2022-04-16

 5分だけ、目覚ましを遅らせておいた。無理矢理には変わらないし、早朝にも変わらないけど。
 身支度を進める。弁当の準備が無いから楽で早々に仕上げる。外は寒い。天気概況を見ると目的地はもっと寒い。1枚着こん
 普段よりも早くを家を出て膳所の駅へ。下り電車でトンネルと府県境を越えて京都まで。更に

 伊丹ゆきのリムジンバス。3月26日から毎週飛んでいる感じになっているが、今週も飛ぶ。重なる時はなぜか重なる。日程も、行先も。
 バスで1時間弱。伊丹空港に定刻到着。

 小一時間後のフライトに乗るので、少々早めの到着。次のバスだと何かあった時が心配で早起きになっている。
 搭乗手続き。クラスJへのアップグレードをお願いする。昨日からアップグレードの料金、値上げになっている。一律1,000円だったものが、距離により2,000円だったり、3,000円だったり。今日の行先は2,000円だった。
 帰りのアップグレードもお願いしたのだが、地上移動を挟んでいる場合だと、発地空港では手続きできないのだそうだ。そんな扱いは初めて知った。席だけ押さえておきますので、帰りの空港で手続きをお願いします、との事。
 少々時間がかかったが、早く出て来たので大勢には問題なく、保安検査を受ける。ジャケットの下、カーディガンを着ていたものを脱げと言われる。脱がなくても良いと言われたり、脱げと言われたり、この辺の扱いは本当良く分からない。
 30分弱、ラウンジで時間が出来る。

 今日は窓側の席に座れる。目の前で飛行機が行き交うのを見つつひとまず

 軽く朝食を頂く。その間にも

 飛行機は行き交う。
 出発30分前を切る。7:10の羽田行き102便が動き出し、7:30の羽田行き104便の最後招集がある頃、席を立つ。
 今日は19番搭乗口。

 102便が動いたその先に今日の搭乗機、姿を見せている。

JL2171 JA249J ERJ190 ITM→AXT


 そんな訳で昭和が薫る19番搭乗口に赴いた。デジャブ感があるが、何のことはない、2週間前に乗ったばかりのフライトである。7:45、伊丹発秋田行き。2171便に今日も乗る。
 予約したのは2週前よりも今日の方が早く、動機も全く別なのだが、気が付いたら1か月に2回、秋田に行く事になっていた。九州方面が続いたので東北が恋しくなっていたのは確かで、そんな気持ちを持ちつつ予約を入れていたら、いつの間にか同じようなタイミングに同じような所に行く、と言う事は無くはない。単にコントロールが下手なだけではある。今日の目的、行程はおいおい。二週前とはだいぶ違うつもりだったが。
 優先搭乗の案内があって機内に進む。当日のアップグレードで貰った席は頭に入りきらない事がある。今日も心がけて気を付けて宛がわれた席に座る。搭乗率は半分ぐらいだろうか。2週前よりは乗っている。乗り物は空いている方が好ましいが、あまり空き過ぎて無くなるぐらいなら混んでいる方がまだマシである。
 7:35を過ぎて客室乗務員から案内。空席は多数ありますが安全上の観点からお席の移動はご遠慮ください。移動を希望されるお客様は客室乗務員にお申し出ください、可能な限り調整いたします、と。ご遠慮と申し出はだいぶ違し、可能な限り調整とはすばらしい対応で最初の言い出しと結論が間反対すぎる。乗務員側でコントロールできる範囲ならOK、と理解する。
 7:38、Doorclose。上空で揺れが予想される旨を伝えられる。秋田までの飛行時間は1時間との事。7:40、Pushbuck。7:44、Taixing。

 地上係員が手を振ってくれて飛行機は誘導路を南に向かう。一気に滑走路まで入り込み、間もなく離陸と言う案内。

 夏が来る予感の予感ぐらい青い空が待っている。一呼吸。一気に加速、7:48 Take off RWy32L。伊丹を北側へ、上空小さく旋回。

 青空の下、伊丹空港を右手に見ての3/4周で機首を東に向ける。

 雲が出てきて少し強い目の揺れ。2週前より少し南寄りの針路を取る。琵琶湖が見えないまま飛行機は東に。7:57、ベルト着用サイン消灯。 

 伊丹を飛び立った時が嘘みたいに雲が出ている。東に向かうにつれて一面の雲海、となって来る。
 遅れている京王線恥辱を進めつつの東行きと言うか北行きと言うか。機内サービスが廻って来る。コーヒーをお願いする。

