2023-07-24

 月曜日の朝を旅先、秋田のホテルで迎えた。今日は一日休暇にして休日の延長戦に挑む。少々観光なのだが、観光と言わないかもしれない。
 6時に起きて身支度。最初の目的地は朝早く出掛ける。ホテルの朝食を後回しにして外に出ると7時前。
 青空が広がり、暑くなりそうな朝。東北北部の梅雨明けは発表されていないが、自分が知る限り、この天気は夏という。

 目の前にあるバス停でバスを待つ。

 やってきたバスは意外と混んでいて座れない。山王の官庁街へと向かうバスであり、役所勤めと思しき堅そうな人が目立つ。
 バスは山王大通り、今は竿灯大通りって言うんだっけ?を通り西に向かう。山王十字路を過ぎると降車客がちらほら目立つようになり、座れる。臨海十字路から旧雄物川沿いに並ぶ工業団地へ。観光とは縁遠そうなエリアへと進む。そうして向かった先は

 たけや製パン前、というバス停。ここまで来ると車内もがら空きである。

 バスは混んでいる道をこの近隣にある車庫まで向かう。
 バス停で既にネタバレしているが、今朝の訪問先は秋田でのパンの覇王。たけや製パンの本社。そこの

 脇に併設されている直売所である。

 7時開店で完売次第閉店というので7時の開店に合わせて来てみた次第。既に先客が大量のパンを買い求めていて、支持されていることが分かる、
 見学だけ、という訳ではなく。折角なので何か買って帰る。ロールケーキの端材のような余り物。出荷のタイミングを逃したらしい賞味期限の短いものといったものが、破格で売られている。今日食べる分には全く問題ないものばかりで、人気の理由が良く分かる。
 パンを持って帰っても食べるタイミングがなかなか難しいのだが、

 こんな感じで色々と買ってしまった。中にはヤマザキの製品もあるが、秋田で販売するものはたけやで製造を請け負っているらしい。
 さてホテルに戻る。距離もあるので帰りもバス。車庫発のバスなら空いているが、

 割山から来たバスだったので、通勤客で立席多数。先程来た道を戻る形になる。山王大通りに入ると少しずつ通勤客が降りてゆく。八橋球場のあたり、中学生と思しき野球チームが集まっている。今日も暑くなりそうなのに大変だろうにと冷房の効いたバスから見る。
 秋田駅ゆきのバスはホテル前の広小路ではなく、ホテル裏の中央通りを走る。そんな訳でバスを降りて少々歩く。途中、岩田写真館という建物があり、あっと思い出す。高校の写真展、審査員に岩田さんというのがいた。確か毎回4人ぐらい年寄りの審査員がいて、そのうちの一人が写真館の館主だった。当時、写真部の中でまことしやかに言われていたのは「ジジババガキネコ」という言葉。漢字で書くと「爺婆餓鬼猫」である。被写体を年寄りか子供かネコにしておけば、作品が入選しやすいという経験則。そんな話を妻にしたら、昨日の帰り道に聞いた、と言われる。川反からの帰り道にこの道を通ったか。全く覚えていない。
 30数年前の話だから、写真館の館主は既に代替わりしているのだろうなぁと通り過ぎる。どの審査員の言葉か忘れたが、写真は引き算、という言葉がずっと残っている。あれもこれもと欲張って写真に入れるのではなく、主題の邪魔をするものは排除して絵作りをしろ、と言う事。何気に応用の効く言葉である。仕事の中でも昇格論文を書かせる時も、報告書を書かせる時、あれこれ盛り込まずに主題を明確にしろ、という指導をするようにしている。
 ホテルに戻ると8時。入口の所にマイクロバスが1台着いていて、災害調査と書かれたツナギを来た人が何人も乗り込んでゆく。東京から役所の人が水害の被害状況を調査するために前泊していたと見える。前泊出張なんて優雅だなぁと反射的に思ったけど、どういう形であれ、秋田にお金が落ちる事はいい事だ、と思い直す。
 買い込んだパンを部屋に置くと朝食へ。今日のホテルでも朝食は付けてある。8時半近くになって食事に赴く。


