2021-07-10

 5時半過ぎ、目は覚めたが眠い。旅先、札幌の駅近くにあるホテルで朝を迎えている。昨日は夜遅く札幌着。ホテルまでの道に迷ったので部屋に入る頃には日付が変わるぐらいだった。5時間も寝ていないと思う。
 もう少し寝たい気分だが、起きてしまう。充電関係を中心に広げたものを片しつつ。今朝の動き方を考える。出発自体は余裕があるのだが、少し早い目に入っておきたい。結局、朝食は開始時間と同時に行くことにする。


 ビュッフェ形式の朝食なんだけど、徹底的に小分けされている。

 ここまで全部小分けされている所は初めて見た。テーブルの上、ごみ入れというものがあったのだが、

 すべてのラップを剥がすとなるとごみ入れも必要になる。手間もかかるに違いない。
 早く元に戻らないかなぁと思う今日この頃。私たちはどこで道を間違えたのでしょうか。

 ようやく出来上がった海鮮丼を食べながら、そう思う。
 部屋に戻って身支度と乗換の確認。8時過ぎにはホテルを出る事にした。そうするとそんなにゆっくりも出来ない。出かけられる準備だけ進めてしまう。
 ホテルを出て駅に向かう。昨晩、寄り道したコンビニは近かった。南に行ったつもりで東に向かっていたと知れる。創成川の所で気付くべきだろうが、疲れていたのか、酔っていたのか。
 駅まで出て今日は

 地下鉄に乗る。旅行者が一番縁遠そうな東豊線。その北側の終点まで。さらにバスに乗るのだが、思ったよりも早く着いてしまった。ならばと歩いてしまう。この時間の札幌市内、風が強い。これからの行程に少々の心配が及ぶ。

 目的地直前でバスに刺されたが、まぁ良い。どちらにせよ時間には余裕がある。そんな訳で丘珠空港到着。今日は飛行機で移動となる。
 搭乗手続き。荷物を預けるのだが、

 不穏な案内。三沢の天候調査、ではなくて函館ゆきに誇らしげに表示されたATRの文字。今日はSAABに乗りに来たのよ。何があったか、今日は機材変更を喰らう。
 今更じたばたしても仕方ない。今日明日の二日に分けておいて良かったのかも知れない。明日の搭乗便は予定通りのSAAB340Bだそうだ。ATR42も乗っていないから、ちょうど良かったと思う事にして切り替える。
 展望デッキに出てみる。

 8時半過ぎの丘珠空港。HAC、北海道エアシステムの所有機は3機が飛び立ったばっかり。たまに自衛隊のヘリコプターが飛ぶようだが、しばらくは動きが無い。筈だが

 SAAB340Bがいた。エンジンを始動して小気味よいターボプロップサウンドを響かせている。
 どこかに飛ぶのか、整備なのか、判断に迷うがもう少し撮れそうな所に行ってみる。

 自由が利かないし障害物がある。

 柵が邪魔、あと少し。

 ようやくすっきり撮れるようになる。
 何だかんだと30分、エンジンを回しつつもその場に留まっている。何か不具合があって整備が入り、急遽機材変更になったと思われる。北海道エアシステムの機材、SAAB340Bを3機所有していたのを、同数のATR42-600に置き換えている途中。2機目のATR42-600が入ったところだが、SAAB340Bも2機残っている。過渡期で4機が動いていることになる。新旧どちらの機材が突発整備になっても影響が及ばないのは、幸いと言ったら幸いだった。
 そろそろターミナルに戻る。空港まで戻るとちょうど函館からの到着便。ATR42-600の2機目、JA12HCが到着となる。この折り返しが今からの搭乗便。この先は2745便で函館に行った後、奥尻を往復して函館に戻り、更に丘珠というのがJA12HCの予定。奥尻接続があるのだが、奥尻空港は天候調査中だそうだ。函館から先は函館空港で改めてご案内いたします、とお断りが流れている。

