5時前には目が覚めてしまった。慣れない部屋に朝の気配が忍び寄っている。旅先、台湾は花蓮の街、ホテルの一室で目覚める。
 花蓮は太魯閣渓谷の観光で有名な街だが、駅前トラベラーは太魯閣には寄らずに次の街に向かう。予約している列車は8:27に花蓮を出る自強308次。まだ、というかかなり時間に余裕がある。
 眠れないので起きてしばらく昨日の恥辱を進めておく。朝食をどこか外で食べようか、と言う事が気になって窓を開けてみた。

 安い部屋なので冴えない眺め。それは良いのだが、外は結構な本降りであった。
 6時を過ぎて、食べに行こうかと決める。グーグル先生に聞くとホテルの近くに早餐店があるようだが、行ってみるとシャッターが閉じていた。潰れたのかも知れない。
 仕方ないので適当に歩く。この辺り、ホテルは多いし、駅もあるから、何か食べる所はあるだろう。

 コンビニや何やらに混じって既に営業している早餐店を見つけるで入る。

 並ぶメニューを見ると、サンドイッチやハンバーガーの店らしい。漢字の意味する所は理解できるのだが、発音が出来ないので、さて困る。結局、「メニュープリーズ」となる。ホテルが多い土地柄か、英語日本語併記のメニューと鉛筆が出てくる。ラミネートされたメニューに個数を書け、という趣旨らしい。
 サンドイッチにもハンバーガーにも恨みは無いが、台湾に来て食べる物でもないだろうと、逆らう。

 饅頭と餃子なのだが、明らかにレンジで温めていた。需要があるので専門外だけど置きました、と言った所か。お世辞にも褒められるものでは無かった。
 雨は降っているが、折角外に出たので、駅に寄り道をしてみる。  

 この時間、出札はやっているが、インフォメーションは閉じている。営業時間は定かでないけど、夜遅すぎとか朝早すぎだと、スタンプにはたどり着けないようだ。

 駅の脇には花蓮客運のバス乗場。太魯閣渓谷に向かう始発の路線バスが客待ちをしている。さすがに7時発のバスは早すぎるのか、雨の中、渓谷に行こうという人がいないのか、お客さんらしい姿は殆ど見えなかった。
 一度ホテルに戻る。ちょっと濡れた服やら何やらを乾かしつつ、8時まで。切符に自由が利くなら、1本早い列車で移動、という手立てもあっただろうが、仕方ない。当日だと今度は指定券が取れないだろうし。
 京王線恥辱を少し前に進めて、8時にチェックアウトする。外に出ると先程来の雨は止んでいる。

 雲の切れ間が明るくなっている。少し回復しないかと、期待しつつ駅へと向かう。
 6時半に来た時には、閑古鳥が啼いていた花蓮の駅。8時を過ぎた頃にはお客さんがあちこちに居て賑やかになっている。

 列車も北上、南下。どちらも続く。
 今日は花蓮始発、自強308次で高雄に向かう。ホームに向かうと既にステンレス製の気動車が横付けされていて、アイドル音を奏でている。


 日本製、小田急顔のDR2800。3両1ユニットが3編成。合計9両連ねている。堂々とした姿だ。そこへ、隣のホームに太魯閣がやって来た。

 こちらは台北方面樹林始発、太魯閣402次知本ゆき。早朝に台北を出てきた列車から少々のお客さんが降りてくる。まだたくさんのお客さん乗っていてこのまま台東方面へと向かう様子。
 そろそろ列車に乗る。8:23、太魯閣402次が先に出る。次は玉里まで停まらない。その後を追う自強308次、座席は3割ほど埋まった程度。太魯閣に乗れば台東には1時間15分早く着くのだから、当たり前かもしれない。
 8:27、定刻に出発。ディーゼルエンジンの唸り声が聞こえ、のっそり動き出し、そして加速してゆく。

