違和感があるが週末扱いである。世の中的には週末とは言わないだろうが仕事の区切りが週末ならば、自分にとっては今日からが週末。
 外は雨になった。窓を開けると普段より控えめな道路の音と涼しい風が一緒に入ってくる。
 この週末は横浜には戻らない。3日間ソウルに行って、2日愛知で働いて、また横浜。さすがに慌しすぎるからこの2日はこちらで過ごす。
 こちらで過ごす、と書いたがマンションの狭い一室に引きこもっても仕方ない事は明らかで、どこかに出かける事にする。晴れていれば中部空港に写真を撮りに行こうかとか、三岐鉄道の貨物列車を撮りに行こうか、とか考えられるのだが、よくよく考えると一眼レフは横浜に置いて来てしまった。それ以前に今日は雨なのだが。
 そこで今日は博物館に行こうと決める。名古屋まで出ると今年開業したリニア・鉄道館があるし、産業技術記念館を見ているのも選択肢。でも、今日行く事に決めたのはかがみがはら航空宇宙科学博物館。

 http://www.city.kakamigahara.lg.jp/museum/

 各務原YS-11が展示されている博物館がある、と言うのは知っていたが、改めて調べてみると、とんでもない展示物がある事に気付いた。ちょっと楽しみである。
 休みなので気楽に喫茶店に行く。世の中は休みじゃないから日曜日なら休業の多い近隣の喫茶店も営業していてモーニングセットを頂く事が出来る。
 
 300円という破格のモーニング。これだけの食材を自分で揃えるのは大変だなぁと思いながら頂く。さて、出かけますか。
 中央線の高蔵寺へ出る。タイミングが悪くて乗り継ぎの電車は悪名高き「銭取らるライナー」こと「セントラルライナー」。その後は24分電車が無くて快速電車と言う順番。いずれにせよ次の多治見で下車だからそれに¥310の料金を投じる気にはなれず、後の電車を待つ。
 通過列車なんて案内があって特急しなのでも来るのかと思ったらEF66牽引の貨物列車だった。まさか中央線でEF66を見ることがあるなんて思わないから非常に驚く。
 結局30分近い待ち時間となったが、
 
 快速電車で一駅、多治見へ向かう。
 多治見からは太多線に乗る。各務原まで行くのに名古屋に出て岐阜経由でも良かったのだが、今日は多治見廻りにしてみた。遠回りだろうがたまにディーゼルカーに乗るのも悪くは無い。そして、もう一つ、このルートには仕掛けがある。
 
 太多線美濃太田を経由して岐阜までゆくディーゼルカーキハ11の2両。JR化以後の車両だ。新車のつもりでいたけど製造銘板によると平成元年製だからも車暦23年。いつの間にか結構なお年だ。車内も少々くたびれ気味。都会の電車にはまずない、窓際の悪戯書きが田舎の汽車、と言う雰囲気を醸し出す。
 
先程、高蔵寺で見かけたEF66牽引のコンテナ列車は多治見までだったようで、太多線の停まるその隣に機関車がいた。多治見までなら平坦線だからEF66でいいのかと思う。思うけど、やっぱり馴染めない。
 1ボックスに1〜2人。ロングシート部分にもちょっと人を乗せて、つまり、かなりがら空きの状態で、10:25、岐阜行きの列車が出発する。ディーゼルらしい緩やかな加速で中央線を左に見てカーブ。雨に濡れる田舎道を緩やかに進んでゆく。沿線は丘混じりの田園。最初に太多線に乗ったのが確か1999年の1月で、季節柄、乾いた殺風景な印象しか覚えていないのだけど、同じ景色でも季節が違えば印象が随分変わる。宮脇先生が著作で触れていたけど、自分の目で見て、改めて思う。
 一駅ごとに一人二人乗ったり降りたりを繰り返し、中心駅の可児で半分以上のお客さんが入れ替わる。降りるのは大勢だが同じぐらいのお客さんが乗ってきたから車内は寂しくならない。時間帯の割には結構使ってもらってる方かも知れない。
 茶色く濁る木曽川を渡ると太多線の終着、美濃太田に着く。多治見から30分ほど。ここで降りる人は少なく、むしろ乗ってくる人の方が目立つ。列車はこのまま岐阜まで直通する。太多線の列車には岐阜直通が多く、多治見や中津川と言った岐阜県内の流動を意識しているのかとも思っていたが、今日見る限りでは大きな流れとして存在するわけではないらしい。
 美濃太田3分停車。その間に、今日のイベントの一つをこなす。列車が停まった隣のホームに見えているのは
 
 駅弁屋の売店美濃太田の駅、いまでも駅弁が健在である。ここの駅弁を食べる機会はまず無いだろうから、中途半端な時間だけど買っておく。

 http://www.city.minokamo.gifu.jp/kankou/member/47.html

 には二種類の駅弁が紹介されている。有名なのは釜めしの方だけど、手おけ寿司もきちんと売られていた。今日は釜めしにしておく。
 列車に戻ってさらに先へ。先ほど渡った木曽川を車窓に望む。所謂、日本ライン区間に相当する。狭い谷間をゆく大きな川、今日は水量も豊かなので結構な迫力だ。
 谷間が開けてきて鵜沼到着となる。今日はここからバスに乗る。先程買った駅弁、持ち歩き続けるのも難なので、ここの駅で食べてしまおうと考えたのだが、高架駅になった改札を出てみるとベンチが無い。困ってしまう。結局、駅前にあったバス停に屋根のあるベンチがあって事なきを得る。