2023-04-29

 喉が渇いて目が覚める。部屋は明るい。外は多分暗い。部屋でビールを飲みつつ途中で寝落ちたらしい。起きるべき時間までもうちょっと間がある。水を飲んでもう一度寝る。
 6時に起きだす。身支度少々。荷物を整える。今日の予定はおいおい明らかにするが、少々とち狂った行程とは自認している。
 身支度を進めて、朝食を頂きに行く。ずいぶんと長い行列が出来ていて驚く。
 東横インの無料朝食だから大したものとは思っていないが、

 ご飯は炊込みご飯。ご当地メニューとしてずんだ餅があった。
 朝食の後はホテルを出発。駅に向かう。昨日のフライト、新千歳→仙台を取った時は、何となく陸路で羽田あたりにたどり着いて、夕方改めて飛ぶぐらいの気持ちでいたけど、結局だいぶ様子が違う行程になっている。まずは新幹線の改札口に赴く。

 目指すは羽田とは逆、下りホーム。事前に割引で取ったチケットがあるのでそちらで入場する。簡単に土産物を買い求めるとホームへ。

 ちょうどやって来た上り新幹線に乗れば9時には東京。そこから先、普通列車乗り継ぎにしても当日中に膳所まで戻れるけど、

 北に向かう新幹線に乗る。5049B、Z15編成と後ろ10両は何か。仙台で降りるお客さんが多数あり、車内空いたのかと思ったが、そこまででも無かった。窓側席を指定していたが、隣にも人がいるぐらいの乗り具合。間もなく出発する。加速鋭く新幹線は仙台市内を離れる。
 最速で桜が咲いた2023年だとしても東北の春はまだまだこれから。

 田起こしの始まっていない田園地帯を目に北へとぶっ飛ぶ。遠くに見える奥羽山脈の山々、山頂にはまだ雪が残っている様子も見て取れる。時折街が現れ、立派な駅が流れ、時折田園の中に簡素な駅が現れる。仙台-盛岡は1982年の開業当時、各駅に停まって1時間だったと思ったが、40年経った2023年の東北新幹線は同じ区間を無停車で40分で走る。本当に目まぐるしく景色が変わる。時折現れる北上川がみるみる間に細くなる。
 途中、先行するやまびこを追い抜き、速度が緩むと盛岡になる。左手に見える北上川がだいぶ細くなっている。こまちとはやぶさの切り離しがある旨、誤乗防止の注意と共に告げられる。ぴったり定刻に盛岡到着。下車少々。代わりに乗って来る人は見当たらない。
 先頭のこまちの方が先発。5049Bが5049Mとなって盛岡を離れる。カーブを曲がると先程までの俊足は影を潜め、ゆっくりと田沢湖線を行く。こまち単独になって性格がお淑やかになったというか、何と言うか。人が変わった。
 女声がこの先の到着案内を告げる。言葉自体は標準語だが、どこかイントネーションに秋田訛りを感じる。新幹線が出来る前、上野発の奥羽線系統夜行列車では秋田車掌区の車掌長が「御晩でございます」と方言で車内放送をしていたそうだが、その事をふと思い出した。
 新幹線といいつつ新幹線ではないこまち。臨時列車らしく、対向列車がある度に待避となる。大釜で待避、時刻表上では通過の雫石でも待避。そんな調子で良く停まる。
 ショートカット線の計画がある仙岩峠に差し掛かる。

 よくこんな所に線路を通したというような沢沿いにお淑やかになったこまちは挑む。お淑やかと言いつつ、沢登りをしている訳だから侮れない。トンネルで岩手県から秋田県へと入ると今度は沢下り。あたりが開けると田沢湖到着となる。多少のお客さんが降りた様子。だが、連休初日の新幹線としては穏やかな方だろう。
 列車は秋田行きだが、今日は角館で降りる。もう一度、上り新幹線に道を譲った後、角館に9:18。本来なら枝垂れ桜が満開の時期、観光客で賑わう角館だろうが、今年の暴走桜前線は一気に列島を駆け散らして行った後。コロナ明け元年の観光業に肩透かしを食らわせている。降りる人は疎ら。

