JL1184 JA8573 A300-600R MMB→


 JALのカウンタへ行く。今度の出発は12:40の1184便。予定より2時間遅れると午後、京王に廻る頃には日が翳りそうだけど、仕方が無い。
 幸い空席は残っている、本来の予約、女満別20:25発1190便からの繰上げが認められる。クラスJ、しかも窓側なのはありがたい。時刻は10:40。出発までまだ2時間ある。空港にラウンジがある訳でなく、どうやって時間を潰そうかと思ったけど、ちょうど市内行きのバスが出るところ。網走や北見まで出る余裕は無いけれど、ちょっと出るのはいいだろ。

 バスに乗って数分。女満別の市街までやって来た。

 ナナカマドが赤く染まる。後ろに広がる一面の青空。ほんと、美しい北の大地の短い秋。それにしても、

 街中、寂しい限りです……
 寂しい町でもまぁ人の営みはあるもので、その中の一つ、おすし屋さんに入ってみる。こう言う所で食べれば美味しく安く食べられるかなと。メニューを見ると、

 並寿司 ¥750
 中寿司 ¥1,000
 上寿司 ¥1,600
 特上寿司 ¥2,000

 と。中と上の間で急に跳ね上がるのが気になり聞いてみるとネタにウニやカニ、甘エビが入るからだと。ためしに上寿司行って見ましょう。と言っても1,600円だし。

 ビールはやっぱり外せません。
 で、上寿司の中身。




 満足です。
 逆に言うと、750円の並寿司の中身も気になったり。ネタが安物でも新鮮で美味しければきっと満足できるだろうし。
 バス停へとぷらぷら戻る途中、頭の上を飛行機が通り過ぎて行く。羽田からやって来たJALA300-600R、折り返し12時40分発1184便となる機体だ。
 空港に戻る。先程は閑散としていた空港も団体客を中心に賑わっている。既に搭乗手続は終わっているから展望デッキだけ覗いて行く。先ほど頭のすぐ上を飛んでいった飛行機、目の前に居る。

待っていたのはJA8573。これだけ眺めて搭乗待合室へ。お土産店が賑わう一方で保安検査場の列は短い。アナウンスは「本日はほぼ満席の御予約を頂いております。御搭乗のお客様はお早めに搭乗待合室へお進み下さい」と。
 出発準備は順調に進んでいるようで出発20分より少し前。優先搭乗の案内が入る。お馴染みの「二歳までのお子様をお連れのお客様、ご妊娠中のお客様、御搭乗の際にお手伝いを御希望のお客様」の後に「JMBダイヤモンド会員のお客様、JGCプレミアのお客様、ワンワールド、ダイヤモンド会員のお客様」と続く。
 上級会員の優先搭乗と言う制度が出来てから始めてなのだけど、事前に送られてきた案内には「ステータスカードを提示の事」とあった。そんなものは持ち歩かないのだけど、搭乗券だけじゃダメかなと聞いてみる。OKだとお返事。じゃぁお試しで優先搭乗に加えてもらう。並ばなくても済むのはやはり楽。まだ保安検査場に行列が出来ている中、さっさと機内へ。指定された座席に落ち着く。
 新聞と毛布を貰い読みふけっていると12:40、Doorclose。ほぼ定刻だ。12:43、Pushbuck。羽田までの飛行時間は1時間40分とのこと。上昇中揺れが予想されると付け加えられる。
 飛行機が動き出す。「12:50、Taixing」とメモ帳に書き加え、顔を上げる。違和感。何だかさっきの巻き戻しのような景色。飛行機、明らかにスポットへと戻っている。
「お客様にお知らせいたします。機長からの連絡に拠りますと、当機、出発準備を整え駐機場を離れましたが、不具合が発見されましたため、一旦駐機場に戻ります。詳細が分かりましたらまた御案内いたします。皆様お急ぎの所、御迷惑をお掛けいたします事、お詫びいたします」

