ホテルで目覚めたのは5時半。旅行中の慣わしと言うべき早起きを今日も繰り返す。いい加減疲れてきているし、無理なら遅く出ても良いと思っていたのだけど、結局はこの時間に動く事にした。
 稚内に来る時の列車本数が少なかったのと同じように、稚内を出る列車本数も少ない。普通列車は始発が6時24分。次は10時51分。その2本が今日の乗車列車の候補である。昨日まではホテルでゆっくりして、ノシャップ岬でも見てから遅い列車に乗れば良いと思っていたけど、気が変わった。一つはホテルの居心地が良く無い事。もう一つは昨日、音威子府の駅そばを食べそびれた事。後の列車は音威子府の停車時間が短く、そばを食べる事が出来ない。
 ホテルは朝食付き。朝早いから食べられるとは思っていなかったのだが、5時半から提供開始と言う早起きぶりでありつく事が出来た。

 お盆が人数分だろうか、既に並んでいる。これを貰ってゆくらしい。

 思ったよりも充実している。朝から食べるには重いけど、全部頂いた。特に変わった品物があるわけではないけど、一定の水準は満たしていた。
 さて、身支度をすると6時過ぎ。ホテルをチェックアウトする。フロントには人は居なかったけど気配に気付いたのか出てきて鍵を受け取ってくれる。

 人気の無い稚内市街。駅の近くまでゆくと多少の人の行き来がある。まもなく朝の始発列車が出発する時間。汽車旅に備えてコンビニ買出しの体で鉄道好き、という雰囲気の人が2、3人ほど。
 駅には10人ほどが集まっていて6:24、名寄行きの改札を待っている。中にはその後に出発する特急の切符を買い求めるお客さんもいたりする。特急が出発するのは7:10、まだだいぶ間がある。
 6:15ぐらいに改札が開く。日付印を入れてもらう人たちの中に18きっぷを手にした外国人なんて人も居る。18きっぷを使いこなせる外国人がいるとは、少々驚いた。

 キハ54の1両編成。エンジンのアイドリング音も軽やかに出発を待っている。

車内の様子。簡易リクライニングシートを集団向かい合わせに配置したシート。昨日と雰囲気が若干違うが、こっちのタイプの方が多い。昨日のクルマは、、、そうか、急行礼文の専用車として投入された奴だったか。
今日は進行方向右側のクロスシートに座れる。後ろ向きだったけど。おおよそ8割。控えめに言って8割のお客さんが鉄道好きの風情。4人で真ん中のボックスに座っているグループ客までいる。まもなく出発。小さく開けた窓から冷たい風が入ってくる。
 南稚内を出て暫く。抜海の丘に差し掛かる。熊笹に覆われた不毛の地。いや、熊笹だってお寿司になるか、前言訂正。その熊笹丘を越えてゆくと速度が落ちる。海が見える。利尻だ。

 海の向こう。雲の上に頭だけを覗かせている。列車はゆっくりと、ゆっくりと。「利尻富士」の碑が熊笹の中に立っている。海が消えてゆくと列車は速度を上げる。
 海を離れてゆくとサロベツ平野が広がり始める。空は曇りがち。車内は居眠りをする人も多い。朝の列車だが、夜とも昼ともつかない時間が流れてゆく。

 何気なく平原を撮る。広大な平原の向こう。良く見ると利尻が顔を覗かせている。何人のお客さんがこの利尻を眺めただろうか。話し声一つ聞こえない列車でそんな事を思う。
 列車は寝静まっているが、世界は朝ラッシュの時間。途中、兜沼の駅で下り列車とすれ違った。

 幌延から稚内に向かう普通列車。時間帯から言って稚内への通学列車だがまだ8月の18日。夏の短い北海道も新学期が始まるには若干の間がある。今日の下り列車は空いていた。一呼吸置いただけでお互いに出発する事になる。
 昨日来た道をなぞり返す旅。エンジンを吹かして牧草地や原野、トドマツや白樺の木々の間を南へと下ってゆく。忘れた頃に速度が緩んで駅に着く。一人乗ってきたり、誰も居なかったり。昨日は長々と停まった幌延の駅も1分停まっただけで過ぎてゆく。
 変化の無い列車の旅に変調を告げたのが、昨日散々眺めてきた天塩川