 コーヒーを飲みつつ京王線恥辱。たまに外を見ると

 眼下は地上が見えている。遠くは雲。今日の予報を思い浮かべると日本海側と東北は午前中雨だった。そんな様子が目の前に広がっている。
 機長さんから飛行状況の案内が入る。時刻は8:11。現在、松本の上空、飛行高度11,400m。この先、新潟の上空を経て秋田には9:05、定刻に着陸予定との事。定時出発への協力御礼が添えられる。秋田の天候は曇り、気温は6℃との事。膳所と比べるとだいぶ寒い。季節が戻った感がある。が、2週間前のメモには晴れ、4℃とあった。
  一面雲の松本上空から信濃の山を飛び北東へ。見えない景色を時折見つつ、京王線恥辱を何とか昨日ぐらいまで追い詰める。8:18、あと10分でベルト着用サインが点灯する旨の案内がある。そろそろテーブルは片付け、パソコンをしまい込む。8:26、ベルト着用サイン点灯。場所を確認すると笹川流れの辺り。ちょっと早い気もするけど、

 視界がなくなって揺れ出す。後ろの席から「嫌だ、嫌だ」なんて呟きが聞こえる程の揺れ。揺れましても飛行の安全には影響ございません、とフォロが入る。
 揺れが落ち着く。視界が少々開けて来る。

 一瞬地上が見える。子吉川河口、本荘だ。また雲が出てきて視界が真っ白になる。飛行機は秋からに東に機首を向け、高度を下げると少々の揺れ。視界が効かない中、反転。8:48、Geardown。

 ようやく地上が見えて来る。空港の敷地。JALB737が滑走路手前に見える。8:51、Landing、RWy28。減速して誘導路へ。「秋田は桜の咲く頃かと思います、ぜひ素敵な週末をお過ごしください」なんて言葉が添えられる。
 8:54、Spot in SP2。10分早着との事で、定時出発への協力謝意が伝えられる。準備が整ったのち、三段階に分かれての降機となる。

 ここまで乗って来たJA249Jを見てから制限エリアの外へ。今日はこのまま引き返すわけでなく、少々地上移動をする。

 早着のおかげでまだ9時前。ありがたい。何しろ10分前に羽田からの到着便が着いたばかり。そんな訳で

 市内に向かうバス。本来の接続便よりも1本早いものに乗る事が出来る。2週前に乗ったばかりなので運用が始まったばかりの秋田版Suica、Akicaの使い方ももう馴染んでいる。
 バスが動く。機内で綴った京王線恥辱を公開する間にバスは秋田市内へ。このまま駅前まで出ても少々余裕があり、今日は駅よりも手前で降りてみる。

 旭川を渡ると川反、という所だが、時刻は9時半過ぎ。午前中から店がやっている訳でなく、ひとまず駅に向かってぷらぷら歩く。
 広小路に出る。

 先程乗って来たバスが秋田駅前で客を降ろして最終目的地の県庁市役所前へと向かってゆく。
 お堀端まで来ると

 桜が咲いているのが目に付く。千秋公園まで入れば多少は咲いているだろうか。時間もあるので、ちょっと寄り道することにした。
 中土橋を渡ると左手に見慣れない建物が出来ている。
 https://akiat.jp/
 随分と立派な箱を作っちゃったものだと半分感心、半分心配。この界隈では県立美術館も無くなっている。自分が知っているのは市立図書館明徳館ぐらいだ。
 上まで登れば桜の名所だがさすがにその時間はない。明徳館のちょっと先にある堀端までにする。

