2023-07-22

 週末の朝が来る。自然に目覚めるよりも早く、妻の目覚ましの音で目が覚める。身支度に時間が掛かる妻の方が先に起きだし、後から起き出す。身支度少々。今日は二人で出掛ける。
 2番目の電車でも良いかなぁと思っていたけど、時間に余裕を持たせるべく始発電車で。膳所の駅まで歩くと間もなく、3番4番、両方に接近表示。

 先に内側電車線、始発電車が225系I7編成と後ろ4両何かでやって来て、

 外側の列車線、2063列車がやって来る。EF66-119号機牽引。
 内側を行く始発電車に乗る。逢坂を越えると山科で2063列車に追いつき、停まる間に先に行かれ、東山を越えると2063列車に追いつき、京都に停まるタイミングで抜き返される。
 京都で下車。八条口に向かう。

 京都で見かけると違和感がある京王カラーの西東京バスが姿を現している。もちろんこちらに乗る訳でなく、横断歩道を渡った反対側の乗り場へ。行列が伸び始めているバス停の最後尾に並ぶ。次々お客さんが現れて、あっという間に行列が倍に伸びる。

 逆光の中、バスがやって来る。先週何度か行き来した伊丹空港へ向かうバス。今日は妻と二人で乗車する。
 補助席までは辛うじて埋まらない程度に混雑したバスは名神高速へ。順調に進むとほぼほぼ所定、45分で伊丹空港に到着する。

 世の中は夏休みになったと思うが、まだ飛行機が満席になる程の人の動きは無い様子。空港も比較的余裕がある。
 今日はスーツケースを持ってきたので預けてから保安検査へ。早く出て来たので出発まで小一時間、時間がある。ラウンジへ。窓際席に座ると

 目の前にはB787-8、羽田行きの機材が出発準備中。ひとまずまだ何も食事をしていないので

 軽食を頂く。休みの日だけど午前中からのビールは見合わせ。残った時間は焼け石に水だが京王線恥辱を進める。
 出発は7:35。バス連絡なので早めに席を立つ。

JL2171 JA250J ERJ-190 ITM→AXT

 搭乗口まで到着。

 時刻は7:10過ぎ。搭乗便よりも1本前、7:20の青森ゆき2151便の搭乗がまだ続いていた。数人、まだ搭乗口に来ないようで、地上係員が搭乗を呼び掛けている。そのうち、個人名で呼び出しはじめ、最後は2人、係員にアテンドされて来た。
 青森行きの搭乗完了。表示が変わる。

 秋田が先発になり、次発は山形となる。青森、秋田、山形と東北方面、遠い順に出発するのか、とちょっと感心した。

 そんな訳で今日は秋田に出発する。秋田と言えば一週間前、

 過去に例がない程の大雨に見舞われて、各地が冠水の被害に見舞われたばかり。観光目的に行くのは気がひけるが、

 キャンセルするのも被害を上塗りする感じであり、自粛するのも憚られる。
 当初予定通りには動けない事は確かだけど、動ける事は動けそうなので行く事にした次第。
 7:20を過ぎて事前改札、優先搭乗が始まる。バスに早く乗れるだけだが、乗ってしまう。バスは2台でるらしく、最初のバスは座席がさらっと埋まり、立客が出た所で出発する。
 バスは25番スポットへと向かう。


 その先にいたのはJA250J。尾翼の近くにたんこぶが出来ていて、Wifi付きに改装された機材と知る。タラップを上がって搭乗。今日は空席があったクラスJにアップグレードしている。2人並びの座席に落ち着く。数ある機材の中でもクラスJの座席が非常に幅広いERJ-190。その広さに妻が驚いている。
 2台目のバスも到着し、7:34、Doorclose。搭乗が遅れたけど、この15分で元に戻した。乗務員の紹介があった後、風の影響で軽く揺れが予想される旨、伝えられる。

 7:37、Pushbuck。7:42、Taixing。飛行機は誘導路を南に進む。RWy32R端まで行ったところで一度停止。

 でもこの待機位置。RWy32Rを使う時の位置じゃないなぁ。出発の許可待ちという案内が入る。当機は3番目の離陸。5分程掛かるそうだ。RWy32Rから離陸機が上がり、次にRWy32Lから離陸機上がって、改めて移動。