 飛行機は駐機場に歩みを止める。機長さんから詳細な情報が入る、「当機、出発準備を整えエンジンを始動しましたが、空調用にエンジンから高圧空気を取り出す、装置が2つあるうちの1つが故障しておりまして、点検のため、駐機場に戻りました。ただ今、地上で整備員が点検しております。詳細分かりましたら御案内差し上げます。皆様には御迷惑をお掛けいたしまして大変恐縮ではございますが、いましばらく待ちください」と。
 12:58、「乗務員はドアモードをディスアームドにして下さい」と。降ろされるのかなと思う。その時、頭上から冷気。ん、治った??
 「ただ今地上より空調の供給を受けて始めました。お暑いとお感じのお客様、上方のツマミを廻すと冷気が出てまいります。」同時に客室乗務員、オシボリを持って機内巡回。どうやら長期戦になる様子。それならばと機内プログラムを落語にしてみた。
 13:02、搭乗橋がするすると寄ってくる。降ろされるかと思っていると、機長さんから「詳細」な案内。
「機長でございます。地上からの報告に拠りますと、空調用の高圧空気をエンジンから取り込む、ブリードシステムと申しますが、2機のうち1機が故障しており、部品を取り寄せての修理となります。相当な時間を要する見込みです。皆様方にはご迷惑をお掛けいたしますが、一旦降機頂きます。申し訳ございません」
 本当に長期戦になるようだ。
 次いで客室乗務員から「申し訳ございませんがお荷物は全てお持ち下さい。また、御搭乗時の半券は無くさない様にお願い致します」と。飛行機から降機。

 相次いで降りてくる乗客の皆さん。
 地上からの案内に拠ると、今後の予定は13:35ごろに案内との事。ひとまず搭乗待合室内でそれを待つ事になる。

 状況の説明を受ける人も多数。
 一方、時ならぬ多数のお客さんが振って沸いててんてこ舞いなのが制限エリア内の売店。私も、

 ソフトクリームなんて買ってしまいました……

 その間、飛行機では点検作業が進みます。
 予告より少し遅れて13:38。今後の見通しが伝えられた。
「部品交換のため運航未定。今の所、千歳から17:00に到着する便で部品が届き、その後、交換に1時間半を要する見込みであるため、早くても18:30以降の出発となる見込み」
 と。それを聴いた瞬間、振り替えてもらおうと心に決める。制限エリア外へ。ドアを通るとき、茶封筒を差し出された。中身は、1000円札一枚。喫茶代、と言うことらしい。
 発券窓口に係員が2名、搭乗窓口には係員が居らず従って発券窓口の行列に並ぶ、結構早く並んだのだけど、それより早く着いて交渉中の人が居る。この人、ツアーコンダクター。どうやら大阪から来ているツアーらしく、乗り継ぎはあるは人数は多いは、全く先へと進まない。そのうち搭乗窓口も開いて、後ろに並んでいた人がさっさと動きやがった、やれやれ。

 待たされている間に携帯から予約記録を作ってしまう。15:45に千歳へ向かうJL2716便。千歳には16:30着。本当は17:30のJL532便に乗り継ぎたいけどこれは満席となっているので18:20のJL534便と。これに窓口で振り替えてもらえば女満別で路頭に迷う事はなくなる。行列の後ろに並んでいる人、一組は小松まで帰る人達、その後ろはなんと福岡まで帰るそうで。
 14:20ごろになって、順番が来る。振り替えて欲しい旨、予約はある旨を伝える。携帯の画面で予約番号を示すと話しは早い。それでも10分少々掛かったか。ようやく羽田までのチケットを手に入れる。

 正式に案内があって、1184便は17:50出発見込みとの事。その前に出るADOの74便、これに振り返られた人は相当手早く見切った人ぐらい、らしい。
 時間があるので、展望デッキに出てみる。件のJA8573はすっかり人気が無くなって、寂しい限り。

 飛べない翼、JA8573を尻目にADOが動き出す。

 今度は折り返し関空ゆき、ANAB737が到着。そして

 千歳からやって来たJALのMD-81。折り返しの搭乗機は、JA8555。
 そろそろ搭乗待合室に向かうと言うか戻る事にする。

 搭乗券が2枚に化けて千円が付いて来た女満別の3時間、まもなく終了。