列車は雨の上がった花蓮市街地を加速してゆくが、すぐに減速。吉安の駅に着く。ここはまだ花蓮市街。お客さんが多少乗ってきて、席を埋める。間もなく出発。花蓮市外から郊外へ。
 二度目の台東線である。前回は同じ6月、晴れた日の夕方、今は定期運用を離脱したDR2700で駆けた。台東線の電化完成間近で、線路の付け替え、電化工事、ほぼ完了した状態だから線路の造りは変わらない。でも乗る列車が違うので車内の雰囲気もだいぶ違う。そして天気がまるで違う。窓外、

 台湾の脊梁山脈からそのまま落ち込むような川を渡る。しばらく続いているであろう雨を飲み込み、濁流がそのまま太平洋へと流れてゆく。日本の川を外国人は滝と表現したそうだが、台湾のこの辺りも、川は滝なのだろう。
 志學に着く。ホームを挟んでDR3000形気動車を9連連ねた自強407次が停まっている。先方は7割ぐらいの席が埋まる。こちらの列車にもお客さんが乗る。隣の席も埋まった。遠くまで行くらしい大きな荷物の人である。中国語か台湾語で声を掛けられたが、申し訳ない、理解できないので「I can't speak Chinese」とだけ伝える。
 PCを使って昨日の恥辱、続きを書く。高雄に着くのは定刻なら13:53。5時間半掛かる。その間、途中で電源は切れるだろうが、仕方ない所。まずは遅れないよう前に進めておいた。
 列車は10分走れば停まりを繰り返す。台東への速達は太魯閣に任せ、自強はこまめにお客さんを拾う作戦。列車が停まれば多少の乗り降りはあるが、花蓮から乗っている人たちは、殆ど乗ったまま。時間が過ぎて、列車は南へ下ってゆく。
 窓を時折雨粒が叩いたり、消えたり。。

 車窓を流れる山には雲が垂れ込めている。あの雲の下は豪雨なのだろう。
 一駅停まる毎に少しずつお客さんが増えてゆく。窓外、すぐに迫る山が遠ざかると、

 田園地帯が広がった。まだ6月だが、実りの季節。2期作、3期作まで行けるのかは知らないけど、本来豊かな土地なのだろうと想像がつく。
 窓外の街の気配がする。列車は玉里に到着。花蓮から1時間半が経っている。以前街歩きをした所だが、今日はこのまま通り過ぎる。前回歩いた街があるのは車窓の左側。今日座る右側は駅裏の光景。
 DR2700が活躍した頃と同じように、中線に区間車用の電車が停まっている。この辺りの運用は電化以降も変わらないようだ。まもなく列車は発車する。
 玉里を境に列車は田園地帯を進むようになる。次の停車駅、富里では待避線に入る。やって来たのは北行のDC自強。後で調べると301次、台南発花蓮ゆき。同じ自強でも台東-花蓮の間を2駅停車で2時間で駆ける、エリート列車だった。一瞬駅が静かになり、南下する308次も発車となる。
 こまめに列車は停まり、その間にお客さんを増やしている。見た感じ、8割ぐらいの席は埋まっているようだ。次は駅弁が有名な池上。ホーム売りはやめてしまったそうで、有名駅弁を買い求めようと席を立つ人はいなかった。その代り、次の関山でお客さんがちらほらホームに出て行き、駅弁を持って席に戻る。時刻は10時半。台東で降りる人なら食事は降りてから出来る筈で、高雄方面へ乗り通す人が多い証拠かも知れない。
 久しぶりに大きな駅が現れると台東になる。大きな街でもあるのだが、駅は郊外にあるので街の大きさは良く分からない。ただお客さんは沢山乗ってきて、初めて立客が出る。南廻線も1時間程度に1本は列車があるのだが、それ以上にお客さんが多い。
 向かい側に417次太魯閣がやって来る。2時間半前に花蓮で見かけた編成だ。308次自強が台東線を細かく停まる間に、知本を往復して、台北方面へと北上している所。
 9両のディーゼルカーいっぱいにお客さんを乗せて、列車は南下を続ける。台北から続く電化路線は知本で尽きる。玉里から続いていた田園は途切れ、左に太平洋、右には台湾島の脊梁山脈が迫る。時折、濁流と化した川を渡る。曇っているが空は明るい。北回帰線は既に超えている筈だ。
 乗った時に二言三言言葉を交わした隣の人が英語で太平洋が見えているよ、と教えてくれる。それがきっかけで少々会話。どこから来たと聞かれて日本から、と答えると今度、大阪に遊びに行くと返事が返る。台湾人に限らず、大阪は人気だねぇ。
 ワゴン販売がやって来る。台鐵弁当がそれこそ飛ぶように売れてゆく。中には立客が買い求めて立ったまま弁当を食べる、なんて光景も展開される。自分も買おうかと思ったのだが、今日は隣席の人に遠慮してやめておく。高雄に着いたら何か食べよう。
 人煙稀な南廻線を進む。11:58の大武では、向かいに普快 次が停まっていた。日本の旧型客車を思い起こす客車を充当する普通列車。今日はがら空きのようで、わずかな人影しか見えない。

