JL954 JA8264 B767-300 ICN→NRT


 無理してラウンジに寄り道したから搭乗口に着く頃にはもう最後召集。

 飛行機が撮りやすい場所を探す余裕もなく、JALの最古参機、JA8264に吸い込まれる。


 前側のビジネスクラスのシートに二人並んで着席。肘掛下のコントローラが示すとおりに結構な年代ものの機材である。
 上着を預けて新聞を頂くと13:39、Door close。前線の影響で所々揺れが予想されるとのこと。13:38、Pushbuck。バタバタしたが飛行機を遅らす事無く、出発と相成る。そして古参機のクラシカルな座席とはいえ、ビジネスクラスビジネスクラス。大振りな座席はありがたい。行きのエコノミークラスとは比較にならない。
 13:44、Taixing。緩々と誘導路をTaxing。滑走路端までやってきて一呼吸置くと二機のエンジンが吼える。13:53、Takeoff RWy33L。
 東シナ海が小さくなりながら霞んで行き、飛行機は高度を上げる。揺れはさほどではない。まずは順調なフライト。機首を東に向けるとソウル郊外の高層団地群が広がり出す。さらに飛行機は高度を上げて行く。14:02、機長さんから案内。成田到着は15:50の見込み、天候は晴れで気温は9℃とのこと。まもなくベルト着用サインを消灯するそうだ。そして再びベルト着用サインが点灯するのは着陸15分前の15:35とのこと。

 予告通りにベルト着用サインが消灯。外の様子を改めてみると既にソウル郊外を抜け出して山間部に入っている。所々雪化粧したところもあるが、基本的には色彩に乏しい沈んだような山が続いている。

 飛行機が東に向かい、朝鮮半島が尽きて日本海が姿を現したのが14:16の事。このころになってアテンダントさんが飲み物の注文を取りに来る。ソウル線はビジネスクラスであってもお酒の種類が少ないのだが、メニューの中に大吟醸酒というのがあったから頼んでみる。銘柄は何かまでは書いていない。

 飛行機は日本海上空、逆光の中を東に向かう。まもなく鱗のような雲が現れ、そして雲が海を覆い尽くす。日本における雪の元である。
 劇的な変化が窓外に広がる中、各席に機内食が運ばれてくる。ソウル線はビジネスクラスであっても和食の一択。プレートを2人のアテンダントさんが手分けして運ぶ方式。自分のところにはその前に日本酒、銘柄の確認が入る。宮城の伯楽星か秋田の出羽鶴と仰る。ワインでも赤白各一つなのに大吟醸酒は二種類から選べるのかと感心しつつ出羽鶴を選ぶ。



 和食プレートランチ、出羽鶴と共に。日本酒のアテになりそうな面々が並ぶ。日本酒という選択は正解だったかも知れない。もう一本、お願いしたくなるところだが、インボラだし遠慮しておく。

 〆にコーヒーを頂いて食事タイム、終了。

 外はいよいよ白い雲の世界。日の廻りが変わったからか雲の白さがいよいよ際だつ。

 その雲の合間からどこか陸地が見えたのが15:01、仁川を飛び立って1時間少々。日本国内を飛んでいるのは間違いないが、どこまできただろうか。興味深く窓外を見ることになる。


 すると富士山が遠く見えているのが分かる。どうやら日本海側をぐるっと回り込むような飛行ルートであるようだ。先ほどずっと見てみた湿気を含んだ雲が日本列島で脊梁山脈にぶつかり、そして雪を降らしている、まさしくその現場を飛んでいるのである。


 真っ白に輝く谷間や山が雲の合間にちらっと見える。雲に隠された多くのエリアは今ちょうど激しい雪に襲われているのだろう。上空から見ていると美しい光景であり、写真の枚数がどんどんと増えて行くが、あの雲の下を思うとちょっと悼たたまれない。

 雲が切れてくるとどうやら関東平野の北の縁。

 群馬から栃木へと大きく回り込む。関東はこの日この時、暖かそうな光の中で輝いている。

 成田の北側を大きく回り込んで飛行機の向きが変わる。こちらの窓から見える景色は逆光となり、鈍く霞ヶ浦の湖面が輝くようになった。上越か10分少々で霞ヶ浦という変化は飛行機ならではの視点。その恩恵を今日は十二分に感じたことになる。
 15:25、ベルト着用サイン点灯まであと10分との案内があって上着の返却が始まる。免税品の販売もこの時間まで。そして最初の予告通り、15:35ベルト着用サイン点灯。15分で着陸とのこと。電子機器の使用も不許可となった。飛行機は銚子の街を見下ろしつつ、高度を下げて行く。いったん太平洋へと出た後、反転。少々待機が入ったようで九十九里浜が見えた時点でサイン点灯から15分経っている。このまままっすぐ高度を下げてゆき、15:58、Landing、RWy34R。B滑走路端から誘導路、長い距離をTaixingしてゆくとサテライトが現れる。どこに入るものやらと思っているサテライトの南端に入りやがった。16:07、Spot in SP99。

 こちらのスポットも飛行機の撮りづらいところであった。結局今回のJA8264、どちらでもきれいに撮れずしまい。おそらく今年度中には退役するであろうから、少々残念なお別れではある。
 着陸機の集中する時間で、動く歩道のあたりも混雑しているのだが、入国審査は割とスムーズ。むしろ荷物の受け取りがまたえらい辺鄙なところで、空港の端から端まで歩かされたそんな感じになる。ソウル線はだいぶ割を食っている。

 とにもかくも無事に帰国。妻は成田からバスで横浜に向かう。自分はもう一便、飛行機に乗って中部へ。妻を見送った後、国内線のカウンタに向かう。お帰りなさいませと迎えられた窓口で荷物を預けてソウルでもらっている搭乗券を示す。そしてクラスJへのアップグレードを依頼。割り当てられたのはビジネスクラスのエリアだが、まぁ良いかと思う。
 成田に日が暮れる頃に国内線のサクララウンジに到着。世界各地から日本国内へと乗り継ぐお客さんでラウンジは賑わっている。

 ビールを飲みつつ少し恥辱を進めておく。1時間ほどで多少は文章も先に進む。