2018-06-16

 4時過ぎに無理矢理起き出した。旅先、ソウル駅に近いホテルの一室から今日が始まる。二日連続の早起き。眠い。
 身支度少々。4:45には部屋を出る。目の前のソウル駅へ。

 この時間でもバスは走っているのかぁ。
 朝帰りの人。スーツケースを持った旅の人。目立たぬように眠る野宿の人。そんな人たちがぽつんといるような午前5時前のソウル駅。駅構内は煌々と灯りが灯っている。

 朝いちばんのKTXは5:05に出発する。今日はこの列車から行程を始める。手元にはKRパスの1日券。今回は久しぶりに韓国鉄道、KoRailの落穂拾いをやろうと思う。
 最後に1日券を使って走り回ったのは2011年。この時は東大邱から釜山まで開通したKTX専用線、慶全線馬山まで乗り入れをしたKTXに乗っているが、その後、湖南方面もKTX専用線が出来たり、浦項KTXが乗り入れたりと。そして今年の冬。平昌五輪を機に江陵まで新線が出来たりと、そるそろ変化が看過できなくなってきた。そこで重い腰を上げた次第。気になりだすと1日ではとてもとても無理だけど、ひとまず大きなところを片付けに行く。
 最初に乗るのは

 401列車。5:05出発の馬山ゆき。既にホームに列車は入っている。前後動力車、中程に付随車8両という構成のKTX山川。室内を見ると3割ぐらいだろうか、お客さんが乗っている。今日は馬山に行くわけではないが、ひとまずこちらが第一走者。
 隣に停まっていた同じくKTX山川が先に発車する。龍山あたりからの営業列車だろうか。こちら401列車は定刻より少々遅れての出発となる。始発なのに遅れるとは何事だ、とは思うけど、在来線とKTX、両方が入り混じれる京釜線ソウル口はダイヤ乱れの源が多いのだろう。
 列車は加速して龍山を通過。漢江を渡ると軽く加速。目覚め始めた1号線の列車とすれ違い、KTX専用線に入ると速度を落とす。最初の停車駅、光明に到着。

 ソウルから15分程。朝4時に起きてわざわざ来る所ではないが、降りる。時間が少々遅くなった分、人が動きやすくなっているのか、光明乗車の人が案外と目立つ。そしてホームには次の列車を待つ人もちらほら。

 先程の401列車の後を追うように、KTX山川が入って来る。こちらは501列車。龍山始発。前10両木浦ゆき、後ろ10両麗水ゆき。こちらに乗り換え、湖南高速線をやっつけるのが今日最初のミッション。
 わざわざ光明でKTXを乗り継いだのは訳がある。本当は龍山始発の501列車に龍山から乗れればそれでよいのだが、龍山5:10に間に合わせようとすると1号線では間に合うか確証が無かったのである。この計画を作る際に既にソウル駅前のホテルは予約していて、龍山5:15に乗るには、と考えて考えて、はたと光明乗り継ぎを思い至った次第。高速鐡道を乗り継ぐのはバカと思われそうだが、今日一日はKoRail。いくらでも乗れるのである。
 韓国の鉄道。日本ほど正確ではないのだが、始発列車とその後を追いかける列車の順番が入れ替わる事は無かろうと、光明4分乗り継ぎをやってみた次第。そして読み通りに成立した。
 501列車。乗り具合は半分程。今日は新線区間の光州松汀まで行く。到着は6:45なので残り1時間20分程。ひとまず眠いので寝てしまう。景色を眺めるのは折り返し便の時で良い。
 ウトウトする間に湖南高速線に入ったようだ。益山で麗水に向かう後ろ10両と分かれた筈だが夢の中だった。どこか水田の中に敷かれた高速線を突き抜け、気が付くと光州松汀の案内。降りる。 