 列車は長くお付き合いした太平洋に別れを告げ、台湾島の脊梁山脈へとアタックを始める。エンジンが唸りをあげて山へ分け入る。人家は全く見えなくなり、廃駅もちらほら。携帯電話の電波も途切れがちになる。濁流を跨ぐとトンネルへ。エンジン音が軽くなる。
 トンネルを抜けると下り坂になる。雲はかかるが、明るい雲になった。

 車窓に養殖池が流れる。明らかに台東には無かった景色。屏東に入った証拠だ。
 再び左手の車窓に海が見えてくる。今度は南シナ海。昨日来の太平洋は暗い海だったが、この時間の南シナ海は明るく青い海だった。前途の天気が良く鳴ってくれそうな、そんな期待を覚えると、列車は坊寮に着く。先程すれ違った普快車の始発駅。久しぶりに車内が動いて下車と乗車が少々。
 高雄まであと1時間少々。列車は養殖池の中を進んでゆく。この時期、養殖池で飼っているのは、土用の丑の日を控えて鰻、鰻の大群に違いない。
 その養殖池が少なくなると、潮州となった。時刻は13時過ぎ。ここから先は電化区間となる。構内には台東線以来の普悠瑪が見える。反対側のホームには花蓮ゆきの 光の姿。こちらは西部幹線経由。流石に遠回りなのだが、電気機関車の後ろには郵便車と荷物車が見えている。日本では無くなった郵便輸送、荷物輸送が残るが故、台鐵には、島を3/4周するような変わった列車が残っている。
 花蓮、或はその周辺から乗り通す人がまだまだ残る中、列車は高雄への最終コースとなる。屏東で隣りのお客さんが降りてゆく。台東を出てからの会話が効いたのか、お互い手を振り合う事になる。空いた席には代わりのお客さんが乗って来る。手にしたチケット、ファミリーマートで発券したものだった。コンビニ発券なんてJRでは100年経っても有りえなさそうだが、台鐵は柔軟だ。

 大きな川を渡ると高雄郊外となる。街が広がる。鉄路は工事現場の中。高雄市内の台鐵。地下化工事の真っ最中だ。 
 ゆっくりと駅構内に入って行くと高雄。列車は高鐵接続の新左営まで行くが、308次とのお付き合いはここまで。


 花蓮から5時間半。乗り通した人も結構目立つ。そして定時での到着は立派。昨日の172次の名誉挽回となる。

 最後の一区間、新左営まで向かうのを見送ると改札へと向かう。今日は高雄駅前にホテルを取っている。まずは荷物を置いて身軽になりたい。
 ホテルでチェックイン。昨晩もそうだったのだが、バウチャーは印刷せず、スマホのアプリの画面で予約記録を提示して、チェックインとなる。初めての試みだが、特に問題は無くチェックインできる。予約した部屋は窓なしだったはずだが、アップグレードだとか、で窓のある部屋になる。

