2017-11-24

 飛び石連休の中日、金曜日。旅先のホテルで目を覚ます。時刻はまだ6時。外は少し明るくなった所。
 昨日、朝早くから動いて疲れて早々に寝てしまったので、今日も早々と目が覚めた。まだ早いが軽く京王線恥辱を進めておく。さて、朝。

 7時を過ぎてすっかり明るくなった。そろそろ身支度。8時過ぎに朝食を食べに地階に降りる。

 大きなホテルでもあり、巨大な朝食会場は混雑している。席に通されて、バイキング形式の中から   

 中洋和揃うバイキングで適当に頂く。麺を作って貰ったり、お粥を貰ったり。

 〆に果物のつもりが変な組み合わせになる。蕎麦が何故かあるのだが、出汁の味がイマイチ。
 すっかりお腹が膨れると一旦部屋へ。改めて出掛ける。時刻は10時になるところ。
 今日の脚は自転車にする。台南の街、時間貸しのレンタル自転車というものがある。街のあちこちに貸し出し拠点があって、ワンウェイで借りることが出来る。ホテル近くで借りて、目的地付近で返す。再び借りて、次の目的地付近で返す、を繰り返す事が出来る。


 ホテルの近くにも貸し出し所がある。T-Bikeというのが愛称。台南市公共自行車という漢字の羅列でニュアンスは伝わるに違いない。
 貸出にはクレジットカードか、台湾で使える電話番号が登録された交通系ICカードが必要。自分たちはEasyCard、iPass、両方持っているけど、台湾の携帯電話はさすがにないので、クレジットカードを使って借りる事になる。ちなみに日本語、英語にも対応する。
 クレジットカードを挿入し、借りたい自転車を選ぶと、選んだ自転車のロックが解除される。これで貸し出しOK。延平郡王祠という所を目指すのでその近くのT-Bikeステーションを目指す事になる。
 
 最近は自転車に乗る機会もなく、たぶんだけど5年前にアユタヤで自転車を借りて以来。乗れるのは乗れるのだが、問題は台湾の自転車ルールをよく知らない事。昨日見た限りでは車道を走っていたようなのでそれに倣う。大通りをスクーターに混じって走るのはさすがに怖く、裏通りを選んで走る。すると、

 遺跡公園みたいなところに出た。南門公園とある。これは予定外。ちょっと見てみたいが、T-Bikeのステーションはもうちょっと先なので、後でゆっくり見に来ることにする。
 T-Bikeのステーションを見つけて、自転車を返却。ロックしてから返却手続きが正しい手順だったのだが、最初に返却手続きをしようしたら、「貸し出し中です」と怒られた。ロックをして、先程のクレジットカードを通して精算する仕組み。貸出時間30分未満であれば、レンタル料金は10NTD、日本円で40円以下である。仕組みに慣れれば異国からの観光客でも使える良い仕組みだ。日本にもこんな制度が欲しい。
 目的地は延平郡王祠と台南孔子廟なのだが、自転車を返したすぐそば、派手なお寺がある。

 台南臨水夫人馬廟とある。勿論知らないのだが、中華電信のSIMを入れたスマートフォンのおかげで地図が見れる。場所が分かる、名前も確認できる。

 幾つもぶら下った提灯が印象的な廟だ。夜に訪れればより美しいかも知れない。

 中は中華系の廟らしく派手なつくり。熱心にお参りする人が何人もいる。赤ちゃん連れの人がちらほらいて、なんでだろうと思っていたのだが、改めて場所の名前を見ると一目瞭然。安産の神様に違いない。赤ちゃん連れは安産のお礼参りだろう。

 ここから数分。今度は延平郡王祠という祠を訪れる。こちらは日本産まれの台湾の英雄、鄭成功を祀る祠である。

 中に入ると鳥居らしいものがある。ここの祠、清の時代には開山王廟と言い、鄭成功が祀られていた。日治時代は開山神社という神社となり鄭成功が祭神であった。中華民国になってもここに祀られているのは鄭成功。時代が変わっても常に鄭成功を祀った施設である事が変わらない。
 鄭成功について語る事が京王線恥辱の目的ではないから詳細は割愛するが、この後、台南の街を歩く限り、鄭成功はどこまでもついて回る。詳しくはwebで調べて下さい。

 施設は二次大戦後に建て替えられたので祠自体は新しいもの。派手な祠だねという感想しかないのだけど、鄭成功の足跡をパネル展示しており、日本語での解説もあるのでよく理解できる。鄭成功という人は日本の長崎県平戸が出生地で母が日本人であり、その母に関する解説もある。日本史も世界史もまじめに学習した覚えがないので、台南に来るようになるまで、鄭成功という人は知らなかったのだが、ここの展示でよく理解できた。一度平戸での扱いも見てみたいと思う。
 案外と時間が掛かって30分が経っている。

 境内とは言わないだろうが、池はかい堀の真っ最中。ついこないだ、池の水を抜くなんて番組を見たばかりだから、こんなものに目が行く。隅に残った水からおじさんが魚を救出していた。
 延平郡王祠の脇に鄭成功文物館というのがあった。

