NH3204 JA855A DHC-8-400 NGO→NRT

 ANAの成田行き最終便は15時ちょうどの出発。朝の便はA320、14時の便はB737-500が来るのだが、最終便の15時発はそれなりの基幹空港同士を結ぶには少々不釣合いなプロペラ機、DHC-8-400が就航する。
 特典を取ろうとした時には、朝一番の便には枠が無く、午後の2便には余裕があった。午後の二便、時間は近接しているから、単純にB737とQ400を秤に掛けて、しばらく乗っていないプロペラ機に乗ろうと後便を選択。飛行高度の低いプロペラ機ならばと富士山が見える事を期待して左側の窓側を押さえたりした訳だけど、この天気ではどうやら期待はずれに終わりそうだ。
 プロペラ機らしく出発愚痴として案内されているのは103番搭乗口と言う所。勿論103番まで搭乗橋があるわけも無く、バスでのご案内と言う事になる。
 仙台行きとなるアイベックスのお客さんと成田行きのお客さんが一かたまりになって待っていたから、それなりにバスラウンジは賑やかである。待つことしばし、14:50の仙台行きが搭乗開始となって、その次に15:00の成田行き。まずは優先搭乗から案内となる。

 燃料電池バスなんて自動車会社のお膝元に相応しい乗り物で飛行機まで案内される事になる。ただ、車内は路線バスのような配置だから座席は少なく、座れないお客さんもそれなりに。
 空港内。B737シリーズばかりが目立つスポットを走ってゆくとその先にDHC-8-400の姿が見えて搭乗機と知れる。機内準備が整わないと少々待たされた後、機体に横付けとなった。

 待っているのはJA855A。機内へ入る行列が出来たが、入ってみると搭乗率としては半分ぐらいか。もう一台バスが来ると言う事は無く、まもなくDoor closeとなる。時刻は14:51。エンジンが一つ、もう一つ始動する。案内が流れる間、アテンダントが機内を廻りお客さんのベルトやら荷物の収納状況をチェック。定刻よりも早く14:57、Taixingとなった。
 誘導路を南へ向かう。先程見ていた2時間の間に飛び立っていったQ400はみんな滑走路途中から飛び立って行ったがこちらの飛行機は滑走路端まで向かう。ちょうど着陸機があったのかも知れないが、滑走路は通路を挟んで反対側だし、ちょうど目の前にターボプロップがどんと座っているから着陸状況までは良く分からない。
 滑走路に入る手前で一度停止。再び動いて滑走路へと入ると、緊張感もないままに緩々と動き出し、油断していたら背中を押し付けられた。15:03、Take off RWy36。
 上昇するとまもなく飛行機は雲の中。揺れはしないが視界が利かないまま上昇してゆく。雲を抜けたのか抜けぬのか、真っ白な景色がどこまでも続いてゆく。15:12、案内があって電子機器使用が許可となる。

 眼下に広がる真っ白な世界。青い空はここまでのところ、全くお目にかかれない。どこを飛ぶのか定かではないが、一応は東に向かっているはずだ。

 機内の様子。概ね2席に1人の割合。所々2人並んでいる所もあるが、概ね50%強の搭乗率と言った所。このぐらいの乗りでも今日の3204便。特典の枠は最終的には一杯になっている。いかに特典枠が少ないかが良く分かる。

 シートポケット、ある筈の機内誌が無いのが不思議。その代わりあるのは、有料サービスの案内。プロペラ機のサービスは限定される筈だが、読み解いてゆくとビールぐらいは買えるようだ。
 15:17、機長さんから飛行状況の案内が入った。現在浜名湖の南側を飛行中。高度は6,800mとの事。この先、大島上空、房総半島南端を経由して、成田空港には定刻の16:15到着を予定しているとの事。成田の天候は曇りで気温は12℃だそうだ。今日は関東から東海にかけて延びる前線の影響で揺れが続く見込みで、この後、揺れが落ち着くようであればベルト着用サインを消灯するが10分から15分で再びベルト着用サインを点灯させるとの事だ。
 まもなくベルト着用サインが消灯する。15:19、機長から案内がありました通り、揺れが予想されますのでドリンクのサービスは差し控えさせて頂きます、と案内。その代わりキャンディーのサービスを行うそうで、後ろからキャンディーが、前からは機内誌を持って二人のアテンダントが巡回する。
 ベルト着用サインは消えているが、揺れは来る。一揺れあった後15:30にはベルト着用サインが点灯。相変わらず、外は一面黒々とした雲。冴えないフライトが続く。
 機内誌に目を通していると15:45、機長さんから案内。現在房総半島の南端に差し掛かっており、既に成田のレーダー誘導を受けているそうだ。ベルト着用サインが点灯したしたまま着陸となるそうで、サービスが行き届かない事、お詫びがある。成田の天候は弱い南風で気温は12℃と改めて。15分少々で着陸できる見込みとの事。

