CX411 B-LAJ A330 ICN→HKG

 仁川からはキャセイパシフィック航空のお世話になる。ここまでのJL便扱いの大韓航空とは別チケットで、久しぶりの韓国発券と言う事になる。元々ソウル発のキャセイのチケットは安く、しかも香港経由東南アジア方面のビジネスクラスが非常に安価な設定になっている。一度生かしてみたかったのだが、今回休みもあるし、ウォン安でもあるから機会を生かしてみる事にした。
 出発時刻は15:15。チケットに記された搭乗開始時刻は14:50である。14:30を過ぎたぐらいから一組、二組と席を立つ人が目立ち始める。そろそろ搭乗口に向かう事にする。125番搭乗口はコンコースの中でも端の方。キャセイ冷遇されているなと思いつつ歩いてゆく事になる。

 搭乗口近くでこれからお世話になる機体を見る。日系各社では見かけないが、世界的には各社で飛んでいるA330が今日の機材。遠めにB-LAJというレジ番が見て取れる。搭乗はまだ始まっていない。若干スケジュールが押し気味のようだ。

 ラウンジで渡されたチケットには14:50と書かれていた搭乗開始時刻。こちらでは15時となっていて、その15時も押し気味。大きく遅れる訳ではなさそうな事が幸いと言ったら幸い。しばらく待っていると

 15時を数分過ぎて、搭乗開始となる。
 今日の機材、予約時には33Bという表記がある。キャセイパシフィックも座席更新の真っ只中であるようで、A330でもシート配列が3種類あるようだ。その中で今日当たったのが、

 ヘリンボーン、日本語に訳せば「魚の骨」になるそうだが、と呼ばれる形のビジネスクラス。座席を斜めに配置してフルフラットに出来るようにしたものである。昼間のフライトだし、フルフラットである必要は無いけれど、この座席のタイプは初めてなので楽しみである、が、

 窓側を指定したのに窓の無い席であった。窓に背を向く座席配置とは言え、全く視界が開けないのは嬉しくない。
 窓側が空いていたら移りたいと片言の日本語で。返事が中々聞き取れずに難儀するのだが、多分、お客さんが来なかったら声を掛けるわと言ってくれたようだ。かなりいい加減、何となくのやり取りだが、意思は取りあえず伝わった。

 ウェルカムドリンクは出発前の地上で。シャンペンを貰ったら「Enjoy」なんて声が返ってくる。何だかアメリカにでも来た様な気分になる。
 搭乗は順調に進む。どうやらビジネスクラスは満席らしい。Doorcloseの気配がした後、暫くたってから先程の乗務員さんがSorryと謝りに来た。まぁ仕方が無い。
 ドアは閉まったようだが、何があるのかなかなか動き出さないまま時間が過ぎる。何度か案内が入ったが動き出したのは15:37のこと。15:41、Taixing。雨のやんだ仁川の空港を進んでゆく。
 どこをどう動いていったのか、窓なし窓側の席に居てはさっぱり分かりかねるが辛うじて隣席の窓が見えている。本館側のスポットが流れていって最後にRWy33Rの標識が見えた。15:50、Takeoff RWy33R。恐らくすぐに地上は見えなくなったのだろう。この時間。雨はやんだがまだ雲は低く垂れ込めている。
 意外と揺れないまま上昇してゆく。揺れない割りにベルト着用サインは点いたまま。いつの間にか寝てしまったらようだ。朝起きてから10時間以上。そろそろ疲れが出てきてもいい頃だ。
 ポンポンと2連打が来て何となくベルト着用サイン消灯かと思う。思ったものの動きが無いので改めて天井を見上げたら、まだベルト着用サインは点いていた。会社によってこう言った合図は違うと言う事をすっかり失念していた。
 実際のベルト着用サイン消灯は16:06。結構長かった。

 お手洗いにたったついでに外の様子を。一面の雲。この雲の下は先程眺めたとおり、雨の世界。
 さて、席に戻る。少しだけ背を倒し、テーブルを出す。モニタを出すと自分の視界は

 こんな感じになる。四方共に壁だから閉所恐怖症の人は大変かも知れない。これで食事が出てくると冗談抜きにブロイラー状態となる。機内では乗務員が忙しく動き回り始めている。

 ワインリストにメニューが配られたり、おしぼりが配られたりと。先任乗務員というよりも責任者といいたくなる風情の上品な男性乗務員がビジネスクラスのお客さん一人一人に握手を求め、感謝の言葉を伝えて廻る。自分相手にはしっかり日本語で。今日は香港、台風の影響で運航が乱れており、この後の乗り継ぎ便の状況が今の所分からないそうだ、申し訳なさそうに伝えてくれた。どうやらこの便の遅れも台風の影響によるものらしい。

 まずは前菜が提供される。マグロのたたきと言うべきか。メニューに日式とあったから何かと思ったらワサビのソースの事らしい。何かしらつまんで来ているからこれで十分と言ったら十分だが、まだ料理は続く。そして酒も続く、といいたい所だが、意外と注がれない。言わないと注いでくれないのかも、このエアラインは。

 メインは3種からの選択。ワゴンに運ばれてきたものを見ながら選べるのだが、囲われた中からは全ての種類を見ることが出来なかったから、見えた中からチキンを選ぶ。こうして見ると何か肉じゃがみたいにも見えるが、食べてみると結構美味しくいただけた。

 一通り頂いてひとまず終了。恥辱の続きをやる事にする。折角の電源席だから生かさないと勿体無い、と思ったら

 デザートが出てきた。フルーツかチーズかケーキかと仰るのでチーズをお願いしたらこんな感じに。普段の生活で何種類もチーズを常備、なんて事はとてもとても縁が無いけど、こうやって頂いてみると中々美味しい。慣れるのが怖いようなそんな感じ。

