2024-06-22

 知らないベットの上で横になっていた。部屋は暗く、外も暗い。時刻は、、、、、とスマホを探す。ちゃんと充電中だった。時刻はまだ3時過ぎ。旅先のホテル、 沖縄本島から東に300㎞。天気予報でお馴染みの大東諸島。その北側に位置する北大東島のホテルに宿泊中。昨日は2軒で飲んでホテルに早々に寝てしまっている。
 喉が酷く乾いている。昨夕、JAで買った飲料水で喉を癒してもう少し寝る。あんまり寝付けない間に何となく外に朝の気配を感じるようになる。時刻は5時前。沖縄の割に朝が早い気がしたが、考えてみると沖縄本島からだいぶ東には来ている。
 結局眠れなくなる。シャワーを浴びて、テレビを点ける。沖縄の放送が入っている。ごくごく普通の話だが、沖縄の放送を見れるようになったのは2011年の事。それ以前は東京の放送が衛星通信経由で送られていたそうだ。
 今朝はホテルの食事を付けている。営業開始は7時。ちょっと過ぎてからレストランに赴く。咳は半分弱埋まっているだろうか。観光客がメイン。お弁当の包みがレジにいくつか置いていて、長期滞在の業務客は弁当を持ち出す場合もあるようだ。
 食事は和食一択。間もなく運ばれてくる。

 ご飯と味噌汁に焼き魚、野菜、お浸しにサラダ、温泉卵と言う感じ。多分島外からやって来たに違いない。お世辞にも、だが、仕方ない事とは思う。
 今日は午後の便で那覇に戻る。出発は14:45。ホテルに滞在できるのは10:00まで。どうしようかなぁと裏ぼんやり考える。

 ホテルの中にある展望台のような所から島の様子を眺めてみる。小さな島だが島の外縁を丘陵が囲っているので、海は見えない。

 振り返るとホテルの敷地。ひとまず部屋に戻る。京王線恥辱、

 昨日の分を綴りつつ、適当なテレビ番組を点けておく。普段見ない時間なのに見覚えのある番組。何だろうと記憶をたどると隠岐のホテルで見た事に思い至る。
 9時を過ぎてホテルをチェックアウト。少し観光をしてこようかと思う。10時までに戻る事は出来そうにないから、チェックアウトの扱いにしておいた。荷物はフロントで預かってもらう。空港への送り届け、13時半出発との事で、それまでに戻ればよい。
 昨日訪れたJAの近く。多分、島で唯一の交通信号がある。

 一応十字路。近くに金融機関兼スーパーマーケットのJA、ちょっと行くと村役場や学校もある、北大東島の中心みたいな所ではある。クルマは時折やって来るが、特別交通量が多い、という感じでもない。もしかすると子供の教育のために設置しているのかも知れない。
 村役場と中学校が見える村の中心地を抜けるとメインの通りを逸れる。まもなく観光案内に出て来るポイントが現れるらしい。

 大東諸島の固有種、ダイトウビロウの林。開拓以前は一面、ビロウが広がっていたそうだ。昨日から歩いていた島の一面、この樹で覆われていた様子を何となく思い浮かべてみる。
 人家が無くなって、サトウキビ畑の中を歩く。

 青い空。湿気が高く、汗が噴き出る。遠くから村役場のお知らせ、みたいな放送が聞こえて来る。
「南大東気象台によると、本日は熱中症の危険が非常に高い状況です。不要不急の外出は避けて…」
 自分の今の動き、不要不急の最たるもの。どうしたものかと思ったが、歩くことを続ける。

 まぁ暑いんだけどね。
 島の南側、海岸寄りにこんもりとした丘陵が続いている。

 こちらが村のサイトでも紹介されている長幕。昨日、燐鉱山跡に行く時に越えた丘陵も長幕のうちなのだが、南側の長幕は北大東島本来の姿を今に残しているとの事で

 天然記念物に指定されている。貴重な植生を保護するために立入禁止となっており、長幕の内側から眺めるだけではその貴重さは良く分からないのだけど。
 更に歩く。どこかで飲料水でも買えればと思っていたが、自販機すら見当たらない南大東島のサトウキビ畑。

