【今日の駅弁】かにめし弁当 ¥1000 有限会社おかむら弁当屋

 12時を少々回ったので先程買い求めたお弁当を食べてみる。作っているのは地元遠軽の駅弁屋さん。列車が減ってローカル線の何でもない駅の駅弁屋など、よほどの取り柄が無い限りは生き残れないのだが、遠軽の駅弁はしぶとく生き続けている。
 
 
 開けてみるとかにちらしご飯というべき素朴な弁当。変に手の込んだ駅弁よりもずっと好ましい。美味しく頂く。
 峠を越えて下り坂になる。下って行っても雪は残ったまま。辺りが開けて久しぶりに停車駅、上川。駅裏の貯木場が目立つ。ここで一席残っていた空席が埋まる。4両とはいえ立派な使われ方。自由席の埋まり具合はどうなったのだろう。
 上川をでると田園地帯。 
 
 開けたとは言え、空は暗く、冬の日本海側みたいな雰囲気になる。でも峠を挟んで畑地は田圃になった。より豊かな土地というのは前世代的な考え方かも知れないが、年間を通してみると暖かなのは石狩の方。そして雪も次第に少なくなってゆく。
 盆地に出て田圃が増えて、集落も増えたから駅も増えた。その一つ一つを停まらず、結構な速度で走って行くから列車も特急らしくなる。そして雪が少し消え、さらに消えて、最後はすべて消えた。
 田圃が住宅になって速度が緩む。列車は久しぶりに高架線。結構な街が広がり、そして旭川に到着。少し降りて代わりに乗って来る人もいる。網走から3時間半が経っている。久しぶりに長丁場の移動だ。列車は間もなく出発。この先、札幌までは2時間弱の旅。列車は旭川を後に快調に走り出す。
 
 街を離れると再び残雪。でも空は青いから雰囲気は明るい。エンジン音を軽やかに列車や北海道の大動脈を札幌へ向かう。途中、深川に停まり、次は滝川。
 
 札幌の手前で今日はこの列車を降りる。網走から4時間以上。少々名残惜しい気もするが、今日の目的地へと先を進もう。
 
 向かいに停まっている普通列車に乗り換え。気動車1両で函館線を岩見沢へと向かう列車である。接続は良く、特急オホーツクを追ってすぐに発車。一駅乗った砂川が目的地である。砂川は特急がたくさん停まる駅だが、生憎と網走から乗って来たオホーツク4号は通過してしまう。
 砂川駅からタクシー。「北菓楼の本店まで」と告げて走り出してもらう。砂っぽい国道を少々滝川側に戻ると見覚えのある店を過ぎて左折。事務所の前に停められた。店の前で良かったんだけど、と文句をいうと「本店というとこっちだ」と仰る。日曜日に観光客が事務所に用事あるかと少々いらっと。
 
 とはいえ同じ敷地内だから、そんなに外れても居ない。早々に店舗の方へ。駐車場の整理をしていたが「どちらからですか?」と声を掛けてくれるのに妻が「神奈川からです」と答えると「それは遠くからありがとうございます」と応えてくれる。後で「網走からです」って答えようかと迷ったと聞いたけど、どちらにしても「遠くから」には違いない。
 北菓楼の目的は喫茶室のランチ。営業時間は17時まで、ランチタイムは15時までである。その喫茶室。順番待ちが長く長く伸びている。ひとまず呼び出しリストに名前を記入して待つ。その間に
 
 待ち時間に妻がソフトクリームに手を出す。ご相伴に預かったが、人気店の繰り出すソフトクリームは勿論美味しい。タクシー代金の事を忘れさせるぐらいのインパクトはある。
 着いたのが14時過ぎ。忘れた頃に一組、もう一組と呼ばれる。順番が回るまでほぼほぼ1時間。三連休とはいえ中日だし、シーズンオフ。それでも人気なのだ。順番が来るころにはランチタイムが終わっている。
 終わっているのだが、一応はランチメニューの注文、問題なかった。ある程度は融通が利くようだ。そんな訳で
 
