【今日の駅弁】幕の内弁当 ¥900 崎陽軒

 も写真が撮れるわけででなく、読者的には詰まらん一コーナーになった事かと。
 さて。他愛も無い話やら仕事の話をしているうちに、突然速度が緩んだ。掛川の手前だ。
「お客様にお知らせ致します。この先、岐阜羽島の付近で一時間当たり81mmという大雨が降っており、東海道新幹線、名古屋と米原の間で上下線とも運転を見合わせております。」
 7月に続き、大雨の抑止。はぁ……
「この電車、ただ今、掛川の手前で停車しております。この先、各駅とも電車が停まっておりますため、この電車も掛川の駅で停車いたします」
 と言う事でゆっくりと動き出した新幹線。掛川の通過線に停まる。時刻はまもなく20時になるところ。隣の待避線にはこだまも停車中。本当ならもう豊橋に着く筈の時間。通過してゆく上り電車の灯りが恨めしい。
「お客様にお知らせいたします。ただ今入りました情報によりますと、岐阜羽島付近の雨量計、一時間当たり104mmの雨を観測しており、このさき暫くの間、運転を見合わせる事が予想されます」
「104mm」の言葉に車内には溜息と笑いが混じったような声が上がる。電話を掛ける人、飲み物を買いに行く人、混雑している車内、慌しく人が動いている。

 掛川停車中。隣にいるのはこだま。
「お客様にお知らせいたします。ただ今入りました情報によりますと」
 さて、雨量。減ったかな????
岐阜羽島付近の雨量計、一時間当たり116mmの」
 車内、笑い声に包まれる。そう、もはや笑うしかない。
「雨がやんだ後、線路点検を行ったあとの運転再開となります。相当の時間を要する見込みです。お客様にはお急ぎの所、大変御迷惑をお掛け致しますこと、お詫びいたします」
 上りの新幹線、やけにゆっくり走ってきたなと思ったらそのまま通過線に停まってしまう。下り名古屋からの糞詰まり、とうとう上りの掛川まで波及してしまったようだ。
 21時前、何も案内なく、列車が動き出す。
「ただいま掛川を出発いたしました。この先、浜松まで運転いたします。」
 続いて、車内販売の案内
「ただいまソフトドリンクは全て売り切れております。アルコール類、おつまみなど、11号車にて販売しております。」
 まぁ、飲み物確保は基本だからなぁ。
 列車は速度を上げ、そして緩める。浜松だ。不意に、右に振られる。右、右????
 左側通行の日本の鉄道で右に列車が振られたということは、逆線通行と言うことではないか。営業中の新幹線でそんな事を経験するのはこれまで一度も無い。
 果たして列車は、浜松駅の上りホームに到着する。

 浜松駅、通過線にも待避線にも既にのぞみが。

 上りホームにはやってこない上り列車を待つ人たち。
 ドアが開いたかと買い物にゆくと席を立つ人もちらほら。でもドアは開かず、従ってすごすごと引き返してくる事になる。しばらくして
「ただいま、ドアを開ける事が出来ように交渉しております」
『交渉』ってドアを開ける権限も無いのかと思ったけど
「ホームのお客様への御案内が終わり次第、ドアを開きます」
との事。上りホームに岡山行きの下り列車が入ってしまったが故に起こった苦労、らしい。
 21時半前。待望のドアが開く。豊橋までは新幹線で一駅、ここで待つなら在来線で豊橋へ向かった方が良いだろうと、判断する。一緒の同僚に声を掛け、新幹線を降りた。改札はスルー。在来線のホーム、瞬く間に人で埋まる。
 名古屋行きは普通列車。えぇ、西小坂井にも愛知御津にも停まる普通列車。座席がめい一杯埋まって出発。新幹線はまだ止まっている様子。一駅一駅丹念に停まり、真っ暗な浜名湖が過ぎてゆく。
 22:17、ようやく豊橋
 駅の窓口でひとまず払い戻しの証明だけ貰っておく。一応、2時間以上遅延なので払い戻しの対象。名鉄のホームに出ると、新幹線が過ぎてゆくのが見えた。ようやく新幹線、動き出したようだ。そして、浜松で捨てた385Aがやって来た。沢山の人が降りてくるのが見て取れた。
 電車を乗り継ぎ、やってこないタクシーを待って定宿に着くと、もう24時過ぎ。何時に宿に着くかなんて聞かれても居ないし答えてもいなかったけど、部屋、用意して待っていてくれる。鍵を貰って部屋に入るとシャワーだけ浴びてもうねる。明日も早い。