今日も茶色く悠々と流れている。ここから名寄の先まで、ずっとお付き合いの続く川。ゆっくり流れる川に合せるかのようなゆっくりとした時間が流れているが、気が付けばもうすぐ8時。眠たげだった車内の動きが少し活発化してくる。乗り通すのに活発化、とは不思議な言いかただが、写真を撮りに歩く人が増えてきたから、活発化、と言うのだろう。

 畑の真ん中につつましく設けられた糠南の駅。仮停留所出身のささやかな駅は、ここ10年でだいぶ淘汰されたので、宗谷本線に乗っていてもこんな典型的な停留所にはなかなか出会えなくなっている。誰が使うのか不思議な駅。やはりと言うべきか乗って来る人は無く、駅名板を撮ったのか、一瞬外に出た人が居ただけだった。すぐに出発となる。
 他にも同じような停留所があった筈なのだが、廃止されるとすぐに自然に飲み込まれるのか、往路復路とも駅の跡、と言うのは全く気付かなかった。駅と言えば、一応は昔からあった風の最早忘れられたような駅ばかり。

 今日は川側に座っているので、天塩川がずっと見えている。川のうねくねが手に取るように良く分かる。今日も茶色く濁った川。清流、とは言わないのだろうが、堤防のはっきり分からない川が右に左にうねっている眺めはどこか日本離れしていて、好ましい。
 稚内から二時間少々。「まもなく音威子府です」の案内が流れる。まだ8時半を過ぎたところ。駅そばの開店までは1時間ある。ところが
音威子府の発車は9時53分となります。発車まで1時間10分ほどお待ち下さい」
 なんとも悠長とした案内。最近の鉄道ではありえないほどの長々とした停車時間。

 音威子府の駅に着く。1時間以上の停車。乗っている人は思い思いに散ってゆく。そりゃ、車内にいても仕方が無いし。もちろん、1時間以上停まるのだから慌てて動いても仕方が無い。時間はいくらでもある。

 とは言え、駅前の散策は昨日やったばかり。「音威子府そば」の看板を掲げた駅前の商店、店を開けるのは何時なのだろう。
 駅前をぷらぷらしてから駅に戻る。まだ時間はだいぶある。と思ったら甲高い汽笛の音が聞こえた。下り普通列車の到着。朝、6時に旭川を出来てきた稚内行きだ。旅行客、多分、大多数は鉄道旅行客、を乗せている光景はこちらの列車とそんなに変わらない、がやってくる。
 そう言えばこの後、特急が来るんだっけ、と暫くホームの端っこで待ってみた。遠くから汽笛の音が聞こえる。ちらっとヘッドライトの灯りが見えて

 スーパー宗谷2号、音威子府到着。稚内から2時間で音威子府到着は早いと言ったら早いが、亀と言うべきこちらの列車がゆっくり休んでいているのでは、兎に追いつかれても仕方が無い。特別急行は1分の停車で長躯札幌へ向けて旅立ってゆく。

 9:20。今度は下り普通列車稚内へ向けて走り出す。
 一人残され、残り30分の音威子府。でもこの30分がありがたい。9:30、音威子府構内営業、常盤軒の蕎麦屋さんが店を開く。この蕎麦は、スーパー宗谷のお客さんも稚内行きのお客さんも味わう事は出来ない。

 待合室に再び。蕎麦のスタンド、昨日から閉じていたシャッターを開け準備中。遠巻きに覗いているのは同業者たち。まもなく最初の注文が入る。開店の9時半には間があるが営業開始らしい。でもその後が続かないので後ろから失礼する。天ぷらそばを1つ。それにお土産用に乾麺と蕎麦汁のセットをお買い上げ。

 こちらが天ぷらそば、¥400也。天ぷらは極めていい加減だけど、蕎麦はしっかりしている。

 こんな真っ黒な蕎麦を食べさせる駅は自分はほかに知らない。多分、日本国内の駅には無い。口に含むと野趣に溢れた味わいがいっぱいに広がる。文句なく美味しい。
 フライング気味に開店してくれたお陰で、余裕をもって食べ終わる。お土産用に乾麺と蕎麦汁のセットに手を出す。