 5049Mは早々にドアを閉め、秋田へと駆けてゆく。
 角館で乗り換え、一旦改札の外へ。その待合室では

 客人を「おめえ」呼ばわりで歓迎してくれる。



 そして意外と各国から角館を訪れる人がいるのね。
 今日は角館が目的地ではなく、ここから出る秋田内陸縦貫鉄道が目的。膳所に帰るつもりで仙台を出たのに、なぜか真逆の方へと進んでいる。次の列車は9:50。30分程待ち時間がある。駅の窓口にゆき切符を買う。途中阿仁合で一度降りるのだが、
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 ワンデーパスを使う程ではないので、普通に阿仁合までの乗車券を頼む。すると阿仁合から先、どうするのかと聞かれて、鷹巣に出ると答えると片道寄り道きっぷというものを勧められる。1回途中下車できる切符だそうだ。そちらの方が安い、と。特に逆らう必要はないので、そちらを選ぶ。1,800円。
 改札は10分前からだそうなのでちょっと間がある。かといって武家屋敷まで足を伸ばす時間は無い。駅前だけをぶらぶら。先日来、駅前旅行者が続く。何度か訪れている角館駅前だけど、

 こんな動輪が飾られているのは記憶になかった。昭和51年に当時の秋田鉄道管理局から譲られたとあるので、最近設置されたわけではない様子。その割には綺麗に維持されている。
 そろそろ改札が始まる所。駅に戻ると、東京からこまち1号が到着している。単に仙台から角館に来るなら、これで良かったのだけど、まぁ良い。多分、臨時の方が空いていただろうし。
 秋田内陸線の駅構内。

 6:33に列車を出した後が9:50となっている。前はもう少し本数が多かった気がするけど。ひとまず写真を撮った後にボックス席に座る。車内は1ボックス1人ぐらいの割合で乗っているから、まぁまぁ乗っている。

 北東北限定、というジュースと共に発車時間を迎える。ホームには鉄道の関係者らしい女性が出て出発する列車に手を振り、見送る。ふと、同じ秋田県内の第三セクター由利高原鉄道のまつ子さんを思い出す。
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 列車は角館を出て田沢湖線に沿ってゆく途中、田沢湖線普通列車とすれ違う。角館9:52という普通列車があって、微妙に接続していないのだった。意地悪な事だが、秋田内陸縦貫鉄道に乗り継ぐ人は、こまち1号のお客さんだけ考慮すればいい、という実績があるのかもしれない。
 列車は左にカーブして田沢湖線と離れ、桧木内川沿いの盆地を進む。

 東北新幹線で見たような、田起こし前の田園地帯が車窓をゆっくりと流れる。そして

 時折、花々も車窓を彩る。少し奥に入った分、春の訪れも遅いようだ。
 各駅に停まりつつ北へと進む。八津の駅で、対向列車とすれ違い、との案内がある。しばらく間があった後、やって来たのは

 急行列車だった。1988年の開業当時は展望席つきの特別車両があったが、今日使われているのはその後改装された観光列車。ヘッドマークに又鬼、の文字。

 急行は全速で通過してゆき、ホームの脇に咲く桜の花がさっと散り舞う。
 列車は桧木内川に沿って上流へと分け入る。国鉄時代の終着だった松葉を過ぎると目の前に見える山々は低いながらも谷が迫ばり、谷間に紛れ込んだような気分になる。

 杉の木に桜の花。春の雰囲気漂う中を少しずつ登ってゆく。仙北側最後の一駅を過ぎるとトンネルが混じるようになる。そして明らかに構えの違うトンネルがあって仙北と阿仁を隔てる峠を貫く十二段トンネルへと入る。

 長いトンネルの向こうに見えていた明かりが数分掛けて徐々に大きくなると阿仁側の出口。間もなく阿仁マタギとなる。角館から乗っていた人が1グループ、降りてゆく。
 この辺りも平成になってから開業した新しい区間。立派な線路で谷間を進むと少し開けて来て比立内に到着する。ここから先は国鉄阿仁合線だった区間

