JL805 JA305J B737-800 NRT→TPE

 今日の目的地は台北。2月に乗ったJL805に再び乗る。出発は11:15。20分前を目安に搭乗口へと向かう。

 待っているのはJA305J。B737-800。3-3列の窓側に座る。今回は非常口座席を選んだので足元が少々広い。

 翼に差し掛かる席に落ち着く。
 11:08、Doorclose。台北までの飛行時間は3時間とのこと。降下中揺れが予想されるそうだ。11:14、Pushbuck。

 11:19、地上係員に手を振られて、はるか遠くのA滑走路目指してTaixng。

 居並ぶ各国の飛行機を横目に誘導路を進む間に、前に1機、後ろに1機。更に1機。第一ターミナルからの出発便も加わると何時しか出発待ちの大行列に発展してゆく。

 後方にも大行列。
 11:33、機長さんから離陸が5番目であることを告げられる。10分ぐらいで離陸できるとの事。台北までの飛行時間は離陸後3時間。降下に際して雨雲の影響で揺れるそうだ。台北の天候は雨で気温は27℃とのこと。

 1機前が滑走路へ。そして自機にも出発の順番が回って来る。

 11:41、Take off RWY34L。少し重たげに飛行機は上昇してゆく。


 窓外の景色が何時の間にか重たくなっている。間もなく雲にかき消され、しばし機内を暗くする。それでも揺れは無く穏やかに上昇してゆく。

 窓外が青空になり機内が明るくなると、11:47、ベルト着用サイン消灯。まだまだ飛行機は遥か10000mの上空を目指して上昇を続けるが、まずは狭いながらも穏やかな時間が始まる。

 前方のビジネスクラスと後方のエコノミークラスの間に壁となるカーテンが閉められて、各々のサービス開始となる。
 早々にワゴンが出撃。前方から食事の配布となる。時刻はちょうど12時。図った訳ではないだろうが、昼食時間と都合よくタイミングがあう。
 3-3列の端通路機なので、ワゴンが近くにいても順番がなかなか来ないもどかしさはあるが、何れは順番も廻って来る。10分程で手元にも食事が届く。


 北海道の食、を前面に押し出した機内食。先月ぐらいから、日本発の台湾線、香港含む中国線のエコノミークラスで提供されるようになった、メニューだ。ただ、JALのエコノミークラス機内食。何かのタイアップとかが始まると、バーターで劣化する事が多いような気がする。空弁の時の賛否労論とかも、正直劣化だった。
 今回は、

 メインは海鮮焼きそば。日本人からすると北海道感ゼロの北海道メニュー。

 前菜も北海道とあまり関係がなさそうな生ハムとポテトサラダ。

 サラダもあまり北海道とは関係なさそう。そして

 サラダドレッシングで一枠使ってしまっている。これはあり得ない。百歩譲ってメイン+二品だとしても、サラダドレッシングのために容器準備するか。そのコストと余計な燃料が勿体無い。

 デザートはハーゲンダッツハーゲンダッツに文句は付けないけど、プレスリリースでは北海道産の菓子をデザートとして提供します、と書いていたから、これも変。
 釈然としない食事を頂く事になる。

 飲み物はジントニックにしたけど、北海道メニューなんだからサッポロビールと頼めば良かっただろうか。。。。
 ゆっくりと食事を頂く間に30分程が過ぎる。食べ終わって落ち着いて外を見る。

 洋上飛行のようだが、薄雲がかかっていて地上の様子は良く分からない。富士山でも見えるかと思って、進行方向右側の窓側席を用意してきたが、今日は全く分からないままだった。

 食事の締めにコーヒーを頂く頃には成田離陸から1時間が経っている。台北まではあと2時間の空の旅。
 幅の狭いエコノミークラスでPCを使うのは少々憚られたので、PCは仕舞いこんだまま、映画を見て時間を流す。幸い選択肢は豊富にある。外資系の航空会社だと興味のあるなしに関わらず数本の中から選ぶ事になるけど、日本語プログラムの豊富な日系航空会社なら、興味にはまるものもあるし、わざわざお金掛けてまでは見ないけど、見てもいいかなという程度のライトな興味も満たしてくれる。