 高雄の天気、あまり良くなさそうだが、この時間、雨は降っていない。
 午後は高雄の地下鉄で未乗になっている所。それに新しく開業したライトレール、軽鐵に乗る。高雄捷運のICカード、iPassを持っているのだが、今回は、高雄捷運と京王のコラボで、一日乗車券が100NTDになるので、そちらを手に入れる。
 京王電鉄&高雄捷運 プレゼントキャンペーン
 先日、あちこち探し回って調布で手に入れたリーフレットを高雄車站の地下鉄出札口に提示して、1dayPass pleaseとお願いする。するとパスポートの提示を求められた上、サインをしろとリストを渡される。高雄車站で購入した人のリスト。6月1日スタートで20人ぐらい名前があったか。
 ひとまず目的の物は手に入った。地下鉄に乗る前に少々改札の周りを。

 リーフレット入れ。京王電鉄&高雄捷運の告知シールはあったが、配られているという東京新發現というリーフレットは見当たらず。
 さて。改札を通ってホームへ。まずは高雄捷運の紅線。未乗区間は南端、高雄国際機場-小港。わずか一区間だけを乗り残している。北側は意識して乗ったが、南側は空港に行く事が目的、と言う事もあり、どうしても手が出ていない。まずはそちらへ。
 何度か乗ってお馴染みの高雄捷運。空港まではこれもお馴染みの区間。直近では昨年12月に乗っている。中心地から郊外へ。空港を目指す人が降りると車内は閑古鳥。まもなく終点の小港に着く。
 どんな所か、外には出てみようと改札を出る。

 低い建物が目立つ。空港の近くだから仕方ないかも知れない。道路の反対側に正忠排骨飯の看板。いくつか食事を出来る店はあるようだが、こちら側には、無い。昼食はお預けにして、次に行く。
 捷運で市内へ戻る。今度降りたのは凱旋駅。まだ高雄の中心には遠い所。駅の外に出ると建物の背は低く、空き地もちらほら。そんな駅で降りたのは、ここが軽軌の乗換駅だから。
 交差点の真ん中を前には無かったレールが貫いている。すぐそばにホーム。こちらは軽軌の前鎮之星駅。

 芝生で緑化された線路敷。そして架線の姿は見えない。高雄には充電式のライトレールによる環状線の建設が進んでおり、その一部区間が開通している。

 ホームにはカードリーダ。iPass専用、現金の取り扱いは無い。軽軌に乗るお客さんはiPassを持っている必要があるそうだ。今のところは無料だそうで、タッチしてもゼロNTDを減額されるだけ。

 駅から続く線路も芝生の線路敷、そして無電化。
 軽軌の開業区間、高雄南部の一部区間で、西の終点が今の所、籬仔内。東の終点は高雄展覧館となっている。近い将来に西子湾まで伸びるそうだが、今の所は、中途半端な区間での運転。始発が7時で終電は22時前。運転間隔は10〜15分となっている。暫定無料という所も相まって、お試し運転、みたいな雰囲気。
 人がたくさん待っている方のホームで待つ。しばらくすると

 反対側に向かう電車がやって来る。パンタグラフが見えず、のっぺりとした低床電車は、まるで生き物のようだ。

 まだまだ珍しい乗り物らしく、注目を集めている。写真を撮る人も多い。

 次いでこちらのホームにも電車が来る。高雄展覧館行き。身を乗り出して写真を撮る人が何人かいて、ゆっくりタイフォンを鳴らしての進入。こういう時は慣れない素人の方が危ない。
 待っていたお客さんが乗り込み、賑やかになって出発。

 ロングシートボックスシートを組み合わせた、低床車らしいレイアウトの電車に揺られ、高雄展覧館を目指す。出足鋭く加速する。専用軌道なのでクルマに邪魔される事無く走れるから、地下鉄に勝るとも劣らない、そんな感じだ。
 たくさんのお客さん、目的地は統一夢時代。観覧車も見えるようなショッピングセンター最寄りの駅で大量下車。この先は少々のお客さんを載せてゆく。線路のすぐわきを歩く人が見えて目線の低さを意識する。座っていると外を歩く人よりも低い所に目線がある。2階建てグリーン車の階下席相当だろうが、すぐ脇を人が歩く、という景色は二階建てグリーン車には無い。
 高雄85のすぐ脇を走ると今の所の終着、高雄展覧館だった。

