韓国 寄り道縦断


 今朝は早起き。5:50に起きるべく目覚ましをセットしたら5:40に目が覚めた。目覚ましいらずだなぁ。釜山のホテルは今日までなのでチェックアウトするべく準備を進める。7時前にホテルを出て地下鉄の駅へ。この交差点、観光バスが何台も停まっている。今日は土曜日、日帰りか一泊二日か分からないけど観光バスツアーの出発地らしい。
 地下鉄で釜山駅に向かう。お休みだからか座れる程度の混雑で20分少々。釜山駅には7:20の到着。今日はKRパスの最終日。少し乗り倒す。まずは8:00出発。KTX。向かうのは大田(Daejeon)。
 朝食用に売店でキムパプを買っておいたのだけど、うどん屋を見つけたらどうしても食べたくなった。日本語のうどんは韓国語のウドン。「ウドン ジュセヨ」で通じる。惜しいのは「○○ウドン」の「○○」の部分がウドンでは無いこと。天ぷらうどんやらいろいろメニューがあるのだけど、素うどん以外の注文の仕方が分からない。

 ウドン。4,000KRW。うどんであっても漬け物が一緒に付いてくる。出汁は関西風の薄い目。麺は、、もうちょっとコシがあってもいいかな。

 7:45。出発15分前に改札が始まる。たくさんのお客さんが列車に向かう。中にはチマチョゴリの人もいる。これだけ韓国に来ているけど街中でチョゴリを見たのは初めてだ。
 たくさんの人が乗ったはずだけど、連接車で18両分の長い編成に飲み込まれてみれば半分少々の席が埋まる程度。ムグンファを先に送り出した後、8:00、こちらも定刻に動き出す。谷間に広がる釜山の街を縫うようにゆっくりと。西面のロッテ百貨店、ひときわ高いビルが右手に消えてゆく。

 先ほど妻が買ったキムパプを食べてみる。普通ののり巻きと辛子入りののり巻き。コンビニ辺りだとおにぎりやサンドイッチも売っているし、ファストフードにはハンバーガーもある。でも、サンドイッチはお世辞にも美味しくないし、一番無難で間違いがないのはキムパプに違いない。辛子入り、唐辛子の辛さではなくマスタードの辛さかなぁ。食べられるけどちょっと辛い。耐えられない辛さではないし美味しいとは思うけど、キムパプまで辛くする必要はないよなぁと。
 東大邸までは京釜線の在来線をゆくからすれ違う列車が楽しい。朝早々にソウルを出てきたKTXに混じってムグンファや貨物列車も頻繁に行き交う。気動車のムグンファを追い越したのは釜田始発、慶全線の列車だろうか。
 カーブのある度に長い編成を右に左にくねらせながら、北上してゆく。時速が130〜140km/hぐらいだろうか。東大邸ー釜山の慶州経由の高速新線が出来上がればいよいよKTXは本領を発揮すると思われるけど、現状の新幹線と在来線をミックスしたような旅の方が趣きがあって個人的には楽しい。
 三浪津も密陽も停まらずに東大邸までノンストップ。ほぼ定刻。ここで満席になる。土曜日の9時。どこかに出かけるには絶好の時刻。よく指定券が取れたなぁと感心する。まもなく出発。しばらく在来線を走った後、初めて高速新線へと乗り入れる。線路がまっすぐになった代わりに走りが単調になる。とたんに眠くなってきた。一昨日っくる時も寝ていたし、今日は起きていようと思っていたのだけど。
 眠気と戦いつつ、新線の退屈な景色を眺めている。途中、何度か徐行が入る。案内も入ったようだけど混みいった内容を聞き分けられる訳もない。
 いまいち速度に乗らないまま時間だけが過ぎてゆく。在来線が寄ってきて合流した。大田まで10kmと道路には出てる。
 定刻9:50のところ、10:00ごろの到着となる。今までの経験の中では大きい方の遅れだけど大田ではクッションを入れているからさほどの問題ではない。きょうはここから湖南線西大田駅に移動する。地下鉄もあるが少々歩くことになるから、タクシーを使う。タクシーの運転手にどこにゆくのかと聞かれる。韓国語会話担当の妻が全州と答える。扶余には行くのかと聞かれた。「扶余」と言う地名は聞き取れる。残念ながら扶余には行かない。行けば行った也に楽しいかも知れないが、扶余に行くには少々時間が足りない。

 15分ほどで見覚えのある西大田の駅。今度は10:59に出発するセマウルに乗る。
 セマウルの座席も一昨日、ソウル駅で予約しているのだけど、二枚の座席指定券、58番と60番と言うのが気に入らない。ソウルで聞いたのだけど隣り合わせはないと言われていた。もう一度チャレンジと思い、長い行列のできている有人窓口に並んでみる。しかし、満席と言われる。まぁ仕方ないか。そのまま乗ることにする。
 以前のダイヤでは木浦ゆきと麗水ゆきのセマウルが盆山で分割するようになっていたと思うが、現在のダイヤは木浦ゆきと麗水ゆきが二本続けてやってくるようになっている。木浦ゆきが定刻に出てゆくのを見送った後、麗水ゆきのセマウルを迎える。