 映画が一本終わる。成田から2時間弱が経っている。窓外に積乱雲がちらちら見えるようになっている。沖縄の西側に差し掛かっていた。

 余ったのか飲み物の巡回が来たので貰っておく。テーブルは既に閉まっているのでひとまず無理矢理肘掛に置いてみる。
 映画をもう一本、という時間では無い。短いTVプログラムを見ようかと思ったら、既に見た番組ばかりであった。
 13:55、あと40分で台北桃園空港へ着陸する旨、案内が流れる。15分程でベルト着用サインを点灯するとのこと。台北の天候は雨、気温は28℃と告げられる。
 14:13、ベルト着用サイン点灯。この先揺れが予想されるそうだ。窓外、暗くなってきている。薄雲の中に突っ込んでいる。
 日本と台湾の時差は1時間。時計を1時間戻す。だいぶ高度を落としてくると海が見えるようになった。そして

 13:30、陸地に差し掛かる。海岸線が思った以上に近い。すぐに

 空港の敷地が現れる。13:32、Landing、RWY32L。減速度が掛かって解放されると誘導路へ。

 外は曇り空。窓を叩く雨粒も無い。良い天気とは言わないまでも、まぁ、雨で無くて幸先良いようだ。
 13:34、Spot in SP D10。
 半年前の2月に同じ便に乗ったときは、偏西風を突いてのフライト。台北到着が15時過ぎになったが、真夏の今日は逆風は吹かずに13時半到着となった。延々歩いて入国審査へ。
 前回2月は入国審査が長蛇の列で恐ろしく待たされた。今回も列は長いが、2月の時よりはましなようだ。今年、蔡英文政権が発足してから、中国が観光客の送り込みを絞っている影響らしい。まぁ、大陸の観光客が減るのは、こちらとしては歓迎ではある。
 入国審査、荷物の受け取り、そして両替。

 保安エリアを抜けるのに40分程掛かった。時刻は14時10分。なかなかいいペースである。更に観光客用SIMを買っておく。妻の勧めで中華電信。こちらも速攻買い求める事が出来て、かつ開通もした。
 この夏に桃園機場捷運が開通して台北駅まで鉄道で一本でつながる、なんて話も合ったような気がするが、今のところは桃園空港のアクセスはバスがメインである。毎度おなじみ、台北駅までの国光客運には大行列が出来ているが、


 今日はU bus 総統客運の切符を買い求めた。この時点で14時半。15時までに高鐵桃園駅まで着けばいいなぁとは思う。

 バスは路線バス風だが、座席定員しか載せない、かつ1タミからのお客さん分の座席を空けておくらしく、1台乗せて貰えない後、次のバスに載せて貰って高鐵駅を目指す
 乗ってしまえば高鐵駅はさほど遠くなく、望みの15時に先立つこと数分。

 見覚えのある高鐵駅に到着する。

 見覚えのない施設も出来ている。桃園機場捷運、高鐵駅にも伸びる筈なのだが、駅の施設だけ出来上がっている状態。いつ開業なのだろうか。
 今日は桃園の駅で少々時間を取る事になる。 
 今回の台湾行き。台鐵でまた乗っていない鉄道路線乗りつぶしが目的の一つ。前回乗りに来た時はその都度その都度、切符を用意しての利用だった。でも台鐵にも高鐵にも、外国人観光客が利用できるフリーきっぷというものが用意されている。その中でも最強と思われるのが、高鐵台鐵のジョイントパス。両方に乗れるフリーきっぷだ。
 目的は台鐵乗りつぶしだが、行程の中では、高鐵を利用したい場面もあり、今回はこのジョイントパスを予約している。台北ナビツアー予約を利用して予約はしており、ここ、桃園駅でバウチャーをジョイントパスに引き換える。
 有人窓口はそこそこ行列が出来ていたが、数分で順番が来る。バウチャーを示して片言の英語で引き換えたい意図を伝える。バウチャーには繁体字の記載があるから、何をしたいのかは通じる。バウチャーとパスポートを渡して手続き開始。
 このジョイントパス。2種類あって、標準と特級というもの。

