カモメの鳴き声で目を覚ました。気仙沼は午前6時前。折角、魚市場の前に宿泊しているのだけど今日は日曜日。市場は休みだよなぁ。
 7時半前の列車に乗るので7時過ぎにはチェックアウト。食事つきだが食事は7時からだそうで。食べてゆけるかなぁ。
 昨日の晩のうちに荷物を括っておいたので出発準備は早い。時間が余ってしまい恥辱を綴る時間すら捻出できてしまった。7時前、先にチェックアウトの手続きだけした後、朝食はバイキング。

 特に白いご飯が美味しい。炊きたてだからかも知れないけれど、考えてみると外食ばかりをしていると炊き立てのご飯を食べる、という機会にはなかなか恵まれない。
 朝食の準備がちょっと早めに出来ていたので駅へ向かうのも余裕を持って。

 祭りは日曜日も引き続きだそうですが、祭りの後の寂寥感が漂う街を歩いて南気仙沼の駅まで。とりあえず列車で気仙沼に。

 やって来たのはキハ110シリーズの3連。真ん中の1両はリクライニングシートになってて、これ快速南三陸の間合運用。後ろ向きに座席が並ぶ無人のリクライニングシート車で大よそ5分。二駅揺られる。
 気仙沼で仙台行きに化ける先ほどの列車を横目に眺め、今度乗るのは

 大船渡線の盛ゆき。一回り小さなキハ100が1両。小さな収容力でも持て余してしまう程度のお客さんが乗って出発を待っている。もう少し人が増えるかと思ったけれど、あっけなく発車時刻。数少ないお客さんを乗せて気動車は軽やかに走り出す。木々の間から垣間見える気仙沼の町が遠ざかると、海沿い路線、思いっきり山にアタックを開始。
 海岸線が入り組むリアス式海岸の続く三陸地方。いちいち海岸線に付き合っていると何時までたっても大船渡にはたどり着けない訳で、勾配が苦手な鉄道と言えども、多少のアップダウンにトンネルには付き合いざるを得ない、らしい。

 山をぶんぶんと上り、からからと下る。

 上り列車とすれ違うともう一回ぶんぶんからから。

 また海が見えて来ると大船渡もだいぶ近くに。最後一駅、大船渡で少々まとまった乗客。一駅、盛まで乗るのかな。小さな魚市場やら缶詰工場やらを眺めるラストコースを辿るとひとまずの終点、盛到着。

 出発時よりもお客が増えて、まずは公共交通機関としての面目を保ったような。

 手前にはJRの盛駅。奥に見えるのは三陸鉄道盛駅。ここから三陸鉄道へ乗り換え。旅はまだだま続きます。

 三陸鉄道には当然手元の北海道&東日本パスでは乗れません。別に切符を買う必要があります。ここでひとつ疑問、同じような趣旨で設定されている青春18きっぷの利用者用に
 三鉄1日とく割フリーパス
 http://www.sanrikutetsudou.com/toku_info/tickets/waribiki.html
 というものが設定されていますが、これ、北海道&東日本パスの所持者は購入できないんですねぇ。どうして区別するかねぇと理解できないまま。仕方ないのでごくごく普通に乗車券を買いました。
 っーかわざわざ
 ※JRの企画きっぷでの割引は青春18きっぷのみが対象で北海道&東日本パス等は適用外です。
 と書いている所を見ると断固とした意思と理由があるんでしょうかねぇ。本当に不思議です。

 列車は2両編成。南リアス線の終点、釜石からJRに乗り入れ、さらに宮古からは北リアス線にも乗り入れて久慈まで行くという長距離ランナー。乗客の中には先ほどの大船渡線で見かけた顔もちらほら。確か気仙沼から乗っている人もいるような。決して鉄という雰囲気でないから地元の人なんでしょう。そんな流動があるなら気仙沼とはいわないけどせめて大船渡から走らせてあげたいような。

 盛に集まるもうひとつの鉄道、岩手開発鉄道の石灰用貨車を眺めるとそろそろ列車、出発。
 列車は今来た道を一度戻る方向に走り出すと、大船渡線を右に長めながら別れてゆく。大船渡線よりは新しい線路だからか、気持ちよく駆ける。その代わりトンネルも多い。山の景色と海の景色のフリッカー

 駅の向こうに集落。そして彼方に霞む海。
 帰省シーズンには少々早いけど、帰ってきた家族をみんなで見送るの図、なんかも駅頭で展開される。駅のホームで列車に手を振る子供の姿を横目で眺め、海がチラッと見えるとまたトンネル。途中の吉浜からは三陸鉄道開業時に敷設された一番新しい線路だから、トンネルもひどく長くなって、暗闇の時間が長くなった。トンネルを出る頃には車体もすっかり冷えてしまい、そして窓が曇ることになる。
 ちょっと席を立つ。第三セクター鉄道の優等生だった三陸鉄道もだんだん経営的には苦しくなっているそうで、副業で売るものもいろいろある様子。そんな中で