 列車は木浦まで行くが高速線は光州松汀まで。ソウルから乗り継ぎ含めて2時間しか経っていない。10年以上前に夜行ムグンファに乗って光州まで6時間掛けて、午前4時前に光州駅に降ろされた事があったが、高速鉄道で2時間となると夜行列車なんて無くなるだろうなぁ。KORAIL時刻表(非公式日本語版)に拠ると木浦までは週末運転のムグンファがあるようだが、光州へは2:24光州着という終列車の延長戦みたいなムグンファだけ残されている様子。
 今日はここから引き返すのだが、少々面倒な事をしなくてはならない。
 次の上りKTXは光州松汀発7:50の504列車。その前に652列車水西ゆき、というのがあり、出来ればこちらに乗りたい。この652列車。運営がKoRailではなくてSR社というKoRailとは別の企業。手元のKoRailPassは通用しない。
 そんな訳で切符を買わなくてはいけないのだが、出発が7:09。手元の時計で既に5分前になっている。501列車の光州松汀着は6:56だったのだが、少し遅れていたようだ。寝ていたので今の今まで気づいていなかった。
 切符を買わなくてはいけないのだが、窓口はKoRailの物しかない。券売機は、生憎ハングル語表記しかない。どこか言語を選べるのかもしれないが、ハングルしか眼に入らない。釜山駅の券売機は多言語対応だったと思ったけどなぁ。
 仕方ないので窓口に行き、片言の英語と韓国語でSRT、天安牙山と伝える。時間ないとと言われつつも希望の列車、指定券が出てくる。お値段は29,800KRW。3000円少々か。日本の交通費を思うと安い。因みにKRパスは80,000KRWぐらいだったか。
 ホームに行くと列車が停まっており、もう発車する所。写真を撮る間もなく適当なドアから乗り込む。上りは定刻に発車するようだ。宛がわれた席に座る。今度は起きてしっかりと景色を見よう。
 窓側から見える湖南高速線の景色。昔々乗った湖南線の景色はあまり印象に残っていないが、似たようなものだろう。山間の中、田圃が広がる。水田には水が張られ、既に田植えは済んでいた。ソウルばかり見ていては忘れそうだが、韓国も稲作の国である。

 北に行くに従い段々と田は広々として来る。27分で益山。全羅線、長項線を分ける鉄道の要所らしく、

 機関車や客車の姿がちらほらと。ちらほらとお客さんが乗ってきて空いていた席を埋めてゆく。間もなく発車。湖南線と並行したのち、こちらが北側へと逸れてゆく。湖南線の在来線が大田で京釜線と合流するのに対して、湖南高速線はそれより北の五松で京釜高速線と合流する。その沿線には湖南線には捨てられた百済の都、公州がある。この列車は通過だったけど

 水っぽいエリアが公州だっただろうか。
 列車は何時の間にか京釜高速線と合流し北へ。

 何やら試験車両が放置されている事に気付いたりしていると速度が緩む。指定券を取っている天安牙山に到着。定刻の8:15であった。



 塗装が違うのでだいぶ趣が違うが、来る時に乗って来たKTX山川とそんなに違わないSRTを送る。光州松汀、天安牙山。共にKoRailの駅であり、通って来た路線もKoRailの路線。運営会社だけ違うという一見さんには分かりにくい状態だが。SRTはソウル側の発着が、ソウル駅でも龍山駅でもなく、江南の水西。水西から60㎞程の独立路線を保有して、その先はKoRailに乗り入れているらしい。仕組みを理解していないのでうまく説明できない。
 朝8時過ぎ。天安牙山。今度は京釜高速線を南に下る。次の列車は8:50。少々間があるので、その間に朝食を済ませる。ロッテリアが目に入ったがハンバーガーじゃなぁと思っていたら韓国料理系のスタンドがあった。StoryWayの文字がありKoRailの営業と知れる。
 メニューがハングル文字オンリーで写真も無いので困ったが、何とか何とか、何かを注文する。みなさん食べているものはキムパプ、インスタントラーメンとかだったのだが、それ以外で何かを指さし。出てきたのは


 もやしのクッパ、って言った所でしょうかねぇ。味は薄い目だったので付け合わせで出てきたキムチで調整しつつ頂く。美味しいけど熱くてなかなか進まない。そんな訳でキムチが無くなる。付け合わせのキムチ、好きに持って行って良いようになっているように見えたのでキムチだけ盛りに行くと