 ターミナルからJA12HCの様子を見る。旅客の乗降は後部から、前方は貨物室という他であまり見ない配置が見て取れる。

 ターミナル内、SAAB340Bで使われていた座席が据えられている。ご自由にお座りくださいと。ラベンダーをイメージしたんだっけ?紫色のシートは。

JL2745 JA12HC ATR42-600 OKD→HKD

 保安検査を受けて制限エリアに進む。

 搭乗の案内が入る。機材変更の影響で座席が変更になっている場合があります、と。自分の座席は元のままだと思う。
 北海道エアシステムのフライトだが、便名はJAL日本航空との共同引受という事になり、丘珠発着便も日本航空の便名を付与されている。2010年の経営破綻で日本航空の資本が引き上げられた時には、再びJALの傘下に入り、JALの便名が付与されるようになるとは思わなかった。
 9:50を過ぎて搭乗開始。優先搭乗でゲートを通ってしまう。

 歩いて飛行機へ向かうこの感じ、久しぶりだと思ったら、ついこの間の伊丹で経験していた。


 ATR42は後ろ側に搭乗口がある。今日は4Aという席を貰っているが、搭乗口から遠い席、ということになる。

 機内、2-2列に座席が並ぶオーソドックスな感じの配置。右手再前方は4人ボックス席となっている。座ってみると良くも悪くも現代的な硬めのシートだ。

 高翼なので翼に視界を遮られない、というのがウリの一つ。
 気が付くと隣のスポットにJA02HCが来ている。今朝、釧路を往復したのち三沢に向かう機材らしい。

 10:00、Doorclose。右のプロペラが始動する。妙にバランス感に欠ける振動が起きるが左のプロペラが始動すると収まる。思ったよりも騒々しい。最近の静かなジェット機に慣れたせいかも知れない。10:03、Taixing。

 誘導路を北に進んで滑走路端まで。少し間を置き、滑走路へと入る。10:08、Take off RWy14。

 飛行機は左に旋回してゆく。モエレ沼公園が見えている。こうしてみると三日月湖を生かしているのが良く分かる。

 先程飛び立った丘珠空港を見下ろすとさらに左に曲がりつつ高度を上げる。今度は札幌市街地が見えてくるようになる。

 札幌市街上空。苗穂工場を確認し、札幌駅の様子が見え、遠くには札幌ドームも見えている。今回は札幌滞在が短くなるよう設定した。早く札幌市内を自由に動けるになってほしい。

 市街が遠ざかると10:13、ベルト着用サイン消灯となる。現在、高度4,900m、対地速度480km/hとの事。函館着陸は10:40と告げられる。

 SAAB340B退役記念のキーホルダーを販売しているそうだ。明日はそのSAABに乗るのであり、その時で良いかなとは思ったけど、買っておく。

 うっかり2個買ってしまった。1個は保存用、1個は使用用と思われるが、使うのだろうか?

 キャンディーも配られる。
 10:21、あと5分でベルト着用サインが点灯する旨の案内がある。窓外、雲が目立つようになった。

 今朝ホテルで見た天気予報、道南の方は雨模様と言っていた気がする。梅雨のない北海道の筈だが、道南と道東でもまただいぶ様子が違う。
 10:26、ベルト着用サイン点灯。函館の天候、曇りで気温は19℃だそうだ。雲の中に入り、灰色の世界を飛んで行く。飛行機は函館の東側から空港へと廻りこむような経路をたどる。

 ようやく地上が見えて来た。函館市街、らしい。

 五稜郭が見える。悪いけどタワーが邪魔だ。

 競馬場のパドックも見える。馬が廻っているのは分かる。さすがに馬の調子までは分からない。
 さらに高度を下げると10:40、Landing、RWy12。速度を落として誘導路に。10:42、Spot in。
 降機。今日は飛行機での移動は函館まで。もともと6月に計画していた時は、土曜日に丘珠-函館-奥尻と飛ぶ事にしていたけど、日程変更する際に、土曜日に丘珠-函館。日曜日に函館-奥尻往復に変えていた。奥尻の宿泊事情を考慮して、旅の要素をバサッと切った事になる。丘珠では奥尻天候調査と言っていたが、飛ぶのかどうか。後で確認したら飛んだようだけど。


