飯田線に乗って○○○へ行こう♪ その2


 相変わらず停まる停まるを繰り返す今日の飯田線湯谷温泉で温泉客らしいお客さんが二組乗ってきて賑やかになる。久しぶりに眺める鳳来峡。紅葉は、木によってはですかねぇ。もうちょっと時期が遅ければ真っ赤だったかもしれない。あるいはこの先、どこかで出会うかな。

 三河川合で9分待ち合わせ。その間に上り電車が来る。先程、湯谷温泉で乗ってきた年寄りが待ち時間が長いことをホームにいた工事の監視員を捕まえて文句を言うのが聞こえる。正直、うるさい。
 豊川水系から天竜川水系へと峠を越える。静岡県浜松市天竜区、なんて所在地に書かれている。


 ちょっとした街が現れて中部天竜到着となる。ここで20分以上の停車。ちょっと駅前を歩いてみる。切符を提示したが駅員はスルー。

 駅横にあったレールパーク。その後にマンションが建設中。

 街は川の向こうとなる。20分あれば往復ぐらいは出来そうだけど、まぁやめとく。

 駅の近くにあった店。

 氷川きよしとしか書いてなくて何の店かさっぱり分からない。中はちょっとした菓子、酒、パンとか何とか。外観じゃ分からないぞぅ。
 20分以上待って列車は動き出す。飯田線らしくないトンネルを抜ける。

 山間に集落がしがみつくような飯田線らしい光景が広がりだす。
 水窪へ。ここでまた3分停車の案内。

 やってきたのは特急伊那路。がら空きで来たがこの列車ももう17年続いているのか。

 列車はもう一つ、飯田線らしくないトンネルをくぐる。左手に天竜川が寄り添ってくる。先程の鳳来峡よりも紅葉が進んでいる。紅葉の時期の飯田線、初めてだなと今更ながら気が付く。いつも18きっぷのシーズン終盤に前夜発日帰りで行っていたもので、18きっぷの設定がない秋という季節には全く縁がなかったのだった。

 平岡で団体のツアー客が乗ってきて席が埋まる。車内も賑やかになった。最近はローカル線に乗ると観光の団体と出くわす事が多いが、平日でもあるのかと思う。年齢層はかなり高めで平日も休日も関係ないかも知れない。

 長野県に入ってから曇りがちでせっかくの天竜川、せっかくの紅葉が台無しになる。豊橋からまもなく4時間。飯田線のハイライトなのだが、残念だ。


 終着、天竜峡に到着。ここで列車を乗り換える事になる。改札で切符を見せると途中下車印を押される事なくスルーとなる。
 待ち時間は20分少々。昔話をしても仕方ないが、天竜峡駅にも立ち食いそばがあって五平餅なんかも扱っていた気がする。
 ここで昼食を食べないと食いっぱぐれる可能性が高いので駅前にあった食堂に。20分しかないけど出来るか?と確認しいた上で「ラーメンなら」と仰るので出して頂く。


 ¥600のラーメンは至ってシンプルな醤油ラーメン、東京スタイル。有り難く頂く。
 早々にラーメンが出て来たので余裕を持って駅に戻る。ちょうど飯田ゆきの特急伊那路がやってきてお客さんを降ろす。意外と席が埋まっていて先程の上り列車とは大違い。
 この特急。豊橋を出たのは10:08。自分が乗ってきた普通列車の2時間後である。この特急に乗るなら今朝はゆっくりと出てこれた。迷ったけど、久しぶりに乗る飯田線のゆっくりとした時間を楽しみたかったので8時の普通列車に乗ってきた次第。

 特急が少々遅れて出ていった後、次の普通列車が同じホームに入ることになっている。見ていると3番線に着いた先程の豊橋天竜峡行きが転線して1番線に到着。今度の茅野ゆきとなる。
 豊橋発茅野行き何だなぁと思いながら列車に乗る。車掌と運転士は入れ替わったから、列車番号が変わる事自体は正しい扱いなのかも知れない。