 満開には少々間があるようだが、今年二度目の花見、と言えなくない。そして

 ババヘラがいたので頂く。アイス、と言うのは少々肌寒いのだが、構わず食べてしまう。
 そろそろ駅に向かう。

 長らく廃墟になっていたホテルハワイの建物が壊されている。跡地はマンションになるらしい。また一つ、知っている秋田が無くなる。

 駅に到着する。思ったよりも時間が無くなったが、ひとまずすべきことから順々に。この先の切符を発券し、食品売り場を覗く。うっかりこごみ、タラの芽、だまこ餅なんて物を買ってしまう。二週前に色々と買ったから今日は買うつもり無かったのだ。
 ついで売店。2週前にはたくさん売っていた秋田新幹線開業25周年のクリアファイル。今日は売り切れであった。4月に2回、秋田を訪れる意味があるのだろうかと半分思っていたのだが、それなりに意味はあった、と言う事にはなる。
 さてホームへ、何だが改札の前で

 なまはげさんが出てきて太鼓を叩き始める。ちょうど東京からのこまちが到着したところ。乗客の歓迎イベントであった。4月14日に東北新幹線が全線運転再開をして最初の週末である。本当なら3月19日にやる筈だったことを、今日やっているのかも知れない。
 いい加減、時間がないので改札を通る。今日は

 二週間前にもみたような列車が目の前にいる。秋田発10:35。新潟行き特急いなほ8号の客になる。7両つないでいる列車は、空いていた。東北新幹線が不通の時でも空いていたから、新潟経由で東京方面、という流動は限りなくゼロに違いない。ひとまず荷物を置き、出発まで少々。

 隣のホームに701系と共に電気式気動車のGV-E400系が停まっている。1番線には蓄電池車のEV-E801系が見える。2番線にはリゾートしらかみとなる電気式気動車のHB-E300系。キハ40系が闊歩していた頃からだいぶ様相が変わっている。
 そろそろ出発時刻。席に戻る。先程到着したこまちからの乗換客が少々増えている。荷物を置いた一つ前の席に座った客がマスクなしでもう一つ前の席の人と話をしているのが気になる。自分がマスク警察のつもりはないけど、ちょっと気になり、距離を取る。つまり席を移動する。この週末、どうやら大人の休日倶楽部パスが使えるようだ。18きっぷの期間を避けて出て来たのだけどな。
 定刻に列車は出発。二週間前に辿ったばかりの羽越本線を上る。ひとまず先程買った駅弁に手を出す。

【今日の駅弁】秋田新幹線開業二十五周年記念弁当 ¥1,400 株式会社関根屋



 二週間前は鶏めしを自宅へ大事に持ち帰ったが、今日は秋田新幹線開業25周年の記念で出たお弁当を頂く。秋田と岩手のコラボでブランド肉の共演、だそうだ。脇には仙台の笹かまぼこも。お祝いだからまぁ良いけど、¥1,400はちょっと割高感がある。
 お弁当を頂くと列車は雄物川を渡り南へ。新屋の駅を過ぎる辺り、先程の客の会話が聞こえる。
「あの山がイージスアショアを配備しようとした山だ」
 と。知ったか甚だしい。新屋演習場があるのは勝平山。新屋駅から見えるのは動物園がある大森山だ。場所が全く違う。もう一回席をチェンジ。話し声の聞こえない所まで逃げる。
 停まらない列車に揺られて南に行く。羽後本荘までの三十数分無停車が、特別急行らしく堂々としているように思えて来る。実態は停まるに値する駅がないだけなんだけど。
 羽後本荘で多少下車があり、乗って来る人は少なかった。本荘辺りからでも東京方面に行くのは秋田経由のこまちがメインになっている。空いた列車が出発。まつ子さんのいる矢島へ向かう由利高原鉄道が分かれてゆくと二週間前のルートからようやく外れた事になる。仁賀保で1M、なんてトップナンバーのいなほ1号とすれ違う。意外とお客さんが多い。あちらも大人の休日倶楽部パスを使い人だろうが。自分が使えない格安切符で乗り物が混む、というのは悲劇的な事態だ。
 千秋公園では4分咲きぐらいだったソメイヨシノ。小一時間南に下った仁賀保を過ぎると満開に近くなる。

