2020-12-12

 週末の土曜日なんだけど、平日と同じ時間に起きだした。12月12日。青春18きっぷが使える最初の週末。今季は会社の人と18きっぷをシェアして使う事になり、ちょっと出掛ける。
 普段出勤するより少し早く家を出る。膳所の駅まで歩くと

 東海道線上りの始発列車に間に合タイミング。問題はこの時間の膳所、係員がいない事。

 そんな訳で日付印は後に回してまずは改札を通してもらう。降りる時に日付印をお願いします、って言われたけど、無人駅で降りる場合はどうなるのだろう。
 始発電車に乗り東海道線を東に進む。休日の東海道線京都からの始発電車、米原の接続が良くないので

 車内は空いている。東に行くにつれて空席が目立つようになってきた。
 京王線恥辱が遅れているのでそちらを手掛けつつ東に。米原で乗り換えの際に日付印を貰う。

 この先は北陸線に転進する。敦賀行き、とあり何となく直流電車の4両編成を思い浮かべていたのだが

 待っているのは見慣れた顔の見慣れぬ帯。2両編成の交直流電車、521系だった。
 12両が2両で受けるので、そこそこ乗っている。4人掛けの席に座って間もなく出発。カーブした感がないけど北陸線へと進む。この区間を行くのは久しぶりだと思う。
 滋賀に住んでみると彦根-米原-長浜という今の琵琶湖線と名付けられた流れは、ある意味自然に思える。湖東の都市群を結ぶ列車は土曜日でもそこそこ混んでいて、長浜でもお客さんが乗って来たから驚く。でもさすがに先に進む間に空いてくる。

 お客さんが減るのと反比例に外の景色は曇りがちになる。余呉の駅。刈入れのおわった田の向こうに余呉湖が沈んでいる。車内も空いて来た。
 長いトンネルを抜け勾配を下るとこの列車の終点、敦賀。すぐ隣に


 福井行きの列車が停まっている。
 新幹線の槌音聞こえる敦賀の駅で2両編成から2両編成に乗り換え。列車は嶺南の敦賀から嶺北の福井へ。南北の境である嶺に向け電車は一気に加速し、嶺の真下を穿つ北陸トンネルへと突っ込んでゆく。
 湖国から若狭へ進む時も空模様がぐずぐずしたが、嶺南から嶺北へと進むと

 さらに空模様が暗くなる。いかにも冬の日本海側という素敵な灰色が広がっている。
朝早く出て特急街道北陸本線を進んでいる。時刻は8時になる所。自分より遅く起きた人が乗るであろう特急列車が福井界隈に迫る。普通列車は道を譲る。

 列車は鯖江の中線に停まる。特急待避だそうだ。

 下り本線を大阪からのサンダーバードが駆けてゆく。
 2両の電車、武生で空席ができる。案外と集客力があるんだなと思ったら県庁所在地、福井に向かってやっぱりお客さんが増えてゆく。8:38に福井到着。また乗換。

 隣に金沢ゆきの列車が停まっている3分乗換。今度は4両編成。

 さて出発。市街地を離れると暗い空に覆われた田園地帯。
 少しお客さんが減ってゆき、福井と石川の県境を越える。窓外は時折強い雨。もう少し冷え込んでいたら雪になるのだろうか。

 大聖寺で再び特急列車を待避すると加賀温泉郷を行く。新幹線の駅が出来つつある加賀温泉駅で温泉客風のお客さんが少々乗って来た。まだ土曜日の午前中なんだけど。

 金沢の近郊まで来ても雨は雨のまま。外は暗いまま。今日は出来れば降らないで欲しかったが仕方ない。座席が埋まり、立客も増えた所で終着の金沢到着。
 金沢駅を使うのは何年ぶりだろうか。新幹線が出来て初めてなのは間違いない。10年ぐらいご無沙汰していると思う。在来線駅の構造は変わらないので違和感は無いが、だいぶ賑やかな駅になっている。
 今日は金沢で降りて駅前へと急ぐ。地下に降りた所にある