 駅構内も国鉄ローカル線の匂いが漂う。宮脇俊三先生の時刻表2万キロに比立内の描写が出て来るが、その頃から50年近くが経った比立内の駅も街もまるで寝ているかのようだった。
 列車は阿仁川沿いに下る。

 昭和30年代に出来た線路はか細くなり、カーブも増える。駅も増えたがお客は増えないまま、阿仁川の谷を下る。途中、大又川に架かる橋梁の上で最徐行。安全上の理由ではなく、

 景色をお客さんに見せるため。観光列車ではない、ごくごく普通の列車なのだが、それでもこんなサービスはある。まぁ乗っている人はほぼ観光客っぽいから良いのか。

 列車は速度を取り戻すと坂を下るように川沿いを行く。途中、荒瀬だったかそのあたりで初めて途中駅からの乗車がある。観光列車がちょっとだけ日常の普通列車に戻って列車は内陸線の中心駅、阿仁合に着く。運転拠点の駅であり

 角館行の普通列車とすれ違い

 運転士も交代となる。
 今日は最後は鷹巣まで行くけど、一旦阿仁合で下車。

 列車を背に改札口へ。1回だけ途中下車可能という切符を生かして改札の外に出る。阿仁合で1本落とす事にしている。乗って来た列車の出発を見送ると、まずは目的の一つ。鉄印を頂く。係の人にお願いすると「さんじゅうよんしゅるいありますけど、どれにしますか」と聞かれる。「3~4種類ありますけど」と頭の中で漢字変換されてしまい、随分とアバウトな物言いだ、と思ったのだが、そうではなく「三十四種類」
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 全駅分があるそうだ。あまりに有り過ぎて困ってしまう。結局、一番ノーマルの奴を頂く。

 改装されて綺麗になった駅舎を見て、前に来た時には無かったと思う

 内陸線資料館、を見てゆく。
 ここの資料館。


 鉄道に関する簡単な展示と共に、奥の方には

 マタギの家が再現されている。その中でも目を惹くのが熊の敷物。ご自由にお座りください。とあるので座ってみる。熊は1匹1匹、触り心地が違うとの事。熊の毛なんて触る機会、まず無さそうだし。

 ごわっとした感じの熊の毛。確かに手前と奥の熊で触り心地は違った。
 思いがけない経験をして、資料館を後にする。次はちょっとした買い物。阿仁合に1軒あるスーパーに赴く。
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 15年前だったかに泊った事がある旅館が盛業中で幸い。スーパーも、確か15年前に買い物をした記憶がある。スーパーを物色して阿仁で作った山菜の水煮、なんて物を買ってみる。
 持ち時間がだいぶ無くなったが、駅に戻る。今度は食事。昔は駅そばスタンド、みたいな所で馬肉丼を食べた記憶がある。
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 が、いつの間にか綺麗なレストラン風になっていて、メニューもだいぶ変わっている。
 12年。干支が一回りした今年に頂いたのは


 限定5食、という馬肉シチューを頂く。火を通した馬肉を頂くのは、多分、2011年以来だ。案外と違和感なく頂けるのは前回と同じ感想。
 慌ただしいが持ち時間は限られている。最後は駅構内の売店を覗いてみる。すると

 バナナボートがある。しかもたけやじゃない奴。
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 こちらは全国的にも多少名が知れるようになったらしいたけや製パンのバナナボート。秋田のソウルフード、と自信をもって言える。自分も幼い頃から食べる機会は何度とある。で、目の前にあるのは、たけや製ではなく
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 鷹巣の洋菓子屋が手掛けるバナナボード。こんな製品があるのは今の今まで知らなかった。
 お店の人に勧められたけど、この時点で1つ買うか、2つ買うかという所に悩みの焦点が合っている。買うのは大前提だ。ただ、賞味期限と他にもいろいろ買ったものがあるのと。結局、バター餅も買いたいので、バナナボードは一つにする。
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 その他に定番のバター餅。そんなにあちこち食べ歩いたわけじゃないけど、今の所は世界のバター餅で一番美味しい奴。
 流れで店の人と話。
「後からたけやもバター餅出したけど、これ(精まい家)に比べると正直、落ちるじゃないですか。バナナボードはどうなんですか。バナナボードはたけやが標準になってたから、どうなんでしょう」
「こっちの方がずっと美味しいよ」
「やっぱり、そうですよね」
 店の人と自分でなぜかたけやディスになる。ずっとディスっていると次の列車に乗り遅れるので鮎もいかが、と勧めて来たのにはノーサンキューとして、いい加減、駅構内へ。