 明らかに前より盛りが良い。
 発車10分前に完食。ホームに戻る。

 1本前の釜山行き315列車は遅れているようだ。どうやら下りのソウル口に絡む列車は遅れやすいが、地方から来る上りはそうでもない、というのがこの数時間に見てとれた京釜線系統の傾向。在来線とKTXが同居する区間に無理があるのだろうなぁ。
 遅れたSRT315列車に続いて

 455列車、東海線浦項ゆきがやってきて乗り込む。こちらで終点の浦項に向かう。車内は立席も出る混雑ぶり。指定された席は通路側だったが、窓側には先客あり。
 通路側の席に座っているとウトウトしてくる。大田駅前後は在来線共用区間KTX専用線になったと聞いていたのでだいぶ景色が変わっただろうと思っていたが、気が付いたら通過していた。もう大邱までは寝ようと決める。二日続けての早起きがだいぶ堪えている。
 目が覚めると‌防音壁の脇を通っている。どうやら大邱市内の様子。大邱専用線になったと聞くがあんまり専用線感がない。分からないまま東大邱の駅へ。だいぶ降りてその代りに乗って来る。次は終点の浦項まで停まらない。
 隣のホームにやってきた下りムグンファとこちらのKTXが同時発車となってようやく専用線を走っている事を知る。専用線と聞いて、太田も大邱も、新幹線みたいな高架線でもできたようなことを思い浮かべていたのだが、どうやら在来線の線増みたいなものか。速度を上げてムグンファを振り払うと列車は釜山方面へと続く高速線をひた走り、そして速度が緩む。通路側に座っているので詳細は分からないが、明らかに高速線を離れた感じ。
 通路側の席なので良く分からないが、どうやら新線らしい。前に浦項まで行ったのは2006年8月4日のこと。この時は慶州から各駅に停まる通勤列車に揺られた。ホームもないような草生した駅に停まり老人が降りて行ったり、車内で喧嘩が始まったり。当時の京王線恥辱を読み返さなくても記憶の蘇る旅だった。
 その時通ったと思しき単線非電化の線路がちらっと見えつつ、浦項の街に列車は向かう。街に向かっているのだが、到着して見ると、何もない所に立派な駅だけがあった。どうやら新浦項、というらしい。全く見覚えのない駅に到着する。


 乗り直しなのか新線の乗りつぶしなのか、定かでないけどひとまず浦項までのKTXを乗り通した、という実績が残る。
 2006年8月4日に乗った東海南部線。釜山側は広域電鉄化したし、海雲台のあたりもルートが変わった。釜山近隣も一度乗りなおさないとなぁと思う。この調子だとKoRail全線踏破二周目になりそうだ。
 さて、この先。実は真正の新線が待ち構えている。東海線。浦項から盈紱まで38.6㎞が今年1月に開業したのだそうだ。KTX山川が停まる隣のホームに行ってみると



 12年前に通勤列車で乗った気動車9501系。姿を変えて、今日はムグンファとしてここにいる。こちらが東海線を盈紱まで行く1735列車。こちらもKoRailパスで指定券を取っている。


 しかし12年前の浦項ともう一度比べてみようか。12年前は汽車駅だねぇ。今は電車駅だ。そういえば京王ともご無沙汰しているが、今の京王を見に行けば同じように隔世の感を覚えるだろうか。京王ライナーに乗ってビールでも飲めばそんな気がするかも知れない。
 さて、車内へ。

 通勤列車の時は転換クロスとロングシートの組み合わせだったが、ムグンファ用に転用されてからリクライニングシートに換装されている。内装がファンシーになっているのはこの車両の外装と合わせたと思われるが、この辺の事情は不明だ。
 出発は10:56。KTXから乗り換えた人が中心と思われるが3両つないだディーゼルカー。3両目は半分も埋まっていなかった。
 ほぼ定刻。ドアが閉まりエンジンが唸る。出発。真新しい線路敷を踏みしめてムグンファは北へと向かう。左の車窓には建設中の高層住宅。右手には