 地下にあるこじんまりとした終端駅。切符を買い求め改札が始まり、中に入るとそこには

 馴染みのある顔つきの電車が止まっている。元京王帝都3000系。目の前にいる8811号車は井の頭線時代は3701号車。3000系のトップナンバーである。

 隣のホームには8912号車。元3704号車。こちらは留置中。栄えあるトップナンバー、元3701に乗る事になる。
 学生時代は調布在住だったから井の頭線にも縁はあるのだけど、3701F、3702Fに関していうと、縁は無かった。片開きドアであった関係で朝ラッシュだけ動く専用車だったから。学生時代は平日朝ラッシュに井の頭線にのるような生活は送っていなかった。
 とはいえ。

 d1D3D3D2のサイドを見て片開きのドアから車内に入り

 臙脂色のモケットの椅子に腰かける。車端の窓下にモケットが貼られた所へ。片開きのドアがバタンと閉まるのを見るとあっと思う。あの頃の京王電車そのものだ。
 地下を出て地上へ。懐かしい感情がこみ上げる中、車内を観察する。

 平山の保存館にでもいるような気分になるが、列車は間違いなく動いている。いや、いまは多摩動のれーるランドか。


 天井のファンと車内放送用スピーカ。よく見るとKTRの文字が見える。各地に譲渡された元京王車でもKTRスピーカを残しているものは少ないように思う。

 銘板には昭和37年と平成8年の文字。井の頭線で34年。金沢にきて24年か。
 終着の内灘に着く。 

 相変わらずの雨降り。動くには不利だが、折角なので1本落として少し写真を撮る。内灘にはささやかな車庫があって、今日は運用に入っていない2編成も止まっている。

 改めて先程の8811号車。分散4個クーラを積んだ屋根もオリジナルの湘南顔も懐かしく愛おしい。金沢に来て付けたスノープロですら愛おしく思えるから不思議だ。

 隣には8903-8913号車が留置されている。元京王帝都3755-3705。こちらの編成はこの12月で引退と告知されている。
http://www.hokutetsu.co.jp/archives/36255www.hokutetsu.co.jp
 金沢でも24年の歳を重ね、車歴50年が迫る元京王3000系ステンレス車の長寿命を過酷な雪国でも体現し続けた訳だが、後進に道を譲る時が迫っている。

 先程乗って来た8801-8811が再び金沢へと向かう。午前中の都会ゆきはそこそこにお客さんを集めていた。
 氷雨降る中、内灘の車庫廻りを廻ってみる。

 8903号車側を見る。幕の機能が生きている編成だ。急行灯が私鉄電車を如実に語る。

 元3702Fの8802-8812号車が留置されている。敷地外の道路から標準レンズで十分十分に撮れるのがありがたい。
 次の列車が来る前に隣の粟ヶ崎駅まで歩く。わずか500mなのですぐに着く。

 間もなく8901-8911号車、元3703Fがやってくる。

 両開き3つドアでこちらは井の頭線での多数派。
 元3703Fが内灘へと向かい、

 折り返し粟ヶ崎に戻ってくる。さすがに氷雨が辛く、この電車に乗って金沢に戻る。車内に入ると両開きの電車であってもやっぱりあの頃の京王帝都。短い間隔で駅に停まり、トンネルに入ってターミナルに着くと、何か渋谷駅に着いたかのような錯覚を覚える。

 時刻は11時過ぎ。1時間少々の短い時間であったが、こみ上げる懐かしさで狂うしくなる。単純に古い電車が懐かしいだけなら弘南鉄道あたりの元東急7000系でも良い筈なのだが、今日の元京王3000系には打ちのめされた。
 最初はもう少しお付き合いするつもりだったが、疲れ切ってしまい、切り上げる。早いけど昼食を、と思ったのだが、この時間の金沢、なんだか妙に人が多い。駅前にバスかタクシーを待つ旅行客が大行列。