 スポットを歩いて飛行機を降機。丘珠で預けた荷物を待つ。

 戸井のマグロがベルトコンベアを廻る。戸井と言ったら自分の中ではライスピザなのだが、一般的には大間と同じ海域で取れるマグロの方なのだろうなぁ。

 パタパタが現役で使われている函館空港を後に、今日は函館市内に出る。

 妙に馴染みのある塗装は帝産バス。もちろん滋賀湖南帝産バスの訳がなく、系列の函館帝産バスとなる。快速便、函館駅前ゆきというのに乗車。途中停留所が湯の川だけになって、でも、まぁあまり変わらない感じ。運賃は函館駅前までは普通便と同額。湯の川まではなぜか普通便より高くなる。
 20分少々で函館駅前に運ばれる。今日は少々時間がある。

 路面電車が走る函館駅前。時間があるので少し乗っておこうかと思う。

 こんな低床車がやって来る。500形の印象が強い函館市電も気が付くとだいぶ世代が入れ替わっている。ICの表示があって交通系ICカードの相互利用ができる事に気付く。ならばと手元のモバイルスイカをタッチ。函館市電が発行しているのは
www.city.hakodate.hokkaido.jp
 ICAS nimocaイカすニモカと読む。磁気カードの時はイカすカードと言っていた。イカすはもちろんイカ、烏賊の事。ニモカは九州は西鉄ICカード。なぜ?と思ってしまう。
 谷地頭行きの電車を終点まで。青柳町の坂を越える辺り、この雰囲気は何時乗っても好ましい。ただ、最初に乗った頃は、もう少し街中を走る印象だったけど、とは思う。

 終着が近づくと車内が空いてくる。こんな感じに写真も撮れる。最近の車両なのだが、製造は2010年。11年目であった。函館もたまには来ていて、市電も乗っている筈だが、意外と覚えていないもの。

 谷地頭着。すぐ近くの函館山は頂上が雲に隠れている。近くで見てもその様子は一緒だった。

 折り返しの電車で十字街まで戻る。

 クラシカルな洋風建築が並ぶ、函館の観光エリアで一度降りる。今度は函館どっく前まで電車に乗る。

 操車塔も知る人ぞ知る貴重な存在。

 どっく前に向かう電車がやって来る。今度は700形。最初に訪れた1988年当時は近代的な電車という印象だったが、30年以上経って、さすがに古びた気配を感じる。さすがにICカードには対応しているし、その辺は抜かりない。
 洋風建築にいくつもの坂、函館港を望む観光路線を進むと砂州の先端もほど近い函館どっく前となる。この時間、強く雨が降って来た。


 線路が尽きる様子を慌てて撮る。こんな場末感に満ちた場所だったかなとは思う。

 雨の中、折り返しの電車に乗る。雨でなければ十字街あたりから歩いても良いのだけど、函館駅前まで乗り通す。3回乗って運賃は700円弱。実際には一日乗車券で十分に元を取れるのだった。ICの文字に目が眩んだけど、冷静に判断すべきであった。

 これで1時間程が経っている。残りの1時間は昼食に充てたい。
 函館駅前といえば朝市が定番なんだろうけど、観光客面して朝市に行くのは避けたい。色々と気疲れしそうだ。今日は別の函館名物に向かう。結局は観光客だが、まぁいい。

 ラッキーピエロ
luckypierrot.jp
 結構な大箱がそこそこ混んでいた。観光にはシーズンオフの筈だが、意外と人が集まる所はある。行列して注文。飲み物だけ先にもらい、番号札を貰う。95番、だそうだ。
 しばらく待つ。93番が出た所はみた。もう少しだなぁと思い、その間に京王線恥辱を進める。少々の間。そろそろ時間が気になる。妙に遅いなと思って次に出て来た札を見ると100番。いくら何でも変だ。
 レジに文句を言うと最初は「順番にお出ししてます」との事だったけど「100番が今出ましたよね、私95番ですよ」と伝えたら、流石に対応してくれた。どうやら伝票が提供済の方に混じったらしい。

