2021-12-05

 日曜日を迎える。普段の休日よりも気持ち早い目に起きだした。今日こそはビワイチ3日目を歩こうと思っている。幸い天気は良さそうだ。
 朝食を早めに出して貰って身支度。8時過ぎに家を出る。出発地が段々と遠くなるにつれて、早く出ても歩き始めは一緒だったりする。

 京阪電車大津京まで出ると湖西線に乗り換え。今まで縁の少なかった電車に急に乗る機会が増えている。


 上下の特急通過を見送った後、やって来たのは

 近江今津行きの普通列車。223系V27編成。4両という列車だった。最低6両の東海道線に比べると短い列車だが、前回、小野から近江高島まで歩いて、沿線の様子は何となく理解したから分かる気はする。平地も狭いし、人もそんなに多くないのだ。
 堅田を過ぎると比良の山が見えてくる。山腹から上の方

 うっすら雪化粧している。昨日の雨、山の高い方で雪になる冷え込みだったのだ。そんな半分冬に足を突っ込んだような比良山地の麓を列車は行く。琵琶湖は逆光の中、輝くのを見て二週間前、11月23日に歩いた辺りを進む。
 近江舞子で特急待避。少しの間、ホームに出る。

 比良の雪山に日が差している。その向こうは曇り空。日本海側は鉛色の世界に違いない。そんな中、


 鉛色の世界へと進んでゆく特急サンダーバードが通過する。

 いよいよ平地が狭くなると大津市高島市の境。二週間前は暖かだった白鬚神社のあたりを抜けると今日の出発地、近江高島駅に着く。自宅から1時間以上が経っている。ようやく出発点。

 時刻は9:45。前回、小野駅の出発が10:15ぐらいだったから30分早い出発となる。今日はこの先を北上する。安曇川が作る三角州を越える道になる。湖西線近江今津まで、三角州を直線に結ぶが、湖岸は三角形の2辺を進む形。それでも今津まで3~4時間程度と思っていて、その先、マキノ駅あたりまで行けたら、とは思っている。
 高島駅スタートだが、前回、白鬚神社から高島駅まで、途中で湖岸沿いは離れている。どこまで厳密にやるのか、何とも悩ましい。まぁ歩くビワイチに共通ルールなんてないだろうから、自分が納得できれば良いのだろう。

 結局、太湖汽船の大溝港桟橋跡、なんて所までゆき、湖岸を行く国道161号に歩道が無さそうな事を確認してから、北に向かう事になる。間もなく今歩いている道が自転車のビワイチコースになっていることに気付いたから、それなりに納得した。

 それなりに古そうな高島駅から続く街並み。大溝港跡、とあったが駅の名前は高島。集落は勝野で、この辺りを江戸時代に治めていた藩の名前が大溝。色々混ざりややこしい。作り酒屋の建物を見て、街を離れるとそろそろ湖岸に出る。

 これから歩くであろう湖岸線を見る。相変わらず琵琶湖の水位低下は続いている。昨日の雨で回復すればよいのだけど。何も降らないと1日1㎝ずつ、水位が低下するそうで。
 本来の道に戻って北上。国道161号も湖西線と同じく三角州の湖岸線には付き合わず離れている。ここを行くのは風車街道、という名前の県道。この辺り、集落もあれば別荘やキャンプ場もあるようなエリア。結構な数のキャンピングカーも見かける。人生で一番キャンピングカーを見た一日になる勢い。
 10時半近くになって楽しみにしているものが現れる。場所は鴨川という、京都の街中を流れているのと同じ名の川、その東詰。

 瀬田唐橋から55㎞。昨日、一応、唐橋から自宅を補填したから、正真正銘55㎞歩いたことになる。

 残りは138㎞。これも正真正銘ということになる。
 県道沿いが本来のビワイチコースらしいけど、それより湖岸に続く道があったのでそちらに逸れる。この辺の優先度相は曖昧だが、そんなに遠回りでなく、かつ、川に橋があるようならそちらを選ぶ、と言う感じの運用である。基本的には大きな道を外れた方が歩きやすい。