 駅構内に屯する気動車を見ていると間もなく鷹巣ゆきがやって来る。今度は


 急行になる。今時珍しい、急行券が必要な急行列車。今日のキップでは急行料金は別に必要なので先程、阿仁合の駅で求めている。鷹巣までの急行料金は160円。入場券よりも安い。
 運転士が交代する等があるので少々停車。この車両。形は一般車だが、観光用に改装され、秋田マタギ号、という車両になっている。
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 昨年登場したらしい。


 車内はボックスシートに大きなテーブル。内装は


 古民家をイメージしたものだとか。

 マタギの衣装なんてものも展示されている。
 列車は阿仁合を離れる。この列車、女性アテンダントが乗務している。先程、角館で普通列車の出発に手を振って見送っていた人だ。停車駅の案内だけでなく、通過駅にも二言三言、コメントを付けて紹介が入る。車内販売もやっていたみたいだけど、阿仁合で終了だったっぽい。
 阿仁前田、今は阿仁前田温泉というのか、の手前で右手に内陸線が森吉山に一番近づくと伝えられる。

 田園の向こう、雪の残る山が見えている。
 温泉併設の阿仁前田温泉で降りる人少々。乗る人はいなかった様子。出発すると、

 杉の木と田圃、という秋田らしい景色が広がる中を列車は走る。時折、徐行が入る。観光のための徐行ではなく、


 工事をした後が見受けられ、豪雨で被害を受けた所と知る。昨年8月、北東北を襲った豪雨災害では
www3.nhk.or.jp
 内陸線も土砂崩れの被害を受けて暫くの間、不通になっていた。県の補助が入って比較的早く復旧にこぎつけたけど、JR線は悲喜こもごも。
www.sakigake.jp
 奥羽線はさすがに早く10月復旧。
ja.wtmnews.net
 五能線も割と早く復旧にこぎつけたが
tabiris.com
 花輪線は今春まで復旧に掛かり
www3.nhk.or.jp
www3.nhk.or.jp
 津軽線米坂線は存廃議論に発展している。

 ひとまず、復旧に漕ぎつけた鉄道は被害区間を越えて北へと足を歩める。
 列車は阿仁川を下る。少しずつ谷が開けて来て、阿仁川沿いでは中心地というのだろう、米内沢に着く。ここでも観光案内があって下車客少々。車内はだいぶ空いてきた。そんな訳で隣のボックスも空く。すると、こんな小品が気になった。

 家路

 くつろぎ

 狩り

 食べる
 クマははちみつじゃなくてドングリなのね。本来の主食の方か。
 この辺りの内陸線。

 杉の木立の中を行く。秋田を体現した良い所だと思うけど、案内は特になし。まぁ、現代の杉は気の毒な程に悪者扱いだからなぁ。
 列車は合川到着。

 下りの普通列車が待っている。先程角館から阿仁合まで乗った列車の折り返しだ。
 合川を出ると鷹巣、と思ったら縄文小ヶ田、という駅に停まる。あまり耳なじみがないが、
www.city.kitaakita.akita.jp
 コロナ元年に改名していた。北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に認定されたのを期に変えたそうだ。駅のすぐ近くに見える建物が遺跡の資料館だとか。
 遺跡を最後に辺りは開ける。米代川を渡ると鷹巣の街。線路がカーブして奥羽線へと近寄り、鷹巣到着となる。