 建設中の線路。一体どこに伸びるのだろう。こちらのインフラ整備の事は正直良く分からない。東海線の変遷もとてもじゃないけど理解できない。ただ、目の前に乗れる列車が走っているなら乗れる所まで乗るだけだ。
 列車は徐々に速度を上げ、東海線を北に向かう。一つ目の駅、月浦の前で

 線路の名前通りに海が見えてきた。郷に入らば郷に従うならば東海。とはいえ秋田出身の人間には紛うこと無き日本海だ。
 この東海線。日本海沿いに将来は三陟まで伸び、釜山と江陵が一本に繋がるのだそうだ。本当にやるの?と気がしないでもないが、インフラ整備に関しては有言実行、なんですかねぇ。ひとまず盈紱まで乗り通してソウルに戻るけど、何時の日か、もう一度この線路をなぞり返す日が来るのかも知れない。
 このまま海沿いを走る東海線。とは言え遠くにちらちら臨む、という感じが続く。街が現れると立派な駅も現れる。少しはお客さんが降りてゆく。


 今のところの終着、盈徳駅には定刻に到着する。

 盈徳駅の周りにはこれまでになくまぁ大きな市街地が広がっている。この先、38度線にだいぶ近い三陟駅まで延伸する東海線だが、浦項からの30㎞ちょっとを中途半端に開業した理由が少し分かる気がする。
 折り返しのムグンファ1736列車の発車は11:50。ちょっとだけ間がある。駅の外に出てみた。

 韓国あちこちにある規格品の駅とは明らかに違う気合の入った駅舎がある。一日数本しか発着しない駅とは思えない。奥の方には今日乗って来た気動車の写真がでかでかと掲げられていた。目玉列車らしいのだけど、乗っていてその理由が良く分からなかったのは少々残念。
 駅構内には売店もあって、少々の買い物が出来る。気分転換に菓子とコーヒーを買ってみた。

 車内に戻って頂く。缶コーヒー2,200KRW。クッキーは700KRW。缶コーヒー、今のレートで250円近いから相当な高級品の筈だが、そのくせ、韓国語でいう所のコピ、であった。うっすーいのである。周りの韓国人を見ると缶コーヒーよりカップに入ったコンビニコーヒーと思しきものを飲んでいる人が目立つ。
 帰りの1736列車も3割ほどの乗車だった。寂し過ぎる事は無いが、盛況という程でもない。

 よく整備された途中駅をいくつか眺めて浦項に戻る。12:24の到着。10分の接続でKTX山川に乗り換える事が出来る。結構な人数が線路を挟んだ隣のホームに移動していた。大邱やソウルへのお客さんがムグンファを利用しているようだった。


 この時間の浦項。客車ムグンファに気動車ムグンファのノーマル塗装車がいる。前にも掲載したKORAIL時刻表(非公式日本版)に拠るとソウル市内釜田からの客車列車、東大邱からの気動車があるようだ。12年前の汽車駅浦項に集った役者も、場所を変えてまだまだ活躍しているのだった。