 琵琶湖の向こうに伊吹山が見える。伊吹も雪景色。大津からも見えるので有難みは薄いのだけど、だいぶ近付いた分、くっきりはっきり、存在感がある。
 風車街道に戻る。ビワイチらしい自転車やバイクと時折すれ違いつつ北上。さすがに歩きの同志は見たことはない。11時を過ぎて安曇川に差し掛かる。ここまで結構大きな三角州だった。

 川の名前に安曇川南流とある。安曇川の河口、二股三股、幾重にも別れる複雑な形状をしている。しばらく歩くと

 安曇川北流もある。安曇川三角州、後半戦となる。まだまだ今津は遠い。人家も別荘も少なくなった湖岸沿いを歩く。道が遠くまで続き、気が遠くなりそうになる。あまり寄り道をしているとゴールが遅くなるのだが、気分転換に琵琶湖岸に出てみた。

 風が強いのか、白波が立つこの時間の琵琶湖。波で泥が掻き立てられるのか、湖岸沿いだけ水が濁っていた。
 11:30になって何度見ても嬉しい、キロポストが現れる。

 瀬田唐橋から60㎞。

 瀬田唐橋まで133㎞。1時間5㎞のペースで歩いている事になる。
 次の5kmを目指して歩き続ける。

 どこまでも続く風車街道。クルマ通りも少ないし、歩道もしっかりしているので、悪くは無いのだけど。この時間、寒くもなく、暖かすぎる訳でもなく、歩くには悪くは無いのだけど。

 広々とした三角州を着実に進んでゆく。途中、都合よく公園があってお手洗い。気が付くと近江高島から2時間が経っている。12:30よりちょっと早く

 瀬田唐橋から65㎞。

 瀬田唐橋まで128㎞。琵琶湖1/3周に差し掛かる。安曇川の三角州も最終盤。湖岸線の向こうにホテルらしい建物が見える。そのあたりが今津なのだろう。平和堂のマークも小さく見える。今度は遠くをサンダーバードが走ってゆくのが見えて湖西線が近づいてきたことを知る。161号線も寄って来た。
 一瞬、161号線に合流した後、再び湖岸を進む道へ。

 遠くに小さく、竹生島が見えるようになった。遥拝所跡なんて石碑が立っている。
 今津の街は案外と広い。もう市街地に入ったと思ってからが長い。こんな街、湖西線では久しぶりである。
 今津の船着き場が見えてくる。ちょうど

 竹生島からの観光船がやって来る。湖の観光船としては標準的な大きさの船だろうか。普段からミシガン、ビアンカ、うみのこを見慣れている眼には、このぐらいか、と思えてしまう。
 時刻は13時。頃合いも良いので昼食にする。船着き場の真ん前に蕎麦屋があったので入ってしまう。ビワイチ3日目で3日とも蕎麦か、とは思った。

 周航そば、という名物らしい蕎麦に鯖寿司をつけてもらう。小鮎の天ぷらや湯葉が地元を強調しているらしい。お肉は鴨肉であった。
 改めて移動再開。この先はマキノまでだろうと思っている。永原まで行けば立派だが、さすがに暗くなりそうだ。
 遠くから見えていたホテルと平和堂を過ぎて今津の街を離れてゆく途中、キロポストが現れる。

 瀬田唐橋から70㎞。

 瀬田唐橋まで123㎞。まだまだ先は長い。
 小さな川が作る三角州があったり、内湖があったりする中を進んでゆく。琵琶湖も奥まで来ると別荘も少なくなる。たまに湖岸に公園があったり。

 竹生島がだいぶ大きく見えるようになった。その向こうには伊吹山。湖なんだけど、東京湾でも見ているようなそんな大きさを改めて感じつつ。14時を過ぎて近江中庄の駅が見えてくる。今津から北の区間湖西線が近くを走るようになっている。ちょっとした集落を抜ける。湖岸沿いの小さな道を進み、