 見事に満席でやってきた。低いホームから背の高い列車に乗り込んでみると、60番に人がいて57番があいている。ひとまず57番と58番、並びで座る。それにしても席番の並び方。非常に奇妙である。どうやら奇数が窓側、偶数が通路側らしい。

W  A  A W
61 62 64 63
57 58 60 59

 やっぱり妙な並び方だ。
 車掌にも何も言われないから問題ないだろうということでそのまま二列並びで座る。列車は定刻に動き出した。田舎の風景が流れ出す。京釜線と比べて格段に鄙びたとか、速度が落ちた、ということは無いけど、見る方の構え方が違うだけなのかも知れない。心持ち速度が遅くなっていることもあるかなぁ。穏やかな日差しの中、セマウルは右に左に車体をくねらしながら南下してゆく。百済最後の都である扶余の最寄りである論山に列車は停まると、次は現代の鉄道城下町である益山。ここから左にカーブすると全羅線。今までずっと天井の上にあった架線が無くなった筈だ。どのガイドブックにも出てこないけど大きな盆山の街が遠ざかると、麗水へと続く細道をセマウルは突き進む。先頭と後方の動力車は吼えているのだろうが、車内は暖かくて暖かくて、全州到着の直前だろうか、ちょっとうとうと。

 全州には定刻、12:23に着く。ほとんど動きの無かった車内がざわめき、まとまった人数のお客さんが降りてゆく。自分たちもここで下車。
 ソウルー釜山の単純往復でも十分元が取れるKRパスだけど、単純往復ではちょっと物足りなくつまらなく、従って釜山の帰りにどこかに寄ろうと画策してみた。そうなると一番無難なのが慶州だろうが、ちょっと乗り気がせず、そこで無理なく動ける範囲で興味の持てそうなところ、を探してみたら食の都にしてビビンバの故郷である全州に思い至った訳。3時間程度を用意しているから多少何かあっても大丈夫だろう。
 土曜日だからか、全州の駅前、タクシー乗り場が混んでいる。全州駅は市内の外れに位置していて、ビビンバの名店がある市街地は5kmほどある。地下鉄はない程度の街だし、ハングル表記しかないバスには乗れないから必然的にタクシーに乗ることになる。
 行列に並び、順番が廻ってきてタクシーに乗る。地図を見て、ビビンバ屋さんの固まっているエリアにある目印、ということで全州郵便局に行ってくれと頼む。そういえば、宮脇俊三先生の本で全州でタクシーに乗って「ビビンパプ」とだけ告げてビビンバを食べにゆく件があったなぁと思い出す。今日も目的は一緒。隠した訳でないけど、着いた先でドコに入るか迷いたい気分なのである。しかし妙な事になった。
 明らかに行き先が違うなぁと言う事に気づく。ハングルは読めなくても地図は読めるのである。全州郵便局なんだけど、と片言の韓国語でやり取りしても要領を得ない。仕方ないので知っている店の名前を出す。「郵便局の近くにある家族会館にゆきたい」と目的地変更。ようやく方向が変わった。今日は市内、映画祭やら何やらで渋滞していて郵便局に行くなら別の郵便局に、と言うつもりだったらしい。とにもかくも全州郵便局の向かいにある家族会館まで運ばれる。タクシーに乗ってから20分強、30分近かったかもしれない。思いがけず時間が掛かったがある程度の余裕は持たせているのでたぶん大丈夫だろう。
 全州ビビンバの中でも有名店No1の家族会館。お昼からはちょっとずれた時間帯だけどそれなりに混んでいる。ぱっと見た感じには満席。でも空いた席から勝手に座っていいらしい。そのシステムを飲み込むまで少々時間を要した。

 メニューはビビンパプ一種類だけ。待つほどなくたくさんのおかずが運ばれてくる。隣の厨房、たくさんの数のビビンパプが盛られ、そして運ばれてゆく。そしてこちらの席にもビビンパプが運ばれてきた。

 彩り鮮やか。混ぜるのが勿体ないけどそうも行かない。混ぜる。ほかの店と違って追加のコチュジャンが無いのが不思議。でもそのままで美味しいからなお不思議。絶妙で美味しい、と言うべきか。ちなみに一人10,000KRW。
 折角なので旧市街を少々歩く。荷物を持ったままだから不自由ではあるが、

