ヲタはヲタらしく

 結局、次の蹴上で下車する。やっぱり一度はインクラインを見てみたい。どこへ行くのか改札から外へ向かう通路、えらい混雑だ。
 久方ぶりの地上。相当冷え込んでいる。陽は翳っていて紅葉の色が冴えないのはちょっと残念。インクラインは駅の近くにあるらしい。どうやら道沿い、すぐ上の土手がインクラインらしいのだけど土手の上に上がることが出来ない。しばらく混雑した歩道を下ってから線路に上がってみた。一人、人の流れから外れることになる。
 想像以上に広い幅の軌道がある。レール自体は細く錆付いてる。ぽつんと車両が留置されている。往年の様子を伝えるためか、車両には木造船が一隻。振り返ると京都の市街地が広がる。折角なので線路を上のほうまで辿ってみた。坂はだらだらと続き、登り切ったところに車両がもう1両。レールの先に水路がありレールが潜って行く。水路の流れは何気に勢いが良い。すぐ脇に取水口があり実は現役の発電所がある様子だった。水路に掛かる橋から今来た道を眺めてみた。細々としたレールが続く。その先に京都が霞む。
 三度地下鉄に乗る。時刻は11時過ぎ。まだどこかに立ち寄れる。次の駅、東山三条で下車。清水へ行くにも銀閣に行くにもここからバスとなるのだけど、思い立って周辺を歩いてみた。確か高校の修学旅行で泊まったのがこの辺り。確か知恩院の前だったような記憶がある。階段を上がる。知恩院近道の案内に誘われて商店街に入る。観光客の来る様なところじゃないんだろうけど雰囲気が良い。路地に見える京都の町屋。降りて良かった、と再び思う。通りは白川の流れにぶつかる。左に曲がると知恩院。右に行けば当時泊まった宿があるはずだけどどの辺りだったか、一向に記憶が蘇らない。知恩院のあたりをぶらぶらして、途中見かけた食堂でメシ。そろそろお昼過ぎとなる。帰りの飛行機は伊丹15時。ちょい早いけど空港に向かうことにする。またまた地下鉄、今度は京阪車だった。京阪車は市役所前までの運転なので2駅進んで後の電車に乗り換えて、今度は一駅、烏丸御池まで戻って乗り換え、さらに一駅、四条で下車。締めにスタンプを押す。さぁ帰ろう。
 阪急の梅田方面は先発特急となっている。時刻表を見るとこの時間帯は特急と急行が10分毎の運転。快速特急は昼間の運転がないらしい。よく見ると6300系充当車はさらに限られている。12:10が行った後で次を待つと12:40となる。ちょうど12:20の特急が入ってきたところ。7300系。河原町ゆきの特急も来てこちらは8300系。折角だから6300系を待つことにしてとりあえず河原町へと向かう。
 待つことしばし、6300系が来る。席が一通り埋まる。自分も座る。さすがに齢は隠せないようでクッションが少しへたっている感じがする。出発する。烏丸、大宮、桂と停まる。長岡天神にも停まる。乗り降りはあるから停まる価値はあるんだろうけれど。山崎では新快速に抜かれる。高槻市に停まる。茨木市にも停まる。次は南茨木、と放送が入るので驚く。さすがに間違いだった。
 十三で来たのは快速急行だった。何者だろう。蛍池には停まるのかな。案内が入る。豊中蛍池、石橋……。停まるみたいだ。なんか区間特急みたいな停車駅だなぁ。先頭に乗る。まぁまぁ空いていて座れる。車内込み合いましてご迷惑をおかけしておりますの放送。後ろのほうは混んでいるらしい。蛍池でモノレールに乗り換え空港に着くと13:38。河原町からちょうど1時間掛かっている。
 展望デッキに出てみたけど逆光で撮れない。多少ずれていればそれなりに撮れるのだけど、まったくの逆光だからやる気がなえる。仕方ないので搭乗手続きを済ませてラウンジに行く。ラウンジは空いている。折角なのでビールを飲む。ここはサーバがある。銘柄はアサヒとサントリー。さすが大阪だ。サッポロ派には悲しい空港やね。アサヒに手を出すのは気持ちが許さないのでサントリーにする。さすがにサーバから注ぐビールはうまかった。時間もあるのでついつい飲み過ぎそうになる。これから空を飛ぶのだし多少自制しなくてはならないと言うことで羽田行き御搭乗は14:40ごろからという放送が入るのを聞いてラウンジを出た。