 こちらは¥1,050。自分は蕎麦好きだが妻はそれほど関心を示さないから、もしかすると食卓に上るのは年越し蕎麦の時かもしれないけど、まぁいい。
 思い思いに散っていた乗客が席に戻ってくるといつしか1時間以上に及んだ停車時間が過ぎている。まもなく出発の案内が流れて、エンジンが唸る。何度も通った改札の駅員がこちらを見送る。
 名寄までは1時間少々。太く茶色いままの天塩川に沿って走ってゆく。稚内から続く景色はだんだんと人の営みが感じられるようになってきている。旭川から辿ってゆくとどこまで行っても大自然だが、稚内からだと、自然と自然の中の営みは区別がつく。

 誰かの家の庭ではなく駅のホーム。「もんぽない」の響きは日本離れした印象を醸し出す。漢字で書くと紋穂内、となって何となく日本国内のような気がしてくるから不思議。
 美深辺りまで来ると一般のお客さんも増えた。車内はそれなりに賑わう。現れる小さな駅前にも

 人の営みが見えるようになる。智恵文の駅にて。駅だけなら地元から忘れられそうだが、郵便局があるから大丈夫だろう
 稚内から4時間半以上。名寄の駅に到着となる。前側のデッキ、稚内から通しで乗務の運転士さんが「ありがとうございました」と頭を下げるので「お疲れ様でした」と返しておく。音威子府で1時間の休憩があるといっても、通しの乗務はきつい仕事に違いない。

 ここまで乗ってきたキハ54を見送り、

 旭川へ向かう普通列車に乗換えとなる。今度も1両編成。車両はキハ40になった。基本的に名寄以北はキハ54、以南はキハ40と使い分けている様子。

 1両だけの列車は混んでいる。名寄と旭川はその間の流動がそれなりにあるし、名寄近郊に帰るお客さんも乗っている。ボックスに1人から2人。3人居る所もあるからそれなりに乗っている。
 接続はわずか5分。すぐに出発となる。何度も名寄の駅を通ったことはあるけど、名寄の街を歩いた事はないなぁと思う。今回も結局通り過ぎるだけだった。


 比較的大きな名寄の市街をぬけると、列車は田園と畑。そして防雪林を垣間見ながら走る事になる。昨日乗った旭川からの名寄行きは快速だったけどこちらは普通列車。全ての駅に丁寧に停まる正真正銘の普通列車。ささやかなホームがあるだけの、小さな駅にも停まっている。乗降があるのは、それなりの大きなえきだけだけど。
 名寄盆地の南端、剣持や士別で名寄からのお客さんが降りてゆき、代わりに大きな荷物を持ったお客さんが乗って来る。まだ18日。お盆輸送の続きみたいな所もあるようだ。列車は夏の終わりを乗せて南へ向かう。脚が鈍った。田圃が消える。塩狩峠に差し掛かったのだろう。
 時速40km/hまで落ちて唸り続けることしばし。

 避暑地の別荘みないな趣きの塩狩の駅に着く。この列車は普通列車なので塩狩の駅にも停まる。列車が脚を休めると高原の涼風が柔らかく吹き込んでくる。

 塩狩からの下り坂は人が変わったみたいに疾走。10分もしないうちに旭川の盆地、北端へと躍り出た。車窓に見えるキロポストも数字は二桁、20キロ台に突入している。だいぶ旭川が近づいている。旭川に遊びに行く体の若い人や所用客が乗って来る。乗っている時間が短いからか空席に座るよりもデッキに立つ事を選ぶ人が増えた。

 鉄橋で渡るのは石狩川雄大な川であるけど、天塩川を散々見てきた後に眺めると管理されている感を強く受ける。

 北旭川の貨物駅に長々とした貨物列車が停まる。ここからは東京方面、関西方面へ直通の貨物列車が出る。中央を始めて意識されられる。
 旭川市内の高架に上がると、街を大きく感じる。大都会に舞い戻ったようだ。その市街地にある駅にも丁寧に停まるが意外と降りる人は少ない。みんな旭川まで乗り通す様子。右へとカーブして一度高架を降り、今度は真新しい高架に差し掛かる。線路が幾重に広がって、まもなく終着旭川の駅。

 まる一日お付き合いした宗谷本線ともこれでお別れ。稚内から乗り通す人もいたけど、他のお客さんに埋もれてしまった。
 旭川では1時間ほど待ち時間がある。今度は駅前に出てみようかと思う。
 高架下の駅舎から駅前に出るには旧駅舎の敷地を通る事になる。そんな訳で、

