【今日の駅弁】排骨弁当 80NTD 台中鐵路餐廳

 車内販売がやってきてお弁当を売って回る。結構売れているみたいで、指さし、片言で一つお買い上げ。


 受け取るとまだ温かい。食べ物は温かいものが基本の台湾なので、作り立てを積み込んですぐに売るようだ。製作物は台中の住所だし。

 中身は台湾の駅弁によくありそうな排骨飯。青々としたブロッコリーと魚のフライが付く分、台鐵弁当より高級なのかな、とは思う。
 味は間違い用がなく、美味しく頂く。

 列車は海線と合流する竹南から新竹へ。 

 何時の間にか空が晴れている。今日の天気予報は雨なのだが、実際には雨が一日降っている訳ではない事は経験上知っている。知っているけど、あまりの急変ぶりに戸惑ってしまう。
 新竹で大量乗車。お客さんが増えて立席が目立つようになる。中壢でも桃園でもたくさん載って来る。この辺りからなら、桃園から台北なら区間車と自強の所要時間、10分しか差がないのだが、少しでも早い列車の方が人気、と言う事らしい。

 台北には13:50、定刻の到着。列車は台北を通り越して基隆方面、七堵まで行くけど、指定券は台北までにしている。
 本当は、この先、普悠瑪に乗って宜蘭線の未乗区間、蘇澳新と蘇澳の間に乗ろうと思ったのだが、往復共に全く空いておらず断念している。よってより台北近郊にある二路線、平渓線と深澳線に乗る事にする。

 まずは宜蘭線の電車で深澳線の始発駅、瑞芳駅へ向かう。自強を追ってやって来た区間車は新竹始発。途中で自強に追い抜かれたEMU700の8両編成。電車は座れる程度の混雑で、台北市内、地下線を東に向かう。

 台北郊外、東に向かうと窓外は山が目立つようになる。台北市内に居るだけでは気づかないけど、台北というのは山に囲まれた街だという事が分かる。意外と険しい中を走って基隆との分かれ道、八堵へ。更に列車は瑞芳まで。
 平渓線とは、瑞芳で乗換が出来る。間もなくやって来た平渓線菁桐ゆきの気動車

 一杯一杯に埋まっている。
 昨日今日と乗ってきたローカル線。どこも観光に活路を見出している路線なのだが、今度の平渓線は台湾郊外。地の利の良さが混雑ぶりにも現れているようだ。
 目の前の列車に乗るという選択肢もあるが、もう一つ、選択肢があるのでそちらを発動する。一旦、改札の外へ。

 有名観光地である九份の最寄りとなる駅であり、どことなく観光地の香りが漂う。日本語の看板もあったり、テレビの取材を受けたよ的なポスターがあったり。
 飲み物だけ買い求めて駅構内に戻る。まもなく、菁桐からの気動車がやって来たのだが、

 宜蘭線、客車列車もやって来た。

 水色と白のツートンカラーは復興号。時刻表には乗っておらず、普悠瑪号と太魯閣号が混雑する東部幹線の救済臨と言った扱いだろうか。残念ながら、客の姿はちらほらで、救済の役目は果たせていないようだ。
 思いがけずやってきた復興号に気を取られたが、これから乗るのは平渓線菁桐からやって来た気動車。この列車は深澳線へ直通する海科館駅ゆきである。お客さんが大量に降りてホームが一杯になった代わりに列車の中は空いている。その空いた列車に乗り込む。
 深澳線は営業しなくなった貨物線だったのだが、沿線に国立海洋科技博物館という施設が出来て、そのアクセス手段として再整備された路線。整備されたのは途中に新しく設けられた海科館駅までなのだが、それでも4.2㎞あるし、独立した立派な名称を貰っている路線だ。今朝乗った成追線なんかよりも余程立派であり、無視はできない。 

 3両で50〜60人ぐらいだろうか。バス1台だと少々賄えない程度のお客さんを載せて、列車は宜蘭線と分かれる。海技館、という目的地だが、走るのは山の中。

 海は近いのだろうが、この辺り、山が直接海へと落ち込むような地形みたいだ。今朝乗った集集線と変わらないような谷間を進んでゆく。
 この一区間でも検札がある。平渓線と深澳線の一日乗車券を持つ人が多く、台鐵の周遊券であるTSRパスを持つ人もいる。この列車ではICカードは少数派であった。
 谷間が開けてきたところで真新しい建物群が現れて、終着の海技館駅となる。

 登り坂の途中に設けられた、あくまで仮駅という風情の海技館駅。折り返しの列車に乗り込もうとする人を車掌が制してドアを閉める。

 列車は更に先へと進んでいった。閉塞の関係で折り返しが許される所まで、という所だろうか。

 列車の進んでいった先には短いトンネル。出口の向こうはカーブしているようだが、その先の様子は分かりづらい。

 駅にはICカード読み取り機があって、その先は海技館となる。帰宅客が三々五々、駅へと集まって来たところで、先程の折り返しが戻って来た。

 同じディーゼルカーに同じく50〜60人のお客さん。勿論余裕で座れる。今度は深澳線から平渓線へ直通する菁桐ゆきとなる。

 先程も眺めた案外と深い谷間を進むと瑞芳駅に到着する。平渓線の観光地である十分へ向かうお客さんで席が埋まる。

 そして台北からの接続列車が来たのか、さらにお客さんは増えて立客が目立つようになる。1時間前の混雑に比べたらだいぶマシだが、とにかく座れない人が目立つ。
 10分程停まって列車は菁桐へと向けて走り出す。とはいえ今、出発した瑞芳はあくまで宜蘭線の駅。二つ先の三貂嶺までは宜蘭線を走るのだが、基隆渓の山深い谷間は、景色だけ見ていればローカル線のものだ。
 本来の平渓線の始発駅、三貂嶺でもお客さんを集める。立客大勢になって、平渓線のか細い線路へと分け入る。とたんに速度が落ちる。
 山深い基隆渓の谷底。夏の午後4時すぎでも日が翳っている。その中を緩々と列車は走る。深い山中、その途中に十分瀑布があったはずだが、向かいの車窓を隠す程に人が乗っていて、良く分からないまま通り過ぎる。
 十分の駅手前、有名な商店に線路が挟まれるような中に列車が分け入ってゆく。