 標準だと高鐵と台鐵のうち、莒光号以下が利用できる。 
 特級だと高鐵と台鐵のうち、自強号や普悠瑪号、太魯閣号も利用できる

 というのがルール。
 もう一つ。パス自体は5日間有効だけど、そのうち高鐵を利用できるのは任意の2日間というのがちょっと変わったというか面倒くさいルール。
 本当は高鐵を3日間使いたいのだけど、ルールを逸脱するので、高鐵の乗車距離が短い今日は別払いにしようというのがこちらの意図。それがなかなか伝わらない。

 印刷済みの小冊子に切符が張られて出てきたのを見ると、何か色々とおかしい。

 1.高鐵の利用日が今日と明日になっている
 2.冊子は標準用で、切符は特級

 一度受け取ったものの、どうみてもおかしいので再度並びなおし、交渉。ひとまず高鐵の利用日は直して貰う。本当は冊子の事も突っ込みたかったけど、切符には特級とあるので、何とかなるだろと楽観視。最後に今日乗る高鐵の切符を購入する。出発まで、あと4分。
 最後に直近で出る高鐵の指定券を買い求める。B席だけどいいかという確認があった。3列席の真ん中が嫌われ者なのは、台湾でも一緒らしい。どうせ乗車時間は短いからB席でも構わない。出してもらう。

 桃園の隣、新竹までという指定券、130NTD也を買い求めると早々にホームへ。既に電車は発車を待っている状態で慌てて乗り込む。

 満席の列車。指定された座席に座ると列車はもう加速中。何しろ10分で到着だから、速い早い。早々に減速に入って、隣駅、新竹に到着となる。

 ここで速達型の列車に抜かれるようで、しばらく待避。
 高鐵の駅。駅名は新竹だが、台鐵の西部幹線にある新竹とは別の駅。台鐵と高鐵は別の組織だからか、二つの路線はほぼ無関係に作られていて、台鐵の西部幹線と高鐵の駅が一緒になっているのは、台北と左営の他は数えるほどしかない。
 そんな訳で、高鐵新竹駅も、市街地の外れにあるのだが、それでは不便なので台鐵の支線が市内にある新竹から乗り入れている。その支線に乗るのが、本日最初のミッション。

 台鐵側の駅名は六家となっている。乗り換えは出来るようになっているけど、高鐵のコンコースから連絡通路を少々歩いて、というようになっていて、乗換改札を通ればすぐ、と言う訳にはいかない。
 六家駅から台鐵の新竹駅までは区間車が30分毎に運転されている。高鐵側のダイヤはあまり考慮されていないようで、着いた3分後に出発。すぐ隣なら乗り換えできただろうけど、ちょっと距離があるのでさすがに間に合わない。連絡通路を歩きかけた所で、区間車が発車してゆくのが見える。次の電車までは30分待ち。
 台鐵も乗車券は磁気券だし、ICカードも使えるので、自動改札になっている。手元のジョイントパスは自動改札非対応なので、パスを見せて乗り込む事になる。最初は怪訝な顔をした係員も、あぁという感じで行けと。ジョイントパス、高鐵主導の企画乗車券で、台鐵側の認知度が低いとネット情報では見ていたが、高鐵との乗換駅だけに認知度はそこそこある様子。
 高架ホームで次に来る電車を待つ。16時ちょっと前。

 新竹側から区間車がやって来る。隣の高鐵も新竹停車列車が並んで走って来た。っーか、このパターン。また乗り換え不成立だ。

 ごつい韓国製のEMU600、4両編成が六家駅のホームにめい一杯で停まる。ちらほら列車から降りてくる人たち。高鐵乗換と言うよりは、通学らしい高校生的な若い人が目立つ。