 結局30分待った事になる。ごゆっくりどうぞ、と言われたけど、もうゆっくりできないよ。
 カロリーの塊りだがさすがに旨いとは思う。何となくカロリーという名前のB級グルメがどこかに無いか、なんて妄想に入る。カロリーという言葉にレア感があってて、罪悪感もなく食べられる頃に誕生したB級グルメ。言葉に対する時代考証が必要に思えてきて、思考をやめる。そろそろ、時間だ。

 函館駅に戻る。2時間観光もどきをして、移動再開。切符を買って改札を進む。待っていた列車

 キハ40なんだが、国鉄急行色。JR北海道が客寄せパンダに塗り直したのではなく、江差線を転換した第三セクター鉄道道南いさりび鉄道の列車、木古内ゆき。
 まぁキハ47の急行色は津山線でも見たけど、北海道のキハ40は窓が小さい。

 その分、キハ58系の雰囲気は出ている。

 まぁ並べちゃうと粗は目立つけど、あくまで雰囲気、という事で。

 車内は真っ青なボックスシート国鉄チックな雰囲気で、ここも雰囲気は比較的近い。 
 列車は木古内ゆき。道南いさりび鉄道の発足は2016年3月。そこから5年経っている。2010年代になってから海外メインになって、日本国内の新線が出来てもフォロできていなかった。そんな訳で、北海道新幹線には乗っていないし、北海道新幹線の開業に伴い発足した道南いさりび鉄道にも乗れていない。
 昼下がりに出発する木古内ゆき。発車まで20分程あるが、さらっと席が埋まっていた。次第に座る所を探す人が増えてくる程度には乗って来る。出発時には列車の体裁が整う。
 五稜郭まではJRの区間、その先が道南いさりび鉄道となる。その五稜郭で少々降りてそれなりに乗って来るから案外と混雑している印象になる。相席よりは、と立つ事を選ぶ人も出て来た。
 旧江差線区間に入る。津軽海峡線、として運用されていた区間でもある。1988年の青函トンネル開業以来、何度となく乗って来た区間であり、馴染みは深い。濃紺のボックスシートに座っていると快速海峡に混じっていた車内未改造の51系客車に乗ったような錯覚を感じる。
 上磯までは函館市街地の続きみたいな所。乗り降りもあり、JR線として運営されている函館本線普通列車よりも混んでいるんじゃないかと思えてくる。上磯を出てもそれなりにお客さんは残っている。黒字にはなかなか難しいだろうけど、無くすわけにもいかなそうな路線だ。

 津軽海峡が見えてくる。向こうには函館山。今日は空港から見たのと同じく、山頂を雲で隠している。荒々しい海を見てゴトゴト東に向かう。途中で貨物列車ともすれ違う。
 江差線はその名の通り、江差までの路線だったが、津軽海峡線と絡まない木古内から江差は廃止になっている。そんな訳で今日の道南いさりび鉄道の列車は木古内が終着となる。函館から1時間程で到着。

 案外と降り立つお客さんが多いなとは思う。とはいえ一部は鉄道に乗るお客さんも混じっていたようだ。

 駅の改札口には開業5周年の感謝を伝える立て看板が出ている。
 待合室はその一部が資料館風になっていた。

 JR北海道の頃に使われていた木古内駅の駅名案内。江差線の末端区間が出てこないので転換直前のものだろう。 

 津軽海峡線を走っていた快速海峡のサボもある。これは懐かしい。

 駅の跨線橋から本州寄りの線路を見る。左手に見せる本線はさすがに立派。重量級の貨物列車を数十本通すだけのことはある。昔はジャンクションとして賑わっただろう側線は草生していた。一番の右は最新の高架線。北海道新幹線木古内駅となる。
 その新幹線の木古内駅

