JL732 JA710J B777-200 HKG→NRT


 帰りもさよなら搭乗である。香港発成田行午後便、JL732。次の日曜日からは羽田行きとなる便だ。
 25番搭乗口は出国検査からさほど離れておらず、以前の41番搭乗口に比べるとかなり利便性が高い。待っているのはB777-200。JA710J。香港の空港に集う飛行機の中では決して小さい訳ではないけれど、B747に迎えに来て貰う時の不思議な安堵感は感じない。慣れれば良いのだろうけど、もう2〜3度は慣れないような気がする。
 すでに搭乗は始まっていた。少し遅れて搭乗口へ。帰りも指定通りのエコノミー席、座席だけはプレミアムエコノミー仕様だから、まぁJALがサービスしてくれたのだろう、に座る。機内は空いている。国内線ならクラスJは満席で普通席はがら空きなんて事もあるけど、国際線はプレミアムエコノミーの区画だけを詰め込んで普通のエコノミー席はがら空きということはしないらしい。プレミアムエコノミーの区画には適当に空席があり、エコノミーの区画も適当に埋まっている。
 14:52、Doorclose。14:55、Pushbuck。成田までの飛行時間、3時間40分とのこと。途中、若干の揺れが予想されるそうだ。台風を気にしていたが、どこへ行ったのか一言も触れられなかった。
 15:02、地上係員に手を振られてTaixing。飛行機は誘導路を延々、Taixingしてゆく。あまり見覚えのない香港国際空港のはずれ。各国の航空会社から整備を請け負っているらしい会社の格納庫が見える。コンチネンタルの尾翼にUNITEDの文字が書かれた機材なんかも見えた。ようやく滑走路端、今日は妙に遠かった。
 海の見える滑走路端。ぐるりと廻り込むと、一呼吸置く。15:13、Takeoff。RWy07R。軽々ふわりと舞い上がると白い雲の中へと吸い込まれる。若干揺れる。上昇して行くと青空が広がって揺れも落ち着いた。

 15:22、ベルト着用サイン消灯。この先の長い時間が始まる。機内のモニタには今朝のNHKニュース。この3日間の出来事は殆ど知らないからしっかり見ておく。
 ニュースを見ている間にお絞りが配られる。紙製の使い捨てタイプだが、無いよりはずっと良い。でも、前はエコノミーでも一応は布だったな。
 早々に機内食のワゴンがやってくる。15:43。いくら何でも早いなあ。もう夕食になるのか。帰りの便では中華風 とサンマの蒲焼きの二択。ポークorフイッシュか。フイッシュにした。

 やはりささやかな機内食。ずいぶん削ったなあと思う。メインのほかはサラダとうどん。そしてデザートとしてケーキ。これはANAの金浦→羽田で出てきた機内食の方が上だと認めざるを得ない。
 一方でドリンクは従来通りのラインナップ。ジンだのウォッカだのが書いていたから空いているのを幸いにジントニックにしてもらう。以前なら小瓶から注がれ、トニックウォター共々残った分と合わせて提供されていたが、今回は作って貰ったカップのみ。2年前の写真と比べると、レモンも入っていないが、提供されること自体が過分であり奇跡とも思える。どうもJALというところはドリンクに重きを置き、食事を軽視する傾向があるようだ。
 空腹では無いが軽い食事だからすぐに食べ終わる。まだ16時、日本時間でも17時でしかないが、まあ夕食、というのだろうなあ。
 15:58、副操縦士から飛行状況の案内。現在飛行高度11,800m、対地速度940km/h。この先台北那覇の上空を経て成田空港着陸は20:05とのこと。成田の天候は曇りで気温は19℃だそうだ。
 食事が終わる。まだ先は長いから映画でも見ることにする。合わせて、パソコンを取り出して恥辱の続き。テーブルが広いので機内食のトレーを置いたままでも十分作業スペースがあるし、電源もある。この辺りの座席の作りは良く出来ている。

 西の空が赤みを帯びて来る。琉球諸島が弧を描くその西を一路西へ。台風が消えたから通い慣れた何時もの道を成田へと急ぐ事になる。
 機内サービスはこの時間、一応は終了らしいのだけど、頼めば持ってきてくれるようで、前の席にワインか何かが運ばれて来る。ドリンクを持って廻る乗務員もいるから頼む事も出来る。エコノミークラスと言っても、何にも無い訳でなない。これは付け加えておこう。