 さて乗換。今度はソウル行きのKTX山川。これでソウル方面を目指す。ソウル方面とこの時点ではお茶を濁す
 宛がわれた席は再び通路側。浦項から東大邱への線路は人越しに眺める事になる。列車は淡々と高速線では無い専用線を進み、気が付いたら京釜高速線に合流している。速度を上げると13時過ぎには東大邱に到着。ディーゼルムグンファが2時間掛ける区間KTX山川は36分で走ってしまった。今日はこの後も韓国国内を駈け廻るが、KTX無しには有り得ない行程である。最も、KTXがなければ、こんな無茶な移動はそもそもしなかっただろう。
 浦項からのお客さん、4割ぐらいが東大邱で降りた。浦項も製鉄所のある立派な都市の筈だが、それでもみなさん、大邱に来るのか、と思う事になる。KTXが作った需要かも知れない。
 そして大邱の人はソウルに向かう。ソウルまでは東大邱から1時間48分である。席が埋まって出発。京釜在来線に沿って出来た高速列車用の専用線を走る。市内なので騒音対策だろうか、でっかい防音壁があり、大邱の街並みは分かりづらい。気が付いたら高速線に進入、速度を上げていた。
 この辺りは2004年に営業運転を開始した一番古い区間である。列車が速度を上げると妙な揺れを起こすようになる。上下に動きを感じる。収まる時は収まるので路盤起因とは思うのだが。開業から14年。そろそろ大規模な保守が必要な時期かも知れない。日本の東海道新幹線だって同じ頃には大規模な運休をして保守に手を掛けていた。
 列車は大田の専用線に入って太田駅へ。北に向かう客車ムグンファとほぼ同じタイミングで出発する。
 そろそろ今日の迷いどころの第二弾がやって来る。462列車はこの先ソウルに15:05に到着。その後はKTX江陵線に乗るべくソウル発16:01の823列車を予約している。随分間延びした接続だが、ここには少々意図がある。 今朝ほど乗ったSRT。このSRTのソウル都心側区間KTXと独立していて、発着はソウル市内江南の水西という所になる。水西から61.1㎞は独立した線路で、流石に無視はできない。今回はこのSRTの独立区間、水西平沢高速線とウィキペディアには掲載があるけど、こしらも乗ってしまいたい。
 今乗っている列車、この先、五松に14:18に到着する。その後14:34に332列車水西ゆきがあり、これが水西に15:16に到着する。水西からはソウル市内、盆唐線と中央線の乗り継いで清涼里に行けば、予定している823列車が16:21に出発となるので何とか乗換が成立するのでは無いか、という次第。
 このままソウルに行って1時間、食事でもするのとどっちがいいかなと思ったが、気分的には新線の方が魅力的であり、五松で降りる事とした。

 14:18、ほぼ定時である。この後のSRTが遅れているようだと江陵への列車に影響するのだが、これなら大丈夫だろう。
 先程の通り、SRTはKORAILパスでは乗れないので、窓口に向かう。韓国語で一言、Suseoと伝える。水西の韓国語発音である。地名だけ言えば意図は通じるだろう。
 係員がカタカタ指定券発券機を操作すると338列車、水西16:01というのを出そうとする。待て、となる。しかしこの先は韓国語では無理だ。片言の英語になりざるを得ない。指さしでこれは?と332列車hを指さす。「Full」と答え。自由席、何ていうんだっけ、そうだ「自願無座」いやこれは台湾のいい方だ。英語で、、、「Standing」と聞くと「No」と。「アニョ?」とここだけ韓国語で聞き替える。KTXには自由席があるので、指定席がなくてもと構えていたが、立席、設定が無いのか。
 困った事になったが、この時点でSRTを諦める。次善策は練っていないが、ソウルに行かねば、方針変更。ソウルに行きたいとKORAILパスの控えを提示。ここからが大変だった。生憎、462列車の予約をソウルまで入れている。先の予約があると重複した予約が取れないのは、2006年、係員とやりあった際に認識している。
 462列車の指定の控え、これはスマホに保存したキャプチャだけなのだが、それを見せ、ソウルに行きたいと伝えると、やってほしい事は何となく通じたようだ。しばらく格闘の後、五松14:38→15:35ソウルという512列車の指定券を出して貰える。
 結局五松に降りて無駄に騒ぎになってソウル到着の時間が30分遅れて、ソウルで食事を取る時間も無くなっただけになる。ソウル行きは8番線と言われてカムサハムニダと伝える。ありがとうの丁寧な言い方。
 五松に降りたのは5番線。今度は8番線。おやと思いつつホームにあがる。

 目の前に乗るつもりだったSRTがやって来る。黙って乗ればと一瞬思ったが、やめておこう。次の課題を見送り、出してもらった列車を待つ。

 別ホームに入って来た姿を見て、はっと思う。このホームは湖南線。隣のホームは京釜線かと。この五松駅、東北新幹線の大宮駅みたいな作りだという事に初めて気が付いた。気が付いてどうなるものでもないけど、降りただけの収穫と思う事にする。
 改めて時刻表を見ると木浦から来た514列車。初代KTXに乗る。