 先行する車両と2本並ぶ。15分毎の運転だから、折り返しに20分掛けている事になる。充電中、と言う事かも知れない。
 今乗って来た列車から先発するであろう列車に乗り移る。同じように乗る人もいる。台湾で言う鐵路迷なのか、タダで乗れるから暇つぶしなのか、良く分からない。
 来た道を戻り、統一夢時代が最寄りの夢時代駅でお客さんがたくさん乗って、捷運乗り換えの前鎮之星駅で降りる。開業区間はあと2駅。終着の籬仔内まで乗り通す。凱旋観光夜市を右手に見つつ、終着の籬仔内まで。

 冴えない街並みで、乗り通すお客さんも少ない。ただ、この駅、車庫の最寄りらしい。レールはもう少し伸びている。
 軽軌が当初の予定通り、環状線となるのは2019年とのこと。台鐵の高雄地下化の後だそうだ。その時にはまた、乗りに来るのだろうが、ひとまず台湾唯一の路面電車をやっつけた事になる。

 今日三度目の前鎮之星に戻ると小一時間が過ぎている。高雄に残る一線は捷運橘線の東側。まとまった区間が残っているのだが、ちょっと買い物があり、先に橘線の西側、西子湾に足を伸ばす。
 何度か訪れた事のある西子湾。駅を出てすぐ、こちらも何度も訪れている

 打狗鐡道故事館へ。打狗と書いて「たーかう」と読む。高雄の旧名である。日治時代に狗を打つでは良くないと、音を充てた「たかお」高雄になり、中華民国になってから字はそのままで中国語読みの「かおしゅん」になった。
 展示品は代わり映えしないし、暇そうな係員が屯っているのも一緒。リピートする所ではないのだが、今日は雑誌を買いに来た。 鐡道情報
 公式サイトには228号までしか出ていないのだが、フェイスブックの投稿によると230号と231号が刊行された筈。聞いてみると231号は在庫があるけど、230号は売り切れだそうだ。ひとまず231号だけお買い上げ。バックナンバーを扱う台湾的店に行けば売っている、と仰るがさて。以前、227号が台湾的店では売り切れで、高雄で手に入れたことがあるけど。
 もう一軒、扱う所があるので行ってみる。
 先程乗って来た軽軌はそう遠くない将来に哈瑪星までやって来る。地下鉄の駅名は西子湾だが、軽軌の駅名は哈瑪星とされている。音で読むと「はません」でこれは日本語の「浜線」。高雄港へ続く路線の俗称だそうだ。

 しかし、見た所工事中。ネットの情報には6月中に開業なんて事が書いている所もあったが、、どう見ても無理。

 どうみても、やっぱり無理。

 元高雄港駅構内を横切る。今日は土曜日だが、雨がちだからか、人は疎ら。幸いこの時間はあ雨が止んでいるから、傘を差さずに目的地まで。

 やって来たのは哈瑪星台灣鐵道館。先程の鐡道故事館がボランティア臭の漂う施設なのに対して、こちらは商売っ気剥き出しの施設。ここでも鐡道情報のバックナンバーを扱っている、のだが、

 やっぱり230号は売り切れだった。
 意気消沈、トボトボと駅に戻る。まぁ、旅に限らず100%思い描いた通りにはならないのが常。西子湾の駅から、高雄捷運橘線。東の終点、大寮まで乗り通して高雄市乗りつぶしにピリオドを打とう。
 変わり映えしない地下鉄に乗ったのが16:40過ぎ。列車は空いている。少しずつお客さんを集めるがすぐに紅線接続の美麗島。ここでお客さんが入れ替わる。橘線を東側へ。途中の文化中心から先が未乗区間となる。ホームスクリーン付き地下駅が延々続くだけなので変わり映えがしない。
 そこにレールが続くから乗る、的な地下鉄乗りつぶしに飽きてきた頃、電車は地上に出る。そこが終着の大寮だった。車両基地がみえる。最後は車庫のための路線だったか、と思わなくはない。

