帯広のホテルで朝を迎えた。

窓に雨粒がまとわりついている。5月の連休らしくない、実に嬉しくない景色だが、そう言う事になってしまった。
 今日のホテルは10時チェックアウト。そして15時20分の飛行機で帯広から羽田に戻る。帯広の目的は一つだけでその他のプランは全く無いが、さてどうするか。
 ホテルに10時ギリギリまで居る事にして、簡単に身支度。朝食を食べに行ってみた。昨日言われた通りに席が埋まっていておやおやと言う感じだが、それでも空席と食事にはありつける。

 無料の朝食としては意外と充実。ホテルが乱立している分、朝食で差をつける必要があるのかも知れない。
 部屋に戻って身支度。雨は相変わらず強い。今日は東北と北海道の太平洋側が大雨に警戒、との事。帯広はそのど真ん中である。うまいこと雨から逃げ回ってきたが、とうとう年貢を納める時が来た、ようだ。
 都合のよい屋内観光プランなんて気の利いたものは出来なかったから、目的地に行った後は、適当に過ごす事になりそうだ。幸か不幸か自分の鞄が壊れてしまったので、代わりの鞄を探す、という目的はある。

 10時前にチェックアウト。キャリーバックは預かってもらい身軽になると雨の街へと出ることになる。雨は強く風も伴う。あまり動き廻りたく無い天気ではある。

 昨日歩いた帯広の中心街は殆ど即ち飲み屋街。朝10時の街は沈んでいるがその中で賑やかな一角がある。六花亭の本店。スイートロードを歌わなくても激戦区の帯広にあってその代表格とも言える店が構えている。駐車待ちのクルマが並ぶその店に、雨に濡れてきた代償として待ち時間無しで入店。
 店は混雑。5月の連休で無くても普段から賑やかな店だが、今日は何時にも増しての混雑ぶり。その中でも行列が出来ている一角があって、これがサクサクパイを買い求める列。折角なのでその列に加わる。

 こちらがサクサクパイ¥140。食感を味わうために購入後3時間以内に食べるべし、との事でこれを東京に持ち帰るのは非常に困難。帯広の本店でしか売っていないそうだ。サービスのコーヒーと共にその場で頂き、その食感を楽しむ事になる。
 妻がお土産やら何やらをお買い上げ。自分もお土産は買っておく。六花亭と言えばマルセイバターサンドが有名過ぎるが、それ以外のお勧めを妻に聞いた所、「大平原」と「ゆきやこんこ」との事でゆきやこんこを買い求めてみる。

 滞在1時間。時刻は11時。空港に向かうリムジンバスは13:46の出発。まだだいぶ間がある。鞄を見ていこうと地元の百貨店を覗いてみる。藤丸という百貨店。釧路を含めてこの辺りでは唯一の百貨店だそうで、釧路からの買い物ツアーが好評なんてネットで記事を見た覚えもある。でも今日の所は空いている。館内でイベントをやったりして努力は垣間見えたのだけど、地方都市の百貨店は苦しいのだろうなぁ。
 男性物の売場は割りと狭く、気に入ったものもないので結局見合わせ。まだ時間があるので今度は駅の反対側、長崎屋に足を延ばす。こちらは意外と、と言っては失礼だろうが、賑やかである。やはり気に入ったものは無かったのだけど、スーパーがあってクラシックやら何やら、少々買い物をしてみた。

 最後に駅。まだ時間があったので名物である豚丼を食べてみる。お昼を少々廻ったところだったが、さすがに店は混んでいて少々並ぶことになる。

 豚丼はロース肉4枚の標準サイズで¥890。肉が軟らかく豚肉と別の食べ物かと思ってしまう。育て方が違うのか、何か処理をしているのか。目の前で焼いている分を見るにはその秘密は良く分からない。

 それなりに時間が潰れてホテルに戻る。荷物を受け取り、空港までのリムジンバス、チケットを買う。ホテルの真ん前がバスターミナルだが、そこまで行かなくてもホテルの前から乗れるバスがある。拓殖バスと十勝バスの共同運行で空港と市内のホテルを結ぶ便でそちらにする。
 リムジンバスと名乗るからそれなりのクルマだろうと思っていたら路線バスがやって来たので驚く。中扉を殺してその部分が荷物置き場になっていて、一応は空港用車両らしいのだが、駅前発着のバスがリクライニングシートの並ぶバスだから、見劣りする。
 今更変えられないので乗り込む。先客は一人だけ。バスはこの後、帯広市内の南側、北海道ホテルに寄って2人お客を乗せると後は空港へと一直線。途中で寝てしまったが雨の中を空港まで運ばれる。もし雨でなかったら愛国駅跡に寄ってみるのも一案と思っていたが、そんな事が許される天気ではなかった。

 40分ほどで空港到着。駅前同発の十勝バス単独運行のリムジンバスが先に着いていた。