 旧駅舎の取り壊しているその傍らを歩いて街に。稚内といい旭川といい、JRの意図だけで駅を建て替えている訳ではないだろうが、妙なところでお金が廻るものだと思う。
 旭川と言えばラーメン、だろうが今回は適当に歩いているので、下調べは全くしていない。何となく駅前から歩いて、それらしい店があれば入ればいいかと、ぐらいに思っていたのだが、

 山頭火の看板が見えておやおやと思う。意図せず有名店にぶち当たってしまった。しかも本店。もうすぐ13時と言う時間だから混んでいると思ったけど行列もないし入っておく。

 塩ラーメンは確か¥800。ちょっと脂っこい。美味しいのだろうが個人的には若干拒絶気味。昨日の名も無き稚内の塩ラーメンの方が美味しく感じられた。
 それでも旭川に寄り道した感じは出たから満足して駅に戻る。先程と別の入口から入ったら旧駅舎の建物がまだ残っていて通路として使われている。

 昔の改札口、だったと思う。そのうちここも取り壊されて昭和の思い出になるんだろうなぁと漠然と考えて、新しい駅に向かった。
 ホームに上がる。次の乗るのは13:40発の岩見沢行き普通列車。発車10分前だったがまだ列車の姿は無い。3両編成らしく、その範囲に人が固まっている。意外と多いなと思う。一番行列の短い最後尾の列に並んで待つことしばし、

 稚内方から711系が姿を現した。4灯全てのヘッドライトがハイビーム。真夏には仰々しいが真冬には威力を発揮するに違いない。
 国鉄時代に投入された車両だが、冷房改造がされていて、1日ぶりの冷房車となる。最後尾はボックスが一通り埋まる程度の乗車。宗谷線普通列車よりも余裕のある分、ノンビリしている。
 発車時刻となって列車は軽やかに走り出す。さすがに電車。さすがに函館本線。線路も車両も違うので加速も鋭く、すぐに最高速度に達する。そして市街地を抜け出した。旭川の東側は石狩川が谷を形成するからか、市街地がすぐに途切れる。
 この先、滝川までは普通列車が極端に少なく、その区間を走ってくれる貴重な列車に乗っているのだが、ひとまずは恥辱に手をつける。そろそろ滞貨の山が気になりだす頃である。

 車窓も宗谷本線に一日お付き合いした後ではずいぶんと平凡と言うか大味に思えるので仕方ない。この辺り、だいぶ感覚が麻痺してきた。
 ジャンクションである深川では特急の接続とバス転換された深名線の接続の案内があり、鉄道である留萌線の案内が無かった。暫く列車が無いのだろうなぁと思って眺める構内に確かに列車の姿は無い。 
 滝川の駅で特急の待ち合わせと案内があり、暫く停車する。

 隣にとまる気動車根室線の列車。接続の案内は聞きそびれたので、何時の何処行きなのかは知らない。

 札幌方面新千歳空港行きという特急が入ってくる。旭川を14時に出た特急だから、ここまでで20分程の差を詰められた事になる。半分ぐらいは席が埋まっていて、滝川でも乗る人がいたからそれなりに使われている。
 わずか1分で特急が出てゆく。こちらはもう少し停まってから発車となる。

 向かい側には旭川行きの普通列車。同じ711系だが、試行的に3つドア改造した編成が停まっていた。取ってつけたようなドアのせいで車体強度が落ちたとか落ちないとか、で、そのせいか知らないが冷房は積んでいない。窓が小さく大きく、思い思いに開けられている。

 こちらも発車。旭川を出た時から天気が崩れてきたようで、曇り空の下を走る。そして時々ちらっと雨粒。

 カーブの無い立派な線路がどこまでも続いて、時々現れる小さな、勿論、宗谷線で眺めた駅に比べればうんと立派な、駅に停まって数人の乗り降りを繰り返す。  
 列車は旭川から1時間半ほどで岩見沢に到着。ここでまた乗換えとなる。