 滑走路を横目に見て移動。7:53、Takeoff RWy32L。飛行機は伊丹を北へと飛ぶと3/4周して東に機首を向ける。さらに上昇。生駒山地を見下ろす頃、ベルト着用サインが消灯する。時刻は7:58。

 ここまでまずは順調。穏やかなフライトとなる。今日は右手の景色を見ての東行き。左手なら琵琶湖が見えたかも知れないが、奈良盆地を遠くに望み、伊賀の山地へと分け入ってゆく。
 電源があるのでパソコンを取り出し、遅れている京王線恥辱を手掛ける。旅行先で前の旅行記をまとめるのは好ましくない行為なのだが、遅れが看過できないで仕方がない。

 所々に盆地が見える頃、飛行機は左に旋回、北東へと機首を向ける。少し雲が出て来てどこを飛ぶのか分かり辛くなったが、安定した飛行が続いている。
 飲み物のサービスが廻って来る。

 自分がアイスコーヒー、妻はホットコーヒー。どちらにも蓋を付けて貰える。家族連れなのでテーブルは出さずにカクテルテーブルを使って頂く。ERJ-190のクラスJシート。カクテルテーブルが使いやすい点も気に入っている所。
 8:17、機長さんから飛行状況の案内が入る。現在、長野県上空を飛行中、高度は10,700m、対地速度は720km/hとの事。この先の天候は良好との事で秋田には定刻から5分遅れて9:00ごろの到着を見込んでいるそうだ。

 左手、雲海の向こうに富士山が見えている。富士山が後方へと隠れてゆくと、雲海の上の飛行となる。しばらくはパソコンに集中。
 8:30、15分後にベルト着用サインが点灯する旨の案内がある。窓外をちらっと見ると日本海の海岸沿い。まもなく 

 庄内平野が姿を現す。酒田北港が見えて北上すると

 秀麗無比なる鳥海山が姿を見せる。山容を雲が囲い地上からは見えないのだろう。やはり気難しい山だ。北上すると姿が見えなくなる。
 8:46、ベルト着用サイン点灯。飛行機は高度を落とす。幸い、揺れることなく、日本海岸を北上。有耶無耶の関を越えて

 窓外には本荘平野。飛行機は右に旋回。海岸線を越えて内陸へと入ってゆく。今日の秋田は良く晴れている。高度を下げてゆくと

 泥を孕んだ雄物川。水量もだいぶ増えているようだ。
 上空から見る限り、水田に被害は無いように見えるが、どうだろうと思っている間に丘陵地帯に差し掛かる。8:58、Landing RWy10。減速すると到着遅れのお詫び。

 9:00、Spot in SP2。準備が整い降機する。

 荷物が降ろされている様子を見てターミナルの1階、手荷物返却場でスーツケースを受け取り制限エリアの外へと出ると

 到着から10分が経っている。まぁまぁのペース。それにしてもORCの会社名を秋田で見る事になるとは思わなかった。


 まぁ機材は青いQ400だけど。
 今日は市内に出る。秋田空港のリムジンバスは各航空便に接続する。

 JL2171のお客さん専用に1台バスが仕立てられるから楽に座れる。最大95人乗れる飛行機のお客さんがそsのままバスに乗ると座席は足りないことになるが、秋田空港から自家用車を使う人多いだろうし、レンタカーの人もいる。大体の場合、バスが一杯になる事は無い。
 バスは秋田市内へ向かう。途中、先程、飛行機から見たような景色が広がる。

 バスは泥を孕んだ川を渡る。岩見川だ。この川の上流は今回の大雨で大量の雨が降った太平山がある。相当の雨が降った事が容易に想像できる景色が目の前にある。一方でバスが秋田市南部のエリア、仁井田だの大住だの、その辺に差し掛かるのだが、水に浸かったと思われる痕跡には気付けなかった。
 バスは本来、卸センターの所の交差点を楢山の方へと入り、旭川沿いに中心部へと入るのだが、

 この大雨によって歩道が崩れたその道は通行止めになっている。そんな訳でリムジンバスは茨島交差点まで行き、新国道に入って

 山王十字路から市の中心部へと入ってゆく。少々遠回りであるが、さほど遅れる事もなく、秋田駅前へ。今日はもう一つ先、木内前まで行って

 ここでバスを降りる。空港からのお客さんは駅前でほぼ下車していて、その先まで乗った人はほぼいないに等しい感じだったけど。
 今日はこの後、リゾートしらかみに乗る筈だった。予約していたのは秋田10:50出発の3号。