 台北方面への高鐵がやって来たけど、慌てるふうでもなく。

 発車まで15分程。冷房がガンガンに効いている飾りっ気のない車内で待つ。近所の人なのか乗り継ぎ客なのか分からないけど、発車までに少しはお客さんが乗って来る。16:17、定刻に出発。
 六家線は隣の竹中まで。高鐵の線路に沿って複線の立派な高架線を走ると最後はカーブして高鐵と分かれ、竹中駅になる。線路はその先、西部幹線と合流する まで複線電化で続くが、戸籍上はここは内湾線の駅。ここからは内湾線の終点。内湾を目指す事になる。
 内湾線の列車は1時間毎の運転。次の列車はまでは40分以上の待ち時間がある。六家で一本前の列車に乗れていれば、接続が良かったのだが、今度は17:10まで待たねばならない。何とも間延びした行程だが、最初の想定では竹中17:10の内湾線と考えていたので、想定通りではある。
 一度新竹まで往復しても十分に内湾線の内湾行きには間に合うのだが、ここ竹中のホームで時間をつぶす事にした。この時期の台湾、暑いけど日本よりはまだ過ごしやすい。

 六家ゆきの電車が少々遅れてやって来る。30分毎の分かりやすいダイヤだが、もう少し本数が多い方が、使い勝手は良いだろうなぁ。

 今度は内湾からの列車が到着。この折り返しに乗るだが、思いがけない数のお客さんを降ろすと、

 列車はさっさと新竹側に引き上げてしまう。しばらくお預けらしい。待ち時間の半分は空調の効いた中で過ごせると思っていたのだが、当てが外れた。

 先程、六家に向かった電車が戻って来る。内湾から運ばれてきた観光客らしいお客さんが乗り込んで混雑する。 
 内湾行きを待つお客さんが増えてくる。ドア位置らしいどころに崩れた行列が出来始める。1時間に1本のローカル線の割には混むなぁと思ってみていたら、

 先程、新竹側へと消えていった気動車が戻って来た。先程と同じ車両。2両編成しかない列車だが、乗ってみるとそれなりには座れる。

 ロングシートの座席がちらほら。座るよりも立つことを選ぶ人もちらほら。そして17:10、出発となる。
 複線電化の立派な六家線がカーブしながわ分かれてゆき、台湾高鐵の立派な高架を潜ると、単線非電化の細道を走る事になる。

 沿線は水田が目立つ。川沿いに走る景色は日本のローカル線と変わらない。目に見える景色は平野だが、少し登り坂の様子。ディーゼルエンジンが少々喘ぎ気味。
 列車はホームい一本の無人駅に律儀に停まり、お客さんを降ろしてゆく。日本ならとっくにワンマン運転になっていそうだが、この列車は車掌も乗務。ドアを開き、安全確認をしてドアを閉めると、無線機で運転士に出発の合図を送る。そして今度は車内検札。
 自分はパスを見せるのだが、乗客の殆どはICカードを提示する。車掌氏、ICカードの読み取り機を持っていて、差し出されたカードを読み取る、ピッと言う音がその度に車内に響く。この辺りは日本よりも進んでいるかも知れない。

 立派な駅に到着。竹東とある。ここで内湾から下って来る上り列車とすれ違い。乗客も大半が降りる。その代り乗って来る人も居て、車内の面子は竹中発車時とだいぶ違う。

 列車が発車する。

 窓外の景色。川が狭くなり、丘が近づいて来て、少し山の雰囲気がしてくる。向かいの丘が迫ってきて、そして少し高くなる。谷と言って良い雰囲気になる。

 九讃頭駅の脇にはセメント工場らしい姿が見える。内湾線、石灰輸送を目的に、日本のいい方をすれば戦後。中華民国的にいえば光復後、中華民国の手により開通した最初の鉄道だそうだ。
 九讃頭駅を出ると更に山は深くなる。本格的な山岳路線の雰囲気。気動車のエンジンも咆える割には速度が全く上がらない。川沿いにカーブしながら、少しずつ高度を稼いでゆく。台湾の地図で内湾線を見ると、新竹から少々入っただけの大したことなさげな路線なのだが、実際乗ってみると、台湾全土の適当な地図で安易に考えては行けない事が分かる。実に山深くまで入り込んだ気分になれる。