 きりたんぽ、稲庭うどんとキャッチーな秋田名物が並ぶ。

 そんな訳で稲庭うどんにはとろろ芋&とんぶりを、稲庭うどんにはカレーを掛ける。あきたこまちの茶碗にもとろろ芋ととんぶりを。とにかくご飯の友達が充実していて、ご飯のお代わりが進む。納豆でも1杯。いぶりがっこで1杯という調子。
 少々食べ過ぎた感じで部屋に戻ると9時。今日は10時ちょっと前にチェックアウトするつもりでいる。

 ホテルの部屋から千秋公園を眺める。ちょっと画角を狭めたら、公園都市みたいな感じになった。こんな緑豊かな街だったか。
 今日はこの後、見学の予定を入れている。向かうのは

 昨晩も口にした高清水の醸造元。秋田酒類製造。今回の秋田訪問で何かいいネタはないかと考えていた時にふと思いついたのが酒蔵見学。で調べてみると高清水の見学、平日のみ行われている。金曜日に伊丹から飛んで午後、見学をするか、月曜日まで秋田に滞在し、午前の見学をしてから午後、伊丹に戻るか。どちらにしようか迷って結局、土曜日発の月曜日着。月曜日のホテルチェックアウト後に見学することにした次第。
 10:30から見学開始なのでバスの時間を調べて、結局10時ぐらいにホテルを出て行くことにする。申し込みがメールで、メールのやり取りで見学の予約をしたからアポイント10時半だから10時に出よう、なんて話をすると何か客先訪問みたいな感じになるが、観光で赴くのである。
 ホテルに荷物を預けて今日三度目のバス。今度は

 新屋に向かうバスに乗る。既に午前中の閑散期。バスは空いている。早朝に通った道ではなく、通町から川反の方へと向かう。降りたのは旭川の川沿い。

 茶色く濁った旭川を見て歩いて少々。朝よりも日差しが強くなり、日陰を選んでゆっくり歩いても汗が出る。涼しいと思って来たのにと妻の愚痴も出る。
 気持ち早い時間に


 高清水の本社蔵に着く。この辺りの川元という街。秋田に住んでいた頃にはあまり馴染みが無いエリア。子供の頃は高清水って高清水公園のあたりで作っているものだと勝手に思っていた。
 見学の受付に着く。直売店も兼ねているようだ。

 まずは水分補給を、という事を勧められる。仕込水が冷やしてあってそちらを頂く。歩いてきたのは10分ちょっとだけど、涼味で気分も回復する。
 午前中の見学者は自分たちだけだそうで、さっそく開始。まずはPRビデオを拝見する。自家精米という所をすごく協調している。後で説明で聞いたら、精米を自分で行う事で、様々な挑戦をできるようになったそうだ。

 小ロット生産を手掛ける仙人蔵の中を見学する。とは言え酒の仕込みという時期では無いので、主に保存された酒造りの道具を見てゆくことになる。

 2階から桶が並ぶ様子を見てとる。高い天井が印象的。桶が上側から作業をする必要があるのと、温度管理の点で有利だとか。特に冬は冷え込むそうで。


 泡消しの道具が色々と展示されている。発酵の過程で泡が出るのは当たり前だと思っていたけど、今はそもそも泡が出ない酵母を使っているそうだ。
 酒を搾る道具なんかも展示されている。醪から自然に出て来る日本酒は瑞兆という品になるとか。あぁ返礼品で一番高い奴ですねと答えると、そうですそうです、と係の人に笑われた。滴が出なくなった醪を搾ったものがそれなりの製品になるというのは納得の説明。高いものには高いなりの理由がある。その事は現場を見ると良く分かる。

 酒米が展示されている。左が秋田酒こまち、右があきたこまち

 二つのコメ、親戚ぐらいに思っていたが、名前がそっくりなだけで全く違う品種である事を恥ずかしながら初めて知った。
 最初の受付に戻る。ここからは試飲の時間となる。4種類の製品を自由に飲めるとの事。うっかり一番高い銘柄から口に含んでしまい、次の銘柄の印象が薄くなる。試飲に限らず、安い銘柄から少しずつランクを上げていった方がお酒はより楽しめるのだ。