 島の東側、空港の近くまで来たが、人家一つ見当たらない中を歩く、歩く、そして汗をかく。

 道案内が現れる。台風岩、沖縄海。何とも投げやりな名前だ。そのうちの一つ、沖縄海に行ってみようと思っている。もう少し先に進む。間もなく北大東島東海岸に出る。

 西側と同様、断崖の下に海が拡がる北大東の海岸線。燐鉱山跡のあたりの雰囲気とあまり変わらない。
 道案内で見かけた沖縄海はもう少し北側。海岸線沿いに北側へと続く道。

 左手には南大東空港の滑走路が見えている。その間を北上すると間もなく、海岸側にちょっとした人工物が見えて来る。


 沖縄最東端という碑が建っている。沖縄本島から東に300㎞以上やって来た大東諸島。「北」「南」に名前を冠しているのでどちらがより沖縄より離れているかなんて考えた事は無かったけど、北大東島の方がより遠いらしい。

 この辺り、海岸線に降りられるようになっていて、人工的に作られたらしい浅瀬がある。こちらが沖縄海の正体。すぐに深海へと沈み込む大東諸島において、海水浴が出来る浅瀬は希少な存在。そしてその浅瀬だけは、鮮やかに軽やかに広がる水色が広がっている。まるで沖縄本島の海、という意味合いで名付けられた沖縄海。現地で見てみると言い得て妙。納得する。

 最東端の近くに見慣れない言葉による注意喚起が掲示されている。「低潮線保全」という耳なじみのない言葉が出ているが、

 この辺りの海岸線が変わってしまうと日本の領海、排他的経済水域が狭くなってしまうので、海岸線の後退を招くような行為を禁止する、という真っ当なお話であった。
 いい加減、喉が渇いた。折角なので、1本、大事に持ってきた

 オリオンビールを頂く。1時間以上持ち歩いて温くなった。けど、乾いた喉にはありがたい。暫くゆっくり。クルマで来たら絶対に出来ない楽しい時間を過ごす。
 そろそろホテルに戻る。来た道を戻る。先程350mlのオリオンビールを頂いたせいか、同じ道でも近く感じる。

 サトウキビ畑の中をてくてく。空港からの道に合流すると戻りは最短経路にした。時折、人家が現れる。クルマも時々通る。そんな中を西に進む。島の真ん中まで来ると月桃の加工施設やら製糖工場なんかがあって人の気配が出て来る。

 サトウキビ畑の真ん中と違って時折は日陰が現れる事もありがたい。

 沖縄ではあまり見かけない神社も、八丈由来なのか北大東島では時折見られる。
 神社があるぐらいなのでだいぶ中心に戻っている。あと10分少々でホテルだろうか。でもその前にJAのスーパーに寄って飲料水を買おうか、なんて考えていると

 自販機が現れる。久しぶりに見かける飲み物。飲まないという選択肢は全く無い。有り得ない。

 日陰に入って早速缶ジュースを頂く。沖縄海でオリオンビールを頂いてから1時間は経っていないけど、一息ついた感じはある。
 11時半にホテルに戻る。空港への送迎が出るまで2時間あるが、もう動くのはやめておく。昼食を食べておこう。お昼ご飯を食べられる所は、島に唯一つ、今いるホテル併設のレストランしかない。昨晩から3食、続けて同じところと言うのは芸が無いが、仕方ない。
 レストランは昨日と同じ店員と昨日と同じ客層。すなわち、客は観光客と業務客の混浴。弁当の準備があるのは朝と一緒。時々、冷却ファン付き作業着を着た人が弁当を受け取ってゆく。このホテル、レストランとコンビニを兼ねているかのようだ。
 観光客で喉が乾ききっている自分は、昨日と同じ外国人の店員さんに

 ビールを注文して持ってきてもらう。沖縄海で飲んだ生温い缶ビールと打って変わって冷たく喉越し良いビール。早々に無くなりそうになる。一気に2杯飲むと酔いが廻りそうで、ちょっとペースを落とす。