 ここまで乗り通してきたお客さんが三々五々降りてゆく。中に一人、地元の高校生。急行の後、次の列車まで3時間も開くから、待つよりだったら急行料金160円課金、なんだろうけど、ちょっと気の毒。
 JR構内、奥羽線ホームに立つ。先程の列車からアテンダントが降りて来て、線路越しにありがとうございましたと声をかけて来る。何人か同じホームに乗客がいたけど、一人ずつお礼をしていた。
 さて。今日は膳所に帰る。のだが、この時間の奥羽線上りはだいぶ間が空く。

 仕方ないので下り列車に乗る。こちらは程なく青森までも普通列車がやって来る。こちらに乗車。車掌が乗務していたが、ワンマンでも良さそうなぐらいの乗り具合だった。
 逆方向に行き過ぎると膳所に戻るのが難儀になるが、今日は大館まで。

 列車は青森まで行くが大館から先はワンマン運転だそうだ。
 今日の大館駅。昨年からの改築工事が進捗していて、

 懐かしい駅舎は跡形もなくなくなっている。上りホームから駅舎の後の工事現場を抜けるとプレハブの仮駅舎がある。

 味気も何もない仮駅舎。待合室、洗面所、ニューデイズはあったから最低限度の機能だけは維持していることになる。

 花輪線は先程も触れたとおり昨夏の豪雨の影響で長期運転見合わせ中。連休には間に合わなかったが5月14日から運転再開だそうだ。
 大館に来たからには外せないのはこちら。


 プレハブの駅舎より格段に立派な駅弁屋、花善さん。昼食を食べたばかりなので、駅弁は食べられないが、土産用に1つ買い求める。頂くのは明日の朝食になるだろうか。
 店頭の駐車場には他県ナンバーのクルマも多く、有名な駅弁を買い求めに来る行楽客も多いと見える。
 大館での持ち時間も少ない。最後に改築真っ盛りの大館駅界隈で

 ここだけは対象外と見える貨物駅エリアを見ておく。EF510-8号機の姿が見えて、コンテナの積卸作業を行っているのか、降ろすだけ降ろして今日出発の貨物は無いのか。とにかく作業を行っている様子。
 駅構内に戻る。今度はいい加減、上り列車。西を目指す。やって来るのは

 E751系特急つがる4号。大館から秋田までの大した距離ではないが、今日は指定席に乗る。早期割引で40%引きで買えた。普通運賃よりは高いが、自由席に乗るよりは安く移動ができる。

 指定席車は気の毒なほど、空いている。ひとまずテーブルを生かして京王線恥辱を綴る。電源とかWifiとかがあれば良いのだけど、E751系が登場した頃は、微妙にまだ非標準だったか。この辺り、よそのお古と言う感じが漂う。
 来た道を戻って鷹ノ巣。先程の内陸線で見かけたような人もホームで列車を待っている。内陸線乗り場では秋田マタギ号が出発を待っていた。

 列車は乗客が増えないまま、米代川沿いを下ってゆく。東能代から指定席車に乗る人はおらず、むしろ、五能線リゾートしらかみに乗り換えるのか、降りるお客さんがちらほら見られたから一際空いた。
 列車は向きを西から南に変えて一路秋田を目指す。

 稀に田起こしの始まった水田も見える中を南下。車内に動きがないまま見覚えのある景色、見覚えのある景色から変わった景色が流れてゆく。

 遠くに太平山が見えるようになると秋田市内である。田園地帯から住宅が混ざるようになると土崎。そして工場が流れる。留置線に一昨年に引退したキハ40系が停まっている様子も見て取れる。

 最後に旭川を渡る。遠くに母校も見えているが、全てが記憶の中よりも小さく思える。特に手前の旭川。子供の目線、大人になってからの目線、やっぱり違うのだろうなぁ。
 速度が緩んで秋田到着の案内。定刻に到着となる。数少ない乗客がホームに降りる。ドアの所で清掃の人がゴミを集めてくれるのだけど、ゴミ袋の中、殆どゴミが無かった。