 すっかり華やかな景色になった。秋田県内でも今通っている県南の沿岸部は気候が穏やかな所。桜が咲くのも県内では一番早い。
hanami.walkerplus.com
 今通るあたりからもほど近い勢至公園は開花情報でも真っ先に満開となる事を突然思い出す。
 象潟を過ぎると秋田と山形の県境に差し掛かる。

 少し波立つ春の日本海を見て列車は険しい国境を超える。有耶無耶の関、なんてあるかないか判別しない関所を越えると山形県内となる。次第に迫っていた山が遠ざかり、庄内平野へ。

 気難しい鳥海山は今日も山頂を隠していた。
 街が現れて酒田到着。多少お客さんが乗って来る。少々寂しい数だが列車の体裁は少し整う筈。

 自分は酒田で下車となる。降りた人は数人いたかいないか程度。思った以上に寂しい春の羽越線。全通はしていないものの高速道路も伸びており、流動はクルマ中心になっているのかも知れない。
 駅構内に停まる701系を見て改札の外へ。今日は酒田で2時間ほど、余裕がある。少し街中を歩こうかと思っている。
 学生の頃、つまり二十数年前に二度ほと歩いた記憶があるが、今日の酒田の街、まるで記憶にない街になっている。なんと言っても空洞化が進んでかなり酷い事になっている。秋田も中心市街の空洞化が進んだが、酒田は輪を掛けて酷い。
 30分程歩き、最上川河口にある酒田港に出る。


 飛島への航路も発着する酒田港。でも今日の飛島航路、欠航だそうだ。
 街は閑古鳥が啼いていたが港に併設された海の駅、と言う名前の観光施設はそこそこ賑やかだった。海産物を持ち帰る訳にはいかないが、折角なので軽く食べてゆく。

 ちらし寿司と蕎麦のセット。蕎麦は大したことないが、ちらしずしの具、つまり刺身が凄く良い。見えない所にも隠れているし、新鮮。普段が海なし県にいる分、ハードルは下がっているけど、北に行けば行くほど魚が旨くなる、と言うのは本当だと思う。
 駅の方へと戻る。途中、

 なんでも無さそうな寺に三重塔がある。東北では珍しい存在でちょっと目を引く。

 神社の境内では桜が満開だった。絵にかいたような満開桜、このシーズンは初めて見たかも知れない。
 一度駅の裏に回ってスーパーで買い物。今後の備えでビールを買うのと、オランダせんべいを。さすがに地元で酒田米菓で1コーナー出来ているのは衝撃的。知らない製品もいくつかあって、ついでにちょこちょこ買ってしまう。
 駅に戻る。東北地区と言えば相当大きな駅以外は列車別改札で、時間にならないと改札が始まらないのが常であった。2022年の世の中では自動改札になっているから、一応は常時改札中、と言う事になる。適当なタイミングでホームに。

 待っていたのはGV-E400系の普通列車。ひとまずこちらのお世話になる。秋田からの到着列車があって乗換客も少々。座る所に迷うぐらいの乗り具合にはなってドアが閉まる。
 初めて乗る電気式気動車、GV-E400の乗り心地。動き出しは重た目。気動車の動きが10秒ほどで電車の動きに変わる。今まで経験したことの無い挙動であった。
 相変わらず全ては見えない鳥海山を見て庄内平野を南に。15分程で余目に着く。降りる人の半分ぐらいが、隣のホームへ。既に出発時間が迫っている陸羽西線の列車へと乗り換える。羽越線下りからの乗換客もいたのか、座る所に大いに迷う程の混雑ぶりではある。もう少し空いているかと思ったけど。
 ここからは今日一番の目的となる陸羽西線、となる。18きっぷのシーズンでもなんでもない、中途半端なこの時期に東北へと行った最大の理由が来月から2年間、陸羽西線が運転取りやめになる、と言う事。
www.yamagata-np.jp
tabiris.com
 電化工事の影響で長期運休とか、改軌のために長期運休とか、災害の影響で長期運休とか。運休の理由や事情もそれぞれ色々あるだろうけど、完成すればライバルにしかならない、間違いなくマイナスにしか寄与しない道路を通す事に協力して2年間運休、なんて初めて耳にした。調べれば多少の前例はあるのかも知れないけど、明らかに鉄道事業を放り投げる姿勢で、道路が出来た後、本当に運転再開するのか、多いに疑問を感じる事態である。
 昨夏は秋田から新潟まで移動している。
podaka.hatenablog.com
 その際に米坂線経由か、陸羽西線経由か大いに迷って米坂線で組み立てた。今年の夏に東北に行くなら陸羽西線から陸羽東線をつなぐのだろうなぁと漠然と考えていたのだが、8月では間に合わない。2年後はもっと怪しい。そんな訳で今日出てきた次第。18きっぷのシーズンを外したのは、混雑を嫌ったからだけど、思いがけぬ伏兵、大人の休日倶楽部パスのせいか案外と混んでいる。
 2両つないだ後ろのロングシートに座る所を見つけてそこから写真を撮ろうとしたらもう出発時間だった。慌ただしく動き出す。気動車の動き出しだが、知っている気動車の走りなので違和感はない。計った訳でないから体感でしかないが、先程の電気式気動車、GV-E400系よりも加速は速いように思える。
 本線と別れて支線の陸羽西線へ。意外と飛ばす。

