2023-08-05

 目覚めると6時ちょっと前。昨晩寝落ちて朝は旅先、隠岐諸島は西郷で迎えている。軽くシャワーやら何やら。今日も半日はレンタカーを使うので、朝のうちに少し歩いておく。

 昨晩は店だけ混んでいて人通りは少なかった西郷の街。6時半過ぎはまだ寝ている様子。少し歩いて港の方へと出てみる。 

 西郷港にはフェリーが1隻。この後、8:30に西郷を出港し、島前の3島を経由して境港まで行くフェリーしらしま。まだ出港に向けた準備は始まっていないようで、港は閑散としている。

 昨日は飛行機から西郷湾口を見たが、今日は湾奥から海を見る。両側に山が迫り、そもそも湾口も南向き。北西の季節風を避けるにも絶好の位置で、天然の良港という言葉はこれほど似合う港は無い。

 ちょっと歩くと八尾川の河口となる。こちらには小さな漁船がたくさん繋がれている。
 ホテルの前、小高い丘になっていてちょっと登ってみる。その小高い丘の上、

 柵があって何やら電波塔。怪しがりて寄りて見るに

 気象庁無人観測所だった。そういえば、NHKラジオの気象通報で西郷という土地の名前、出ていたと思う。

 反対側には西郷の街、そして空港へと向かう西郷大橋が見えている。
 簡単だったがホテルに戻る。今日はホテルの朝食を付けている。島後最大の街、西郷と言えど、朝食を食べられる店がそうそうあるとは思えないもので。
 食事は和定食or洋定食、というもの。予約の段階で和定食にしている。これが

 ご飯とみそ汁の他が、漬け物、味付け海苔、納豆、明太子、イカの塩辛、昆布の佃煮、という調子でご飯を食べさせるものばかりだった。秋田に輪を掛けてご飯依存症の食事。ご飯とみそ汁お代わり自由というのがウリだったが、分かる気がする。
 1杯だけご飯をお代わりして、

 最後はコーヒーで。コーヒーもお替り自由だそうだが、こちらもそんなガバガバ飲むものでは無い。
 さて、今日はぜひ見ておくべきイベントがある。

 昨日、空港に着いた時にも本物の牛が観光客を迎えてくれたが、隠岐は牛の島でもある。本来の牛突きは年6回、決まった日に行うものらしいが、その他にも観光客向けに観光牛突きというイベントが不定期だが開催される。そのイベント、夏休みの土曜とあって、5日は午前午後の二回開催なのだそうだ。折角の良い機会なので午前の部を見てゆく。会場は西郷から近い隠岐モーモードーム。9時過ぎからなのだが、隠岐を訪問している全観光客が訪れそうで、早めに行く。
 ホテルをチェックアウト。今日は荷物は車に積み込み、西郷を後に会場へ向かう。着いてみると8時半前。まだ観光客と思しきクルマは来ていない。早過ぎたか。
 モーモードームの隣は隠岐国分寺である。折角だからそちらを見てゆく。

 山門は既に開いているが

 史跡のみ御随意に、と書かれている。入門無料との事でその史跡を見てゆく。



 後醍醐天皇隠岐遠流になった際の御遷幸先。その碑と建物の礎石が残っている。京都から電車と飛行機を乗り継いできても遠いのに、当時はどれだけ遠く感じたものか。
 そんな様子を見て国分寺から脇に逸れると、そこがモーモードームの入口であった。既に窓口が開いていたので入場する。見学料は1,500円。しかし、この時間、まだ誰も見学客がいない。

 ドーム内。真ん中に直径25mぐらいの円形だろうか、その周りに観覧席がある。その観覧席には

 のぼりが幾つも立っている。観戦した事は無いけど、大相撲のような雰囲気か。幟には牛の名前と共に

 左下に「ヒイキ」と必ず書かれていて、幟の提供元とでもいえばいいのか、そんな名前が書かれている。相撲でいうとタニマチまで行くのか、行かないのかは定かではない。
 開催時刻が近付くと個人客が数人、そしてクラブリーリズムの団体がやってきて30数人ぐらいの観客になる。辛うじて興行の体裁が整った所で、口上が始まる。隠岐遠流となった後醍醐天皇を慰めるために始まったとのこと。で