 車内からお客さんが消えて、終着の内湾に到着する。

 1時間ずっと喘いで登って来たDR1000は折り返しまで10分程の休息となる。DR1000の佇むその先、

 途切れた線路のその先に山の姿が見えている。この先に鉄路を伸ばそうとすると大変だろうなぁと、素人目にも分かるそんな景色だ。
 一度駅の外に出てみる。改札には駅員がいたのでジョイントパスを提示する。有効期限が書かれた券面の見せると怪訝な顔をしたが、冊子の表紙を見て「あぁ」という感じで通される。高鐵が発行するジョイントパス、台鐵での認知度がない、という話をよく見たが、台鐵でも浸透しているようである。

 小さいながらも立派な内湾の駅舎を眺める。開業当時、60年前の駅舎だろうか。

 駅前も小さいながらもしっかりとした街が広がる。観光客らしい人、地元の人がちらほら歩いていて、しっかりと生きている街であることが分かる。コンビニもあって、そろそろ喉が渇いたのだが、行って買い物をする余裕はちょっと無さそう。

 駅構内に戻る。折り返しの列車は18時の出発。既に竹中というか、新竹方面に戻るらしい人が三々五々、乗り込んで出発を待っている。
 2両編成の竹中よりの車両。

 塗装が他のものと違うし、助手席寄りの窓に、何か妙なものが見えている。竹中で一番最初に見た時から少々気になっていた。
 その妙な物。ドアを入ると真ん前に見えている。

 Miss.01とある妙なキャラクター。何かのタイアップ???

 反対側にはMr.10とある似たようなキャラクター。

 この車両。半分がクロスシートになっていて、ロングシートが基本のDRC1000の中では異色の車両。

 壁紙にもMiss.10とMr.01があふれている。そういえばこの車両、車両番号がDSC1001だった。だからMiss.10とMr.01か。
 っ―ことはこのキャラクター、台鐵オリジナル???
 観光客向けなのか分からないが、観光客の帰宅から外れたこの時間帯。乗り込んだお客さんは妙なキャラクターには何の関心も示さず、平然としている。
 ロングとクロスではクロスシートの方が先に埋まった今日のDSC1001。時間が来て発車となる。先程、喘ぎつつ登って来た坂道を今度は下る。エンジンの音も軽やかに一駅一駅を巻き戻してゆく。何時の間にか辺りが開けて、竹東の駅に到着。上りと下りの列車が入れ替わって、すれ違いとなる。
 下り列車が内湾へと向かって登って行ったあと、こちらの列車は少々停車。お客さんを増やして出発となる。暮れてゆく田舎の細道をコロコロ転がるように駆け下りてゆく。検札の時にICカードをチェックするピープ音だけが、妙に似つかわしくない内湾線の列車。

 終着の竹内に18:45の到着。往復2時間弱が過ぎる間に、夜の帳が降りてきている。内湾線の気動車は客を降ろすと2時間前と同じように新竹側へと消えてゆく。

 この先は台鐵の新竹へ。六家線からの電車に乗り換える。出発は18:52。待つほどもなく

 先程何度か見かけたEMC600がやって来る。昼間と同じ30分毎の運転だが、狙って乗る人が多いのか、座席が埋まり切る程にはお客さんがいる。4両のうち1両は女性専用車となっているが、まだ適用時間外らしく、男性のお客さんの方が多いぐらい。
 すっかり暗くなり、外の様子も分からないまま新竹まで運ばれる。照明の少なく暗いホームから一旦改札の外へと出る。
 台湾の駅は乗車と降車が分かれている。降車口を出るとすぐに駅舎の外、と言う事が多い。

 降車口を出ると駅前にそごうがでんと構えている。台湾の太平洋そごう、日本とは資本関係は切れているそうだが、そごうのネームバリューが強いのか、そごうを名乗っている。

 今日はこの先の行程がある。駅構内、出札口へ向かい、ジョイントパスを提示して、自強の指定券を出してもらうべく、交渉。
 冊子が「標準」となっていて、これでは自強に乗れないという旨の説明があるのだが、券面を見せて「特級」だから乗れる、と片言の英語で伝える。これで理解してくれて、切符を作ってくれた。白紙の特急券を出した後に、必要事項を手書きで記入して、新竹駅の判子を押す、というもの。ちょっと驚いたが、手続きはスムーズ。乗り換え時間18分程で、不成立になるかも、と思っていた乗換が成立する。