 なんだけど、この大雨の影響で五能線能代-深浦で不通。リゾートしらかみも1,2,5,6号は深浦-青森での運転。3,4号は全区間で運休となっている。つまり当初の予定は崩れている。今日はリゾートしらかみ弘前へ、そして青森で宿泊する予定であったので、それが崩れるのは多いに痛い。しかし奥羽本線は運転を再開しているから秋田から青森には移動できる。そんな訳で当初は秋田10:50の出発だった予定が秋田12:40出発と2時間繰り下がっている。
 思いがけず出来た2時間。その間に秋田を駆け足で観光する。なんだけど、気になるのは

 バス停の表示。秋田市南部に向かう路線の迂回運行を報せる張り紙が出ている。

 こちらはバス停の名前にもなっている木内。当面の間臨時休業という知らせは大雨の影響ではなく、コロナの影響。

 自分の世代でも木内と言ったら地域一番店の印象が強いのだけどねぇ。ラジオCMでお菓子だったか何かの食品だったか忘れたけど、「木内でも売ってるしよぉ」って言っていたのが記憶に残っている。売る側としてもステータスだったのだろう。
 あっ、本来の目的に戻ります。はぃ。
 向かったのは自分が秋田に住んでいた頃には無かった施設。

 秋田県立美術館。

 自分がいた頃には、千秋公園、中土橋を渡ったところが県立美術館だった。それが、広小路と仲通りに跨るあたりの再開発エリアに移ってきたのは10年前の事。
 こちらの目玉となる作品。今の県立美術館でも前身の美術館でも、つまり自分が秋田にいた頃から変わらない。大壁画というべき

 藤田嗣治作、秋田の行事。
 秋田の行事というより、前身となる県立美術館にはちょっとした思い出がある。高校生の頃、秋田県内の高校写真部の作品展は県立美術館の貸しホールで開催していた。市内高校の写真部員が輪番で会場の受付をしていた。自分たちの高校も美術館まで自転車で10~15分の距離だったから、1日割り当てられて、平日に美術館に詰めていた。
 その時の事だったと思う。作品展の入口に来たおば様方に
「ちゃんとした美術館はどこ?」
 と聞かれ、
「はぁ?」
 となったのである。「チャントシタビジュツカンッテナニヨ」という感情。
 貸しホールのエリアと世界的な画家の藤田嗣治の作品を展示したエリアと、まぁちゃんとした美術館、という言い方も今となっては分からんでも無い。が、そのチャントシタビジュツカンには、暫く心を閉ざしていた。
 そこから30年以上経った。その間に多少は丸くなったし、常識も芽生えた。秋田に縁と縁がある者として、秋田の行事は見ておくべきだろう、と思い至った次第。

 随分と小奇麗な建物の2階、30年来以上、見る事の無かった大壁画はある。まぁでかい。その大きなキャンパスの左手に秋田の静かな暮らしが描かれ、右手には真逆、情念沸き立つ秋田の祭が描かれている。一つ一つの場面だけでも立派な作品なのにそれが連なる様子は唯々圧倒される。
 この時間、偶然、どこかの大学の美術専攻と思しき学生さんの団体が来ていて、美術館の学芸員が学生向けに解説をしている。その解説を通しての気付きもまたある。右手にある雪だるまの後ろ、何か塔のようなものがあるのを不思議に思っていたが、油井と知ってあぁと思う。秋田の産業を描いてもいるのか。
 それにしても全体通して背景に広がる空は全て冬のもの。夏の行事である竿灯の背景にも広がるのも鉛色の空である。この空にはどんな意味、どんな感情が籠っているのだろう。学芸員に質問したくもなったが、学生さんを差し置いて、という気持ちが勝り、憚られる。
 そろそろお暇する。1階に降りるとこちらにも展示スペースがある事に気が付く。県民ホールという名前の貸し出しスペース。そして

 高校生の写真展も相変わらず県立美術館で開催されている。
 7月の秋田。藤田嗣治が描いたような鉛色の空ではなく、青空が広がっている。秋田の持ち時間は1時間少々。県立美術館の前にある中土橋を渡る。