 フランスTGVの移植みたいな車両。普通席は不評な集団見合い式となっている。前後動力車込み20両というのが使いづらいのか、半分の10両になったKTX山川の勢力が増えている。今日もこの先、初代KTXに乗るのはこの1度だけとなる。

 登場14年を経て改良も行われている。電源が追加されていた。生憎一部の座席だけだけど、コンセントとUSBがあって、サービス向上は図られているようだ。ちょっと使ってみたが、稀に補助電源の問題だろうか、給電が停まる事がある様子。新幹線の電源も停電する事がありますので、という注意があるけど、実際停まった事、経験ないなぁ。
 木浦発。湖南線系統は本来龍山発着の筈。この列車も龍山終着の筈のだが、ダイヤ上は龍山の後、ソウルまで行くことになっている。10時間ぶりの光明に停まり、龍山ではほとんどのお客さんが降りてゆく。

 湖南線、全羅線、長項線と支線系統の列車が出るからか、龍山駅ホームには行先票がずらっと並んでいた。20年の前の秋田駅、あるいは先日のファランポーン駅を思い出す。
 がら空きになったKTXはもう一駅、ソウルまで。ゆっくりと走ると振り出し、ソウル駅に。15:35、定刻着となった。

 到着ホームのすぐ隣を貨物列車が走って行く。こんなに色々な列車が混じるのであれば、そりゃ遅れも出るよねと半分納得するこの時間のソウル駅。

 その後も各地に向かう列車が入り混じる。その中で見たことのないITXセマウルの文字を見かけたので4番線に脚を伸ばしてみた。

 同じITXを名乗る車両でも初代のITX青春が通勤車両の延長線みたいな雰囲気だったのに対して、こちらのITXセマウルはKTX山川を思い起こす顔付き。
 さて、江陵に向かうKTXに乗る。座ってばっかりなのに軽く空腹を覚える。とは言え何か食べてゆく時間は無い。
 韓国でも食堂車や車内販売は衰退している。車内販売も全廃になったとか、でその代わりだろうか、お弁当の店が構内に増えた。中には 

 日本の弁当店も進出しているのね。ちょっと高めの設定だったけど。

 麺のランチボックスは面白いと思ったけど、韓国でナシゴレンは無いなぁと思ってパス。結局キムパプを買って列車に向かう。今度の列車もKTX山川。

 16:01に出発するKTX山川、823列車。01分とは中途半端だが、00分に釜山行き145列車があるので、除けられたのかも知れない。出発ホームも14番線とソウル駅の一番端。除け者感が半端ない。本来は清涼里がターミナルとなる中央線方面の列車が故、かもしれない。
 列車の座席は7割ほど埋まっていた。


 まずは先程買い求めたキムパプを食べる。細巻きなのが珍しい。食べ終わる頃に列車は出発。今度は定刻だ。
 列車は東行きだが、まずは南下して龍山へ。ここから中央線に入る。

 漢江の川沿い、通勤列車に挟まれてゆっくり走る。車両が立派なだけで全く速くない。

 ようやく中央線のターミナル、清涼里へ。ここまで20分程掛かっている。ここで見た目満席になる。この先も中央線だが、元々通勤列車と長距離列車が同居していた区間KTX江陵線もソウル側は新線ではなくて在来線を走る。
 清涼里を抜けると列車は時速100㎞以上は出るようだ。そこそこ快速になって ソウル近郊、だんだんと山がちになるエリアへと進んでゆく。