 パスタを。菓子屋でパスタ。突拍子もない組み合わせに見えるが、生クリームの魔術師が作るパスタなのだから不味い訳がなく、実に美味しい。砂川の北菓楼をダシに特急オホーツクを選んだようなものだが、立派な理由になる店である事は良く分かる。
 
 最後はデザートをシェアして終了。デザート付のセットを一つに単品を一つ、という頼み方をしているのでこんな芸当ができる。一人三つは重たすぎるが、2人で三つなら、まぁ許容範囲と言う事で。
 デザートを頂く。こちらが本職。手が込んでいて深い世界が広がっているケーキを頂く間に16時になる。ランチって時間じゃないなぁと思いつつ店を後にする。
 
 昨日、網走の日暮れ時だが、この時間の砂川。北菓楼の看板にほのかなあかりが灯るぐらい。外はまだ明るい。同じ北海道でもずいぶん違うなぁと思う。さすがに移動時間4時間の距離だ。
 戻りは砂川駅へ、タクシーで。途中、ペンケスナ川という川を渡る。砂川の地名はこの川から来ているのだろうなぁ。スナ川→砂川。アイヌ語と日本語の合成地名だったか。
 
 駅まで戻る。もう日暮れ間近。次の列車は特急の札幌方面新千歳空港行き。普通列車を待つと1時間近く間が空くから特急に乗る。誰もいない駅の待合室。ストーブだけが暖かい。売店は開いているが、11月末で閉店する旨、張り紙が出ている。
 改札開始の案内でホームに出る。まもなく特急がやって来る。自由席、後ろの方なら二人並んで座れる程度の混雑。
 
 真っ暗な中を50分程。車窓に眩しい街が広がると札幌である。
 
 乗っている殆どの人が降りて行って、その代りにたくさん人が乗り込んでゆく。列車は向きを変えて新千歳空港へ向かう。
 網走から8時間、寄り道をして暗くなってから札幌到着となった。今日は札幌に宿泊。
 
ホテルは駅の割とすぐ近く。宿泊手続きを取る。どうも外国のお客さんが目立つようだ。
 
宿泊費が安く着いたが部屋は少々狭い。まぁ札幌の方が宿泊費は高いだろうし、仕方がない。
 
 その代りに宿泊者なら自由に使えるラウンジってのがあって、簡素ながらもコーヒーが無料で飲めたりするから、まぁ良いかも知れない。
 そのラウンジで今日この後の予定決め。少々買い物の後、食事と決まる。作戦会議がなくてもそんな結果になりそうな、気がする。 
 
 改めて夜の札幌駅前に出没。百貨店の食品売り場やら何やらを少々梯子する。買い物は少々で明日の下見がメインだそうだ。1時間ほどお付き合い。
 その後は夕食。ホテルに割引券の置いていた居酒屋に入る。百貨店の中なので少々高級な店らしい。入って残念、サッポロを扱っていなかったので
 
 ファーストドリンクはハイボールにしておく。一応はビールを控えているのでちょうどよかったかも知れない。 
 
 北海道らしいものの中で昨日食べていない物、って事でラーメンサラダを頼んでみる。どうして全国に普及しないのか分からないぐらいに普通の一品。
 
 こちらはホヤの塩辛。今年は夏のシーズンにホヤを食べていなかった。これが今年の初ホヤとなる。
 
 ホッケは小を頼んでこのサイズ。二人で食べるには大きい過ぎるぐらいだ。
 
 ハイボールの後は日本酒に行ってみた。北海道で飲むと東北の酒どころの銘柄を扱っている事が多くて嬉しい。
 1時間半程の間にお客さんはいなくなって、どうやら最後の一組。21時半過ぎにラストオーダーを聞きに来たのを潮に〆。
 帰り道、遠回りしてセイコーマートに寄り道。やっぱり北海道にいるからにはセイコーマートを使いたい。ガラナのチューハイ、なんて北海道ならではの飲み物を買ってみる。
 
 駅前のイルミネーションを横目にホテルへ戻る。自室に引きこもると眠くなる。結局先程買った物は手付かず。お持ち帰り確定だがそれはそれで構わない。