 新幹線の改札前にもたくさん人がいて、レストラン街も行列。これがGoTOトラベルの威力かぁと感心する。しかし食事をするとなるとちょっと考え込み、かつ間もなく福井行きの普通列車が出発するタイミング。もう金沢を離れようかと思う。

 こちらも撤退が決まっている七尾線413系を見て

 福井行きの普通列車に。2両編成の出発ギリギリは混んでいる。席には座れないが、乗ってしまう。間もなく出発。
 数駅進んだ野々市だったかその辺で座れて列車は西へ。この時間、天気は回復傾向。温かい蕎麦でも食べてそのまま続行でも良かったかなと思わなくはない。
 途中、粟津で後続の特急を待避する。

 お客さんが減って動き回る事が出来るようになっている。

 後からやって来た名古屋行きのしらさぎを先に通す。席に戻るとこちらも出発。雨の止んだ北陸線を上ってゆく。新幹線の高架を眺めて午前中の巻き戻し。県境を越えると少しお客さんが増えるようになる。

 1時間半ほどで福井到着。考えていたより2時間早いが、空腹である。ここで1本落とす事にする。改札の外へ。何となく駅近くのビルの中で物色すると福井市の観光物産館に入ることになる。

 メニュー。昼間だけ郷土料理バイキングなるものをやっていて、それにサッポロ生ビール黒ラベルを合わせる。バイキング+ビール。良いかも知れない。

 恐竜ジョッキ、なるバカでかいジョッキで黒ラベル。そして

 格安のバイキングメニューをビールのあてにする。案外と蕎麦が美味しく、それが嬉しい。
 食事を終えると次の列車まであと30分少々という所。

 駅前を行く福井鉄道の電車を見てから駅構内へ。改札の手前、駅そばのスタンドが盛業中。地方駅なのに深夜まで営業しているスタンドについつい吸い込まれる。満腹だけど通過儀礼みたいなものだ。お客さんは鉄道の利用客というより、昼休みに蕎麦を食べに来ている街の人という風情。福井市民に愛されている事が良く分かる光景。

 410円で天ぷらそば。なんだけど先程のバイキングで頂いた蕎麦の後ではちょっと可哀想だった。今回の食事は評価的に無かった事にする。それほど先程の蕎麦はちゃんとしていた。
 駅構内。出発まで20分程待ち時間があるが、

 福井始発の敦賀行きは入線が早い。まだ出発までだいぶ間があるのに、高校生で混雑している。空席に座ったが、2両の電車はどんどんと混んでくる。
 特急が先に行ってこちらも出発。雨はやんだが暗い空の下を小一時間。北陸トンネルを抜けてもそこは暗い日本海岸。敦賀に到着となる。

 長城が如き北陸新幹線の高架が出来つつある敦賀駅構内。だいぶ工事が進んでいるように見えるが、敦賀駅工事の遅れが北陸新幹線の開業延期要因らしい。建築の世界は本当、よく分からない。
 乗換の間にビールとつまみを買う。先程だいぶ食べたばかりだが、飲み鉄をやるなら敦賀からの新快速は良い存在。空いているし。

 もはやお馴染み、毎日の通勤の脚で自宅を目指す。空いていた車両を選ぶと

 窓のところにサッポロ生ビール黒ラベル敦賀産のかまぼこ。列車の発車と同時に缶を開ける。ループ線からの深坂トンネル。太平洋側へと抜ける山越えの道。トンネルを抜けると

 雲の目立つ暗い景色。やっぱり近江は日本海側なのかも知れない。
 列車は湖西線経由。ビールの追加はやらないでいつも見ている琵琶湖の景色を見つつの小一時間。

 雲が取れてきたような、まだ掛かっているような不思議な天候の中、夕方暗くなる前に大津京の駅となる。
 普段なら大津京から京阪電車だが、今日は歩数が足りないので歩く。



 浜大津で軽く京阪電車を撮ってから、旧東海道をてくてく。自宅までは小一時間。

【サイトアップ アクセスカウンタ】

 サイトアップはお休み
 アクセスカウンタは機能せず
 万歩計は18,209