 更にハーゲンダッツのアイスクリームが続く。最後に出てきたのが

 チョコレート。前菜が出てきてからここまでほぼ90分。飛行機は既に東シナ海を南に。もうすぐ台湾に差し掛かろうという所まで来ている。
 食事が終わる。しばらく恥辱を綴っていたが少々疲れを感じる。

 台湾に差し掛かり、そろそろ最終コースへと向かうところだが、ヘリンボーンの効能を試す事を兼ねて少し寝てみる事にした。椅子を完全にフラットにすると

 視界はこんな感じになる。狭いながらも完全に水平。枕に毛布もあるから空の上の個室B寝台といった風情だ。長距離線で試したいシートだなぁと思いつつ目を瞑る。エンジン音が耳元をくすぐる中だが、いつの間にか眠りに落ちていた。
 耳をエアがぬけてゆく感触で目覚める。教えてもらわなくても高度を下げ始めた事が分かる状況だ。30分ほど寝ていたらしい。機内の様子は

 ライトダウンして完全お休みモードだが、もう香港へ向けての降下しているとなれば、まもなくベルト着用サインが点灯するに違いない。

 外の様子。台風本体は香港を逸れている事自体は、ソウルに居る時にネットでチェック済みだけど、会社で帰宅命令が出る程の影響は出ているらしい。そんな話しを聞いてから3時間ほどが経過しているけど、さて、今の香港はどんな状況だろうか。
 お手洗いに立ったついでにギャレーに行き、水を貰う。目覚めの体が明らかに水を要求している。ガス入りかノンガスかと聞かれるかなと思ったけど、何にも言わずにノンガスの水が出てくる。先程挨拶してくれた先任の男性乗務員が現在の香港の状況を教えてくれる。乗り継ぎ便。定刻に出発予定だが搭乗口が決まっていないとの事。これ以上の情報は香港に着いたら聞いてくれと。

 モニタにも乗り継ぎ便の情報が。聞いた通りの内容が表示されている。
 18:45、ベルト着用サインが点灯する。薄暗かったきないの照明が元に戻る。ブラインドが閉まっている窓は開けるように乗務員が廻りだす。外はどんよりと雲が立ち込め、薄暗いようだ。
 香港の手前で飛行機は一度旋回。着陸待ちでも指示されたのかも知れない。そして降下を始めると恐ろしく揺れ始める。右に左に、一瞬すとんと。香港はどうやら嵐の真っ只中のようだ。19:07、どうやらGeardownのようだが、その後、更に揺れが大きくなる。地上が見えるといよいよ揺れは激しく、右に左に、揺さぶられる。これはさすがに着陸出来ないかななんて考える。何か冷や汗が出てきた。
 揺れているが機体は高度を下げ続ける。滑走路が見えてまもなく、左右同時に小さな衝撃が来る。次に激しくリバース、急減速。バウンドする事も無い。19:12、着陸成功、といいたくなるようなLanding。RWy07L。
 窓を雨粒が叩きつける中、Taxingしてゆく。19:19、Spot in SP65。

 着陸した事はまだ明るかったが、スポットに着き、乗客を降ろす頃にはすっかり夜の様相となった。よくぞ降りてくれたと感謝したい飛行機を一枚。そして

 こちらは出発案内。見て驚く。キャンセルやらディレイやら。香港の空港は台風の余波で混乱の真っ只中。その混乱の中にどうやら降りてきたらしい。
 乗継手続きをして出発階へと上がる。乗ってきた飛行機はこのあとジャカルタに向かうようだ。自分の乗る飛行機はまだ出発ゲートが決まっていない。ひとまず65番近くのラウンジに入ってしまう。入場手続きの時に搭乗ゲートの事を聞いてみる。やはりまだ決まっていないとの事。On Timeかと聞くとそれは定時なのだそうだ。あと1時間少々で出発する飛行機の搭乗口がまだ決まっていないなんて事、あるかと思うが、そう仰るので御説に従いざるを得ない。
 ラウンジは空席が見当たらない程に混んでいた。出発が遅れて足止めを喰らった人たちに違いない。日本人の姿も目立つ。羽田、名古屋、関西と日本夜着となる16時前後の出発便が各々20時前後の出発となっているらしい。
 奥のヌードルバーの所には席がある。長居できるところではないが

 ひとまず頂いておいた。酒は何故か飲みたくない。やめにしてなぜかコーラ。麺は美味しく頂いたが、そうそうお腹に入るわけでもない。
 座るところも無いから、飲むわけでないけどロングバーで暫く。妙に疲れが沸いて出てくる。ふと思い至って上着を着替える事にする。秋の装いだった名古屋やソウルと違って香港は気温28℃。長袖では暑過ぎる。
 着替えてラウンジに戻ると、次に乗る便の搭乗口がフライト情報に入っている。2番搭乗口。出発は20:05。う〜ん、遠いぞ。
 こんな所にいるよりもっと近いラウンジに移動する事にして、広い香港の空港を2番に向かって歩く。途中23番搭乗口の辺りに新しく出来たラウンジがあるからここで時間調整。

 ここも混雑している。パソコン席しか空いていない。香港の空港、今日はどこへ行っても難民だらけ。出発30分前を目安にしばらくパソコン席に居座る。パソコンを使う訳じゃないから、本来の用途からすればおかしい事だが、空席が無いのでは仕方ない。
 時折、激しい雨が窓を叩く。先日、愛知を台風が襲った時と同じ降り方だ。台風の直撃は免れた筈だが、台風の威力は凄まじいものがある。先程の411便、何で香港に降りれたのだろう。そんな事を改めて思う。とは言え、仁川に戻られても困ったかも知れないけど。
 そろそろ時間になる。それでは搭乗口へ。