。山陽区間専用のレーススターは2000年の登場。今まで縁のない車両でこちらを選んでも良かったかも知れない。先頭車に設けられた個室が今となっては珍しい。

 予約した564Aがやってくる。S6編成。ものすごく淡い水色の車体は少々汚れている。九州新幹線も全通10年。つい最近の開業、というには時間が経っている。
 予約した席に座り、伯備線内で使ってきたパソコンの充電を進める。座ってしまえば普通席でもおおぶりな座席は快適。ネットもつながる。充電も出来る。全く別の世界でこのまま新大阪まで乗りとおしたくなる。が、意志をもって姫路下車。

 わずか20分しか経っていない。普通列車乗り継ぎであれば、まだ岡山で姫路行きを待っている時間帯、だろうか。3800円は相当に高いが、時間に対価を払う、を地で行った事になる。
 姫路からなら新快速が15分毎に大津、石山に向かう。1本落としても全く問題ない時間。ひとまず

 儀式のような駅そばを頂く。そしてビールを買い求めると

 新快速を迎える。「野洲」の文字に帰ってきた感を少々覚えるが、まだ大津までは2時間掛かる。
 この時間帯、東海道線米原のあたりで運転見合わせが起きている。先程の新見にいる頃からスマホにプッシュがちょくちょく来ていた。
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琵琶湖線】 電力設備トラブル 運転見合わせ<第一報 16時28分>2021年03月19日 17時06分更新
16時28分頃、琵琶湖線米原駅彦根駅間で発生した電力設備トラブルのため、米原駅河瀬駅間で運転を見合わせています。
このため、17時15分から振替輸送を開始します。
現在、状況を確認しています。

【大阪・京都方面から草津米原方面をご利用のお客様へ】
・普通:河瀬駅で折返し運転
・新快速:草津駅野洲駅で折返し運転

【長浜方面から草津・京都方面をご利用のお客様へ】
・新快速:米原駅で折返し運転
<運転再開見込日時:状況確認中>
影響線区
琵琶湖線 
米原 から 河瀬 まで 運転見合わせ
河瀬 から 草津 まで 遅延

振替輸送実施情報
琵琶湖線
近江鉄道米原から貴生川まで)
近江鉄道八日市から近江八幡まで)

 姫路あたりでは何が起きているのか、どうなるのか、案内は全くなく、定刻で動く様子。所定米原行きの列車も米原で表示はされている。

 ひとまず1本だけビアホール新快速にして、行く末を見守る。
 当たり前だが、新快速は停まらないし速い。滋賀あたりで乗っていると案外とこまめに停車駅があるけど、姫路から出発すると本当に街の代表駅だけ、停まってゆく感じ。
 ビール1本飲み干すと加古川。今日は平日、夕方の帰宅時間帯。明石までくると席もいっぱいになり、ビールを飲むのは憚られるようになる。乗り降りを繰り返しつつ神戸の街を過ぎてさらにかっ飛ぶ。
 大阪というのは凄い街で、ここまで乗って来た人、ほぼ全員が降りて行った。乗って車両がたまたまだったのかも知れないが、驚く。そして結構な混雑。京都で落ち着く。
 ここまで定刻に来てなお定刻。
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 【琵琶湖線】 電力設備トラブル 列車の遅れ<第一報 16時28分>2021年03月19日 20時57分更新
琵琶湖線米原駅彦根駅間で発生した電力設備トラブルのため、北陸線琵琶湖線JR京都線の列車に遅れや運転取り止めがでています。
影響線区
北陸線   長浜 から 敦賀 まで 遅延
琵琶湖線  長浜 から 京都 まで 遅延
JR京都線 京都 から 高槻 まで 遅延

 この時間、遅れは収束の方向。むしろ米原まで行った折り返し、下り方面に遅れや運休が目立つ。
 そんな訳で定刻に石山まで運ばれる。

 むしろ貨物列車が影響を受けている。5064列車らしい。EF210-16号機牽引。16時半に石山の待避線に入り、そのまま延々抑止を喰らっているの図。
 石山からはちょっと歩く。自宅まで30分弱。21時半過ぎには帰宅できる。

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