【今日の駅弁】将軍 (有)芝田屋弁当部 水戸駅 \840

水郡線の中で食べられなかったので。赤飯と鮭の切身、卵焼、蒲鉾……、書き連ねて見れば幕の内。でも納豆天ぷら?が入っていたのはさすが水戸。
 列車が来る。カメラの放列。降りてきた人もカメラを向ける。家族連れは子供を入れて記念撮影、年寄りも記念撮影。警備員が出る。屋台まで出る。ほとんど、祭りだ。
 12:19の列車に乗る。立客多数。半分は家族連れ。一箇所にまとまって乗っている女子高生だけが本来の乗客かな。ただ単に終点の鮎川まで乗っても詰まらないので途中で降りる事にする。沿線で繰り広げられる撮り葬送鉄を眺めながら、取り敢えず大橋で下車。駅前に「庫倉業農村元坂」なんて小ぢんまりとした古い建屋。戦前のものでしょうか。ここにも数人の葬送鉄。
 この度は常北太田ゆきに乗る。この電車も混んでいる。一つ戻って川中子。田んぼの真ん中に温泉なんてある。沸かし湯らしく煙突から黒い煙がモクモク出ていたりするけど。鮎川の方から線路を歩く人が見える。常北太田の方からも一人歩いてくる。乗り降り鉄か。クルマで乗りつけて辺りを撮影する鉄。鉄の遊園地と化しているな、人の事は言えないけど。
 今度は鮎川まで乗りとおす。また座れない。大甕では待合室に臨時売店が出来ていてやはりグッツ販売に精を出している様子。海が見えるようになった。濃い青色。明るい春の海だ。
 鮎川でも屋台が出ている。撮影者多数。記念撮影者も多数。いつまで経っても改札に出ない人に対して「いったん精算して下さい」と駅員が叫んでいる。折り返しの電車で大甕に戻る。時刻は14時半過ぎ。ここから常磐線で上野に戻ると18時前には着く。帰りは新宿でなんて思っていたけど妙な事になった。
 大甕のアナウンスで下り列車遅れと流していた。何かあったのかなとも思うけど上りは定刻に来たので乗る。一駅進んで東海。信号が変わらないので停車してますと案内。暫く待つ。なおも動かない。今度は原因不明の停電で停車中です、暫くお待ち下さいに変わる。下り電車は通過して行く。そしてトドメの案内。この先で架線が垂れ下がり特急列車が立ち往生している。この電車も暫くの間、この先の運転を見合わせる、と。
 ここで言う「しばらく」は20〜30分ではあるまい。3時間とか4時間掛かるに違いない。これはやられた。大甕から日立電鉄で太田に出て水戸に行こうかとも思う。下りは動いている様だし。特急が通過して行く。その後は普通。でも来ない。そして案内。「架線トラブルで上下線とも運転見合わせ」
 身動きが取れなくなる。バスは?と考える。勝田ゆき、水戸ゆきと言った路線はあるが時間が合わない。上菅谷ゆきもある。でも「廃止のお知らせ」なんて張り紙が。高速バスがある。16:10と18:40に東京ゆき、15:41には成田空港ゆきなんてのもある。18:40の高速バスを最後の手段に取っといて、しばらくこの状況に付き合ってみるか、と覚悟を決める。
 列車に戻る。パンタを降ろし、1ヵ所を除いてドアを閉めている。車内は暗く空気は淀んで営業列車とは思えない異様な雰囲気だ。姉ちゃんのグループが乗り込もうとしてこんなところ嫌だと騒いで逃げて行く。まぁ気持ちは分かる。時間だけが過ぎて行く。
 ホームで何か案内が入ったようだ。車内までは聞こえない。16:40ごろ、照明が復活、ドアも開く。どうやら運転再開らしい。案内も入るが前の電車が動かないらしい、なおも停まりつづける。結局動き出したのは17:25。事故の起きた現場付近では最徐行。作業員やら軌陸車やらの姿が見える。
 列車は勝田で打ち切り。その先へ行くのは「14:33 水戸 4両」となっている。この電車、さっきの電車の1本前だ。その後に勝田始発の上野ゆきがあるとかでそれを待つ。勝田始発、所定では17:02発らしいが56分遅れとのこと。始発では空いていたけど水戸で混雑。発車直前に水郡線と鹿島臨海線の気動車が入ってくるのが見える。一旦閉まった扉が開いた。接続を取る様子。この後の電車も見通しが立たないのかもしれない。その後は順調に走る。長くなってきた昼ももう夕暮れ。右の車窓がちょっとの赤さを残している。左の車窓には月が見える。出てきたばかりの月は赤い。「あかつき」とは言うけど実際に目にすると少し驚く。その月がだんだん高く黄色くなる。上野に着くと20時を過ぎている。もう新宿に行く時間ではない。