【今日の駅弁】赤湯温泉えくぼ弁当 ¥1100 有限会社新杵屋



 赤湯オリジナル駅弁だが、製造は米沢の新杵屋。たまにある町おこし系駅弁である。お品書きが別に並ぶ。

 中身は二段。牛肉や玉蒟蒻のような山形らしい食材が並ぶ。なかなか上品で、味わいも良い。

 面白いのはこの唐辛子。おみやげ、だそうだ。駅弁でお土産付きというのは初めて出会った。

 列車は防雪林の中、板谷峠にむかう。外は相変わらずの雨。杉林が雨に煙る。後方に続く線路は右に左に、そして上下に曲がりくねる。新幹線が来る前はスイッチバック駅が続いていた板谷峠スイッチバックが解消された今でも、当時の分岐点に設けられたシェルターはそのままあって、その屋根部分にささやかな駅がある。何とも不思議な佇まいの駅が現れ、そしてまた列車は峠に向かってアタックする。さすがに電車、息切れはしないけど、結構な急勾配を上り詰める。
 峠駅に到着。車内に変調が走る。席を立ってドアのところに立つ人が数人。そしてホームには立ち売りの姿。ドアが開くと「ちらかもち〜」の声が響く。二人三人と買い求める人がいたようだ。車掌も商売が終わるのを待っている。ほかの駅よりも少々長めに停まって列車は発車する。よく見ると立ち売りの人、2人いたようだ。
 雨の中を登りに登る。

 トンネルを抜けると青空が広がった。そして下り道となる。山形と福島の分水嶺を越えたのだろう。日本海側と太平洋側とも言うかも知れない。実に鮮やかな変化。新潟からずっと降り続いた雨。冬の走りみたいな天気だったのかも知れない。

 下り坂を降りて行くと暖かそうな盆地が広がって来る。福島盆地である。冬でも穏やか暖かな福島の地は日本海側から見ると桃源郷の言葉がふさわしい。原発事故のせいで色々と言われるけれども、本来は実に住み良い場所なのである。

 山を下ると乗ってくるお客さんも増える。福島には13:55の到着。
 次の列車は14:20の出発。ちょっと改札外に出てみる。駅ビルの中だけ見る。中途半端な時間しかなく結局ホームに戻って次の列車に。

 郡山ゆきは701系の2連×2で4両編成。最近改造で投入される電車だとたいていはボックスシートが用意されるが、この時代の東北に投入された電車はコスト優先、最低限の設備しかない。2両目のロングシート、中程に座りおとなしく発車を待つ。直前になって仙台から列車が到着し乗り換え客少々。その人たちは座れない。
 福島を後に列車は走り出す。福島から郡山に向かう東北本線の線路は結構アップダウンが激しい。まぁ板谷峠に比べれば大した坂道でもなく、列車は快調に飛ばす。駅ごとに降りる人がいて、乗る人は少々。だんだんと立っている人はいなくなる。郡山までは50分程。
 郡山では15分程の乗り換えで黒磯ゆき、となる。が、この列車の前2両がそのまま黒磯までゆくそうだ。殆どの人が降りてゆく中で数人が居座る。代わりにたくさんお客さんが乗ってくる。

 一度外に出てみる。行き先は既に黒磯に変わっている。昔は立ち食いそばもあったように思う郡山のホーム。長距離列車が減った今ではキヨスクすら見えない。空気が心地よく車内にいるより快適だが、そろそろ空けてきた席のことが気になるので車内に戻る。
 発車時間が近付くにつれて立つ人が目立つようになる。出発直前になって磐越西線会津若松からの列車が到着。乗り換えを待って発車するそうだ。車掌が階段の所に行き、乗り換えの人を確認。みんな乗り込んでから発車ベルを短く鳴らす。2分遅れて出発とのこと。
 4両が2両になった分、混んではいるが一つ目の駅で早くもたくさんの人が降りる。二つ目でも降りる。そうしてだんだん車内は落ち着いてゆく。

 15時半を過ぎて空がだんだんと陰って行く。東北の秋、日は短い。もう一ヶ月もすれば雪の声が聞こえる季節だ。
 新白河で降りる人がたくさんいて車内、空席が目立つようになる。白河の関を越えてそろそろ関東と呼ぶべき領域になる。

 2分遅れて出発しましたが定刻の到着です、の案内で黒磯に着く。ここから先は直流電化となる。接続する列車は上野まで行く快速。東京の匂いがする。


 10両だか15両だか知らないが、この列車、グリーン車が付いている。折角だからグリーン車に乗る。そして乗り換え時間を使ってビールも用意してみた。

 ビアホール東北本線、開催。
 東北線もいつの間にか分裂症状が激しくなり、宇都宮で乗り換えを強いられる事が増えたが、なぜか夕方に一本だけ、宇都宮を直通する列車が残っている。そしてそれなりに需要があるのか、一つ先、那須塩原グリーン車に大量乗車。その後もゴルフクラブを持った人とか、明らかにグリーン車狙いの人が乗ってくる。割と知られた列車なのね、と思うことになる。

 日が暮れて行くのを眺めながら、一本、一本。ついついアテンダントさんからハイボールを買ってしまいもう一本。その間に暗くなる。宇都宮までですっかり酔いが回った。まだまだ横浜は遠いが、もうお酒はやめにしよう。
 乗っているのは快速の上野行き、このままだと横浜には行けないので乗り換える。

 湘南新宿との接続は古河だった。

 今度はがら空き。座ると眠気を感じる。今朝も早かったし仕方がない。少し寝るつもりががっつり寝てしまい、気が付くと池袋まで来ていた。時刻は19時半近い。黒磯から3時間。結構掛かるなぁと思う。米沢からだと6時間少々だから、黒磯は何気に半分の折り返し点であったか。
 東京を通り抜けて横浜まで。着いてみると20時過ぎ。一区間

 根岸線のお世話になる。E233系は113編成。桜木町から地下鉄で帰宅。切符は明日も使えるが今日は家に帰る。別に自宅が嫌であちこちさまよっている訳ではない。