 岩見沢からは札幌郊外とも言うべき区間岩見沢からは昼間でも30分毎に列車があるから、多少何かあってもどうにでもなるし、岩見沢からの接続は全く調べていない。
 列車は3つドアロングシートの731系に変わる。お客さんの雰囲気もだいぶ変わって、東京郊外あたりに舞い戻ってきたような気分になる。
 郊外電車らしく、乗ったり降りたり、人の出入りも激しく列車は走る。窓の外には緑の合間に一軒家やらマンションやら。だんだん混んできて立客が目立つようになる。千歳線が合流すると行き交う列車も増えた。シルバーの大きな車体が流れていって、上野行のカシオペアだ。
 札幌には16:20に着く。この列車は小樽行きでこのあと、10分停まって区間快速に化ける。ちょっと思う所があり、隣に停まっていた手稲行きに乗り換え。こちらはすぐの出発。一駅乗車、桑園で降りるとホームの札幌寄りに立ってみた。ここで少々撮り鉄をしてみる。この後の時間、余裕があるのでそのぐらいの事は出来る。

 先程乗ってきた列車が桑園を通過してゆく。

 札幌運輸所への回送列車も通る。これはスーパーとかち6号の回送らしい。

 札沼線普通列車も行き交う。キハ141系を期待していたのだが、キハ201系が来た。電車気動車協調運転なんて変わった芸当を持った車両だが、昼間は札沼線でアルバイト、らしい。

 北斗星が札幌へと回送されてゆく。上野に着くのは翌朝9時過ぎ。 

 今度の札沼線はキハ141系が来た。尻を切ってしまったのは失敗。残念。 

 オホーツク5号として網走に向かうキハ183系が回送されてゆく。
 ここまで小一時間。まだ17時を少々廻ったところだが、薄暗くなってきたので撮影は諦める。そろそろ札幌駅に戻る事にした。ラッシュが始まるのか、ワイシャツにノーネクタイのサラリーマンがホームに目立つ。札幌でもクールビズ、ノーネクタイなのか。
 今日は夜の飛行機で千歳から羽田に戻る。飛行機の時間は21時。まだまだ時間はあるが、そろそろ空港に向かう。快速エアポートは15分毎だが、できれば札幌始発の電車で座ってゆきたい。小樽始発だと座れるとは限らないし、旭川からの列車だと特急形の上に、1両短いから、間違いなく座れない。
 でも札幌に戻ってやってきた列車を見ると、

 一番避けたかった旭川から直通の快速エアポート。長い行列の後ろにつく。座れないなぁと思う。
 通路に立っていると、座席に荷物を置いていた人が寄せてくれる。自分の一番近い所に空席が出来る。廻りを見ても譲るべき人はいないしありがたく座らせてもらう。座ってしまえばやっぱり楽である。
 薄暗くなった街、原野を眺めて40分。すっかり暗くなって千歳空港に到着。まだ出発まで3時間あるが、まぁいい。拡張された千歳空港のターミナルを少し見て行く。

 広くなったお土産売り場をうろうろ。ちょうど妻の仕事が終わった時間で試しにリクエストを聞いてみると指定がいくつか。店の位置が変わっていて探すのに苦労したが、でもリクエストの品は準備できる。

 そしてチェックイン。お土産を合せてキャリーバックを一個預けてしまうとだいぶ楽になる。21時まではまだ間があるから、今度は食事を考えようかと思う。昨日は魚だったから、今日は肉系がいい。そうだジンギスカンを食べよう。
 空港でジンギスカンというと松尾ジンギスカン。拡張で場所が変わっている。待ち時間は多少あったが、入れないわけは無かったから暫く並んでみた。まもなく席に通される。
 頼んだのはジンギスカン単品にビール。

 ビールは勿論、クラシックが供される。一口、二口頂いている間に、ジンギスカンが運ばれてきた。


 鍋に火をつけて焼き始めると忙しくなる。そうなるとビールが疎かになる。従って肉が焼けて食べられる頃にも十分な量のビールが残る。
 食べ放題、飲み放題ではないけど十分に満足する。空港価格だから高いのだろうが、払った値段に見合う価値はあった。
 随分と広くなったラーメン道場とか、いろいろな設備はあるけど胃は一つしかないから、今日はこれで制限エリアに入る。
 空港は混んでいて搭乗口付近も混んでいた割にはラウンジには余裕がある。搭乗開始まで1時間少々。恥辱を書きつつ、ビールを頂く。

 最近のラウンジは各地で工夫を凝らすようになったようで、千歳のラウンジには、北菓楼のおかきなんてものが置いている。

 そのおかきを頂きつつ、時間まで。滞貨はなかなか掃けないが、まとまった時間が取れたからそれなりには進んだ。