 線路も立派だ。昔話をしても仕方ないが、東北新幹線開業以前は上野と酒田の間を陸羽西線経由で結ぶ夜行急行が走っていたし、庄内と山形、仙台を結ぶ急行列車も走っていた。分割民営化以降も酒田-山形は急行列車が走っていて、陸羽線は東北の日本海側と太平洋側を結ぶ亜幹線、という扱い。幹線とローカル線の間、という位置づけだったと思う。
 亜幹線、なんて言葉は死語になって久しく、幹線すら没落する世の中。陸羽西線も輸送密度は三桁、なんて話も聞こえる。想像する事はみんな一緒なんだろうなぁと思える陸羽西線の車内。
 列車は1日1本だけの快速列車。これが、結構立派な快速で終着の新庄までに停まるのはわずか2駅。わずか40分で走り切る。本気の快速が立派な線路をそれなりの速度で飛ばす。最初の駅、南野が流れてゆく。
 庄内平野の中心、酒田は晴れていたが2時間経ってこの時間の陸羽西線、少々曇り空になる。 

 北側に見えてもおかしくない鳥海山はいよいよ姿を隠している。そんな様子を見つつ列車は東に。徐々に平野が狭くなり、最上川が近付いてくる。

 列車名の由来にもなった川を横に見て列車は飛ばす。今集めているのは雪解け水だろうが、豊かな水を米どころの庄内平野へ、そして日本海へと運んで行く。乗客は、ボックスシートの人もロングシートの人もどちらも最上川に視線を持ってゆく。ほぼほぼ地元の人はいないのだろうと思える今日の陸羽西線。本当に普段着の陸羽西線を見たいなら、平日に休みを取って訪ねるべきであった。
 古口に到着する。

 下りの普通列車とすれ違う。向こうは気動車1両編成。JR東日本のローカル線、コロナ禍以降は割とあちこち乗っているが、1両で走らせている所って意外と少ない。東北のローカル線でもだいたいは2両。1両なんて列車に出会ったのは、気仙沼線と山田線、大湊線ぐらい、か。
 席がさらっと埋まっている下り普通列車とすれ違い。次は終着の新庄。最上川が離れてゆくと青空が広がる。今日の予報、午後になるに従い天気は回復する、との事だった。もう少し早く晴れてくれれば綺麗な最上川が見えたかも知れない。
 新庄の市街地を廻り込むように列車は走ると奥羽線が寄って来る。終着新庄の案内。しっかり40分で走り切る。