 黒い牛が1頭入って来る。こちらがチャンピオン牛らしい。ついで挑戦者が如き牛の入場。間もなく。

 二頭の牛、リード役の人が向き合って牛突きが始まる。

 頭を合わせて

 角突きわせて

 目線と目線がバチバチに合ってる。
 牛突きはどちらかの牛が逃げ出すまで延々勝負を続けるそうだが、観光牛突きはここで水入り。両者引き分けと宣言。観客から拍手が起こる。ここまで10分少々だろうか。

 チャンピポン牛は引き上げ、挑戦者が如き牛は観光客相手に記念撮影となる。団体客はこの後、隠岐国分寺→かぶら杉→白島海岸と廻るらしい。かぶら杉も白島海岸もお手洗いと自動販売機はございません、とガイドさんが注意しているのが聞こえる。
 時刻は9時20分。あと2時間少々でレンタカーの返却となる。先程の団体客と同じく、今度は杉を見に行く。行くのは島後の山の中。昨日、久見竹島歴史館で勧められた岩倉の乳房杉まで。山間の林道を走る事になるのだが、レンタカーを借りる際に、クルマがすれ違えない道がある旨は注意を受けている。そんな訳で最短経路ではなく、一旦東海岸に出てから山間に入る遠回りルートを選択。山間を抜けて昨日訪れた白島にほど近い中村で国道485号に出ると海岸の見えない485号線を東側へと廻り、布施の集落から林道へと入る。観光協会推奨ルートではあるが、あくまで林道。見通しの悪い狭い山道を進む。

 杉の木を伐り出す現場を通り抜けて山の上へ。途中、すれ違いが出来るような場所があって、鳥居が見えて、目的地と知れる。時刻は10時。

 鳥居に向こうに一際大きな杉の巨木が見える。

 こちらが岩倉の乳房杉。幹が途中で枝分かれしていると共に乳根がぶら下がるという杉とは思えない杉。樹齢は800年だそうだ。

 杉の成り立ちが記された解説文がある。岩が多く水分を含まない山、霧の多い環境。その環境に順応して根からではなく、空気中から水分を吸収するようになった結果がこの形だそうだ。植物というより動物のような感じがしてくる。
 来た道を戻る。再び林道を下り布施の集落。そして中村から山道を抜ける。その途中には


 また大きな杉がある。これが団体さんの目的地にあったかぶら杉。樹齢600年。乳房杉と同じく途中で7本に枝分かれしている巨木。
 観光はここまでにする。クルマを返却すべくレンタカー会社へと向かう。その途中、島後で一番大きいと思われるスーパーへ。自宅用に多少何か買って帰ろうかと売り場を見て回る。すると地場のパン屋さんの菓子パンがいくつも並んでいる。少なくとも3軒のパン屋のパンを扱っている様子。そちらを買って帰る事にする。本当は鮮魚売り場に合ったサザエとか鮑とか、見事なものを買って帰りたいが、流石に暑い中は持ち歩けない。お昼にどこかで隠岐の海鮮を食べてその代わりにしたい。
 12時までの約束だったが、レンタカーを11時過ぎに返却。西郷港まで送って貰う。飛行機の時間まではまだ少々あるが、西郷港の近くで食事と観光を簡単にしておきたい。何と言っても昨日振られた海鮮を食べたい。
 観光協会でも紹介されていた、昨日は貸切だった店に赴く。今日は空いている、、、のだが、12時から団体が入るので、それ以降の提供になる、、、と。時刻は11時。別に入れてくれてもとは思うけど、団体の準備をして、団体に食事を出してから、という事らしい。2時間待つ事を当たり前のように言うので、少々いらっとする。どうやらどこまでも相性が悪い様子だ。
 仕方ないので港の近くにある別の店へ。こちらも混んでいて待たされたが、個人客ばかりで流れているので、そのうちにテーブルに通される。港にはフェリーが到着したようで、観光客が入り込んでいる様子が分かる。この24時間、滞在していてそんなに観光の人が来ている感は無かったけど、既にオーバーツーリズムなのか、どうなのか。
 注文した海鮮丼、程なくやって来る。


