森の中にある首都

 マレーシアの首都、クアラルンプールのホテルで目覚めた。時刻は現地時間6時半過ぎ。まだ真っ暗だ。東経101度だから明石の34度西。時差で2時間あっても不思議はないけど日本との時差は1時間。その差分のせいか朝はひどく遅い。
 ようやく夜が明ける。外は曇りがち。眠くなりそうな空が広がっている。
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 曇り空の下に広がるのは森、じゃなかった街。この眼下は公園らしいのだけど、それにしてもどこまでも木々に生い茂るその中にビルが浮かぶようだ、そんな印象の街が広がっている。今日は一日、この街を観光する予定。まずはLRTに乗ってKLCCに向かう。時刻は8時過ぎ。平日なのでちょうどラッシュ帯だ。
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 昨日は暗かったKL Sentralの駅前。「Sentral」何か不思議な言葉だが英語の「central」を日本語表記で「セントラル」とするのと一緒でマレー語表記だと「Sentral」。イギリスの植民地時代に文字がアルファベットになったのだとか。
 さて、LRTのホームへ。磁気式の切符を買い求める。高架のホームへ上がると結構な人だかり。
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 しかしいろんな人がいる。一番目立つのはスカーフを被ったムスリムの女の子だけど、対照的にひどく薄着の華僑の子もいる。数はすくないけどインド系の人もいるそうで、文化の混浴、といいたくなるような状況。
 電車が一本来る。やって来たのは路面電車を少し大きくしたような2両連結の軽電車。とても乗り切れないけど、乗れないとなると無理して乗らないのがこちらの流儀のようだ。そして次の電車は
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 程なくしてやって来る。これは続行なのか始発電車のようで誰も乗っていない。こちらに乗る。車内はたちまち満員になり、乗り切れない人は大人しく次の電車を待っている。ドアが閉まって鋭く発車。結構飛ばす。途中からは地下に入ってさながら地下鉄の様相。
 10分ほどでKLCCに到着。今日第一の目的地は、ペトロナスツインタワー
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 高さ452mは出来た当初は世界一の高さを誇ったというとんでもないビル。ここの展望台を見たいのだけど、このビル。観光用ではなくてペトロナスという国営石油会社のオフィスビル。見学はできるのだけど、一日に入場できる人数は制限があって朝8時からその日の分の入場券を配っているのだとか。
 着いたのは確か8:45ごろ。その時で
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 この有様。幾重に出来た行列の後ろに並ぶことしばし。見学は各回定員制のようで、9:00開始が見る見る間にお昼になり、午後になり。それでも
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 15:30からの回、ゲット出来た。
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 時刻は9時半ぐらい。まだまだ先は長いので一旦ペトロナスツインタワーを後にする。近くにあるモノレールの駅まで歩いてみた。
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 道端には大きな木が幾重にも続いている。街路樹というには大きすぎ、朝、ホテルで見たときの印象、森に近い。道端に驚くほど大きなガジュマルの樹があったり。歩道を思いっきり塞いでいるのはご愛嬌だけど。
 木陰のおかげであまり暑い思いをせずにモノレールの駅まで歩ける。まもなくやって来たモノレール。
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 跨座式のモノレール。丸っこい形が沖縄のゆいれーるを思い起こさせる。でもゆいれーるよりも小さいか。既にラッシュ時は過ぎているので座れる程度の混雑。走り出すと結構早くてカーブに差し掛かるとGすら感じる。
 3駅ほど乗ってやってきたのはインビ。ここから少々歩いた所で今日の朝食。入ったのは中華系のお店。
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 名物である肉骨茶。バクテーと読む。骨付き豚肉のスープ。そのスープは漢方を調合しているのだとか。それだけ書くと薬膳みたいな感じだけど、普通に美味。いや、非常に美味。
 改めて観光に。初めてのイスラム圏なのでモスクを見てみたいと言うことで移動する。モノレールで一駅。
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 乗り換え。モスクの前をモノレールが行きかう。ここからは再びLRT。先ほどとは違う路線でやって来た電車は
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 LRTというよりは普通の郊外電車。3つドア車を6両ぐらいつないだ立派なもの。着いた先はマスジッド・ジャメ駅。駅名にもなっているマスジッド・ジャメの最寄駅。高架のホームからは立派なモスクが見えている。
 さてそのモスク。入口に近づくと係員に止められる。金曜日はイスラムの祝日なので見学は15時以降にしてくれと仰ったらしい。今はまだ11時すぎ。しばらくはダメということで諦める。が、入口で惜しそうに見ていると
「ここから写真を撮ると良いと思うよ」
 的な事を言われる。なら遠慮なく
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 撮らせて頂きました。
 マスジッド・ジャメが見れなかったので代替案として、ムルデカ・スクエアへ行く。今居るところから歩いてちょっと。
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 LRTを眺めて少々歩く。まもなく芝生の青々とした大きな広場が見えてくる。
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 独立広場と言う意味のムルデカ・スクエア。高さ100mという国旗掲揚塔が目立つけど今日の風は大人しめ。団体バスが次々着いて写真を撮る観光客がいっぱい。