 こちらでは直売もしているので色々な銘柄が展示されている。昔は特級、一級、二級ぐらいしかなかったと思うけど、高清水も随分と種類が増えた。折角なので少々買い求める。日本酒の他、ついつい桝、猪口、タンブラーを買う。自宅で居酒屋ごっこができるようになる。
 色々商品を見ている間に先程来案内をしてくれた人の他に、もう一人、上司と思しき人が姿を現している。そして、自分に向かって種明かしと名刺を差し出してきた。見覚えのある名前。高校で写真部の1年上の先輩だ。えぇえええええぇと、天地がひっくり返るぐらい驚く。メールが来た時にこんな名前他にいないだろうから、多分、と思って様子を見に来たら、当時そのままの人がいた、と。大学に進学した後、一度関東で会った事があって、その時以来。文字通り30年ぶりである。高校の同窓会には時々出ているけど、学年が違うと同窓会で顔を合わせるなんてことにならない。携帯もメールもSNSも無い時代なので引越しやら何やらで一度疎遠になるとなかなか難しい時代だった。
 先輩は大学卒業後、こちらに就職したそうだ。同期でも地元の役所に勤める人は多く、次は銀行。だが産業が盛んではない秋田で民間企業に就職した人は珍しいと思う。お互いの近況やら何やらで話が盛り上がったが、先輩は就業中であった。見学時間を30分押してお暇いただく。
 さて、秋田駅前の方へと戻る。調べてみると来る時とは別のバスが早そうなので別ルートで。

 往路と同じく空いているバスで秋田駅前の方へと向かう。そろそろ持ち時間も限られている。
 秋田ではしっかり土産物を見ていないので少し見て回る。秋田駅の駅ビルでも良いのだけど

 ちょっと離れた所にあるビルの地階にある秋田市内最大の土産物売場へ。とは言え平日月曜日のお昼時だから空いている。数える程のお客さんの中で、一人、レジの人と相談している声が聞こえて来る。「災害見舞の熨斗ってどんなものがいいのか」と。水害に見舞われた知人に渡す見舞いの品。紅白でない事は確かで、何が正解なのだろう。ずっと聞き耳を立てる訳にも行かず結論は聞けなかった。
 時刻は13時前。そろそろ持ち時間も無くなってきて最後は昼食。最後はベタだけど稲庭うどんにする。ホテルの近く、というか秋田県立美術館の近くに入る。うどんを注文すると乾麺と生麺の二択だと仰る。生麺の稲庭うどんって食べた事が無いのでそちらにしてみる。
 もちもちな事が特徴という生麺が出て来る。

 確かに乾麺とはだいぶ違う食感の麺を頂く。乾麺に食べ慣れていると最初は違和感があるが、もう一つの稲庭うどんとしては美味しく頂ける。そしてどうしても

 食べたかったハタハタ寿司を別に注文。
 時刻は14時ちょっと前。そろそろタイムアップとなる。秋田滞在、24時間に満たないがそろそろ移動。ホテルで荷物を引き取ると今日三度目の木内前。

 まもなく秋田空港へ向かうバスがやって来る。乗車少々。バスは今日も旭川沿いを避けての迂回運行。山王十字路を廻って秋田空港へ向かう。

 青空とこれから実る田を見てバスは空港へ。竿灯をできる出来ないで一揉めしているようだけど、大雨を跳ね返していい夏を迎えて欲しいと思う。
 山間に入ると秋田空港に到着。搭乗手続き、荷物を預ける。


 竿灯のディスプレーが季節を告げる秋田空港の搭乗窓口。一番小さな幼若とは言え、高さ5mは屋内では存在感がある。

JL2174 JA227J ERJ-170 AXT→ITM

 搭乗手続きを終えると保安検査へ。今日はこの後、伊丹まで直行。

 出発まであと30分という所で制限エリアの中へと入る。既に搭乗機は姿を現している。写真は撮り辛いのだが 

 モノクラスのERJ170、JA227Jが待っている。サクララウンジが無い空港なので搭乗待合室で出発を待つ。

 定刻という案内だが、なかなか搭乗の案内にならない。

 窓外、機体にトーイングカーが付いたのだが、青い方のクルマ???
 気長に待っていると15:20近くになって事前改札。次いで優先搭乗となる。機内へ。今日は一番前の席を事前指定している。
 出発間際の搭乗となったが、余り混んでいないようでスムーズに進む。15:26、Door close。燃料を補給した都合で遅れている旨、お詫びがある。伊丹までの飛行時間は1時間10分と告げられる。
 15:29、Push buck。15:34、Taixing。 

