2021-07-11

 目覚めると枕元に缶が立っていた。飲みかけのビールである。昨日は飲んでる途中で潰えたらしい。よくひっくり返らなかったな、と奇跡に感謝する旅先の朝。
 カーテンを開ける。

 冴えない空、見慣れぬ橋。その向こうに白地に黄色の八甲田丸。そう、ここは青森。
 今日も朝は早いのだが、ちょっと間がある。身支度を済ませると八甲田丸まで歩いてみる事にした。

 青函博の会場になったアスパムを横目に見て青森港の方へ。間もなく

 青函連絡船、八甲田丸の姿が見えてくる。
 昔は無かった遊歩道が出来ていて、もう少し近付ける様子。歩いてみる。

 陸地の鉄道車両を連絡船に乗り降りさせるための可動橋まで着く。ちょっと船を見れたらぐらいのつもりで歩いてきたのだが、こんな所まで見に来れるとは思ってなかった。

 ファンネルに描かれたJNRマーク。ここに停められもう30年が経ち色褪せが目立つ。たまには塗り替えられているのだろうけど。

 再びアスパム側に戻って。久しぶりに八甲田丸の見学をしたくなるが、今日は7時過ぎには青森を発つ。自分で作った行程だが、全く持って慌ただしい。
 ホテルに戻る。チェックアウトした後で朝食に。

 こちらのバイキングは割と普通にバイキング。味噌汁がシジミ汁だったのは嬉しいが、身が思ったよりも小さかった。世の中全般にはシジミは出汁を取るためで食べるものでは無いらしいのだけど。昔はアサリとシジミは、きのこの山たけのこの里ぐらいの関係だと思っていたけどなぁ。
 7時過ぎ、青森駅に向かう。

 工事中の仮通路みたいなところを通って駅構内に進む。今日は新幹線に乗る。予約はチケットレスだが、青森から新青森まではSuica圏外。切符を買うことになる。チケットレスなんだけどなぁ。

 待っているのは奥羽線の電車。701系の2両という可愛らしいもの。

 東北本線の東京まで、奥羽本線の福島まで。津軽線三厩までと3つ行先が出ているが、そのうち二つは直通する列車が無くなってしまった。今日の列車も奥羽線津軽新城ゆきだったりする。

 789系の乗車位置を示す案内がかすかに残っている。北海道連絡の役目も失くしてしまった。様々な役割を喪った青森駅に涙。
 7:24、出発。一駅、新青森で降りる。乗客が少々降りてゆく。7:43に東京行きのはやぶさがあり、その乗り換え客のようだ。
 自分はこちらに乗る。

 7:56 新函館北斗ゆき はやて93号。
 今の今まで「はやぶさ」だと思っていたのだが、案内には「はやて」とある。東北新幹線が八戸まで開業した2002年に登場した速達タイプの列車種別。それがさらに速達タイプとなる「はやぶさ」が登場して以来、漸減方向となって、今では盛岡、新青森から北海道方面へ向かう区間列車にのみ、残っているのだった。
 ひとまず上りの新幹線がやって来る。

 E5系ではなくH5系。北海道を模したマークが輝かしいJR北海道所属車だった。新函館北斗を朝1番に出て来た列車だが、車内は空いている。停車時間少々。新青森からの乗客もさほどではなく、発車してゆく。

 93B、U33編成。盛岡始発がやって来る。多少お客さんが降りてきて、代わりに乗る人はわずか。席に落ち着くと間もなく出発。列車は速度を上げる。

 津軽半島の背骨にあたる丘陵を左に見つつ北上する。速度はそこそこ速い。青函トンネル前後、在来線との共用区間に入るまでは、260㎞/hで走る。昨日は気付かなかったが、トンネルの案内がLED案内に流れている。
 速度が緩んで共用区間が近づいたと知る。津軽半島の山の中、ゆっくりと走ってさらに速度が緩むと昨日降り立った奥津軽いまべつ駅に停車する。見た所、乗り降りがあったかどうかは分からない。次は海峡を渡った木古内となる。
 緩い速度のまま北上する。青函トンネルが見える公園がはっきりと分かってトンネル区間に。160km/hでの運転なので案外とトンネル区間、時間がかかる。窓外が明るくなってようやく北海道。 