 まもなく発車時刻。列車はがら空きのまま出発となる。天竜峡までの山間が打って変わって広々とした谷間を列車は走る。遠くに頂上を白く染めた南アルプスを臨みつつ列車は概ね北へ。時に西に東にとうねうねしつつ北へと進む。飯田の市街地でお客さんを少々乗せる。高校生の姿もちらほらしたけど、高校の下校時間には少々早いような気もする。
 天竜峡からは列車の本数も増えるのですれ違いの機会も増える。従って、「6分停まります」「4分停まります」の機会も多い。豊橋を出て6時間ぐらい経っただろうか。普通列車でも6時間あれば豊橋ー辰野を走りきる列車があるはずだが、この乗り継ぎ。本当に遅い。

 飯田から1時間も走ると車内、本当にがら空きになってしまった。超を付けたくなるほど閑散区間である中部天竜-天竜峡で乗ってたお客さんよりも少ない。  


 秋の空気が漂う伊那谷を列車は北へと進んで行く。駒ヶ根で「しばらく停まります」の案内。15分停車だそうだ。駅前のスーパーをぷらっと見てきてなおまだ時間が余る。
 駒ヶ根と聞くと飯田線も最終盤の筈だけどあと1時間少々。列車は大振りな家と田園が混じり合う伊那谷の上流部を諏訪湖目指して進んで行く。下校時間になってきて席も埋まるようになって来る。賑やか、まではいかないが、先程はJRが気の毒になるほど空いていたから、このぐらいがちょうど良いように思える。伊那市伊那北でさらにお客さんを集める。15時を過ぎて伊那谷も陰が延びてくる。秋の日暮れは早い。飯田線を乗り切らないうちに夕暮れの気配が迫ってきた。
 すっかり影に隠れた伊那谷の最終区間を走ると、中央線と合流して辰野となる。

 この時間の辰野。薄暗く寒くて冬のようだ。列車はまた10分近く停車して上り列車を待った後、中央線を茅野まで行く。10分近くでまずは岡谷へ。

 ここでも13分停車。この間にやってくる特急に今日は乗り換える事にしている。豊橋から既に8時間。どうせなら終点の茅野まで乗り通したかったが、この後東京で所用があるので先を急ぐ。

 中央線の特急は少々遅れてやって来る。4分ぐらい遅れて岡谷に現れたあずさ26号。E257系のお世辞にも美しいとは言えない顔を眺めて乗り込む。鉄道車両というものは、多少違和感があっても時間が違和感を解消してくれるものだが、E257系に関してはどうもいつまで経っても馴染めない。

 新宿まで乗り通すので指定席を用意してきたが、列車自体は空いていた。これなら自由席でも十分だったかも知れない。(後で自由席混み合いまして…という案内があったけど)

日が雲に隠れ、薄暗くなった諏訪盆地。わずかに光る諏訪湖を右に眺めて東に進む。先程までは200kmを8時間だったが、今度の特急は200kmを2時間半。あまりに世界が違っていて、同じ在来線とは思えない。
 東海道新幹線には毎週のように乗っているが、JR東日本の在来線特急は久しく乗った覚えがなく、従って、指定席に座っていれば検札は省略しますよシステムにも馴染みがない。ちょっと新鮮ではある。

 17時の甲府で指定席も席が埋まる。西の方がほんのり赤いだけで、景色は闇に沈んだ。
 普段、普通列車にしか乗らない中央東線普通列車の時間感覚で考えているから、今日は駅が現れるのが早い早い。甲府から15分で塩山が流れ、30分で大月が流れる。確かに八王子まで1時間で走らねばならないから、そのぐらいのペースで走らないと追い付かない。大月の駅が流れたので元京王5000系の復元車でも停まっていないかと目を凝らしたが、いたのは元国鉄205系であった。
 「高尾を時刻通りに通過しました」の案内で目が覚める。少々寝ていたその間に、定刻に戻して中央東線から中央線の区間に入ったようだ。電車の輻輳する高尾から先で遅れていると、多大な迷惑を掛けるから、思い切り回復運転をしてきたようだ。
 八王子を時刻通り、立川は少々遅れる。立派になった中央線の線路を軽く流すように、時折じらされるように走ってゆく。通勤客を満載した列車と何度とすれ違う。自分が豊橋から大回りする間に、世の中の人は仕事を終えて帰宅する時間になっている。

 新宿に定刻、18:36の到着。