 地上係員に手を振られ飛行機は誘導路へ。東に向かうと滑走路端まで行き、停止となる。遠くアプローチしてくる航空機の灯りが見えて

 着陸機を1機やり過ごした後、滑走路へと進入する。15:39、Take off RWy28。滑走路半ばで浮かび上がると急上昇してゆく。眼下には

 国際教養大学が見える。自分がいた頃には無かった大学。飛行機は左手へと旋回してゆくと遠く霞む秋田市街地を見つつ

 眼下には今日も茶色く濁ったままの雄物川を見て機首を西に。さらに左に旋回すると飛行機は秋田市街地に背を向ける。

 南に機首を向けると飛行機は日本海の洋上へ。穏やかに高度を上げてゆくと15:46、ベルト着用サイン消灯。伊丹着陸は16:10と案内される。
 左手に座っていれば秀麗無比なる鳥海山が見えたのか、隠れていたのか分からないが、そんな景色が見られたのだろうが、ひたすら日本海を見下ろすフライト。飛島だけがちらっと見える。
 飲み物のサービスが廻って来る。 

 普通席だけど勝手に茶菓子みたいな感じになる。お供したのは先程、秋田駅近くのアトリオンで妻が買い求めたカステラ。秋田の味付けは甘さ全開だが、このカステラは最近の子らしく上品な甘さだった。
 空の上で茶菓を楽しんでいる間に飛行機は日本海岸に沿って南西に飛んでいる。

 いつの間にか窓外に雲が現れて地上が見えなくなる。飛行機はどうやら新潟から内陸へと入るコースを取っている様子。

 キャンディーが配られたのち、16:24、あと10分でベルト着用サインが点灯する旨、案内が入る。この先、伊勢湾上空を通過して伊丹に向かい、右手に名古屋、左手に渥美半島が見えるとの事。
 見えるというので窓外を確認すると

 いつの間にかどこかの山間が見えている。右手に名古屋、と言っていたが、間もなく

 木曾三川が見える。ほぼ名古屋か。
 伊勢湾を越えると16:31、ベルト着用サイン点灯

 積乱雲沸き立つ伊賀の山中を飛行機は雲の隙間をかいくぐるように降下してゆく。山の中から奈良の盆地へと出ると

 生駒山地を見て伊丹空港への最終コースに乗る。東大阪の街並みが見えて、そして大阪の街並みが見える。16:43、Geardown。

 琵琶湖から流れて来る淀川の流れを見ると穏やかに降下してゆく。16:46、Landing RWy32L。減速すると16:48、Spot in SP14。
 現在、気温31℃という伊丹空港に降り立つ。

 搭乗橋から出て機体が見えるところまで行く。手荷物が降ろされているのが見える。伊丹空港は手荷物返却にやたら時間が掛かるのだけど、14番について、ERJ-170の搭乗率50%だとさすがに早かった。

 16:48にスポットに入って荷物を受け取って11分後に制限エリアの外に出る事が出来る。いつになく早い。余裕をもって17:10、京都行きのバスに間に合う。

 平日の夕方。荷物も大きくなったので楽なバスに乗り自宅を目指す。幸い高速道路は空いている。京都南インターで下道に降りた後もまずまずは順調。京都駅八条口まで50分程で運ばれると、今度も接続良く東海道線の普通電車に間に合う。夕方のラッシュ帯だが、普通電車はスーツケースを持ち込んでも問題ない程度の乗り具合。東山を越え、逢坂を越えて膳所まで戻る。最後は

 荷物も多いので京阪電車の世話になると帰宅はまだ明るい時間帯。18時半過ぎに自宅。14時前に秋田市内にいて、4時間半で滋賀の膳所まで戻って来た事になる。高校の修学旅行の時は秋田-京都が10時間だったが隔世の感がある。
 夕方帰宅。これで寝るだけなら楽だが、明日からは仕事。平日の弁当用仕込みは多少なりともしないといけない。買い物少々。台所仕事適当。かなりいい加減に揃える事となる。ひとまず最低動作責務だけ。

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 アクセスカウンタは機能せず
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