 ドリンクを貰ったら一緒におつまみも提供された。
 17:40、九州南方、屋久島か種子島の近くを横切って飛行機は東へと向かう。すっかり外は真っ暗。そろそろ着陸の時間が見えてくる頃だ。映画がひと段落ついたのでお手洗いついでに後方の様子だけ見ておく。

 翼の上のプレミアムエコノミーにも空席が見えたが機内後方、本来のエコノミークラスも満席では無い。おおよそ半分ぐらいだろうか。場所によっては3人並びに2人だったり1人だったり。結構空いている。今回の旅行を金曜発日曜帰着にするか、土曜発月曜帰着にするか少々悩んで、結局土曜日発の方が安かったから今日の帰国となったのだけど、金曜日よりも月曜日の方が休み辛いと言う事、なんでしょうかねえ。個人的には同じだろうとも思うし、何となく分かる部分もあるし。
 四国の南側、太平洋の上空を、少し揺れを伴いつつ東へ急ぐ。18:14、あと50分で成田着陸と案内が入る。日本の入国案内がモニタで流れ出した。改めて税関の書類も配られる。貰っていた用紙に記入しだす人もちらほら。案内は「この便は日本航空732便、成田国際空港行きです。」で締めくくられる。何気ない一言も耳にするのは今日が最後の機会だ。
 高度を落とし始めたのか少々揺れる。18:50、副操縦士より案内。成田の天候悪化に伴い、着陸が混雑していて上空待機とのこと。着陸は日本時間の20:20になるそうだ。モニタに映し出される現在地、成田の南側で機首があらぬ方向を向いていて、確かに旋回中であることを知る。揺れは大人しくベルトサインも点かないけれど、成田を目の前にぐるぐると小さく回り続ける。19:07、改めてこれより進入開始と案内。成田到着は20:25になる見込みとのこと。19:10、あと15分で着陸と告げられてベルト着用サインが点灯する。成田の天候は雨、気温は18℃だおすだ。少々揺れながら降下してゆくと20:24、Grardown。そして20:28、Landing。RWy16R。
 窓の外。靄に包まれている。雨粒は流れなかったから霧が出ているのだ。駐機場に見える機体がはっきり分からない程の視界しかないから確かに成田天候不良だ。よくまぁこの天気で降りてくれたものだと感謝するよりほか無い。
 誘導路をTaixing。一向に明かりが見えないのは霧のせいでは無く、辺鄙なスポットに向かっているからに違いない。窓の向こう、ずっと暗闇が続いた後、最後に霞んだ尾翼が見えて20:34、Spot in SP83。サテライト着だ。

 飛行機を降りる。最後の732便だが、この時間。成田何時のバスに乗れるかで頭がいっぱいだ。サテライト側からシャトルで本館に移動する。すぐそばの入国審査場、すでに閉鎖されている。歩いてもう一つ、北側の入国審査場にゆかねばならない。こんな経験は初めてだ。時間が遅いとはいえ、サテライトに着く便があるうちは開いておいて欲しいと思う。こんな事では成田は羽田に勝てない。
 自動化ゲートの利用で入国自体はそんなにかからない。次は荷物のピックアップ。4番での引き渡しは一番北のはずれだ。なんか先ほどから成田空港を横断する勢いで歩かされている。

 荷物を拾い税関をパスすると20:56。横浜行きのバスは21:00の次が21:15。普段ならすぐのバスは慌ただしいから見送って次のバスにするところだけど、帰宅が15分遅くなることを思うとギリギリだけどすぐのバスを選択。お手洗いに寄る暇もないままやって来たバスに乗り込む。バスは空港で細かくお客さんを拾うと高速を横浜へとひた走る。

 細かな雨がフロントガラスを濡らしつつも結構かっ飛ばしてくれる。途中で同時刻発車だったバスを抜く勢い。千葉にさしかかる頃には雨もあがる。1時間で羽田。そして横浜に着くと22時20分を過ぎていたか。やっぱり横浜は遠い、いや成田は遠い。さすがに早く家に着きたくて今日はタクシーを選択する。この時間の横浜、道は空いている。海外から帰ってくると日本の街はどんな繁華街でも閑散としているように見えてしまう。毎回勢いの差というものを感じざるを得ないのである。