 雲のディテールが少々はっきり。空はぼんやりと赤くなって少し雲が薄くなった感もある。雲の切れ間が見えたような気がした15:53、少々売れ出す。そして大揺れ。メモ帳に「大揺れ」と書こうとしたのにどう見ても「久ゆれ」にしか見えない。それほどの揺れ。何度か落下感を伴う瞬間もあり、プロペラ機では各社共通お馴染みの「生憎、気流の悪い所を飛んでおり揺れております。揺れましても飛行の安全には差し支えございませんのでご安心下さい」が入る。
 15:58、着陸態勢に入ったとの案内で電子機器の使用が不可となる。その直後、雲の境目が綺麗見て取れた。一筋の線を境にそこから先は地上が見えている。小さな前線を跨いだのかも知れない。なかなか見れない貴重な光景だと思うが、写真に取れないのは残念である。
 だいぶ揺れが落ち着いてくる。高度が落ちてきて突然頭が痛くなる。体調が優れない時に気圧の変化に対応しきれず頭痛として現れることは何度か経験しているが、今日の頭痛は今まで経験した事のないような頭痛で正直苦しい。良く見ると斜め前の人も耳を痛そうに押さえているから、同じ頭痛に苦しんでいるに違いない。風邪引きがそれだけ多いのかと何となく思う。
 15分ほどの筈がだいぶ経って、16:11、Geardownとなる。さすがに地上が近づいてはっきりと分かるように見えている。道を行く車の姿もはっきり見て取れる所まで降りてきていつの間にか頭痛も遠ざかる。人の姿もはっきり認識できるようになり、不意に空港の敷地が現れる。16:16、Landing、RWy16L。遅れているからか少々荒っぽいTaixingとなる。時折跳ねる様な突き上げ感を伴いつつ走ってゆくと、16:22、Spot in。

 当然のように成田でもバス連絡。1台のバスが迎えに来ていて、今度は座席の多い普通のバスだからおおよその人が座れる。ドアの所から深々と頭を下げるアテンダントに見送られて第一ターミナル、各国の飛行機が並ぶ中を到着口へと連れられてゆく。
 皆さん、国際線の乗換え口へと向かう中、到着エリアへと進む人は少ない。自分を猛烈に追い抜いて行った人がひとり居て、でも、荷物の受け渡しの所で結局一緒になる。中部からの荷物、中々出てこないのを10分近く。定刻16:15の筈が荷物を受け取って制限エリアを出ると16:40を過ぎている。荷物が無ければ10分早かったが、何だかんだと時間が掛かった。
 
 さて。関東には着いたがここは成田。目的地である横浜は本当に遠い。今日はこれからJRの快速で横浜に向かう。切符は成田空港から愛知まで通しで買っておいた。別々に買うよりは若干安く着くからその方が嬉しい。最も、横浜まで2時間掛かるからと言って普通列車グリーン券を用意した挙句、駅弁にビールまで買ったから、本当に安くついたのかは極めて疑わしい。
 荷物が大きい人が多いからか、2階建てグリーン車の二階と地階は不人気で、車両両端の平屋部分に人が集まっている。とは言っても実数はたかが知れていて空港駅で乗っているのはほんの数人。席に落ち着いて発車を待つと対向列車が遅れたとの事で少々発車が遅れる。始発だから多少遅れてもさして困る事にはならないが、隣の第二ターミナルで待つお客さんには少々辛い待ち時間となる。列車に関して言うと座って待てる1タミの方が何かと嬉しい。