 名前から察するに鄭成功に関する書物は所縁ある品物を展示する施設なのだろうが、予備知識は無い。そして

 企画展はお金に関するもの。あまり期待せずに入る。入場料は無料。ますますもって期待せず、一瞥ぐらいかなぁと思いつつ展示へ。

 企画展、清以降の台湾で流通した紙幣やコインに関するもの。そして

 日治時代のものもある。日本銀行券ではなく、台湾銀行券が流通していた事を初めて知る。

 紙幣が時代順に並ぶ。実物なのかレプリカなのか分からないけど、レプリカにしても良く集めたなぁと感心する。

 第二次大戦中の戦時債権なんてものもあった。これはさすがに日本史の教科書か何かで見た覚えがある。
 土地の登記書なんてものもあったりして、案外と見応えのある展示であった。入る前にバカにしていて済みません。頭を下げたくなる。
 さて、先程の南門公園へと歩いてみる。時刻は12時近くなっている。道の途中、工事現場は休憩時間になっていて、作業員が弁当を食べていた。
 先程から時折空で爆音がする。見上げると戦闘機が2機飛んでゆく。台南空港に中華民国空軍の基地があるから、そこの訓練だろう。一昨年の夏に台南を訪れた時には無い音だが、今日は平日。訓練に勤しんでいるようだ。
 南門公園に戻る。ホテルの辺りが西門だから古来の台南、サイズ感が知れる。西門には門の痕跡が残っていないが、南門は公園になっている。復元されたものらしいが、大南門がどんと構える。

 同じ公園内には日治時代の台南放送局が佇む。今は電影資料館だそうだ。落ち着いた雰囲気の建物を外から眺めて、今度は台南孔子廟に向かう。
 南門公園から林百貨の方へ少々進む。途中の店先で

 よつ葉牛乳のポスター。170NTDは今のレートだと600円以上だ。牛乳の値段ではないが、それでも人気なのだろうか。大きな扱いになっている。
 もう少し歩くと台南孔子廟がある。1665年の創建。台湾で一番古い孔子廟だそうだ。

 真ん前は公園のようになっていて観光客が三々五々。孔子廟の見学の前にちょっとだけ休憩。

 CCレモンじゃなくてC&Cという、まるでカレー屋のような名前の飲み物が売っている。カレー飲料ではなくレモン風味の炭酸飲料。20NTD。
 さて、孔子廟の中に入る。ここは入場料有料。50NTD。安平古堡や安平樹屋との共通入場券150NTDというのもあるそうだが、今回は安平には行かないので。


 こちらは中華民国国定古跡に指定されている由緒正しい建物。歴史の重みも感じされる。ここでも台南の歴史、そして鄭成功の話が付いて回る。先程の延平郡王祠で得た予備知識が生きる。
 帰り際、こんなのを見かけた。

 現代ならスマホを持つ人、だろうけど、孔子廟の性格を考えると書物を読む人、だろうか。
 デジタルカメラの電池が切れたので一旦ホテルに戻る。が時刻は13時に近くなっている。空腹も感じるので軽く食事。孔子廟の近くにあった肉まん屋で


 湯包を一つ。
 そしてホテルへと戻る途中、肉圓の店があって寄り道。2個で40NTDなので1皿頂いて二人でシェアする。

 スープ付きなのだが、2つスープを出してくれた。多謝。そして好吃。
 ホテルに戻り戦線を整える。改めて14時過ぎに出発。自転車を借りて向かう先は赤崁楼。オランダ統治時代に作られた城跡。

 バイクに混じり車道を走るのにも少し慣れた。15分程で赤崁楼の近く、T-Bikeステーションに到着。10NTDで自転車を返却。すぐそばの赤崁楼に入場する。入場料は50NTD。

 こちらはオランダが築いた城だが、鄭成功がオランダ人を追い出し、台湾全島の最高行政機関を置いたところ。右側に見えるブロンズ像はうな垂れるオランダ人を取り囲む鄭成功一味。

 楼に入る。ちょうど日本人の団体がガイドに案内されている所。ついて回れば解説を聞けるが、こちらが見ている間に団体さんは行ってしまった。幸い、午前中に鄭成功の予備知識は頭に入ったので、日本語の解説がなくても展示の内容は分かる。

 楼の上へと続く階段の所に、40人以上入るとダメみたいな表示があって、今の表示は46人。これ、駄目じゃない?と思ったけど、どうみても人の気配がしないので登ってみる。すると上では閑古鳥が啼いている。

 何せ現代、大都市となった台南なので周りには高い建物も目立つ。見通しは効かなくなるのは仕方ない。どことなく札幌時計台を思い出す。別にがっかり、と言う訳ではないけど。
 空から爆音とはだいぶ違う、プロップサウンドが聞こえる。