 列車は折り返し準備に掛かる。15:52に改めて青森ゆきとなる。
 この時間、秋田駅の在来線ホーム、優等列車の姿が見えない。

 向かいには酒田行きの普通列車が停まっているのを見てから、改札の外に向かう。その改札を出た所。

 なまはげのディスプレイーの脇に、Suica使用開始のカウントダウンが出ている。あと27日との事。エリアはかなり狭く、せめて追分-八郎潟は入れてあげようよ、と思うのだが、今の利用状態を反映しているのかも知れない。
 阿仁合の持ち時間は短かったが、秋田の持ち時間も短い。駅前のスーパーに寄って食材少々。スーツケースにどんどん放り込むつもりで来たのだけど、ここまでで意外と埋まっている。味噌とか酒粕やら買いたかったのだけど、今回は取りやめ。
 駅に戻る。デジタルサイネージに岡山サポーターの皆様、ようこそ秋田へと文字がある。何かと思ったらサッカーのJ2に秋田のチームが昇格していて、今日はリーグ戦らしい。定期的によそから秋田を訪れる人が増える、という点ではプロスポーツのチームがあるというのはいい事かも知れない。
 土産を少々の後、簡単に秋田の味を味わってゆく。
akita-kurasu.jp


 なかなか素敵な組み合わせの3種セットを頂く。


 一緒に秋田のつまみも。さっと飲んでさっと引き上げ。そろそろ空港に向かうバスに乗る。ちょっと早いけど。
 バス乗り場、ちょっとした列が出来ている。見慣れないユニフォームを来た人が並ぶ。どうやら先ほど見かけた岡山のサポーターらしい。試合が終わって伊丹ゆきの飛行機に乗り、更に今日中に岡山まで戻るらしい。
 そんなところへ

 リムジンバスがやって来る。多少の列があったとしても全員乗っても空席多数。余裕をもってバスは出発する。

 秋田の滞在も短かった。1時間ちょっとで駅前を離れる。昨日といい今日といい、駅前旅行ばかりが続く。
 バスは秋田市内から南部の郊外へ。羽越線の線路、奥羽線の線路を越え、自分が住んでいた頃には無かった御所野の街を通り抜けると丘陵地帯へ。40分程で秋田空港到着となる。

 時刻は17:30。飛行機の出発は18:50なので少々早い。実は自分の搭乗便の接続バスではなく1本前のバスに乗って来た。1本前というのは青い方の伊丹ゆきへの接続バスなのだけど。
 JALのカウンタに赴く。手続きは受け付けているが荷物の検査は後程らしい。検査があって問題があれば館内放送で呼ぶとの事。
 何か壊れやすいものございませんか?と聞かれ、考え込んでから「御菓子の類は、壊れやすいっちゃ、壊れやすいですかねぇ」と答える。「取扱注意でお預かりしますね、他には何かございますか」「味どうらくの里が入っているけど、プラ容器になったから大丈夫です」なんて答えたら笑われた。
 まだだいぶ時間がある。空港内。少々改装された様子。

 3階にある展示室も少し雰囲気が変わっていた。A300、MD-90YS-11なんて模型が並ぶのでにやっとしてしまう。
 まだ時間がある。軽くレストランで

 エビスを頂く。今日はここまでアルコールを飲んでいない。おつまみとの組み合わせで1,000円。先にビールが空いてしまい、

 結局追加で色々と。
 案内があり、青い方の伊丹ゆき、30分程遅れるそうだ。岡山まで帰るであろう人達には気の毒な事だ。結局どちらの伊丹ゆきも10分の差で出発する事になる。あまりギリギリまで制限エリアの外で飲んでいると、乗れなくなりそうなので、気持ち早い目に切り上げる。