 貨物列車を追い抜いて、更に淡々と走ると間もなく木古内となる。ここでも乗り降りがあったか、定かでない。次は終点の新函館北斗

 最後まで空いたままだった今日のはやて93号。トンネルばかりの景色を眺めると速度が緩んで窓外が明るくなる。終着の案内があって列車は真新しい駅に滑り込む。

 新青森から1時間ちょっと。速度が抑えられているとはいえ、新幹線駅から新幹線駅は圧倒的に速い。でもここは函館ではなくて新函館北斗という駅。昨日利用したあの函館駅からは24㎞も離れている。「新」という文字が頭に付く新幹線駅。日本各地にあるけど、一番遠いのではないかと思える。

 北海道新幹線にとって函館はあくまで中間点。目指すは札幌。何れはやって来る10年後に期待をしている筈。線路もこの先を目指し、未来につながるトンネルへと続いている。

 5周年を祝う新函館北斗の駅を後に、自分が向かっている函館へ行く。新函館北斗から函館まではSuica圏外。現金しか受け付けない券売機で440円という切符を買う。チケットレスだったんだけどなぁ。もう少し何とか、ならないかなぁ。

 接続列車までは少々間がある。ひとまず改札内へ向かう。ちょうど函館からの列車がやって来る。三々五々、お客さんが降りてきて新幹線乗り場に向かう。

 函館行きの接続列車は電車となる。札幌近郊でしか見る機会がないこの顔付きを函館で見るのは、しばらく馴染めそうにない。
 今度は札幌ゆきの特急がやって来る。

 特急北斗が281系でやって来る。昨日の昼に特急北斗を見た際には261系が使われていたので、てっきり281系は撤退したものかと思っていた。後で時刻表を見ると2往復だけ、281系で残っている。

 札幌からも特急北斗が281系でやって来る。去り行く281系が上下まみえる。
 さて、新幹線接続の快速列車も出発となる。次は五稜郭、という案内。新幹線接続のために電化された区間を駆けてゆく。妙に気合が入った対応。その割にはお客さんが少ないのが寂しい。
 函館には9:30の到着となる。

 青森から2時間が経っている。在来線の頃で青森-函館が2時間を切るぐらいだったから、新幹線になっても所要時間はさほど変わらない、という残念な結果だった。まぁクルマで直接新青森駅に乗り付け、新函館北斗駅から直接目的地に向かうのなら、新幹線の速度は享受できるけど。
 ほぼ1日ぶりに函館駅前に戻って来た。この先

 道南いさりび鉄道に行くなら青函間の2周目となるが、振出しはもうちょっと先。乗り込んだのは

 やはり繰り返し感のある帝産バス。空港に向かう。昨日向かわなかった奥尻に今日は飛ぶ。
 空港まで20分少々。時刻は10時半が近づいている。10:45にはSAAB340Bが丘珠から飛んでくる筈で、荷物を預けて展望デッキに出たい。

JL2891 JA01HC SAAB340B HKD→

 搭乗手続き。奥尻往復のあと伊丹という変則ルートで少々手間取ったが、手続き自体は出来る。その代わりではないだろうが、悪いお知らせが二つ。一つは奥尻空港天候調査中との事。もう一つは

 オリンピック期間前後は保安検査を強化するそうだ。奥尻便と丘珠便が対象になっていて、保安検査時、こちらを提示してくださいとの事。何かあるなら羽田の方だろうけど、定員の少ないフライトに対象を絞ってやってる風をしているのかな、とは思わなくはない。
 まずは展望デッキに出る。間もなく

 無事に丘珠からSAAB340Bがやって来る。昨日は格納庫の前でエンジンテストを続けていたJA01HCだ。

 甲高いプロップサウンドを奏でてスポットの前で駐機。プロペラが停まるまで見届けると、保安検査を受けに行く。強化、って何があるのかよく分からないから、早いに越した事はない。

 直近の出発、大型機のフライトは無いので、保安検査場は空いていた。先程のカードを提示。別ルートに通される。ボディーチェックが厳重に入るのと、普段はスルーされることが多い、カバンの中の電源コードが引っ掛かる。そんな調子で時間が掛かった。これを数百人にやるのは大変だろうなぁとは、確かに思う。
 とにかく保安検査が終わる。後は運航の案内が流れればよい。

 最初は10:45に案内があるとの事だったが、その頃を過ぎてから、11:05に改めて案内と放送がある。続報を大人しく待つ。
 11:10、本来ならそろそろ搭乗という時刻。改めての案内は本当に悪い知らせだった。

 奥尻空港、天候不良のため欠航。
 20人ぐらいは搭乗客がいたと思うが、案外、淡々としているものである。慣れっこなのかも知れない。払い戻しの手続きは1階のカウンターでとの事で制限エリアの外に出される。先程、厳重な保安検査を受けた隣のさらに隠れ通路みたいな係員専用検査場を通って、土産物売り場の脇に出る。