 ようやく列車の姿をとらえるが、今日は乗り換え時間の余裕がない。すぐに

 同じ形の色違いに見える陸羽東線の列車に。接続時間はわずか3分。買い物の余裕もなく出発の案内。車内へと進む。今度の列車。形は同じでも

 二人掛けのリクライニングシートが並ぶ優等列車仕様。先程と同じ快速列車だが、今度は全車指定席。快速湯けむり、を名乗る優等列車となる。
https://www.jreast.co.jp/sendai/upload-images/2020/06/20200626.pdf 
 これから走る陸羽東線。2008年から走っていたリゾート列車が2020年に引退。
www.toretabi.jp
 後継のリゾート列車が出なかった所を見ると、好調とは言い難い状況だったのかも知れない。リゾート列車の代わりに走り始めたのが、今乗った快速湯けむり。車両自体は昨年8月に乗った快速はまゆり
podaka.hatenablog.com
 と出自が同じ、元々釜石線急行、陸中用に新製された専用車。そのうち仙台-気仙沼を結ぶ快速南三陸用に転属した車両が目の前の車両となる。まぁリゾート要素はない普通の列車なんだけど。後釜のリゾート列車がないのはいくら何でも難なので、と言ったところだろうか。
 陸羽西線の快速列車から陸羽東線の快速列車に乗り換えた人は20~30人ぐらいいただろうか。山形方面へ向かう人も多かったと見える。接続3分、出発となる。ひとまず

 酒田のスーパーで買い求めたビールでビアホールを開催する。仙台まで2時間40分。途中で寝てしまう事は望ましくなく、かといって早々にビールが無くなる事も望ましくなく。匙加減が難しいなぁと思いつつ、ひとまず1本目から。
 列車は奥羽本線から別れて脊梁山地へと登り始める。速度は出そうで意外と出さない。仙台速達が目的ではなく、あくまで乗って楽しい列車扱い。同じダイヤでキハ40系のびゅうコースター風っこが運用に就く事もあるからか、うんとダイヤは寝かせている様子。

 車内、5割ぐらい行かないぐらいの乗車だろうか。混んではいないが、がら空きでもない。そのうちの半分はライトかコアかは別として鉄道ファンと思しき人。観光列車の雰囲気とはちょっと違う。
 列車の案内があり、車内販売が乗車している事が伝えられる。おすすめは鳴子の地ビールだそうだ。2種類積んでいるとの事。ビアホールの補充がある、となるとさらにペースが難しくなる。

 乗車記念証が配られる。硬券を模したもので客層を意識した感じ。一緒に移っている地図は小牛田運輸区乗務員作成の沿線案内。デッキの所に置いていて、ご自由にお持ち下さい、との事。
 最上駅で少々停車、というのでホームに出る。

 この列車。妙な雰囲気の色具合になっている。日本の鉄道開業150周年を記念して創業当時の木造車をイメージした塗装だそうだ。ちょっと無理があるが、そこにお金をかけても仕方ない事も分かる。そういう趣向なんですね、と言うぐらいで受け取っておく。マルーン一色だったらどうだっただろうか、と一瞬思う。
 少々停車の間に対向列車は来ず、出発時刻となる。新庄から30分。そろそろ車販が来てほしい所だが、後方2号車から廻っているようで、なかなか順番が回ってこない。

 ひとまずだんだんと春浅くなる車窓に峠の気配を感じつつ、峠に向けてゆっくり登る。
 前後にしばらく定期列車がないからか、途中駅でもたまに地元の所用客、という風情の人が乗ってきて、空席を埋めてゆく。その度に車内販売の人が記念乗車証を車内で配る。そして車内販売の巡回が遅くなる、その繰り返し。山形と宮城の県境となる峠を越え、下り坂で惰性走行となる頃、ようやく車内販売の順番が回って来る。新庄から小一時間が経っている。案内があった地ビールは売り切れ、との事。2種類あると言っていたが、2本ずつしか積んでいないそうだ。ここまで飲みはセーブしつつだったのだが、ある意味調子が狂った。
 他の販売品目は東北新幹線で積んでいそうなものが中心。ビールの銘柄はイマイチだったので

