2025-06-10

 まだ暗いうちに目が覚める。時計は4時前。出張先、大連のホテルで迎える2度目の朝。大連の滞在は今日までとなる。折角なので大連市内、少し見ておきたいが、いくら何でも早すぎる。もう少し寝ておいたが、結局4時半には眠れなくなる。
 起き出して身支度と荷支度。

 昨晩の雨はやんでいる。そして霧も出来ていない。まぁ良い朝である。少し街歩きをしてみる。大連には路面電車が走っている筈。その姿は見たい。

 時刻は5時半。さすがにまだクルマは殆ど走っていない。人は時折歩いたり、ジョギングしたり。一緒に来た会社の人は昨日朝、ランニングをしてきたそうだが、結構走る人の姿を見たそうだ。お酒の話と言い健康志向が高まっているような印象を受ける。
 静かな街を大連火車站目指して歩いてみる。途中、道路を渡る所、横断歩道はあるが、信号がある訳ではない。クルマが交差点を曲がろうとしていたので渡る事を躊躇していたら、クルマの運転者が手をどうぞと差し出している。以前の中国だったら考えられない事である。大連だからかも知れないが、中国も民度が上がった。
 そんな調子で歩いていたら、クルマとは別の音が聞こえる。

 路面電車の釣りかけ音。何ならどう見ても日本製にしか見えない古典車両が走ってゆく。初見でこれは心臓に悪い。
 時刻は5時半。運転間隔が分からないが、もう1両、来ないかなと思って線路沿いに歩く。ひとまず大連火車站の方へ。


 途中、鉄道車両を使ったと思しき店舗を見かける。便利店とあるからコンビニだ。24小時とあるので24時間営業と思うが、営業している雰囲気はない。
 火車站まで来る。

 昨日も見かけたトロリーバスが走っている。トロリーバスにカメラを向ける人が珍しいのか、運転士からの視線を感じる。

 大連火車站まで来る。南満州鉄道が建築した駅舎がそのまま使われている。どことなく上野駅を思い起こすような建物である。日本の近隣国を歩いていると戦前、日本統治下だったり日本の影響下にあって建てられた建物に出くわす事はよくある。記念館になった高雄駅舎では案内係の人に「ありがとう」と日本語で言われた事が有る。韓国はKTXが通る度に駅舎が新しくなった。ソウル駅や新村駅は記念館として残っているが、日虜時代の建物は国の恥、みたいな空気を感じる。大連の場合はどうなのだろう。取引先に率直な所を聞いて教えて貰えるかどうかは分からない。調達の担当者からは政治と宗教の話はやめた方がいいと事前に釘を刺されている。
 火車站前には路面電車の停留所がある。先程来、電車が走る様子は見ていないが、ちょっと待ってみる。しばらく待っていると西の方から電車が姿を現した。

 満州国時代に導入された路面電車。製造元は日本車輛らしい。このまま日本の街を走っていても全く違和感ない姿で現れる。

 西から東に向かう電車も満州国時代の古い電車。写真に収める人もいるから大連のアイコンとして捉えられている様子は見て取れる。少なくとも国恥ではないと分かる。
 暫くの間、大連火車站の前で路面電車を撮っても良いのだが、大連に限らないと思うが、街角街角の要所要所に監視カメラがあるのが気に掛かる。一か所で撮り続けると目立つかも知れないなんて、そんなことが頭をよぎる。
 移動を兼ねて少し歩く。来た道を戻る。