 蓮の花が咲く堀を横目に元の県立美術館があった辺り、

 午前中から日差しが強い中、秋田名物ババヘラアイスのパラソルが咲いている。結構な行列ができる程のお客さん。その一番後ろに並ぶ。

 お堀端でひと時の涼を頂く。
 秋田の持ち時間、あと少し。時刻は11:30を過ぎている。慌ただしいが昼食を頂く。お昼につるっと頂ける稲庭うどんあたりが昼食好適品だろうが、今日は変化球を。目指したのは、ひやがけ。

 本場は西馬音内なのでだいぶ遠いが、稲庭うどんが本場の稲庭でなくても食べられるのと同じように、西馬音内のひやがけも秋田駅前でも頂ける。

 店に赴く。お昼前だが既に満席。少々待ってからの入店。注文すれば品物は割とスムーズに出て来る。

 こちらがひやがけ。今日はとろろを追加した。コシがものすごい麺と冷たく淡麗な出汁。夏の暑い時期にはもちろんだが、飲んだ後の〆にも好適品。
 どうでも良いが、200年来続く伝統品なのだそうだが、秋田に住んでいた頃には、全く知らなかった。インターネットの無い時代、ローカル情報というのは意外と広まらないもの。生活圏が違うとなかなか情報に接する機会が無く、横手の焼きそばだって、知ったのはだいぶ後の事だ。
 美味しくひやがけを頂いた後は秋田駅に赴く。今日はこれから移動。改札前には

 巨大なまはげがドドーンと構えている。そんな様子を横目に今日は窓口で手続きを二つ。1つ目は指定券券売機でも出来る、これから乗る列車のキップ引き取り。そして、もう一つは窓口でないとできない、運休になったリゾートしらかみ3号の指定券払い戻し。1つしか開いていない有人窓口で払い戻しを受けると、丁寧にお詫びされる。まぁ事情が事情だから仕方ない。 


 運行状況の告知が出ている。結局、運転見合わせが続いているのは、奥羽本線の大曲-和田。五能線能代-深浦の2区間秋田新幹線は大曲-秋田を運転しており、同じ区間で何故明暗?と思うのだが、2本並列の在来線側だけ被害があったらしい。
 五能線は昨年の雨でも大きな被害を受けて半年近く運休していたばかりだが、また被害を受けてしまった。8月のお盆前には復旧できる見通しが立っている様子なのは幸い。明日からは代行バスも運転するようだ。リゾートしらかみ代行バスも走るようだが、朝の1号2号相当のスジになるようなので、今回の予定にはちょっと乗っからない。
 改札に戻る。出発まで15分程残っている。

 在来線の出発案内。ずいぶんと寂しい発着。本当に優等列車が減ってしまった。そして

 運転見合わせが続く奥羽線の大曲、横手方面は2つ先の和田までの運転。臨時列車は綺麗に00分発。かえって覚えやすいダイヤになっている。
 改札の中へ。列車に乗り込む。今日は青森まで行くので

 特急を選んでいる。数日前に奥羽北線の運転が再開したのを見極めてから、指定券を抑えている。幸い、トクだ値で20%割引で買えたのだが、まぁ気の毒な程空いている。
 本来なら秋田駅構内営業、関根屋さんが

 特急やリゾートしらかみの出発に合わせてホームで駅弁販売をしている筈だが、今日はその姿が見えない。関根屋の所在地は東通。この水害でやられているのかも知れない。
 駅弁が構内で買えなかったので、改札で断って売店に赴いてみると

 こんな断り書きが出ていた。
 改めて列車に戻る。

 特急つがる3号の2号車、普通車指定席。発車まで5分を切っていたが空いていた。ここで秋田新幹線、こまち9号が到着して乗換客で多少列車の体裁が整う。まもなく出発。
 列車は秋田駅を離れると北へと駆け出す。旭川の橋梁を渡るあたりで遠くに母校が見えるのだが、今回はなかなか見つけられなかった。この30年で木々が増えたか、住宅が増えたか。理由は分からない。間もなく秋田機関区の跡地を通る事になる。この辺りの事を描き始めるとキリが無いのだが