 お昼ご飯には大東ソーキそばを頂く。沖縄そば大東諸島版っちゃそうなのだが、北大東特産のジャガイモを使った麺だそうだ。サトウキビしかない6月の北大東島だったが、サトウキビの合間で南瓜とジャガイモも作るそうだ。ジャガイモに関してはジャガイモ焼酎なんて特産品もあり北大東島の一押し。とは言え、島内で食べきる訳でなく、沖縄本島に出荷できる日持ちする作物を選んで作っているらしい。
 もちっとした麺を頂き、会計を済ませるとまだ正午前だった。空港への送迎バスが出るまでの間は昨日、那覇空港で買い求めた文庫本を読んで過ごす事にした。同じく数人、昨日来顔を見かける観光客が空港へ向かうバスを待っていた。
 13:30、空港行きのバスが出る。

 昨日と同じマイクロバスに乗り、空港へ。昨日とは違う島の北側を廻る道を行く。景色が極端に変わる訳ではないが、初めての道であり、ちょっと嬉しくなる。10分弱で空港到着。


 今日も昨日同様、那覇→北大東→南大東→那覇の北先行三角ルートでのフライトが予定されている。北大東出発は14;45。空港には既に十数人が集まっていて、搭乗手続きをしている。自分も搭乗手続き。荷物も預ける。
 飛行機の到着まで30分弱。時間を持て余すので展望デッキに出てみる。デッキというか、屋上というか。ささやかな施設。

 滑走路の向こうは午前中、ホテルから歩いて訪れた沖縄最東端と沖縄海。昨日から似たような所ばかり廻っている。一周13㎞しかない島なので、どうしてもそうなる。
 展望デッキで少々。空港の沖合を南側から北側に向かってターボプロップ機が進む様子が見える。一度視界から消えた後、

 Q400CCが降りて来る。那覇からの847便。目の前を減速しつつ過ぎ去った後、

 今度は向きを変えてゆっくり。スポットの方へと入って来る。昨日と同じJA82RC。こちらが


 沖縄の東の果てでプロペラを止める。そろそろ展望デッキからターミナルに戻り、保安検査を受けておく。搭乗待合室に入る頃、NU847のお客さんが降りて来る。半分ぐらいのお客さんはそのまま制限エリア内、こちらの搭乗待合室へと進む。

NU736 JA82RC DHC8-Q400CC KTD→MMD

 北大東発南大東ゆき、736便の出発は14:45。10分程前になって搭乗開始の案内が入る。

 北大東滞在ちょうど24時間。1日前に北大東に送り届けてくれたJA82RCに乗り込む。後方の窓側席に落ち着く。機内満席。大東諸島へは船便もあるが、週1~2便という細い道。飛行機も定員50人を南北両方の大東島でわけわけする訳で、細い道には変わりないかも知れない。
 14:47、Doorclose。エンジンが始動する。乗務員の紹介。客室2名のうち1人は研修だそうで、その研修の人が案内をしている。その研修中の乗務員から南大東までの飛行時間、10分と告げられた。

 14:52、Taxing。エンジン越しだが、空港の係員が総出でこの飛行機を見送る様子が見える。飛行機は滑走路を北側へと進み、滑走路端でUターン。14:57、Take off RWy21。
 飛行機は滑走路の中程で浮かび上がる。Gearが仕舞われたのは意外。北大東島の大地がすぐに離れてゆく。

 太平洋の上。すぐ近くの南大東島に向けて上昇、しない。左に旋回してゆくと

 14:58、Geardown。Gearが仕舞われてたの1分あるか、無いかの短い時間。飛行機は右に旋回していってエンジン越しに北大東島が見えて来る。今度は左に旋回。

 飛行機は南大東島に差し掛かると高度を下げてゆく。サトウキビ畑を見つつ15:01、Landing、RWy20。減速すると滑走路端でUターン。15:04、Spot in。
 ドアが開いて降機。当然ながら那覇までのお客さんも降機する旨、案内される。

 先程乗ったばかりの飛行機を背にターミナルへと向かう。

 那覇へのお客さんはそのまま搭乗待合室へ行く事が出来るが、今日は一旦外に出る。南大東の空港ターミナル。北大東よりはちょっと大きい。


 南大東の発着は1日4便。午前に那覇-南大東の往復便があり、午後には今日乗って来た三角フライトの経由便がある。島の大きさも人口も南大東の方が大きい。
 出発20分前が近付く。保安検査を受けようとしたら、荷物の返却中なので、そちらが終わるまで待って欲しいとの事。時間があるならと展望デッキをちょっとだけ見てみる。