 駅外には多少ショッピングセンターがあるようだが、雨が降り始めたし、外を歩くのは見合わせておく。昼飯抜きのまま17時を過ぎているが、この調子だと夕食と一緒になりそうだ。

 駅に戻る。ちょうど1本後の電車がやって来る。高雄の市内交通はこれで完乗。残るは台北の地下鉄、桃園の空港鉄道、高鐵の延伸区間。そして阿里山鉄道。阿里山は難儀しそう。
 やって来た電車の折り返しで美麗島に戻る。折角なので紅線の北方面で時間調整をしてから、六合夜市に行ってみた。時刻は18時半になっている。

 美麗島駅のコンコース。世界でも有名なスポットだからか、この時間でも観光客がちらほらいて、写真を撮ったり、自撮りをしたり。よく考えてみると駅の中だから時間はあまり関係なかった。
 外に出てすぐ、六合夜市へ。観光客向けの夜市なのだが、近くて便利なのでひとまず六合にしてみた。

 土曜日、日が暮れ始めた時間。如何にも混みそうな時間なのだが、案外と空いている。人がいない訳ではなく、居るかいないかと言われたら「いる」になるのだろうが、普段よりも歩きやすくておや?と思う。
 折角の夜市なので少し食べ歩きを。そうでなくても昼を抜いたから空腹である。

 rの付かない季節だが、牡蠣が出ている。勿論、生で食べるのではない。台南の安平で見かけた牡蠣のオムレツである。


 台湾ビールと一緒に。無茶苦茶美味しい訳ではないが、屋台の軒先で冷たいビールと熱々の牡蠣。気分は出る。

 ついで胡椒餅に手を伸ばしてみた。こちらは

 夜市らしく立ち食い。熱いうちに頂く。
 ふと思い立って、コンビニでビールを買う。そして次に行くのが、

 担仔麺。コンビニで買ったビールと合わせると、

 サッポロビールに担仔麺の組み合わせとなる。最強にして最高だ。
 一つ一つは小さいが、食べ続けるも腹も膨れる。一旦ホテルに戻る。地下鉄で一駅だが、十分に歩ける距離。途中、スーパーに寄って頼まれものやら御土産やら。スーパーの支払いでも台北で大量にチャージしたEasyCardが使える。さすがに殆ど空になった。
 ホテルに戻り落ち着いてから、足壺マッサージを受けに行く。ホテルの近くで良いかなと思ったのだが、結局は高雄で何度か訪れた事のある、六合夜市近くの所へ。

 いつもは混んでいる店だが、今日は空いている。先程の六合夜市と言い、マッサージ屋と言い、観光客が減っているように思える、本土が台湾への観光客を抑制しているというが、その影響かも知れない。
 空いているマッサージ店、宛がわれた男性マッサージ師が凄腕だった。圧す壺圧す壺、悉く的を得ている。つまり痛い。良いのだが痛い。痛いけどGood。日本語は通じないのだが、「痛い」は通じる。にっこりとしてまた圧してくる。痛い。
 激痛の40分の後、不思議と足裏がすっきり心地よくなる。これほど効いた足壺マッサージは初めてであった。
 時刻は21時半を過ぎている。まだまだ夜市は賑やかなのだが、遠くで雷鳴が聞こえる。光ってから30秒ほど。まだ距離があるが一雨来そうな雰囲気。ホテルへと急ぐ事にする。途中、


 ホテル近くの路地で部屋飲みのつまみに鶏のから揚げを買う。その間にも雷鳴が聞こえる。部屋に戻り、シャワーを浴び終わる頃、外は大雨になっていた。