北京のホテルで目を覚ます。4月16日。外はくもり空、というよりガスが掛かっている。毒ガスかも知れない。

 今日はこちらの時間で9時に待ち合わせ。その後は現地法人の事務所に行って打ち合わせをする事になっている。
 日本時間に合わせて目を覚ましたのでちょっと時間がある。会社のメールに目を通して必要な分には返事を打つ。
 8時を過ぎて食事を志す。今回は自分の手配ではないのでホテルに食事が付いているかどうか、良く知らない。試しに1階のレストランを覗いてみると部屋番号を聞かれる。答えるとどうぞ♪となったので含まれているのかと判断。

 よくあるバイキング形式の朝食。適当につまんで、さてと思ったら玉子を焼いてくれるコーナーで担々麺を出してくれることに気が付いた。

 余計かなと思いつつ一杯頂く。後々の事を考えるとここで食べておいたのが正解だったけど。

 部屋に戻る。外は朝のラッシュ、真っただ中。
 待ち合わせの時間が来る。ホテルのロビーにこちらに駐在している日本人スタッフが来てくれて現地法人の事務所まで案内してくれる。道路を挟んで隣りなので本当にすぐであり、こんな調子なら案内は要らないよなぁと思っているが、今回はまぁ乗っておく。次回の出張があったら出迎えも案内も断ろうか。
 さて出勤。途中、幹線道路を渡る必要があるのだが、

 まぁ凄いっちゃ、凄い。出張許可を貰うときに上司のあたる部長から
「道路の横断にだけは気を付けろ」
 と言われて来ている。その道路。横断歩道があって信号はあるのだが、青の時間が短いとの、右折車は信号表示に関わらず突っ込んでこれるというルールのせいで結構渡り辛いものがあるそうだ。
 隙を見て渡り切る。日本よりは圧倒的に大変で
「毎日大変ですねぇ」
「それがわかって貰えただけでも来て貰った甲斐があります」
 なんて会話になったわけだが、正直、バンコクの王宮からカオサンに行く途中の信号機なし横断歩道の方が大変だ。

 窓の大きなビルが立ち並ぶ一角が北京の現地法人事務所の入っている場所。早速明日に向けた確認事項の打ち合わせ。最初の予定では12:00まで事務所で打ち合わせ。その後は万里の長城にご案内します、と言う事だった。が、北京から手軽に行ける万里の長城、八達嶺へ行くバスが午前中しか走ってないそうで、11時を目安に移動して帰って来てから打ち合わせの続きだそうだ。正直ゆるいなぁと思わなくはないが、まな板に乗った状態なので、仕方がない。
 1時間少々の打ち合わせで行きましょうと言う事になってタクシーで八達嶺へのバスが出ている徳勝門という所に行く。徳勝門という門の真後ろがバスターミナルになっている。

 12時でバスが最終とのことだったが、乗場は行列、そしてバスは頻発。満席になって発車すると待つほどもなく次のバスがやって来る。
 ここで中国人の通訳の人と待ち合わせ。現地法人に出向している日本人スタッフが個人的に中国語を勉強するためにお願いしている先生だそうだ。
 通路を挟んで2-3列というバスに乗って八達嶺に向かう。隣りに座った通訳の人とは日本語で会話。ひとまず先程バスが出発した徳勝門の事を聞いてみる。古い北京市街地の城門でここから外は新市街地なのだそうだが
「このような物がある事は恥ずべきことです」
 などと仰る。こちらの感覚としては古い時代の建物がある事は良い事だと思っているので???となる。日本語を話せると言っても中国人は中国人だから考え方がまるで違う、という当たり前の事に気付く事になる。
 その後は「日本人はなぜ大人が漫画を読むのか」という事を問われ「子供のころからの習慣が一つ。もう一つは大人が読むに耐え得る漫画がたくさんあるから」と説明しても納得してもらえない。価値観やら何やらが違うなぁと思っているとバスは山に差し掛かる。間もなく八達嶺。

 既視感のありそうな光景だが北京が初めてなので訪れるのは勿論初めて。入場料は45元。

 長城に登ってみる。平日なのに人が多いが、休日だともっと激しい事になって長城観光も一日仕事だそうだ。
 そして登ってみる、という言葉に違わず結構な坂道である。最初はなだらかでもだんだんと急坂になって、最後は階段。それも一段一段が歪で登り辛かった。

 達成感はあるが、長城はこの先、さらに続く。
 来た道を引き返して先程のバス乗り場へ。通訳の人、日本人の観光はあっさりしていると仰る。ちょっと見て満足。それに対して中国人はめい一杯一日掛けて楽しむのだそうだ。
 再びバスに乗って徳勝門に戻って来ると16時だった。実は昼食がまだである。さすがに空腹。何とかという餃子の店に連れて行ってくれるそうで、タクシーに乗る。ずっと受け身で動いているので、店の名前が頭に入らず、申し訳ない。
 外国人に人気の餃子の店に連れてゆかれる。餃子はあくまでの主食なのだそうで、餃子+ラーメンとか餃子+ご飯という組み合わせはあり得ないとのこと。餃子の他に何かおかずを頼むそうで空芯菜の炒め物に餃子の組み合わせとなる。餃子はまぁ美味しく追加でオーダーする事になる。その注文の仕方はあり得ないと中国人通訳の人にはダメ出しされたけど。最初から余るぐらいの頼み方じゃないと駄目なのだそうだ。
 餃子を食べながら大気汚染の話になる。毎朝目が覚めて外を見るとガスのかかった冴えない空、憂鬱になるそうだ。高い家賃を払って眺めの良い部屋にしても毎朝憂鬱になるだけなので、今度の更新では低層階に移る、なんて話をしてくれる。北京で朝を迎えるのは一度だけだが、何とも共感できる話ではある。
 最後にお土産のお菓子を頂いた。お礼を言ってタクシーで事務所に戻るともう夕方。

 ラッシュが始まっている。もう少し仕事のすり合わせを進める。18時半ぐらいから初めて終わったのが22時近くだっただろうか。最後に事務所のあるエリアで日本人がオーナーというビストロバーで夕食。
 ビールがキリンで45元。それにハンバーガーを頂く。日本で食べるのと味は遜色ないけど、値段は日本以上かも、知れない。
 ホテルに戻る。今日は送ってもらうの辞退しておく。明日はホテル替えなので荷物を括ってから就寝。