【今日の駅弁】松茸の釜飯 ¥950 株式会社向龍館

 
 
 持ち歩いている間に中身が偏ってしまったのが残念だが、先程買った駅弁を頂く。松茸が値段の割りに存在感を発揮いているのが嬉しい。竹の子は少々濃い目の味付け、とはいえ保存食だから仕方ないか。昔ながらのさくらんぼが残念だけど、トータルでみると新幹線の駅で売っている駅弁よりも満足度が高い。
 3路線が交わる美濃太田は昔の感覚なら鉄道の要所ではあるけれど、もう少し立地の良いところで勝負させてあげたい所だ。

 さて。目的の航空博物館へは、ここからバスに乗る。公式サイトを見ると名鉄各務原市役所前からバス、とあるのだが、そのバスは新鵜沼ゆき。鵜沼の駅前も通るのでそれに乗ろうとする次第。路線バスではなく市が委託するコミュニティーバスなので運賃は破格の100円。ただし本数は少なく、次は11:24。それを逃すと2時間後である。9時前に慌てて家を出てきたのも、ここのバスに間に合わすためだったりする。
 いかにも交通弱者風の老人が数人集まった所でバスが現れる。
 
 新鵜沼行き、なんて表示だったが「航空博物館行きますか」と聞くと行くと仰る。ならばと乗る。走り出してから
「博物館に着くのは、、、、、12:44ですね」
 なんて仰るから驚いた。今は11時半前。1時間以上も、かかるのか。
「休日だと直行するんですけど、平日は各務原市内をぐるっと廻るので。観光気分でゆっくりして行って下さい」
 だそうだ。まぁジタバタしても仕方ない。そして
「ここが川上貞奴の別荘跡を改築した料亭で」
「鵜沼台の団地です」
「緑苑の団地です」
 思いがけない観光案内が始まる。
 
 バスは各務原北部の団地群をぐるっと廻る。なんでこんな所にいるんだろうという疑問も持ちつつも二つの団地をなぞって行く。平地に降りると。
「鵜沼の駅から500mぐらいのところですね。もう一つ団地に入りますんで」
 と言う調子。本当に各務原を一周するらしい。そして何かあると案内。おがせ池という池があり、岐阜八景に選ばれた所で早くから花火大会が行われていたとか、あの山の上は県が造成した工業団地だとか。
 
 一体、どこに行くのだろう。
 病院の案内まであり、そして市民会館。ここはコミュニティーバスの結節点なのだそうだ。12:20まで休憩との事。バスが4台集まって、12:20同時発車となる。
 だいぶ先が見えてきたが、なおも右に左に曲がりつつだからなかなか博物館には近づかない。
 
 ようやく到着。1時間以上走って12:44の定時は立派だが市民会館でのクッションが効いているのだろう。ずっと付き合ってくれた運転士さん。帰りのバス時間も教えてくれる。帰りは鵜沼に出るより各務原市役所前駅に出ることを勧めてくれた。勿論、そうするつもりだ。
 
 建物の前には屋外展示が並ぶ。元ANKYS-11、JA8731。その隣に救難飛行艇、US-1A。なかなか楽しい並びで迎えてくれる。
 入場料¥800を支払う。今日一日であれば何度でも入場出来るそうだ。早速、入場させてもらう。
 各務原という所は航空自衛隊の飛行場があったり、川崎重工の航空機部門の工場があったり、空とは縁の深い所であり、ご当地自慢全開で十分に航空宇宙博物館として成立してしまうのだから立派。そしてこちらが
 
 
 STOL実験機、飛鳥。
 短距離離陸、短距離着陸を狙って作られた実験機がさかんに試験飛行をしていたのが1985年から1988年というから自分が小学から中学へと言う頃である。不思議な形をした飛行機の試験飛行、というニュースはテレビで何度か見た覚えがあり、飛鳥という名前も知っていた。実験はそれなりの成果を出したが結局、実用化には繋がらず、飛鳥と言う名前もすっかり忘れていた。まさか、その飛鳥の実物を2011年になってみることが出来るとは思ってもいなかった。
 小さな4発機。翼の上にあがったエンジンが作り出す独特なフォルムが印象的で、だからこそ小学生の頭の中にも焼き付いたに違いない。当時の映像で離着陸の様子も見れたが、本当にすっと上がってゆく。
 今の視点で見れば、4発機の経済性とか何とか言われちゃうのだろうが、日の目を見なかった事は残念と言うかなんというか。
 
 
 企画展で政府専用機の座席を展示していた。実際に座る事も出来る。貴賓室の座席は一昔前のファーストクラスと言ったところか。今の座席には無い柔らかな座り心地がなかなか。一般座席は同行する記者なんかに割り当てられるらしいけど、こちらはごくごく普通のエコノミークラス。
 見学に要する時間、先程のバスで2時間もあればと言われてきたけど確かに2時間あれば十分だった。休日に来ればYS-11の機内が見学できたりしてまただいぶ違うのかも知れないけど、空いている今日は2時間で十分。
 
 先程のバスの2時間後、14:44というバスで産業文化会館と言う所へ向かう。名鉄との結節点だそうだ。今度乗ったバス、乗客は自分ひとり。どこまで行っても一人。またあちこち迂回しながら、狭い道でクルマとすれ違いながら、それでも20分少々で終点まで運ばれる。ちょうど名鉄の電車が来る所。地上から直接ホームに入れる構造の駅だったから電車には間に合う。岐阜を廻るか、犬山を廻るか、色々考えてはいたけど最後は来た電車に飛び乗る形になる。
 
 岐阜に運ばれると15時半。何となく特急の指定席車をあたって見たら一番まん前、展望席が取れたのでそれに乗って帰る事にする。中部国際空港行きの特急を見送り、豊橋行きの急行も見送ってから
 
 
 やって来たパノラマスーパー、展望席の一番前に座る。相変わらずの雨で
 
 視界は全く持って不良であったのだけど、小一時間の移動が旅に化けてくれた。