 見上げると4発のターボプロップ機。民間機なら2発だろうから、これは軍用の輸送機だろうか。空が冴えないのが残念。
 もうちょっと中を見て回る。

 中華風の城跡には似合わない、赤レンガの壁が残るエリアがある。これはオランダ時代の遺構。オランダが築いたプロヴィンティア城の上に赤崁楼が築かれたのである。徳川の大坂城の下に豊臣の大坂城が埋もれているようなものだ。
 さて、もう少し街歩き。今度は自分の足で歩く。妻が訪れたいというパン屋まで脚を伸ばし、少々買い物。ここから今度は台南車站まで向かう。目的は二つ。一つは蝦捲。もう一つは指定券。先に蝦捲を。
 蝦捲は前回、安平で頂いたのだが、安平の銘店、周氏蝦捲の支店が台南車站近くにあるのでそちらへ。先程から細かく食べているが小吃の都、台南にいるのだから仕方ない。時刻は16時過ぎ。食事処はアイドルタイム。空いている店内。店員も暇そう。蝦捲とスープ。それに牡蠣があったのでそちらも。

 先に蝦捲が来る。スープも一緒。揚げたてはとても美味。
 牡蠣は時間が掛かるという。今シーズン初牡蠣。楽しみ。

 やって来た牡蠣。衣が厚く、牡蠣感があんまりなかった。残念。今シーズン初牡蠣は食べなかったことにする。
 次に向かうは台南車站。ちなみに妻はもう一軒、ドラッグストアに用事があるというので、そちらを見てから。

 趣のある台南車站の駅舎は日治時代の建物にして本日三軒目の中華民国国定古跡。西部幹線では新竹、台中、台南の3駅舎が中華民国国定古跡に指定されている。それぞれ台湾が大事に使ってきた駅舎だ。

 駅舎と似合わないようなステンレス3つドアの区間車の出発を見送ったのち、出札窓口へ。明日使用する指定券を確保する。日本でインターネット予約しており、決済も終わっている。引き取るだけなのだが、予約の控えは持っていない。予約時にパスポート番号を入力しており、それをカギに発券するので、パスポートがあれば何とかなる。実際、パスポートだけで渡してそれで何とかなる。
 時刻は16時半過ぎ。本日最後のT-Bikeに跨っての移動。そろそろ夕方の帰宅時間となっていて、バイクの通行量が増えている中、走って走って目的地近くのT-Bikeステーションまで。ちょっと歩くと、そこは神農街。趣のある路地として有名になった所だ。暗がりになった所が美しいというので日暮れの時間に合わせてやって来た。

 時刻は17時。まだ明るく、夕暮れはもう少し待たねばならない。路地としては良い路地なのだろうが、人が多すぎて、平たく言うと観光地観光地していて、少々残念。台南には無名の良い路地が沢山ある。みなさんがそれぞれお気に入りの路地に価値を見出せば、それでいい。
 とはいえ折角なので暗くなるのを待ってみる。 

 薄暗くなると、確かに映える。今年の流行語大賞を取った、いや撮った、あの言葉が似合う景色になりそうだ。

 もう少し暗くなれ。

 暗くなれ。
 べストは18時前じゃないかなぁ、今の時期だと。日が落ちてから暗くなるまでの間。気持ち早かったようだ。

 こんなのも映えていたけど、提灯の羅列なら台南臨水夫人馬廟の方が映え、しそうだ。
 さてホテルに戻る。すっかり暗くなったのでさすがに自転車に乗るのは怖い。バスにする。ホテルの前を通る大通りまで歩く。

 既に帰宅ラッシュになっているのでスクーターがたくさん走る、走る。走る。その中、

 バス停を探し当てる。しばらく目的のバスを待つ。

 同じバス停には高雄客運、台南車站-高雄車站というバス停も見える。ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE で台南から左営まで、1本のバスで行っていたのを思い出す。その路線がここを通るのか。

 と思ったら、反対車線を高雄客運のバスが走って行った。高雄からやって来た本日最終便のようだ。
 目的のバスがだいぶ来ず、20分以上待たされたが、

 ようやく目的のバスがやって来る。

 車内は空いている。久しぶりに座った感あり。乗ってしまえばバス停二つ分。休憩というのは短く、数分でホテル最寄りのバス停に運ばれる。

 下車。
 ホテルに戻り、しばらく休憩。この後は夕食。台湾ではしっかりとしたレストランに入った事が殆どないだがの、今日は結婚記念日であった。珍しくホテルのレストランを予約している。時間に合わせ出掛ける。
 スープとメインを注文し、前菜とデザートがバイキングになるという形式。何か、キャセイのファーストクラスラウンジみたいと思いつつ、入店。何となくフイッシュプレートなるものをメインにお願いするが、

 考えてみると前菜のサラダバーも魚が中心だった。
 少々間があり、前菜に飽きる頃、ようやく

 スープが来て、そして

 メインがやって来る。
 ホタテの火の通し具合が絶妙で感激していたら、もう一つは生過ぎた。絶妙は偶然だったのか。スズキと海老は予想の範囲内。

 最後にデザートを頂く。すっかり満足。良い記念になる。
 21時を過ぎて、隣の新光三越百貨店をちらっと覗く。こちらの百貨店は22時まで営業中。宵っ張りな台南っ子で閉店間際なの賑々しい店内を廻る。ホテルに戻ると22時。軽くビール。速攻眠くなる。

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