 高清水とほや酔明にする。とりあえず写真を撮って、でもセーブしてきたのでビールもつまみもまだ酒田調達分が残っている。そちらを先に頂く。
 車内販売とやり取りする間に減速、鳴子峡が一瞬見えると案内があって速度が緩む。トンネルから出た一瞬で窓越しの鳴子峡は冴えなかったが、観光列車らしい顔を見せる。間もなく鳴子到着。
 新庄から乗って来た人、余目から一緒らしい人も含めて降りてゆく。時刻は16時過ぎ。温泉地への入り時間としてはちょうど良い所か。湯けむり、という名を抱く列車らしい光景となる。逆に土曜日の夕方に温泉地を離れる人はいないから、列車は空いた。

 鳴子まで来るとまた春の景色。桜が咲く様子を見て列車は里へと下る。

 菜の花も青空の下、咲いている。
 温泉郷を離れて穏やかな平野を進む。途中

 下りの普通列車をこちらが待つ。臨時列車の悲しい定め。フォトストップ、と思うとまぁ良いのだけど。
 車内販売が何度か廻るようになる。一通り用のある人が声を掛けた後、乗客も鳴子で少々減っている。巡回の速度が上がっている。ビールを切らしたので1本、追加で高清水を買っとく。さっきもほや酔明と一緒に買ったけど、1本は膳所持ち帰りにしたい。さすがに三巡目には手が出ず、見送る。
 東北新幹線接続の古川に到着。一昨日から運転再開しているが、この時間、新幹線の接続が悪いせいか、降りる人は限られる。特に乗り降りなく列車は動く。次は小牛田、と案内があったが、

 途中運転停車。ドアが開かずに下り普通列車とすれ違い。もはやフォトストップですらない。
 新庄から2時間。日が傾き始めた小牛田の駅に着く。意外と小牛田で降りる人が目立つ。

 貨物列車の向こうにディーゼル機関車がちらっと見える。汽車駅の風情漂う稀有な駅。少々停まる間が

 最後のフォトストップ。ずっと日が廻らなかった先頭車に初めて夕陽が当たる。
 最後のフォトストップ。ずっと日が廻らなかった先頭車に初めて夕陽が当たる。
 列車は東北本線へ。複線電化の立派な線路を飛ばし始める。走りがアグレッシブになった途端に何故か眠気を感じる。陸羽東線を抜け、高清水も1本飲み干し、少々気が緩んだかも知れない。松島停車に気付かず、仙台到着の案内で目が覚める。東北新幹線の高架が寄り添い、速度が緩んで久しぶりの大都会へ。
 仙台到着、定刻の17:40。

 早々に列車は回送表記になる。ねぐらの小牛田まで来た道を引き返すのだろう。
 仙台に夕方到着。駅構内でも良いから軽く飲んで、と思わなくはないが、今日はこの先、接続が良すぎる。わずか5分で乗るべき列車が出発する。

 仙台空港行きに乗り換え。今日はこの後、自宅までたどり着かなくてはならない。まずは空港へと急ぐ。途中、東北線とは名取でお別れ。仙台空港線へと入る。夕闇が迫るが

 辛うじてすれ違う列車は撮れる程度の明かりは残っている。30分弱で仙台空港まで運ばれた。

 帰宅便は19時発。出発便の案内には羽田の文字も見える。地震で不通になった東北新幹線の代替便。一週間少々復旧が早まったが、既に航空券は発売済だったのだろう。用済みかも知れないが飛ばさない訳にも行かず、難しい所。
 ひとまず伊丹で出来なかったアップグレードの手続きを済ませる。土産物を少々買い求めると保安検査。搭乗開始まで若干の間があるのでラウンジに寄る。

 一昔前の雰囲気が残るサクララウンジ。伊丹ゆきのお客さんが中心だが、空いている。ちょっとだけ時間があるので

 地元、名取産であろうサッポロ生ビール黒ラベルを1本だけ頂くともう時間切れ。席を立ち、搭乗口へと向かう。

JL2214 JA245J ERJ190 SDJ→ITM

 搭乗口に着く。もう優先搭乗が始まる所であった。

 早々に機内へ進む。待っていたのはJA245J。

 先程手続きして貰ったクラスJ、1人掛けの席に落ち着く。席に座る間に外は暗くなる。
 機内は気の毒なぐらい空いていた。「空席が多数ございますが、安全上の理由によりお席の移動はご遠慮下さい」と案内の後「お席の移動を希望されるお客様は客室乗務員までお声がけ下さい。可能な限り、調整いたします」と結論が真逆になる。コントロールできる範囲でなら良い、と理解する。