 という9年前に書いた記事には勝てない。
 ひとまず今日は先程買い求めたビールとつまみを頂く。

 選んだつまみはほや、そしてしょっつる味のあたりめ。東北全速全開のラインナップでサッポロ生ビール黒ラベルを頂く。その間に列車は秋田市内から郊外へ。車窓には

 田園の向こう、遠くにちらっと太平山が見えている。この辺りを流れる新城川も先日の大雨で溢れたそうだが、流れる車窓で見る限りは、どれほどの被害だったのか、良く分からない。そんなエリアがしばらく続く。死者が出たという八郎潟町のあたりも雨が上がって青空が広がっている。
 列車は森岳に着く。上り列車が遅れていると言う事で少々停まるそうだ。折角なのでホームに出てみた。 

 まるで優等列車を待つ普通列車、みたいな顔付きで上り列車を待つ。わずか4両の特急。先頭2両の自由席車は4割程度の乗車だろうか。指定席は2割以下。グリーン車は誰も乗客がいない様子。
 9年前の2014年の森岳森岳温泉の案内看板に並ぶ旅館は2~3軒だったと記憶しているが、2023年の森岳温泉も同じような感じであった。もちろん、温泉客らしい人の乗り降りは無い。
 待つ事しばし、上り列車がやって来る。貨物列車でも来るのかと思ったら

 わずか2両の普通列車であった。青森から秋田へ直通する普通列車18きっぷのシーズンではあるが、こちらも空いている。秋田と青森の間の流動、実に細っている様子を目の当たりにする。
 特急は少々遅れて出発。五能線接続の東能代だが、五能線乗り場に列車の影は無い。能代までは列車が走っている筈だが、夕方まで列車が無い様子。
 列車は北から東に向きを変え、内陸へと入ってゆく。2本のビールが眠気を呼んでうとうと。秋田内陸鉄道接続の鷹ノ巣で誰も乗り降りしなかったのは覚えているが、気が付くと大館到着だった。
 秋田から大館に用事がある人は自由席を使うのか、クルマを使うのか分からないけど降りる人は誰もおらず、乗って来る人が少々。大館から先は新青森での東北新幹線接続の流れが生まれる。
 列車は北に向きを変えて秋田と青森の県境へと向かう。この辺の山間、何度も通っている筈だが、未だに記憶鮮やかなのは、初めて乗った1987年夏、50系客車からの景色。
 矢立峠をトンネルで抜けると青森県内の山間となる。碇ヶ関の駅に停まるがこの辺りもすっかり寂れてしまった。人気のない駅に停まった事をなかったことにしたような感じで走り出す。

 津軽平野に降りてくるとリンゴの樹が目立つようになる。まだまだ青いが実もあるようだ。
 そのリンゴが支える街、弘前に到着。指定席に思いがけず乗車が多数あって、4割ぐらいの乗車率になる。間もなく出発。久しぶりに見る街と言う感じの市街地を離れてゆくとリンゴ畑ではなく水田が広がる津軽平野。遠く霞む岩木山を見つつの最終コースへとなる。大釈迦の低い峠を越えて新青森へ。東北新幹線の接続は15:52とのことで40分近く待ち時間がある。新幹線乗り継ぎには微妙に使い辛い。北海道新幹線へは15:31との事。
 新青森で降りるお客さんもいたが、自由席に多数のお客さんがあったようだ。外国人の姿も目立つ。急にインバウンドの波にのまれた感じがある。
 最後の一駅をゆっくり走って、終着駅の青森へ。4両の列車から降りた人は思ったよりも多かった。最後の一駅が効いたらしい。 

 最果ての青森駅E751系特急つがるはしばし、その身を休める。
 今日は青森にホテルを取っている。まずはホテルに行くのだが、その前に駅構内で気を取られたのは

 自動販売機。りんごジュース全振り。青森らしさ全開。全部同じに見えるが、よくよく見るとつがる、ふじ、ジョナゴールド、そしてミックスしたらしいりんごの4種類ある。
 さて駅を離れてホテルへ。この時間の青森、割と涼しく過ごしやすい。歩いても汗は出てこない感じ。ホテルに着いてフロントへ。安潟みなとまつりもやってますので良かったらぜひ、と声を掛けられた。
 ひとまず部屋へ。

 青森市街地が良く見える。反対側なら八甲田丸が見えるはずだがちょっと残念。
 リゾートしらかみに乗っていたら17時過ぎに着くはずだった青森。特急つがるでショートカットしてきたので、まだ16時前である。少し余裕が出来たのだが、青森ではノープラン。幾つか調べた案から妻に決定権を委ねるとこちらに出掛けることになった。