 外は影だし、何が何だか分からない写真にしかならないが、たくさんの人が線路際でこちらの列車にカメラを向ける。友好鉄道となっている江ノ電の腰越-江ノ島みたいに、道路を走る訳ではなく、タイ国鉄の のように、露天の真ん中に突っ込んでゆく訳でもないのだけど、とにかく注目を集めている。
 間もなく列車は中心駅、十分に到着。

 向かいには菁桐からやって来た上り列車が待っている。上りは混雑。乗り切れないお客さんも出かねない勢い。こちらの列車は降りる人が多数。平渓線観光の中心駅、十分の面目が保たれた、という所か。
 先に上り列車が出発してゆく。

 下り列車はしばらく十分に停まる。思い切ってホームに降りて写真を撮れる程度に停まったのち、発車となる。
 十分から先。基隆渓沿いに平地が少し広くなる。窓の景色も日陰から日向になり、時間相応の明るさになる。エンジンの唸りも幾分大人しくなる。穏やかにか細いレールを辿ると、終着の菁桐。

 瑞芳から小一時間が経っている。時刻は17時過ぎ。

 この辺りは台湾でも指折りの炭田だったそうだ。菁桐も石炭の積出駅だったところ。日本の炭田と同様に石炭がダメになった今、駅構内には石炭を貨車に積むための設備が朽ちている。とは言え、観光路線の平渓線。その一部は観光施設に化けているそうだ。
 基隆渓を西へと1時間ほど遡り、線路の潰えた菁桐にいる。この先、バスに乗り継いで更に遡ると、台北は木柵にあたる。バスで1時間ほどだそうだ。台北市内に戻るなら、バスを使う方が圧倒的に早い。
 バスが速いのは重々承知しているが、今日はこの後、来た道を引き返す。折り返しの列車。座れる程度の人を集めて出発を待っている。
 来た道を引き返し、十分へ。やはり大量乗車で立客大勢になる。先程からちょうど1時間経った基隆渓沿いの道。翳が濃くなり夕暮れの気配が迫る中を走って行く。もちろん十分瀑布なんて見える訳もなかった。
 1時間ほどで宜蘭線に帰り、瑞芳駅に。平渓線に踏みでた時の拠点で、大量下車。昼間はこの先、深澳線へと入るから、台北方面へ戻る人は瑞芳駅下車となる。しかし18時を過ぎて海技館が閉館したこの時刻、列車はこのまま宜蘭線を八堵まで行く。
 すっかりがら空きになり、太っといレールをかっ飛ばして走るものの、途中、四脚亭駅で待避線へ。普悠瑪に抜かれる。あの普悠瑪に乗れたら、台北到着は30分早くなるのだが、瑞芳には停まらない列車なのでどうしようもない。黙って見送る。
 列車は終着、八堵に到着。客を降ろすと代わりに鉄道員が何人か乗り込んで来て、台北側へと引き上げていった。この先は基隆から来る区間車へと乗換。ここ、八堵から基隆までの区間もまだ未乗だが、今日は台北まで戻りたい。

 新竹ゆきの区間車まで待つこと10分。

 やって来たEMU800の空席を探して座る。すっかり沿線は暗くなっていて、窓外に見えるのは山だか街だか良く分からないまま。
 今日は台北市内、松山にホテルを取っている。松山空港の松山だが、空港のそばではなく、松山車站の近く。駅で降りて、地図を頼りにホテルを探す。宿泊費用の高く着く台北で探した安ホテルだけに、雑居ビルの6階だかにフロントがある、かなりランクの低そうなホテルであった。
 荷物を置いて、いったん捷運の方の松山車站へ。ここから電車に揺られて公館の駅まで行く。前回2月にも訪れた台湾的店を再訪。鐡道情報のバックナンバーを買い求める。225号から228号の筈が、最新229号が発売されていて、227号は欠品。Sold outだそうだ。台湾的店に在庫がないとすると、高雄の鐡道故事館まで行かないと、手に入らないなぁ。
 思ったよりも巻き気味に事が進んだので、捷運で松山車站に戻ると21時半であった。昨日はこのぐらいの時間、台中の街で食事をするところにありつけずに困っていたのだが、今日の台北、松山には夜市という強い味方がいる。
 適当な屋台に座って、美味しそうに見た涼麺とビールを頼む。

 ビールは小瓶にした。瓶をラッパ飲み。それはそれで美味しい。

 冷麵も出される。冷たい汁無しの和え麺。これは、正直イマイチだった。残念。
 もう少し何か頂こうと、夜市をぷらぷら。羊肉のスープみたいなものを出す店が幾つかあったので、うち一軒を試してみる。

 今度は缶ビール。500缶で。


 羊肉の薬膳スープ、藥燉羊肉。羊は思ったよりも臭みもなく、美味しく頂ける。 魯肉飯は安定の美味しさ。
 足でも揉んでもらおうかと思って、マッサージ店を覗いてみたが、2時間待ちだそうだ。そこまでは待てない。22時過ぎにホテルに戻る。コンビニで買ったビールでもう少し酒宴。日付の変わる頃に就寝。