 18:51,Doorclose。15席あるクラスJ、4席しか埋まっていない。普通席も半分以下だろう。18:54、Pushbuck。誘導路を東に向かう。

 滑走路手前で一時停止。管制の指示により離陸待ちとの事。着陸機が1機来る。JALB737で羽田臨時便と知れる。そののちに滑走路へ。19:05、Takeoff RWy28。
 内陸へと飛んだあと、上昇しつつ左に旋回。

 先程飛び立った仙台空港を見下ろし、一旦洋上に出た後、再び旋回して南西へと機首を向ける。

 今度は左手に月が見えて来る。19:14、テーブルの使用が許可されたのち、19:18、ベルト着用サイン消灯。
 電源を生かして、パソコンを充電しつつ京王線恥辱を進める。その間に飲み物のサービスが廻って来る。

 左手のカクテルテーブルを生かして、作業続行。
 19:31、機長さんから飛行状況の案内。仙台を定刻に出発した事、定時出発への協力謝辞と共に伝えられる。間もなく長野県の上空に差し掛かる。高度は10,000mとの事。左手には関東平野とお月様がご端頂けますと添えられる。20分後に降下を開始し、伊丹空港には20:25の着陸を予定しているとの事。伊丹の天候は晴れ、気温は12℃だそうだ。伊丹空港が混雑する時間帯であり、着陸時間が遅れる可能性もある旨、伝えられた。最後に「皆様、素敵な週末をお過ごしください」なんて言葉で〆られる。
 飛行機は長野県上空から伊那谷を左手に見て名古屋の方へと向かうコース。
 20:00、あと10分でベルト着用サインが点灯する旨の案内がある。お茶のペットボトルをもって乗務員が機内を廻る。引き取り手がいないと捨てられるだけなので勿体なく

 1杯いただく。
 20:10、伊丹空港混雑の影響で20:40頃着陸する見込みである旨が伝えられる。

 どの辺で上空待機を喰らったのか、街明かりが見えたり消えたり。どうやら奈良盆地の手前、伊賀と接する山のあたりにいるらしい。

 暫く掛かるのか急にキャンディーのサービスとなる。間髪入れずに

 今度は絵葉書。こんな上空待機、初めてである。どれほど時間が掛かるのか、とも思う。
 幸い、そこまで長くはならず20:20、ベルト着用サイン点灯。20分で着陸との事。何周かぐるぐるした後、伊丹への進入を開始する。大阪市内上空へ。

 小さくても通天閣は良く分かる。意外と溶け込んでいるのがあべのハルカス大阪城は周りが暗いのでこれも良く目立つ。

 梅田まで来るとビルの一つ一つが分かるようになる。淀川を越えると走る列車、道を行くクルマ。全てお見通しとなる。20:30、Geardown。更に地上が迫って20:33、Landing、RWy32L
 減速してゆくと誘導路へ。12℃という伊丹空港、20:37、Spot in SP46。

 つまりバス連絡である。タラップが近づいてきて降機の準備が進む。この数分は長く感じるが実際には2~3分だろうか。バスが1台寄ってきて降機となる。


 乗客が少ないのでバスは1台だけ。最後、客室乗務員も降りてきて見送られる。バスはターミナルへ。

 僚機の鼻先をかすめて進むとターミナルには20:45頃の到着だっただろうか。預けた荷物はないのでそのまま制限エリアの外へと向かう。

 到着案内に残るフライトは残り数機。ほぼほぼ殿だった様子。空港もそろそろ閑古鳥が啼き始める頃。
 バスは先週より1本遅れて21時となる。

 空港の様子と同じくバスも空いている。道も空いているが15分の遅れを取り戻せる訳は無く、京都駅へと運ばれる。到着すると

 21:45を過ぎる。東海道線の電車が20分間隔へと開く時間帯。膳所での京阪電車接続もないので歩いて自宅に向かうと22時半近くになる。先週より30分以上遅い。さすがに疲れを感じる。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は20,932