 たまに湖岸に出て。

 元のマキノ町、の領域に差し掛かる。大合併で高島市の一部になっているけど、だいぶ湖北まで来た印象を強く持つ。湖岸沿いの道、時折、リゾートホテルらしい建物を見つつ、さらに北。

 14時半になってどうやら市街地に入ってきた様子。そんな景色でも無いが、道の真ん中に融雪用のパイプが通っているのでそれとなく知れる。今日は暖かな日差しある一日だが、冬にはしっかり雪が降るのだろうと思わせる構えではある。14時半過ぎ、今日何度目かのキロポスト。

 瀬田唐橋から75㎞。

 瀬田唐橋まで118㎞。
 今日の終わりが見えて来た。まだ14時半過ぎだが、マキノ駅が着実に近づいている。急げば14時台の新快速に乗れそうな勢いだが、無理はしない事に決める。そうすると次の列車は15:50まで無い。近江高島まで行く時も列車本数が限られていたが、今津から北は1時間に1本になる。もう1駅先まで行けばとも思うが、今度はマキノと永原の間には海津大崎という大物が立ちはだかっている。

 マキノ市街地、15時。どこかキリの良い所で今日は打ち止めにする。もう30分早ければ、永原まで行く決断もあったかも知れないけど。結局

 マキノ市街地の途中、漁港が見えたあたり、この先の海津大崎を見てこれで打ち切りにする。
 駅を若干通り過ぎているので戻りつつ歩く。

 思いがけずバスがやって来た。大津でも見慣れたライオンズカラーは近江鉄道のバスだが、この辺りはその子会社、湖国バスとなる。中庄からマキノを経て若狭に向かう手前、文字通りの国境、という所まで行くバス。最後のおまけに乗ってみるのも良かったかも知れないけど、下調べが甘かった。

 この週末、改めて訪れる事になるマキノ駅に着く。次の列車まではだいぶ間があるので、駅の近くにあった物産会館なる所を見てみる。地元野菜の産直なんかを想像したが、そんな感じではなく、欲しいものもなく。何となく地元の日本酒を買ったが、後でよく見ると近江高島の駅近くで見かけた蔵のものだった。次いでコンビニでビアホール新快速の準備。マキノでは4両だから飲みづらいかも知れないが、どうせ近江今津で12両になった後はがら空き車両がいくらでもある。
 駅に戻る。時間があるので

 ビアホールマキノ、を少々。その間に

 下りの特急列車が通過する。車体側面が赤く染まり、夕方と言うべき時間になった事を知る。

 そして新快速もやって来る。敦賀始発は4両で各駅に停まるから名ばかり新快速。座れる程度に空いている。

 一瞬、ビアホール新快速、と思ったが近江今津で増結してからの方が良いか、と思い直す。少しの我慢。

 増結車に移ってから改めてビアホール新快速。勢い余って

 先程の日本酒もいただいてしまう。どうせ1合瓶だし。半分程頂くとつまみが無くなったからそこで打ち切り。昔は「つまみが無くなる→追加」「酒が無くなる→追加」「つまみが無くなる→追加」の無限ループになりがちだったが、さすがに学習した。
 列車は安曇川の三角州を抜ける。マキノから近江高島まで新快速で30分程。ずいぶん歩いた気になるが、この区間の新快速は事実上各駅停車。近江今津で増結作業もしている。

 暮れて来た景色、琵琶湖を眺めて進む。堅田まで来るとだいぶ戻った感がある。大津京が近づくとだいぶ都会に来た気分になる。

 マキノから大津京までちょうど1時間で到着だった。自宅までは歩いて戻る。

 京阪電車を見つつ小一時間の散歩道。18時前には家に戻れる。気分よく夕食とビール。軽く飲み続けたからまた京王線恥辱、遅れが増える。

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