 時々やって来る電車を見つつ、西の方へ。

 古い建物をリノベーションしたような街並みに差し掛かる。

 釣りかけモータの音を聞いていると少し乗りたくなってくる。アリペイが旨い事使えないので困っているが、運賃2元ぐらいなら手持ちがある。

 ちょうど停留所もあったのでしばらく待ってみた。6時を廻った所だが、クルマは少なく、歩く人も少ない。それでも

 電車はやって来る。2元を現金で払って車内へ。

 車内。座席は木製。釣りかけ音を響かせて動き出す。直接制御式のマスコンの操作音が聞こえると釣りかけ音が消え、また操作すると釣りかけ音が響くという調子。大連火車站まで結構な距離があり、しばらくの間、路面電車の旅を楽しむ。しかしどこで降りようか。あまり遠くまで行くとホテルに戻るのが大変だが、火車站で降りるのはちょっと早すぎる。迷っている間に火車站を過ぎ、東の市街地へ。結局、入庫するので終点、というので降ろされる。
 地図で場所を確認する。中山広場が近そう。ホテルに戻りがてら、寄り道をしてみる。
 ロシアが清から租借し、日露戦争の結果、日本に権益が移った大連の街。中山広場には日本租借時代に建てられた近代建築が残っている。

 元横浜正金銀行。今は中国銀行として使われている。

 元大連ヤマトホテル。今は大連賓館というホテルになっている。

 元大連民政署。今は遼寧省対外貿易経済合作庁。
 意外と日本の影響下にあった頃の建物、大事に使われている。銀行は銀行として、ホテルはホテルとして、役所は役所として。そのままの機能を維持しているのが面白い。
 ホテルへと戻る。そろそろ7時になっていて、街が動き出している。道路を渡るついでに地鉄、つまり地下鉄の駅構内を使ったら、駅構内に出店が出ている。まるでソウルの地下鉄駅。
 ホテルに戻って朝食の後は荷支度。今日で大連のホテル、チェックアウトとなる。昨日貰ったサクランボは食べきれていない。どうしたものかと思ったが荷物に詰める。今日は精算を済ませて9:20にロビー集合と言われている。
 日曜日からお世話になっている取引先が今日も来ていて、空港までクルマで送って貰える。何なら、搭乗手続きも立ち会ってもらう。何から何まで甘やかされている今回の出張。お礼を伝えて大連を後にする。

 この後は日本帰国、ではなくて中国国内の移動となる。早めに出てきたので出発まで時間が少々ある。制限エリア内のベンチで会社のメール確認と京王線恥辱を少々綴る。

MU6450 B6878 A320-200 DLC→YNT

 今度向かう先は煙台という街。大連とは黄海の奥、渤海を挟んだ反対側となる。海路で6時間半、陸路だとぐるっと廻って何時間かかるのだろうという所で、空路での移動となった。出発は11:55。まだ1時間半以上あるが、出発機の案内は出ている。

 関空から来る時は中国南方だったが、今度は中国東方となる。
 11時前になって

 この後の搭乗機がやって来る。出発1時間前であり、定刻出発になりそうだ。
 11時20分ぐらいに搭乗開始となる。機内へ。この度も通路側の席を貰っている。前方2-2列で8席のビジネスクラス。その先は3-3列のエコノミークラスと言う2クラス制。

 距離が短いからか、座席には水のペットボトルが準備されていて、機内サービスであるらしい。11:55に出発し、12:50には到着。大連と煙台は直線距離で150㎞程度なので、水を貰えるだけ立派、と言う感じではある。
 隣2席が埋まり、見た所、機内満席。客室乗務員が人民日報を配って回る。ちらっと見たら海外版と書いているように見えた。この飛行機、前運用を見る限りは国内線運用のようで、海外版、という理由は良く分からない。
 中国語と英語で案内があった後、11:44、Pushbuck。11:50、Taixing。飛行機は誘導路を進むと11:55、Takeoff RWy10。穏やかに上昇してゆく。外の様子は見て取れないので8日の続きで文庫本を読みながら過ごす。ベルト着用サインが消えないまま、12:15、着陸態勢に入るような案内。12:26、Geardown。窓外には田園地帯とも言えないような荒涼とした大地が見えているようだ。12:29、Landing RWy05。思ったよりも大きな空港を進むと12:34、Spot in SP222。
 準備が整い降機する。 