 向かったのは1階が洋菓子店、2階が喫茶と言う店。なんだけど喫茶は16時までの営業だった。アップルパイが美味しいらしいので、そちらとケーキとを買い求める。ホテルの部屋で頂く事にしてプラプラ戻る途中。賑やかな音が聞こえて来る。どうやら安潟みなとまつりの会場らしい。

 ホテルの部屋より、祭の会場で食べようかとそちらに向かう。すると

 8月の青森ねぶた祭に向けた山車の製作工房がある。ねぶたまであと2週間か。確かに山車を作る最盛期かも知れない。
 みなとまつりの会場。ステージのあたりに設けられた席は混んでいたので、港を望むベンチに居を構える。

 埠頭には護衛艦が停泊している。祭に合わせて一般公開をしていたようだが、こちらも16時までの公開だった。

 先程買い求めたアップルパイとケーキを2人で分けて頂くと16時半過ぎ。もう少し余裕がある。折角なので地元スーパーに行きたいのだが、青森の中心市街地、意外とスーパーが無い。青森駅の西側には1軒あるのでそちらを目指す。

 再度、ねぶた祭の山車製作現場を見て青森駅の方へ向かう。
 駅の近く。以前は鉄道連絡船の発着場だったあたりに

 人工のビーチが出来ている。AOMORIの看板前で外国人観光客が記念写真に興じている。東京から新幹線で3時間で来れてしかも涼しい、そんな理由なんだろうか。青森にインバウンドが及ぶのって。
 青森駅の西側は普通に住宅地。その中にあるスーパーへ。一通り見て回る。ほやが大量に売っていて圧倒される。買って帰る訳いかないけど。パン売り場やら調味料売り場やら、ローカル食材を見て廻り、少々買い求めてからホテルに戻る。もう18時を大きく過ぎた。
 今日の夕食は居酒屋で。2年前だったか、適当に入って良かった店を今回は事前に予約してきた。前回は1人でカウンター席だったが、今回は予約したからか、個室に通される。

 まずは生ビール。パーフェクト黒ラベルが供される。乾いた青森の夏、生ビールが旨い。

 高級そうな店なんだが、みずのお浸しは、¥200外税。ずいぶんとお安い。もちろん、シャキシャキとした食感を楽しめる

 先程、スーパーで見たホヤ。刺身で頂きたいが、扱っていたのは塩辛だった。とは言え、ずっと干したホヤした食べていなかったから、塩辛でも十分にホヤ欲が満たされる。お値段は¥400外税。

 まぐろの3種盛りを頂く。大間に加え、最近は深浦もまぐろの街として売り出し中。そんなまぐろの県都で食べるまぐろが旨く無いわけがない。お値段はそれなりにして¥2200外税

 この店をリピートする理由がこちらのつぶ刺し。2年前に訪れた時は目の前で捌いてくれた。2つのつぶ貝から良い所をより分けて一皿に仕立てていて、そりゃ1000円するわ、と思った覚えがある。今日も水準を越える味わい。値段は上がって¥1,100外税。

 どこに行ってもメジャーになってきたいぶりがっこ。青森ではポテトサラダのお相手に奮闘していた。¥391外税。

 青森ならではの品をもう一つ、貝焼き味噌。出てくる帆立もしっかり良いものであった。¥727外税。
 滞在は1時間程だったが、しっかり満足した。会計は1万円を少々越えるところ。安くは無いが、価値はあった。
 さて、ホテルへ戻る。のだが、港の方から大きな音がする。

 花火だ。安潟みなとまつりの一環だろうが、全くのノーマーク。不意を打たれた感がある。折角なので寄ってみる。


 だいぶ近寄った。大きい花火がどんどん上がってどうやらこれで〆だったようだ。音が鳴りやむと今日のイベントは終了となった。人の波が港から流れて来る。
 その人の流れに逆らってみると

 製作中の山車が灯りに照らされ、よりねぶたらしくなっている。

 灯かりが入った山車も。青森の夏。ここにないのはラッセラーラッセラーの掛け声だけだ。
 一足早い青森の夏を満喫してホテルに戻る。部屋に戻って部屋飲み少々。なんだけど、早々に眠くなる。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は20,308