 時間に余裕が出来たので、駅構内に見えたコンビニで飲み物を買う。街中のコンビニと同じような商品を扱っているが、ビールのような酒類の扱いは無いようだ。
 駅構内に戻る。改札を入ってすぐのホームは北上、台北方面行き。南下、高雄方面は跨線橋を渡って2番線となる。

 1番線には556列車、台北をスルーして花蓮までゆく莒光号がいる。機関車の後には2両だったか、3両だったか、青い荷物車だか郵便車が連結されている。台北を通り越しての運転は荷物のため、かもしれない。
 そこへ乗車する145列車、自強がやって来る。

 前後に動力車を配した12両編成が入って来る。先頭に立つ動力車のブロア音が逞しく響き渡った後、静々と客車の連なりが現れる。
高鐵が台北と高雄の間を走っていても在来線に相当する台鐵にも、自強のような優等列車が闊歩していて、しかも、なかなか切符が取りづらい。台湾の人たちは短距離でも躊躇なく優等列車を使うそうで、必ずしも台北と高雄の流動だけで、12両編成の自強が埋まる訳ではないけど、ここ新竹に現れた自強も満席。少し人が降りてきて、空いた座席を新竹からの人が埋めてゆく。

 立っている人はいないが、見事に満席になって西部幹線を南下し始める。
 列車は一駅竹南へ。ここからは先、西部幹線は山線と海線に分かれる。2014年に台鐵を使って台北から高雄まで行っているが、この時はわざと本数の少ない海線経由の列車を選んでいる。そんな訳で竹南からの山線は未乗。既に外は真っ暗で、座っているのも通路側だけど、山線にはこの後も乗る機会があるので、今日はひとまず、闇の中を運ばれるだけにしておく。
 自強は優等列車なのだが、動力集中式だからか、客車に乗っている分には、めい一杯走っている感もなく、穏やかに運ばれてゆくような時間を過ごす事になる。PCの電源も心細くなり、ぼけっと過ごす間に今日の下車駅、台中へ。20:30の到着。
 今日は台中駅前にホテルを取っている。そのままホテルに転がり込んで夕食でも食べに行きたいが、その前に明日の指定券を押さえておきたい。再び出札口に赴く。
 台中の係員。小冊子の「標準」に引っ張られ、自強には乗れない、と言い出すのだが、券面を見せ、バウチャーを見せ、自分は特級のジョイントパスを持っているとアピールし、更に、新竹はこうやって切符出してくれたよ、とお持ち帰りした自強の手書き指定券を見せる。係員が三人がかりで協議して、自強の指定券をあたってくれるところまではうまく行く。
 今度は、乗りたい列車に空席が出てこない。西部幹線は何とかなるのだが、東部幹線の普悠瑪号。これが悉くダメ。前日なら何とかなるかとも思っていたけど、本当にダメ。第一案、第二案の発動はひとまず諦め、第三案で行くことにして、ひとまず自強の指定券だけ出してもらった。
 そこまで済ませるとホテルにチェックイン。21時を過ぎている。荷物を部屋に放り込むと夕食を食べようと街へ出る。
 台湾は食事ができる店、閉まるのが早い。21時過ぎの台中。チェーン店のファーストフードなんかは営業しているが、いかにも台湾的なお店は既に照明を落としていたりする。駅近くの街をウロウロしてみたが、入ってみたい店がなく、時間ばかりが過ぎる。やっているかと思った店も営業が終了していたり。

 結局、いかにも食べ物、と言う看板に明かりが灯っていたので

 寄ってみるとやっぱり食べ物。

 適当にお願いして食事を済ませる。後はコンビニでビールとつまみを買って、ホテルの部屋で。
 明日はもう少しまともな食事にしようと思う。