業務出張のおぜん立てに乗っかってみた

 今日は北京の現地法人に出向で来ている日本人スタッフが空港まで迎えに来ているそうだ。一般エリアに並ぶ出迎えの人々、という景色は国際空港の到着ロビーではお馴染みかつ縁遠い光景なのだが、今日はその居並ぶ人々の中に知った顔を探す事になる。
 その知った顔を見つけて近寄る。出向前に工場では顔を合わせていた人だ。挨拶をしてタクシー乗り場に向かう。北京の空港には地下鉄が乗り入れているが、タクシーで移動だそうだ。そういうのも普段の旅行とはだいぶ違う。
 タクシー乗場でも先程機内から見えた白いものが舞っているので聞いてみるとポプラの一種の樹の綿だそうだ。緑化のために街路樹や山への植樹と、全く同じ樹を植えたので、春先にはこのような事になっているのだそうだ。絶対にもう肺に吸い込んでいるだろうと思われるが、最近ではこの綿に対するアレルギー症状を持っている人もいるとか。
 空気の霞んでいる中、タクシーで市内に向かう。中心地に入るとクルマは渋滞。会社の事務所があるすぐ近くのホテルを用意してくれていて、そちらにチェックインとなる。迎えに来てくれた人は一旦事務所に戻って16時半にもう一回待ち合わせ。ひとまず荷物を自室に納める。

 ホテルの真下に道路があって、その向こうは公園。そして鉄道が通っている。

 ちょうど高速鉄道の車両が通って行く。CRH-2だろうか。遠目なので良く分からない。

 在来線らしい機関車列車が通って行くのも見える。
 会社のメールをチェックし、機内で綴った恥辱を公開している間に約束の時間になる。ロビーで待ち合わせ。近くの地下鉄の駅まで歩く。綿の舞う空の向こうは灰色の世界。悪名高きPM2.5だが、今日はまだだいぶ良いそうだ。それでも日本で外出が規制される基準の2倍なのだそうだが。
 地下鉄1号線に一駅乗る。現地法人の人がICカードを貸してくれたのでそれに少々チャージして利用。これから北京通いが続くなら自分で持つべきだろうが、ひとまず今回は借り物のお世話になる。ちなみに地下鉄やバスで共通利用可能だそうだが、コンビニでの決済等はまだできないそうで。この辺りは東京、台北、香港、ソウルと言った各都市のICカードよりは一歩以上使い勝手が劣る。


 現行世代の車両はまるで副都心線の10000系を思わせる顔立ち。スクエアな方の車両は2000年ごろの導入だったか。GTOインバータのけたたましい音を立てて発車してゆく。
 永安里駅という駅に降りて地上に出る。連れてこられたのは

 秀水街という所。全く予備知識がなかったが有名な偽ブランドショップ街だそうだ。
 現地駐在の案内役が試しにと財布を見せてもらう。もちろん偽物。値段を聞くと500元だったか何だったかと店員が言うのに対して、50元と答える。当然話にならない筈だが、じゃぁとするすると値段が下がって行く。もちろん買わないのだが、これが中国の商売の仕方なのだ。ふ〜ん。
 良かったら奥さんに何かいかがですが?と言われたが、うちの妻、偽物に対する嗅覚が半端ないからなぁと思って辞退する。まぁ面白いものを見せて貰ったのと共に中国での商売の心構えを教わった、というところか。
 引き返すのは地上をぷらぷら。18時を目安に現地法人の人たちで夕食を一緒に取りましょうとみたいな打ち合わせになっているらしい。もちろん自分たちの歓迎なんて話ではなく、たまたま会社の偉い人が何人かこちらに出張で来ているので、それに合わせてという事。
 自分一人では分からない道を歩いて会場の店へ。待ち合わせの時刻には少々遅れるが、どうせみなさん遅れるのが常な会社なのであまり問題ない。実際そんなに人は集まってなかった。
 それでもパラパラ人が集まる。本社の偉い人とか現法の総経理やら、全部で15人ぐらいいただろうか。

 円卓を囲んでビールで乾杯となる。銘柄は地元の燕京ビール。
 初顔合わせの人が4割ぐらい、残りはどこかしらで顔を知っている人で10年ぶりぐらいに一緒に飲む人が居たり。まぁ何とも妙な感じではあるがまぁ面白い会ではある。
 お会計かな?というタイミングで主食やら肉やらを頼んだようで、最後の最後に重たいものがたくさん出てくる。食べきれないのが何とも中華式。21時過ぎにお開きとなる。

 最後はホテルまで送ってもらった。月がぼんやり見えている。空が多少晴れたのかも知れない。