 ほやの燻製が。折角なので釜石で降りたときにでも買って、今晩飲むときにでもつまみにしますか。

 釜石到着。
 列車はこのあと山田線に直通するのでJRのホームに入る。この後乗る盛岡行きは向かい側からの出発だけど「時間がありますので駅の待合室でお待ち下さい」と案内。確かに40分ほど時間がある。一旦外に出る。
 駅はどうやら街の外れで、駅の向きに大きく構えるのは新日鉄の工場だったりするのだけど、観光市場があったりするので覗いてみる。

 安いんだけど海産物持ち歩く訳には行かないしなぁ。一瞬、刺身を買ってこの後の列車で食べるか何てことも考えない訳ではないけど、やめにする。
 さて、駅構内に表示。毎度おなじみになりつつあるけど

 地震の影響に拠る遅延の告知。
 どれだけ遅れるのか、時間までは書いていない。盛岡についた後の第一案は10分乗り継ぎなので、あまり遅れるようだと自動的に第二案が発動される事になる。ここの繋がりは非常に上出来で是非とも第一案で行きたいのだけど、どうなることか。
 盛岡行きの快速列車、改札が始まる。昔の急行の流れを汲む釜石線の看板列車、さすがにお客さんは多い。階段に近い所から指定席、自由席、自由席の順。指定席券を用意していない人が多いのはとりあえずおいて置いて、階段に近い2号車に並ぶ人が多い。ならばと1号車の方に並んでおく。ちょうど交代の運転士がいたので遅れについて聞いてみると、制限がかなり緩くなって釜石線内で2〜3分遅れるけど、花巻での停車時間でカバー出来るから、盛岡到着はほぼ定時との事。ならばあまり心配しなくてもいいのだろう。

 快速列車がやって来る。先頭から指定席のリクライニングシートが流れ、ついで自由席車もリクライニングシート。最後の1両はボックスシート。なるほどねぇ、これが2号車の方が人が多い理由か。もともとは全てリクライニングシートだった筈だけど、浮いた1両は気仙沼線で見かけた快速南三陸に捻出したのだろう。ボックスシート車はどうやら水郡線からやってきたらしい。
 やられたなぁと思ったけど、元々行列に並んでいる人が少ないから1ボックスを占拠出来る。これはこれで悪くない。後ろのクルマの事を忘れてしまえば。

 列車は釜石の次の駅、小佐野に停まると次は遠野まで停まらないそうだ。釜石市街の賑やかなロードサイドを横目に、だんだん山の中へと分け入ってゆく。既に登り坂なのだろう。エンジンは何時までも震え続ける。
 陸中大橋で同僚の快速列車を待たせてこちらは通過。左へ左へと坂を登ってゆくと

 今来た線路が眼下に見える。仙人峠の細道をひたすら登る、登る。人跡稀な山道、と言いたいけどいつの間にか高速道路が出来ていて時折線路と絡み合う。列車にとっては強敵だろうけど、高速道路を走るクルマの数もそんなに多い訳ではない。
 上有住足ヶ瀬で山を越えると、遠野の盆地への下り坂。エンジンの音もすっかり軽くなる。次第に辺りが開けてくる。

 牛が車窓を流れてゆく。

 こちらは葉タバコの畑。
 遠野に着く。徐行しているようなそぶりは全く無かったけれど、それでも1分遅れだそうだ。ここでお客さんを少々集める。この先は北上川の畔、花巻に向かってなだらかに下ってゆく穏かな景色。
 明らかに徐行したなぁと思ったのが宮守の手前。かの宮守川橋梁のところ。橋のレンガが緩んでいるのかどうか。

 宮守ではこちらが普通列車に道を譲る。
 新花巻で新幹線のお客さんを降ろすと少々車内が寂しくなる。一瞬、手元のモバイルスイカ使えば盛岡まで新幹線乗るのも分けないなぁと思ってみたものの、下りの新幹線は12:40まで無いそうだ。同じ時間に盛岡つくよなぁと苦笑い。当然見合わせ。
 少々遅れが入った列車も東北線と合流する花巻、停車時間を切り詰めて定時になる。東北線内の流すような走りも、これで所定のようで、盛岡の街が見えてきたのはむしろ定刻よりも早いぐらいの時刻。

 盛岡からのルートの取り方、二案用意してきた。その第一案の方に今日は乗る。今度の列車は花輪線。出発は12:50。乗り継ぎ時間は10分。
 出来る事なら、盛岡で冷麺でも食べてというのは思わないわけではないけれど、釜石線の列車から花輪線への乗り継ぎがわずか10分という出来のよさに目が眩んだ。
 その代わり、10分の乗り継ぎは慌しい。2階にある改札を出て、売店で駅弁とビールを買い、1階に下りて、今度はいわて銀河鉄道の改札へ。

 新幹線の開通と引き換えに在来線がJRから経営分離された産物なのだけど、花輪線の利用客からすれば、迷惑以外の何者でもないだろうなぁ。
 道にも駅弁にも迷わなかったので若干の時間がある。

 これから乗る列車を眺め、

 ホームに涼しげな音色を振りまく風鈴を眺める。
 列車に乗り込んで、先ほど買ったビール

 夏祭り缶を撮る時間もあった。でもまもなく出発。