ソウル三日目、その朝。

 8時過ぎの会賢の街は朝日に鈍く光っていた。そして小さく開けた窓から冷気が流れ込む。今朝のソウル、最低気温はマイナス6℃。
 今回も二泊三日なので今日が最終日。仁川からの便に乗るので午後早々の飛行機となる。時間はさほどない。 
 朝食はちょっと足を伸ばして南大門まで行ってみた。

 朝9時前の南大門市場にでる。昼間は賑やかな露店が並ぶがこの時間はすべて店じまい。うるさい客引きもいない。まだまだ街は眠っている。

 それでも一本路地に入ると食堂街みたいになっていて、ここは湯気を上げている。日本語の客引きがうるさい中で、一軒、黙々と準備を進めていた店がある。営業はしているようだからそこに入る。

 まだ開店したばかりなのか、店内はがら空き。

 昔ながらに、と言っては失礼だろうが、何種類かのキムチが付けだしとして出てくる。その分高い店なのだろうが、この皿が多いとやはり嬉しくなる。

 そんなこんなの間に注文したキムチチゲがやってくる。普段なら朝から食べたいとは思わないが、今朝は氷点下まで冷え込んでいるソウルでは、このグツグツ感が嬉しい。美味し頂く。
 さてホテルへ。戻り道は南大門は突っ切らずに、

 ゴシック調の中央郵便局を横目に新世界百貨店の裏を通って会賢の駅まで。ホテルに戻ると10時になろうとしている。
 今日の飛行機は仁川を13:35に出発。ソウル駅から空港鉄道に乗るとしてソウル11時を目安にする。それよりは早いが10時半前に出発。妻のリクエストでソウル駅のロッテマートで寄り道をする。
 会賢の駅から地下鉄で一駅。ソウル駅に到着。4号線から空港鉄道はえらい距離があるのだが、その途中、脇にそれてロッテマートに。目的はその3階。ロッテがやっている高級ラインのアイスクリームショップにお付き合い。


 アイスクリームの味って、ある一定ラインを越えると、美味しいの一言で括ることになってしまい、美味しいの中のランク付けは困難である。どうしても立ち向かわなくてはならない困難とは思わないので避ける事にする。ここで重要なのはアイスクリームを食ったと言うことと、それで時間を食ったという言うことだ。
 ロッテマートは駅隣接。駐車場を突っ切るとソウル駅の構内に行くことができる。途中見かけた案内、

 日本語の案内としては若干、やっつけ仕事。


 さて、駅構内まで来ると10:59。空港鉄道の乗り場はここから地下7階まで潜らなくてはならない。11:00に直行列車が出た後、11:03に通勤列車があるのは知っているが、なんか間に合わなそうな情勢。案の定、無理だった。

 その後は11:16まで開く。以前はなかった黔岩駅止まりの列車が設定されているが、空港に行くとなると役立たずである。
 案外と混んでいる 黔岩ゆきを見送り、空港行きの16分発に乗る。こちらも案外と乗っている。以前の空気を運んでいた空港鉄道の面影は無い。
 2号線接続の弘大入口で立客が出て列車は地上へ。途中駅へ向かうらしい軽装の人とキャリーバックを持った空港利用客が半々ぐらいだろうか。ソウル都心と郊外を結ぶ鉄道としては異例な程、速いから沿線開発も進んだのかも知れない。
 ソウル駅から仁川空港までは60kmほど。そこを53分で列車は走る。京成のアクセス特急よりも使い勝手は良いかも知れない。12時10分。仁川空港に到着。心づもりよりはだいぶ遅くなってしまった。
 駅からターミナルへと早足で、手続きを急ぐ。JALのカウンタまで到着すると、

 何か既視感のある光景。記憶を弄る(というより恥辱を振り返る)と2012年の4月、同じくJL954に乗ろうとして到着が遅れていた。しかも今回は2012年4月よりも空港鉄道、1本遅い電車である。何とまぁ学習能力の無い夫婦であることか、と思う。
 例によって二人で手続き、夫は名古屋まで妻は成田までと言う係員を悩ませる航空券を提示。そして出てきた搭乗券には「C」の文字。あいにくエコノミークラスが満席でして、と言葉が添えられる。インボラアップグレードである。2年前のソウルでも同じだったが、ありがたい事である。
 手続きはできたが飛行機の出発まであと1時間を切っている。出国手続きに並ぶ。この時間の仁川、出発便が多いのか保安検査を待つ列が長い。近くにあった検査場は一目見て諦めて、もう片方の検査場へ。こちらはまだ列が短い。ありがちなのは自国の航空会社のカウンタに近い保安検査場は混んでいる、ような気がする。
 保安検査に20分少々。出国手続きにも多少時間を要する。空港まで乗ってきた電車の車内で、ソウル駅のインタウンチェックインを宣伝しており、それによるとソウル駅で搭乗手続きと出国審査を済ませたお客さんは、空港では乗務員専用の保安検査場を使えて、素早く出国できるそうだ。しかし、非常に残念な事にインタウンチェックインは韓国の航空会社に限られている。どこの航空会社でもチェックインできる香港のインタウンチェックインに比べると遙かに見劣りするシステムなのである。そして外国の航空会社は全てサテライト側の利用させられている点といい、韓国の航空行政は自国優遇が甚だしい。この点は嘆かわしい。
 さて、JL954の搭乗口はサテライト側の115番。5分毎の電車に乗ってサテライトに着くと既に13:10になっている。まもなく搭乗開始の時間。しかし折角なのでちょっとだけラウンジを覗く。仁川のサクララウンジは閉鎖されており、今はKALラウンジを使う事になっている。


 サテライト側に発着するKE便がどれだけあるのか知らないが、このラウンジ。広々としている割に空いていた。
 ビールサーバなんてものがあったから


 駆けつけ一杯。軽く摘んでこれで退散。今度来る機会があったら10時の空港鉄道と覚えておこう。