JL2176 JA241J ERJ-190 AXT→ITM


 出発35分前。余裕をもって保安検査。2便出発が重なるが、それほど並ばずに検査完了。搭乗待合室は少々賑やか。ちょうど外には

 搭乗機となるJ-AIRの機材がやって来た。JA241Jであった。折り返しは18:50出発予定。今のところは定時出発らしい。

 搭乗口付近はそこそこ人がいる。スーツ姿の若い男性集団が同じ胸バッチを付けている。同じ格好の外国人もいるから不思議な集団だと思ったが、サッカーの選手らしいと言う事に思い至る。昼間試合をやって、今日のうちに岡山まで戻るのか。ハードスケジュールだ。
 搭乗が始まる。今日はクラスJを予約している。セールとは関係ないが、案外と安く出ていたチケット。最初は羽田まで行くか、新潟にするか、さもなくば山形か、花巻か、と考えていたのだけど、航空券の値段を比較して、地上移動の方法も合わせて考えて、結局秋田が一番しっくり来たのであった。
 1人掛けのクラスJに座り出発を待つ。先程のサッカー選手と、先程のサポーターが乗って来たから、6割ぐらいは埋まっただろうか。18:47、Door close。乗務員の自己紹介があり、降下中揺れる事が伝えられる。18:50、Pushbuck。18:53、Taxing。さすがにこの時間の秋田は暗くなっている。

 誘導路を進み滑走路端に着いたところで機長さんから案内。伊丹空港混雑のため管制から当機の離陸が19:05以降に指定されているとの事。伊丹の天候は雨、気温は18℃だそうだ。
 19:04、改めて動き出すと滑走路へ。19:06、Takeoff RWy28。空港の灯りはすぐに見えなくなり、飛行機は左手へと旋回しつつ上昇してゆく。19:13、ベルト着用サイン消灯。
 飛行機は暗い中を上昇してゆく。左手に日本海岸の街灯りが時折見えるのを見て南西へ。電源を生かして京王線恥辱を少し進めておく。
 飲み物のサービスが始まる。

 飲んだ後の定番、スープを頂き、引き続き京王線恥辱に向かう。時折揺れるが、特に問題なく飛行機は新潟県上空から内陸へと入ってゆく。
 19:39、機長さんから飛行状況の案内。現在、長野県上空。20:20に伊丹空港着陸、スポットには20:25の到着を見込んでいるが、伊丹空港混雑状況によっては遅れる事もあるそうだ。伊丹空港の天候は雨、気温は18℃との事。この後、20時にベルト着用サインが点灯する見込みと告げられる。

 キャンディーが配られたのち、20:02、ベルト着用サイン点灯。少々揺れたが落ち着いて20:13、ベルト着用サイン消灯。
 窓外に街明かりを見つつ飛行機は高度を下げる。20:15、操縦席から案内。管制指示に拠り上空待機との事。着陸は20分遅れるとの事。20:23、ベルト着用サイン点灯。
 ぐるっと一周したのか、二周したのか分からないが、着陸態勢に入った旨の案内がある。飛行機は生駒山地を越えて

 大阪市街地へ。思ったよりも早く着陸に向かう。20:32、Geardown。梅田のビル群をみて、さらに高度を落とすと淀川を越える。雨に濡れた街が近付き、20:35、Landing、RWy32L。窓を雨が叩きつつ減速。誘導路へと逸れる。この後46番スポットへ入るとの事。ターミナルへはバス連絡と告げられる。

 20:38、Spot in SP46。降機準備が整い、ドアが開く。

 タラップを降りるところにすぐバスが停まっている中、少しだけ乗って来たJA241Jを見てターミナルへ運ばれる。46、というスポット番号が示す通り、だいぶ距離がある。荷物も待つかなぁと思ったけど、意外と早く荷物を受け取れる。

 制限エリアの外に出ると20:53。21時のバスに乗れるぐらいのタイミングになる。急いで京都ゆきのリムジンバス乗り場へ。

 何とか何とか21時のバスに間に合う。半分ぐらい埋まった感じだろうか。リムジンバスは名神高速を東に。幸い道は空いている。45分程で京都駅八条口まで。この時間、東海道線のダイヤは20分毎になっている。21:50の新快速でギリギリ京阪接続が成立するのだが、残念ながら新快速は少々遅延。石山経由は諦めて普通列車膳所。幸い雨は小降りになっていたから歩いて帰宅する。22時半近い帰宅。さすがに疲れて、土産話と土産の話を少々すると就寝。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は13,179