 ソウルで南大門は見そびれたけど、ここ全州で豊南門を見てゆく。
 近くでは何か祭りをやっている。雑踏に入り込むのは大変なのでほんのさわりだけ。

 趣旨は分からないけど韓服で馬に跨る人たち。
 さて、そろそろ戻ろう。タクシーを捕まえて全州駅まで行ってもらう。今度は間違いようもなくショートカットで駅へと向かう。戻ると14時半過ぎ。まだ列車の時間には間があるけれど、ここで大人しくする事にしよう。全州自体はそれなりに大きな街だけど駅は小さい。待合室と売店と、まるで日本の田舎町のような雰囲気。
 15分前、改札が始まって40〜50人ぐらいがホームに向かう。待つことしばし、麗水方面へ下る貨物列車がやってきてホーム一杯に停まる。麗水方面は単線。待ち合わせをするのだろう。まもなく、遠くに明るく光るライトが見えた。

 15:15出発、龍山ゆきムグンファ1510列車が定刻に現れる。
 セマウルよりは狭く、KTXよりは広いムグンファの座席に落ち着く。まもなく出発。午後の明るい日差しの中、さきほど眺めた景色を巻き戻す旅の始まり。着いた日の氷雨が嘘みたいに暖かな景色。眠気を誘う雰囲気ではあるけど、眠りに落ちる前に盆山の街並みが広がった。やがて湖南線に寄り添い、益山の駅に到着。
 このままムグンファに乗っていると龍山には18:52の到着となる。ここでKTXに乗り換えると40分ほどの待ち時間となるが、高速新線を飛ばしに飛ばして龍山に18:17の到着となる。普通に切符を買って乗るなら、こんな高く付く乗り方は出来ないだろうが、今日使っているKRパスなら問題ない。益山からはKTXの指定券を用意している。
 益山は鉄道の結節点。全羅線のムグンファが出ていった直後に湖南線のムグンファがやって来て龍山に向かう。長項線経由のセマウルがホームに待機している。下り方面、木浦ゆき列車がやって来た。

 これが観光列車、ヘラン。個室寝台と食堂車、ラウンジ車なんて組み合わせ。濃紺の塗装は日本の寝台列車を意識しているのだろうか。少し停まって湖南線を下ってゆく。
 荷物が軽くて一眼レフを持っていれば楽しいであろう40分が過ぎて目的のKTXが入ってくる。412列車、龍山ゆき。木浦仕立の18両編成に前後の動力車で20両。いくつか席が空いていて益山からの客が収まり、ほぼ満席。
 今度の座席は後ろ向き。TGVを踏襲しているKTXは集団見合式の座席で向きは変えられないから半分の座席が後ろ向きとなる。先ほどセマウルから眺めた景色が今度は後ろ向きに流れてゆく。
 今日はこのまま龍山へ戻るだけ。最後の列車だ。安心してビールを一本。どこかの駅で光州始発のムグンファを追い抜く。1時間に3本ほど龍山ゆきのムグンファがあるわけで列車密度の濃い区間である事が分かる。今度は論山にも停まらず西大田まで50分ほど。京釜線の合流をしかと眺め高速新線へと分岐した所で洩れなく眠気に襲われた。天安牙山に停まったのは気づかず、目覚めたのは光明の駅。さほど人は降りないまま最終区間となる。まだ明るい夕方のソウル。1号線が現れるとゆっくり流すような走り。漢江を渡ると速度が緩んだ。終着、龍山にはほぼ定刻の到着。
 本日はソウル泊。ホテルは龍山とソウルの間、南営に用意している。1号線に乗り換えて一駅。駅からさほど離れていないホテルと言うよりはラブホテルと言いたくなる雰囲気のホテルに投宿する。
 まだ明るい時間帯。ホテルに引きこもってもいいけどそれよりは出掛けたい。ソウル初日に一緒に食事した友人とあわせてソウル滞在中の友人と4人で食事をする。待ち合わせは明洞。すぐ近くにある4号線淑大入口まで歩けば、明洞までも1本。ホテルの部屋から待ち合わせ場所まで20分で楽勝。この立地、意外とバカに出来ないかもしれない。
 今日はプルコギの店に連れていって貰う。人気店のようで少々待たされる。10分少々だっただろうか。

 ビール。生ビールとして出されたのがアサヒだった。小グラスでも8000KRW。韓国の物価に慣れた身には余りに高すぎ、少々バカらしい。

 プルコギは目の前で作るシステム。おかずとして出てきたのがポテトサラダだったり、豆腐だったり、サラダだったり。ずっと韓国料理だった身には少々新鮮な無国籍風韓国料理。

 食事の後は街中でのデザートにお付き合いしたり、賑やかな街をぷらぷら。お目当てのお店に付き合ったりしているうちにまもなく23時。さすがに解散。ホテルに戻る。地下鉄で3駅だからやはり楽。
 帰りに1本買ってきたビールを飲み干すと早々に寝ることにする。明日の朝も早い。