 MU6450というフライトは煙台から先、南昌という街まで飛ぶ経由便。南昌まで行く人も含めて一旦降機となり、降りたところで煙台までの人、南昌までの人に振り分けられる。大連で預けた荷物を受け取り、制限エリアの外に出る。こちらも取引先への訪問が目的。先方の営業担当者が迎えに来ていて、クルマに案内される。ホテルまで送ってもらうのだが、その前に昼食となるそうだ。こちらではフォルクスワーゲンのバンに収まる。
 煙台の空港から市内へ向かう。市街地までは遠いようで自動車道を進む。道行くクルマは国産車が目立つ。道路沿いには果樹畑。サクランボも生っているが、袋を被った実もある。こちらはリンゴらしい。
 煙台市の郊外まで来る。高層住宅が並ぶ中、一部建設が止まっているような所もある。大連でも見たが、煙台でも同じような状況が見える。
 14時近くに昼食の会場へ。取引先が予約していた日本料理店へ。大連でもそうだが、必ず日本料理店は一回通るのか。夜は居酒屋営業でもしそうなお店でランチメニューの定食を頂く。
 打ち合わせは明日に設定されていて今日は移動日。海岸沿いのホテルに連れて来られる。煙台でもホテルの予約は取引先がやってくれている。
 チェックインすれば多少休憩できるかと思っていたが、ホテルの部屋、まだ準備に時間が掛かるそうだ。その間に博物館を案内するとの事で荷物だけ預けて、再び移動となる。いや、ホテルのロビーで待っていればいいんだけど、とは思うが、先方流に合わせた方が良いのだろう。身を委ねる。
 再びクルマ。海岸沿いに東に進むと煙台の市街地らしい。左手に港。右手には高速鉄道の駅がある様子。街中に入ると着いた先、ワインの博物館だそうだ。中国でワイン?と思うが、煙台はワイン造りが盛んなのだそうだ。同じ山東半島にはビールで有名な青島がある。山東半島、ドイツの租借地であった歴史がある。ワイン、ビール、どちらもドイツが持ち込んだ文化、と思うと納得がいく。
 今見ているワイナリーは華僑が設立したもの。その歴史やら何やらのパネル展示を見た後に、地下へ。 

 冷涼な保管庫にずらっと樽が並ぶ。相当な規模な保管庫だが、公開されているのは一部らしい。

 最後は試飲がある。赤と白と一杯ずつ。口当たりの良いワインであった。
 ホテルに戻ると17時になっている。さすがに部屋の準備は出来ている。チェックインして宛がわれた部屋へ。

 無駄にラグジュアリーなホテルで、目の前は海。このままゆっくりしたいところだが、今日も会食を設定されている。ちょっとだけ部屋で過ごしてからロビーに集合。クルマに乗せられ会場に向かう。案内されたのは取引先の迎賓館、といったら言い過ぎではあるが、招待所、とも違うか。取引先が自社で所有するという施設に案内される。先方からは取引開始時から対応してくれているという副総経理が出席頂く、
 煙台は海産物と果実が名産で、との事で海産物を中心とした食事が供される。

 なまこが丸ごと出て来た。干したものではないので食感がまるで違う。

 煙台でもユムシが出て来る。
 飲む方は、と言えば白酒とビールが置かれる。飲まない人にはお茶かジュース。ビールは空くと給仕の方が注いでくれるのだが、白酒はあくまでホストとゲストで注ぐ注がれるべきもの。飲めない人、遠慮する人には無理強いは無いが、飲めそうと判断された人には、副総経理、割と来る。ただ、白酒を乾す、また注がれるというペースではないので、何とかなる所。
 2時間程でお開きとなり、ホテルに送って貰う。部屋に戻ると21時近く。今日のホテル、廻りにコンビニが無い。軽く飲みのは日本から持ち込んだ缶ビール。1本で酔いが廻り切る。

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