 新幹線らしからぬささやかな構えだが、

 構内は持て余しそうなほど立派で、出札口には係員もいる。まもなく上下の新幹線が来るところ。今日は上り新幹線を予約している。

 やって来たのは3034B、U13編成。10両連ねた立派な列車だが、1両に乗っているのは数人程度だろうか。極めつけに空いている。指定された席に座ると間もなく出発。天気の冴えない渡島半島の山の中を進んでゆく。

 速度が妙に緩いなと違和感を感じたが、木古内から南の区間青函トンネルの前後で貨物列車が走る1067mmの線路と共用になっていて、速度が160km/hに抑えられている。ずっと徐行しているような感じを受けてしまう。新幹線側が260km/hで走ると貨物列車とすれ違う際に風圧でコンテナが飛んでしまう懸念があるとか、ないとかで。
 従来の海峡線と合流し、速度を緩めたまま立派なトンネルへ。在来線で何度も通った青函トンネル。改めての感慨はなく、いつも通りに真っ暗闇を進む。
 明かりが戻ると青森県側。昔訪れた事がある展望台が見えて、トンネルと地上のフリッカーが続くと緩んだ速度がさらに緩む。列車は青森県側最初の駅、奥津軽いまべつに停車する。


 今日はこちらで下車。降りる人、他に1人いただろうか。乗る人がいたかどうかは見ていない。

 15:35の34号が発車すると19:27の48号まで列車が無いという過疎駅である。19:27に今別を出て東京までその日のうちに着くのはとんでもない事だと思うけど。
 改札を出る。

 開業5周年の文字と共に、札幌延伸まであと10年の文字。札幌まで伸びればもう少し北海道新幹線も使われるようにはなるだろうけど。それまでにJR北海道がどうかしちゃいそうだ。昨日の特急オホーツクといい、今日の北海道新幹線といい、あまりに使われてなさ過ぎる。しかもローカル輸送の話でなく、都市間輸送の惨状というのがあまりに悲しい。

 駅を出る。左手には新幹線の立派な線路。右手の端にか細い線路が見えて、こちらは津軽線

 反対側を見る。一応、津軽二股、と言う名の駅があるのだが、同一駅扱いにはならず。関係ないよ、という風情で線路がひょろっと伸びている。
 海峡線の頃は、海峡線の駅が津軽今別津軽線の駅が津軽二股で、やっぱり同一駅では無かった。一度、津軽二股まで津軽線に乗って、今別から海峡線に乗った事があったと思うが、やれるものならやってみな、というダイヤ。なかなかハードルが高かったと記憶している。
 今日は、20分ぐらいで青森方面の列車がある。絶好の接続なのだが、津軽二股からの津軽線は選ばなかった。 

 駅前に横付けされたアルファード。こちらに乗る。
www.noriai-taxi.jp
 こちらは予約制の乗合タクシー。これに乗って津軽半島の中程、津軽鉄道の終点、津軽中里に出る。北海道新幹線が開業した時は今別と中里を結ぶ路線バスとして開業したのだが、利用が振るわなかったらしい。
www.traicy.com
 昨年に廃止、代わりに乗合タクシーが設定されている。タクシーの運賃は1人2,400円。
 予約の内容が運転士さんには伝わっていて、案内される。今日は一人だそうだ。タクシーは津軽線に沿った人家の無いような山の中を進む。途中、右手に曲がって津軽線と離れると津軽半島の低い丘を越えて日本海側へ。十三湖の近くを通っている筈だが、微妙に見えない。国道339号に出るとむしろこちらの方が開けている感じ。今別の新幹線駅も津軽半島の西側まで後背地として考えれば、もう少し上手に使えるかも知れないけどねぇ。