 正直、こんなものか、と思う。スーパーで売っていた地の魚はどこに行ったんでしょう。食事に関しては相性が悪い旅になったと思う。下調べして、予約して、くれば印象は変わったかも知れないけど。
 西郷港から空港に向かうバスは13:10の出発。まだ時間があるので港の旅客ターミナルに併設された

 に行ってみる。暑い盛りに屋内での観光ならちょうど良いだろう。

 入館料を払い、展示物を見てゆく。ジオパークの解説なので地誌的な所に重点が置かれているのだが、気になったのは南方の植物、北方の植物が共存しているという話。

 植物誌的な展示も多く、中でも杉については重きを置いている。寒冷化が進んで海面が下がり、隠岐と本州が地続きになった際、寒さに弱い杉が暖流である対馬海流に洗われる隠岐へと逃げてきたそうだ。解説のビデオでは杉があたかも生き物のように隠岐へと追い詰められるような描き方をしている。先程、乳房杉でも感じたが、この島の人達は杉を動物のように扱っているとしか思えない。もちろん、杉が育ち、種をまき、僅かに北に進出し、の長い長い年月の話を扱っているのだろうけど。

 パネル展示だけかと思ったら、本物のサンショウウオがいた。

隠岐固有のオキサンショウウオ
 空港行きのバスが出るまで少々間が空く。ならばとちょっと考え、せめて1食隠岐の物、と思い、隠岐蕎麦を食べる事を志す。隠岐の蕎麦はそば粉100%のツナギ無しというもの。港の近くにあった喫茶店みたいな店に入る。ここの店、先程観光牛突きで幟を出していた「ヒイキ」の店だ。
 店が空いている様子を見てから隠岐蕎麦を単品で注文する。しかしよく見るとこの店、2階もある様子。意外と先客がいたようで、隠岐蕎麦の単品、なかなか出てこない。13:10のバス出発に対して、いくら蕎麦と言えども10分を切るようだと辛いのだが、待つ事、待つ事。

 15分を切るぐらいのタイミングで出て来る。出て来たタイミングで先に会計だけ済ませてから、蕎麦を頂く。そば粉100%の蕎麦は本当にぶつぶつと短く、普段食べている蕎麦とは全く違う食べ物であった。
 さて時間切れ。空港に向かう。バス停に赴くと空港行きのバスを待つ人が7~8人ぐらいいるだろうか。バスの出発時刻ギリギリになって

 路線バスが現れる。こちらが空港連絡となるバス。キャリーバックを持った人には乗り辛そうだが、普段から満席になる程は混まないのだろう。バスは10分少々で隠岐空港まで進む。

 空港には昨日も見かけた観光バスも来ている。何度か遭遇したツアー客は12時のフェリーで島前に向かったようで、この後、新しいツアー客が伊丹からやって来る様子。小さなターミナル内にはレンタカー会社に人も来ていて、新たに伊丹から到着するお客さんを迎える準備が進んでいる。
 定刻ならば13:20に伊丹から飛行機が着くはずだが、少し遅れているようだ。折角なので展望デッキに出て着陸を待ってみる。
 13:26頃、西側からB737-800がやって来る。

 滑走路を減速してゆき一旦、滑走路端へ。そして

 スポットへと入って来る。やって来たのはJL2331便、JA341J。スポットに着いたところでターミナルへ戻る。そろそろ保安検査を受けておく。

JL2322 JA341J B737-800 OKI→ITM


 折り返し便は14時出発。出発到着が同じフロアのターミナルで、到着客が出て来てレンタカーの手続きをしたり、観光バスのガイドさんがツアー客を捕まえたりするのを見つつ、保安検査の行列に並ぶ。少々待たされた後、検査を経て制限エリアの中へと入る。


 伊丹からの到着は遅れていたが、今の所は定刻出発、なのかな。
 搭乗待合室は混んでいた。普段がATR42-600やERJ170という数十人乗る飛行機を扱っている所に、今日はB737-800、定員が三桁になる飛行機を扱う。満席ではないにせよ、待合室には座り切れない程のお客さんが搭乗開始を待っている。
 定刻14時だが、14時近くになって事前改札が始まる。優先搭乗は14時過ぎ。機内へ向かう。