 お昼近くになりいい加減、汗をかく。一旦ホテルに戻ってから出直すことにして、再びLRTに乗ってKL Sentralの駅。ホテルでシャワーを浴びた後、昼食を食べてからペトロナスツインタワーの見学に間に合うようにと逆算して13時すぎ、再び出掛ける。
 今日二度目のKLCC。
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 格安航空の雄、とでも言うのか、Air ASIAの広告が目立つ通路を歩いてショッピングセンターへ。ここまで行けば何かあるだろ。朝は中華系だったから昼はマレー料理を頂きたい。
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 地上4階地下1階。伊勢丹紀伊国屋書店もある大きなショッピングセンター。食事もフードコートに日本食に、まぁいろいろある中で流行っている雰囲気のマレー料理の店に入る。メニューを見て適当に頼んでみた。
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 オタオタという一品料理。バナナの葉に包まれた中身は
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 魚のすり身という触れ込み。さつま揚げ的なものを思い浮かべたけどちょっと違います。でも美味しい。確か8リンギ。
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 メイン的なものにはナシ・ルマッを頼んだ。ココナッツミルクで炊いたインディカ米、と言うけどごく普通に食べられる。これは9.5リンギだったかな。
 お腹も一杯になり、ちょっとショッピングセンターを見て時間調整。そろそろペトロナスツインタワー見学の時間になるので受付へ向かう。15分前までに来てくださいという事だったけどちょっと早すぎ。ここで待ってなさいといわれた先にはタワーに関する説明文が出ているらしい。マレー語が中心だから訳分からないけど
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 これはわかりやすい。自分の背丈を計った上で、ペトロナスツインタワーが何倍あるかと表示する機械。単純なんだろうけど面白い。
 時間が来て見学開始。まずは通行証みたいなものを渡されたあと小劇場に案内される。ペトロナスの概要を紹介するビデオを見せられる。そして見学、だけどその前に
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 セキュリティチェックを。結構厳重。そして業務用という雰囲気の殺風景なエレベータに案内された。最上階は84階なんてとんでもない数字が並ぶエレベータ。今回見学するのは二つのタワーを結ぶ、ブリッジ部分。41階に相当する。
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 さぁ、見学開始です。真ん中まで駆け寄って、外を見る。眼下に広がるのは
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 雨のクアラルンプール。
 いつの間にか雨が降り出していた。眼下のKLCC公園も雨に濡れている。気を取り直してもう一枚。
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 クアラルンプールを。84階建ての真ん中だから、あまり高いような感じはしないけど、絶景である事には間違いない。それよりもすぐ下の階、オフィスだと思うけど、そこで人が働いているんだなぁなんて感慨を覚えてしまったりするのがちょっと不思議。
 KLCCのショッピングセンターでお土産やら今晩飲むビールやらを買う。KL Sentralの駅構内にあるセブンイレブンにはアルコールは売っていない。この辺りはさすがにイスラムの国。荷物が増えたのでホテルに置きに行く。もう17時をちょっと過ぎた所。既にLRTの駅は帰宅ラッシュが始まっている。長い行列が電車を待つ。到着すると秩序良く吸い込まれてゆき、後ろの人は諦めて次の電車を待っている。
 18時半過ぎ、夕食を食べに三度目のお出掛け。今度はKLモノレールに乗る。モノレールの始発駅もKL Sentral。ただしちょっと離れた場所の発着。ホテルの反対側、道路を渡った向こうだ。金沢八景に20年経っても入れないシーサイドラインを思い出す。
 帰宅ラッシュが一段落ついたからか、元々利用客が少ないのか、多少立客がいる程度の混雑でモノレールは動く。ちょっと場末のような雰囲気の街からクアラルンプールの繁華街へ入るとモノレールも混雑。今度はブキッ・ビンタンで降りる。ブキッ=丘、ビンタン=星、ブキッ・ビンタンはつまり星が丘。
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 KLタワーを見つつ向かうのはアロー通りの屋台街。まだ夕食には早いのかどこの店も空いていて呼び込みがうるさい。
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 適当な一軒を選んで落ち着く。メニューから適当に選んで注文。メニューになかったビールも
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 言えば出てくる。
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 サテーに焼きそば。野菜もつけて結構お腹が膨れる。食べていり間、テーブルには色々な人が来る。宝くじを売りつける男。物乞い。ティッシュを売る子供。店の中に自由に出入りするから黙認状態なのだろう。バンコクでは見られない光景。綺麗な首都、だけでは語れない現実もそこにはあるのだれうと少し感慨を覚えた。
 帰りもKLモノレール。薄暗い電車にゆられてKL Sentralの駅に戻る。
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 ホテルの部屋からは少しだけ尻尾を掴んだ気がしたクアラルンプールの街が広がる。軽く酒を飲み、少しだけ恥辱を進めた。明日は早い。そろそろ、寝ることにする。

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