 40分少々で津軽中里の駅に着く。アルファードにずしっと座って2,400円では申し訳ない安さ加減。これで多少街にお金が落ちれば、という取り組みかも知れないが、何せ鉄道旅行者なので。
 今度は津軽鉄道に乗る。五所川原までの切符を買い求め、ついでにグッズも少々買ってみる。このぐらいやらないと津軽平野に申し訳ない。

 既に列車は来ている。折り返し17時過ぎの出発となる五所川原行き。多少時間はある。少し駅前でも歩こうかと思ったら結構な雨が降り出した。土砂降りで梅雨末期のゲリラ豪雨風である。とても歩き回れず、大人しく列車の中で待つ。
 豪雨は割とあっさり上がる。歩き回れるようになったが、街中を、というわけにはいかない時間。


 駅の北側、線路が尽きる辺りをちらっと見てから列車に戻る。いつの間にか親子連れが乗客に加わっていて総勢3人で津軽中里を発車する事になる。
 列車が揺れてガシャンガシャンと妙に甲高い金属音がする。何だろうと音がして来る天井を見上げる。

 風鈴が列車で揺れて音を立てている。揺れが大きくて風鈴の風流さからちょっと遠い。
 雨はやんだが冴えない梅雨空の津軽平野。列車は駆けてゆく。北辺の平野、田んぼの稲は少々生育が遅いように見受けられる。このままだと今年は不作になりそうだ、そんな感じが漂い始めた今年の長梅雨、

 芦野公園の駅、春は桜の花道になる筈だが、今日は暗く沈んでいる。
 ちょっとした街が現れてこの辺の中心、金木に着く。

 下り列車とすれ違い。向こうの列車は下校らしい高校生の姿も見えて、多少は賑わっている。こちらにも乗客少々。ようやく列車の体裁が整った感じがする。

 金木を後に五所川原へと更に南下してゆく。

 随分と酷い姿になっているが、キハ22である。1990年ぐらいはまだ奥羽線でもキハ22が走っていたと思う。いつの間にか見なくなったけど。3両が津軽鉄道に譲渡されて、一部は廃車となってなお放置というか、そんな事になっている。

 津軽飯詰の駅。ポイントが生きているのか定かでないが北国らしくスノーシェルターが残っている。
 このままの調子で五所川原かと思ったら、五農校前で体格のいい高校生が大挙して乗って来た。部活動帰りだろうが、津軽鉄道が地元でしっかり活用されている様子を目の当たりにした。

 終着の五所川原。正確に言うと津軽五所川原に到着となる。時刻は18時前。そろそろ今日一日の移動を終えたいところだが、五所川原泊ではあるが大変である。もう少し動くのだが、五能線の列車はしばらく無い筈。
 駅前にある弘南バスのターミナルに行く。

 がらんとしたバスターミナル。ここから弘前や青森までバスが出ている。青森行き、次は18時の筈なんだけど、時刻表には19時、と。???となって営業していた窓口の人に聞くと、4月にダイヤ改定があって18時のバスは廃止になったそうだ。乗換案内をうのみにして弘南バスの一次情報を見るべきであった。詰めが甘い。
 弘前行きは18:30にあるが、弘前まで1時間半かかるそうだ。その先のJRも時間は分からない、と仰る。あんまり情報は得られず、19時発に乗るのが一番、というように思える。何となくローカル路線バスの旅での聞き込みのようになったが、こんな調子の係員から正解を見つけ出すのは大変だろうなぁと思う。
 青森までの乗車券を買って、1時間、どう時間を潰そうか考える。居酒屋でも探すかなと思った次の瞬間、試しに乗換案内を試してみる。するとリゾートしらかみ、なんて列車が出てくる。列車があったのか。。。。。

 五所川原発18:15。指定席券は何の問題のもなく取れた。
 駅構内には上り普通列車が停まっている。

 3月から活躍を始めたGV-E400系。五能線に新車を入れられるなんて、何だかんだ言ってJR東日本はお金を持っているなぁと心から思う。昨日の石北線との格差を強く感じる。
 そして