 搭乗機を地上から見て搭乗橋の坂を緩々登る感じで機内へ。機内はシェードが締められ薄暗いぐらいの勢い。今日も当日3時間前にクラスJにアップグレードしている。進行方向左手、2人掛けのクラスJ、窓側が取れている。そちらに座って出発を待つ。搭乗は順調で14:10過ぎには全員乗り込んだだろうか。14:12に書類待ちと案内があって14:13、Door close。前便到着遅れのため遅延している旨のお詫びが入る。その後で乗務員のやり取りがちらっと聞こえる。117名との事。ERJ170の定員を大きく超える三桁人数。機材大型化の効果がしっかり出ている。

 搭乗橋が離れてゆく。うんと遠くに離れてゆく。このままTaixingできそうな感じ。地上係員が整列してTaixingする雰囲気まんまんなのだが、動かない。ずっと日向で整列していた地上係員が日陰に入って、さてどうしたのだろう。
 14:30になってようやくTaixing。滑走路へ出て端まで行くとUターン。14:34、Take off RWy08。

 やっぱり真珠湾みたいな天然の良港、西郷湾を見て飛行機は上昇する。今日も訓練なのか護衛艦を2隻みて飛行機は右手に旋回。隠岐の島後を離れてゆく。右手には島前が見えているのだろうが、左手にはどこまでも日本海。伊丹着陸時刻は15:10頃になる旨、お詫びと共に伝えられたのち、14:42、ベルト着用サイン消灯。
 機内サービスが始まる。と言っても短距離路線なので

 キャンディの配布。

 対岸の本州に差し掛かる14:48、降下を開始し5分後にベルト着用サインが点灯する旨、案内がある。飛行機は内陸へと入りつつ東へ。14:50、ベルト着用サイン点灯。

 飛んでしまえば早い空路。どこまで飛んできたのはいまいち分からなかったが、気が付くと


 窓外には山崎が見えている。隠岐を飛び立ってまだ30分経っていない。飛行機は淀川を越えて南へ。

 雲が出て来て視界を遮られ、少々揺れつつ高度を下げると右へと旋回。

 大阪市街地を見て最終コース。改めて淀川を渡ると15:09、Landing RWy32L。到着遅延のお詫びが入る。重心再計算ため出発遅延との事。ドアが閉まってからの15分はそこだったのか。

 誘導路を進む。いつになく大型機ばかりが所在なげに駐機している。那覇便が台風の影響で欠航しておりそのためかもしれない。どこかにマイルで那覇奄美が候補になっていたが、当選していたら大変な所だった。
 15:13、Spot in SP22。乗り継ぎの方は地上係員までと案内があり、15:25の羽田行きは後便振替になるらしい。22番搭乗口から出口へと向かうとまだ羽田行きは搭乗が続いていたから乗り継げなくは無かったと思うけど、荷物の都合もあるのかも知れない。ちなみにJA341J。後便は新千歳。45分遅れとなる様子。
 制限エリアの外に出る。

 時刻は15:23。30分遅れて到着したが、乗り継ぎがある訳でもないし、余裕をもって帰って来たから特に問題なし。15:30の京都行きリムジンバスに乗る事にして、乗り場へ急ぐ。

 案外と行列が長い乗り場にちょうどリムジンバスが来る。ほぼ満席となって出発。パソコンを使える感じでも無かったので大人しく京都まで過ごす。八条口

 16:20の到着。後は東海道線に揺られて自宅に戻るだけなんだけど、

 この時間、東海道線のダイヤが乱れている。何があったか分からないが、しばらく普通列車は来ない様子。ならばと2番線ではなく0番線に向かう。この時間、京都始発の草津線直通がある。

 貨物列車も遅れている。5064列車、EF210-130号機牽引が通過した後、0番線にも草津線直通。こちらも少々遅れている。以前は117系6両で間違いなく座れたが、この時勢では221系4両。さすがにちょっと座れない。

 221系K12編成で東山、逢坂を越えて膳所に戻ると夕方とは言えまだまだ日が高い時間帯。日差しも強く暑いので


 京阪電車に逃げる。帰宅は17時過ぎ。余裕をもっての1泊2日にピリオド。夜は普通に日常の週末。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は12,361