 ターミナル内にも欠航を告げる案内。

 少ないお客さんとはいえ、イレギュラー扱い。窓口には行列が出来る。
 順番を待つ間、思案する。単に払い戻しでも良いけど、SAABには乗りたい。奥尻には出直す事にして、今回はオープンにして貰おうかと。
 函館-奥尻-函館のチケットをオープンにしてもらい、預けた荷物を函館-伊丹の直行にしてタグを貰うという作業。オープンになった航空券、有効期限は?と聞くと1年との事。いつでも使えるという事だが、あまり先だとSAAB340Bがいなくなる。ATR42-600の3号機がいつ来るか次第で、コロナ禍の影響もあって流動的だろうけど、一応は今年の秋頃にはいなくなる、らしい。
 荷物の方が意外と大変みたいで、苦戦した挙句に伊丹ゆきの搭乗口でお渡しする、という事になって一応は手続き完了。時刻は11時半。3時間弱、空き時間が出来てしまった。これなら青森から函館までゆっくり来れたけど。
 しかし、昨日奥尻に行っていたら島流しにあう所だった。この3日、小さく不幸なことが続いているが、一番大変な状況は何とか回避したことになる。
 市内に出ても良いけど、どうしたものかと思い

 飛べない翼、JA01HCを眺めに行く。欠航騒ぎの30分程で一雨あったみたいで、スポットが雨に濡れている。JA01HCは13:20の丘珠ゆき、2746便まで函館で待機となる。
 市内に出るには中途半端で、ひとまず空港から歩いてスーパーまで行ってみた。何か北海道ならではのものを買って帰りたいと片道1㎞弱を歩く。行ってみるとちくわパンがないなぁとは、とろろ昆布を買い忘れたりとは、色々と出るが、ひとまず時間つぶしになる。
 お昼になったので食事も。結局空港に戻って
airport.ne.jp
 こんなところで食べてみると。市内で人気の海鮮丼との事だったが、

 サーモンは身がしっかりしてなくて少々がっかり。マグロの方が良かったのかも知れないけど、人気の理由、今回の訪問では分かりかねた。
 時刻、13時が近くなる。そろそろ展望デッキに行ってみる。SAAB340B、乗れないのなら、せめて撮りたい。

AIR DOが出発してゆく。こちらは中部ゆき、だそうだ。


 先程のJA01HC。ドアが開いていて、操縦席には乗務員の影が見える。地上係員が作業を開始した。そろそろ丘珠行きの出発に向けた動きが始まる。

 丘珠行き、搭乗が始まる。やっぱり写真を撮る人もちらほら。あちらに混ざりたいが、今から丘珠に行ってしまうと明日の朝に差し支える。

 荷物を載せる作業が始まる。搭乗も最後の方らしい。どこかに駆けだしそうな子供を親が手をつないで必死に飛行機に乗せる。

 書類が操縦席に渡り、出発の準備が整った様子。

 地上係員と客室乗務員の引継ぎも行われている。この時点で13:15。

 伊丹からの到着便が来るのを確認した後、


 Doorclose、13:19。

 プロペラが一つ、もう一つ廻り出して函館空港ターボプロップの重奏が響く。


 13:24、Taixing。誘導路を西に向かう。相変わらず隠れている函館山を横目に滑走路端へ。

 13:27、Takeoff RWy12。

 蝦夷梅雨の空へと上昇してゆく。
 さて、伊丹ゆきは

 14:05の出発。5分後にも伊丹ゆきがある。保安検査場が混まないうちにさっさと入っておく。3時間前に比べれば圧倒的に楽な検査を受けて制限エリアの中へ。

 伊丹ゆきの1時間後には羽田ゆきもある。元々6月に予約していた時は、函館-伊丹が運休になって、羽田経由に振り替えられた。結局、緊急事態を鑑みて3週間延期したので、伊丹直行に戻ったのだけど。

JL2124 JA244J ERJ-190 HKD→ITM

 13:45になって搭乗が始まる。今日は最初に搭乗手続きをした段階でクラスJに上げて貰っている。その時点では1人掛けでも2人掛けでも選べる状態。1人掛けのA席を宛がってくれた。
 その座席に落ち着き出発を待つ。搭乗率は6割ぐらいだろうか。クラスJにもまだ空きがある。13:55、Doorclose。13:57、Push buck。

 青い方の伊丹ゆきを置いて、先に動く。上昇中下降中、揺れが予想されるとの事。伊丹までの飛行時間は1時間30分だそうだ。
 14:02、Taixing。相変わらず隠れている函館山を横目に滑走路端へ。