 リゾートしらかみがやって来る。こちらも真新しいハイブリッド気動車、HB-E300系。
 とはいえ列車は空いていた。オフシーズンの閑古鳥は石北線五能線も変わらない。席を取った車両、数人の先客のみ。

 ひとまずビールを飲んで青森に向かう。

 リンゴの樹を見つつ列車は進んでゆく。晴れそうで晴れない空の下。岩木山は姿を隠している。リゾートの要素が全くない今日のリゾートしらかみ。寂寥感と共に走ってゆく。
 列車は青森行きだが、弘前に寄り道。

 川部で進行方向が一度変わる。どうせ弘前でまた向きが戻るので座席の向きはそのままにしておく。

 しかしまぁ、空いている。4両合わせて十数人ぐらいだろうか。指定券の取れない人気列車という印象が強いリゾートしらかみだが、こんな季節もあるのねとは思う。
 弘前手前で自動アナウンス。声の主は吉だった。初めてこの列車が他と違う列車だったと分かることになる。

 弘前で再び進行方向が変わる。列車は青森まで行くが、乗っていた人の大半が降りてゆく。残った人はほんの数人。代わりに乗る人もいない。列車は出発すると次は新青森の案内。19時が近くなり、暗くなる中を進んでゆく。
 新青森で少々降りた様子。車内、自分以外がいなくなって終着の青森に。

 寂しさばかりが募る時間だったが、それでもリゾートしらかみに救われたことには違いなく。当初予定していた時間とあまり変わらずに青森に到着となる。
 今日は青森泊。駅の外に出る。

 青森の駅も改築が始まっている。連絡船があった頃からの駅舎は撤去されていて空虚が広がっている。また馴染みの光景が消えるのかと、これも寂しい。函館といい秋田といい、どこも知る景色が無くなってしまった。
 予約していたホテルに荷物を放り込むと20時過ぎ。飲みに行ってみる。駅から少々離れた本町の方に足を延ばしてみた。何軒か目星をつけていたのだが、臨時休業だったり、案外と混んでいたり。

 ちょっとお高そうな店。ビールは三社そろうのはありがたい。

 エビスビールを頂く。お通しに握りが出ていておののく。マグロは旨いのは分かるが、烏賊がものすごく旨かった。お代わりするなら烏賊の方だ。二貫欲しい。
 おすすめメニューにホヤがあったので頼んでみると売り切れ。生牡蠣を頼むと売り切れ。県産アスパラガスなんてあったけど、これも売り切れ。グランドメニューにあったホヤの塩辛も売り切れだそうだ。仕入れを絞っているのだろうか。
 結局、

 いぶりがっこポテトサラダ。何とでもくっ付いてしまうキャラクターになったいぶりがっこが今度はポテトサラダを一緒になった。意外と旨い。

 大間マグロの三点盛。大トロ、中トロがうまいのは分かるが、負けずに赤身に存在感があった。身そのものの存在感というか。世の中全般に旨いとされているものも旨いが、そうでないものが旨くて存在感がある。青森の食材はやっぱり凄いと改めて思う。
 大将がこれって出してくれたのが

 無い筈のホヤ。塩辛はあったのかぁ。後で見ると会計の中に入っていなかった。よく分からないがサービスしてくれたらしい。

 何かの代わりに頼んだのが、鰊の切り身。いわゆる飯鮨である。日本酒が欲しくなる味。普段ならば日本酒を選ぶ時は地元偏愛主義で秋田の日本酒から選ぶが、今日は青森に敬意を払って田酒にする。

 何かの代わりに端んだツブ刺し。これで1,000円だから結構なお値段だが、後で捌いているのを見たら、大きな身を二つ捌いて、その中から良い所を選んでいた。これは1,000円するよなぁと納得する。選ばれなかった所はどこに行くのだろう。
 そこそこの値段がしたが、満足もした。北海道から来ておいて難だが、青森の海の物は旨い。
 ホテルに戻って酒の続き。最後は潰える。 

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は18,802