 逆光なので撮りづらいけど。少しだけ写真を撮ると保安検査場に戻る。既に保安検査が再開している。出発まで20分を切るかどうかというタイミング。特に問題なく、制限エリアの中に戻る。北大東からのお客さんと南大東からのお客さんで混雑している。
 出発10分前になって搭乗開始となる。昨日来お世話になっているJA82RCに戻る。

 今度は機内最後尾。仕切の後は荷物室、という席に落ち着く。機内満席。大東路線、昨日今日見ただけだが、よく利用されている。
 15:35、Door close。那覇までの飛行時間、60分と告げられる。間もなくプロペラが1つ廻り出し、もう一つ廻る。15:38、Taxing。

 南大東の地上係員総出のお見送りを受けて飛行機は滑走路端へ。北側の端でUターンすると15:42、Take off RWy20。

 南大東島のサトウキビ畑が続く大地が広がる。南だったら歩いて廻るの、無理だろうなぁと思える広さ。北大東に慣れると南大東は際限なく広い。
 とは言え、南海に広がる大平原では無いので

 すぐに西側の海岸線が現れる。

 南大東にすぐ向こうに北大東島。南北の大東諸島が寄り添って太平洋上で孤独に耐えるの図が広がる。
 15:48、ベルト着用サイン消灯。どこまでも続く青い海。変化がない機窓を見つつ、機内サービスが始まる。

 来る時と同じく機内サービスでさんぴん茶が供される。
 16:01。操縦席から飛行状況の案内。南大東島を15:43に離陸し、現在、那覇の東200㎞、高度6,500mで飛行中。那覇空港着陸は16:35、Spotには16:42頃の到着を見込むとの事。この先の天候は良好だそうだ。16:15には着陸のため、ベルト着用サインを点灯する旨、伝えられる。

 青い海と青い空。雲の形が変わるだけの景色が続く。着実に西には進んでいて、地図上は沖縄本島へと近づいているようだ。16:12、あと5分でベルト着用サインが点灯する旨の案内がある。実際の点灯は16:18。

 16:24、久しぶりに島影が見える。だいぶ高度を落としたようで、割とくっきり。沖縄本島の東側に広がる珊瑚礁の島々らしい。間もなく

 沖縄本島が見えて来る。海岸線の透き通る水色の海。沖縄の海らしい様子を見て、ふと北大東島の名所、沖縄海に思いが巡る。
 飛行機は沖縄本島を横断する。

 読谷の方へ出たようだ。本当の西の沖合から左に旋回。16:31、Gearodown。海が近寄って来ると16:34、Landing、RWy18R。減速すると誘導路を進む。滑走路を最短経路で横断し、16:40、Spot in SP14。
 プロペラが止まり、ドアが開く。準備が整い降機する。

 昨日と同じ沖留めのスポットからバスでターミナルへ。北大東で預けた荷物を受け取ると制限エリアの外へ出る。

 時刻は16:50過ぎ。
 今日はこの後伊丹に戻ろうと思えば戻れるし、もう少し乗るなら宮古、石垣ぐらいなら往復できない事も無い。でもどちらもせずに市内に向かう。ゆいレールの駅まで出る。

 出発を待つ電車は3両編成であった。混雑が目立つゆいレール。3両編成化が進んでいて、2両の電車と3両の電車が混在している。3両つないでいると那覇空港からなら余裕で座れる様子。途中駅では立客大勢になるけど。混んだ電車で10分少々。旭橋で降りる。その改札口、今日はここで妻と合流。北大東ゆきのチケットを取った時には予定していなかったが、自分が3日間家を空けるならと小旅行を志した妻。結局、土曜日午前中に那覇に来て、夕方合流と言う事になった。妻が先にチェックインしたホテルに赴く。見覚えのあるホテルは旭橋のバスターミナルからほど近い所。2年前だったかに一度泊った事が有る。

 北大東の景色に慣れると那覇市内の街並みは異世界だ。
 時刻は17時半になっている。

 18時まではウェルカムドリンクとして泡盛を頂ける。水割りを作って自部屋に持ち込み少々。そんなことをしている間に日が傾いて行く。この後の事はあまりしっかり決めていなかった。