 随分と郊外まできたが、この辺りもまだ電鉄化されていて、駅が現れると電車の高いホームが見える。日本人の目が見ると無茶に見えるとインフラ整備に見えるけど、吉と出るのか凶と出るのか。
 ソウルから100㎞以上を在来の中央線で駆けてきて万鍾で新線に入る。明らかに走りが変わる。車窓はトンネルと山のフリッカーに変わる。たまに人家が見えると防音壁。車窓的にはとにかく、写真にはなりづらい景色が続く。こんな山の中にも街はあって、列車は横城という駅で停まる。江陵への高速線は在来線と全く関係なく敷かれているので、今まで鉄道と全く無縁だった街の筈だ。
 短い停車の後、再び列車は走り出す。

 山と谷間、たまに人家の続く道。二つほど通過駅があってその一つが平昌。オリンピックの名が付いた駅。ただこの辺り一帯、割と広いエリアがオリンピック会場だったようだ。次の停車駅、珍富が会場へのバス乗場だったらしい。

 目的地の江陵は日本海岸の街。進むに従い、谷間が広がってやがて平野になる。右手から在来線が寄って来るとどうやら江陵が近いようだ。間もなく到着。


 江陵の駅も12年前に訪れているが、まるで雰囲気が違った。場所自体は同じらしいのだけど駅構内はまるで変っている。

 本当に同じ場所か?と思えるほど駅の様子が違う。
 折り返しは30分後を予約している。ちょっと外に出てみた。


 真新しい駅舎の前にはオリンピックのモニュメントが飾られている。12年前、駅の待合室で浮浪者に煙草をたかられた同じ駅とは思えない。しかし、駅の脇、どうやら元駅舎らしい建物があって、その駅前の雰囲気には見覚えがある。同じ場所で少しずれたのか。何となく納得がいって、確かに12年前に訪れた場所だと理解に至る。
 駅舎に戻る。座っているだけなのだが、何となくお腹に入れたく、

 オデンを頂く。2000KRWだから結構割高。駅構内だから、なのか、オリンピックで強気な値段設定になっているのか。

 折り返しはKTX828列車に乗る。江陵18:30→20:36ソウルという列車。在来線だと遠回りして5時間以上かかる区間なのでKTX効果が存分に発揮されている事になる。

 土曜日の夕方だが、結構お客さんが乗り込んでゆく。8割がた座席が埋まった。定刻に出発。来た道を戻る事になる。帰りは電源を生かしてここまでの京王線恥辱を綴っておくことにする。
 子午線の西にあり日暮れの遅い韓国の大地も19時が近くなり赤く染まり始めている中を列車は走る。途中、平昌にも停まったのだが、なんてことはない寂しい駅だった。少しお客さんが乗って来ただろうか。再びの山の中。1時間ほどで高速線は尽き、中央線へと歩みを進める。とたんに脚が鈍る。

 外はまだほのかに明るい。夜明けと同時に動き出した今日のKorail乗りつぶしも828列車がソウルに着くと終了となる。久しぶりにハードな乗りつぶしで体力的に持つか、心配だったが、まぁ何とかなった。
 20時になると流石に外は暗くなる。その代りに街灯りが目立つようになって来た。列車はソウル市内、1号線連絡の上鳳でお客さんを大量に降ろす。市内に主要拠点に行くにはその方が早いかも知れない。中央線長距離列車のターミナル、清涼里でもまた下車。中央線の電鉄区間に入ると途端に速度が鈍る。時折、下りの線路をKTXやITXが駆けてゆく。
 龍山で京釜線に合流すると速度がさらに鈍った。それでもソウル着は定刻。


 同じく端の14番線へ。朝5時から15時間半に及ぶ一日が終了。
 明日も朝は早い。今日は適当に食事をして早々に寝てしまいたい。昨日は夕食を食べるところで散々迷ったが、今日はえいやで入ってしまう事にする。


 なんてことはないビールはCASSなのだが、ロゴがなんか変。ちょっと考えてロシア文字と分かる。ワールドカップ仕様か。面白い。



 マンドゥとビビン冷麺を食べたのだが、お世辞にも美味しくなかった。これなら多少高くてもソウル駅構内で食べておけばよかったなかなと若干、後悔。冷麺を残す。
 ホテルに戻り自室で荷造り。明日も早いのでさっさと寝てしまう事にする。

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