 14:05、Takeoff RWy12。
 蝦夷梅雨の空へと上昇してゆく。

 函館市街地の東側、のびやかな大地が広がる様子を見ると機体は右へと傾いて津軽海峡へと踏み出す。次第に青空が上空広がるようになる。

 右手であれば函館の街が見えたか見えぬか定かでないが、青い空広がる津軽海峡を南西に進むと薄らぼんやり津軽半島らしい影が見えるようになる。

 青函圏の二周目だったかも知れない、そういえば来るときも津軽半島だけは良く見えていた。
 14:24、ベルト着用サイン消灯。伊丹空港到着15:45頃と案内。

 窓外は雲。地上の様子は分かり辛くなっている。
 飲み物のサービスが始まる。アイスコーヒーをお願いすると、一緒にクラスJの限定ドリンクはいかがでしょうか、との事で

 なぜかカップが二つ置かれる。野菜が足りませんよ、という気遣いなのかは分からない。
 14:32、機長さんから飛行状況の案内。現在は秋田県から山形県の沖合を飛行中。全国的に大気が不安定で伊丹へと降下を開始する30分後にはベルト着用サインを点灯させるとの事。

 南に行くにつれて雲が分厚くなってくる。14:48、20分後にサイン点灯する旨の案内がある。サービスも終了との事。15:02には3分後にベルト着用サインが点灯する案内があって、15:08、ベルト着用サイン点灯。

 積乱雲も目立つようになってきた。
 機長さんから再び状況案内、積乱雲の近くを通るので揺れる事が予想されると。
 雲を突っ切ると薄暗い地上が見えてくる。

 どこの海だろうと思ったら、何のことはない、琵琶湖であった。北湖の北外れ、塩津のあたりだ。強めに揺れつつ先に進む。この調子だと大津も雨かなと思う。
琵琶湖を突っ切り湖南へ抜けると 

 晴れとも何ともつかない天気になる。少々揺れながら南下しているようだ。

 田んぼとゴルフ場と丘陵が混じるような景色が山がちになって来る。街が見えてきてどこ?と思ったら伊賀上野だった。
 15:20、あと15分で着陸する旨の案内。思いがけずショートカットをした感じがするが

 奈良の盆地が見えてきて伊丹空港への最終コースに乗ってであろうことを知る。飛行機は降下を続けて生駒山地を越えて大阪平野へ。

 大阪城が見えてきて、

 梅田は高層ビル群とは言わないだろうが、ビルの群れが目立つ様子を見てとり、15:32、Landing、RWy32L。15:35、Spot in SP14。

 伊丹の気温、32℃だそうだ。函館とは12℃の気温差。一気に夏に紛れ込んだ。
 降機する。

 ここまでお世話になったJA244Jを撮ってから進むと係員に捕まる。乗り継ぎでもないのに?と思って思い出す。荷物のタグだ。
「あぁ荷物のタグですか」
 と聞くとそれもあるけど函館の案内が間違っていたので訂正との事。奥尻往復の航空券、元が先得割引なので有効期限は30日だそうだ。つまり8月10日まで有効、との事。1か月かぁ。。。。。。
 タグについては「大丈夫ですよね」の一言で片が付き、一番最初に荷物が出て来たので大丈夫であった。
 制限エリアの外へ。リムジンバスまで少々間があるので展望デッキに出てみる。

 先程乗って来たJA244Jは南側からの方がよく見える。
 暑いので早々に退散。京都行きのバスへ。

 16:10発。高速道路を巡航は小気味よく。下道に降りてからが渋滞。そういえば日曜日の夕方になる所だ。京都駅までは定刻通りの50分。既に17時になっている。

 湖西線だけが遅れている。
trafficinfo.westjr.co.jp
 【湖西線】 強風 運転再開 <第一報 15時36分>2021年07月11日 16時16分更新
湖西線では強風のため、15時36分から、京都駅~堅田駅間で運転を見合わせていましたが、16時14分に運転を再開しました。
このため、湖西線の列車に遅れや運転取り止めがでています。

影響線区 湖西線 京都 から 近江舞子 まで 遅延

 比良降ろしが吹いたようだ。先程、湖北の真っ暗な空を思い出した。
 東海道線は順調。妻によると1時間程前、自分が伊丹に着いた頃には膳所は豪雨だったそうだが、この時間の京都はまぁ大丈夫。

 最後は東海道線膳所まで。荷物は重たくなっていたが、京阪電車が行ったばかりで歩いて帰宅。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は17,921