JO84 JA606J B767-300ER HNL→NGO


 帰りも残念ながら名古屋廻り。特典だから搭乗回数を稼ぎたいだの、同じ値段でマイルが余計に付くだの、そう言う事ではなく、本当に単純に成田直行便の枠が空いてなくて名古屋廻りでしか取れなかっただけである。せめて関空廻りなら羽田発着に出来ただろうが、それすら残席が無かった。 
 荷物を預ける。タグは名古屋経由成田となっているが名古屋で税関審査があるので必ず名古屋でピックアップして欲しいと断られた。行きと違って面倒ですなぁ。
 搭乗手続きも簡単に終わった。帰りは二人一緒なので席を替わってくださいなんて事はなかった。中部国際空港から先、成田行きのチケットも一緒に渡された。
 保安検査場に向かう。出国審査はない代わりに検査は厳重である。各地の空港でよく見かける金属探知機のゲートの他に、見慣れぬ機械もある。いわゆるボディースキャナらしい。全員をスキャナに掛ける訳でなく交互に従来検査とボディースキャナに振り分けている。ボディースキャナに掛けられると随分と時間が掛かるようで、列はなかなか進まなかった。
 帰国便に乗る日本人ばかりの行列に30分近く並んで検査終了。ようやくラウンジに入る。空港に着いた時間は離陸2時間20分前だったが、検査に時間が掛かったのとここから搭乗口まで15分は掛かると言われたのとで、手持ちの時間は1時間を切っている。

 前回と違う、明るいラウンジに案内される。軽くこわごわとビールを一本。ネットを生かして軽く恥辱の整理。

 いつの間にか混雑している。機体が小さくなったと言っても成田へ3便、羽田、中部、関空へ1便ずつ。1日6便分のお客さんはいるということか。
 11:50の出発40分前、11:10に荷物をくくり出す。そして搭乗口に。オープンエア、開放的な空港のターミナル。窓の無いその向こうに見えるのは

 JALの機体が何機も見えている。手前に見えるのは先日搭乗したばかりのJA603J。奥にいるのは小さくJA8088。

 ただ1便、11年2月まではB747-400で設定されている成田行き。その間にJA610Jがいる。ここの見えない別スポットにはJA614J。そしてここから見えない31番搭乗口には名古屋行きのB767-300がいる、筈。
 日本の空港で搭乗口まで15分と言われても実際には10分掛からないことも多々あるが、ホノルルの15分は本当に15分掛かりかねない程遠かった。

 着いてみると11:40の少々前。写真を撮りながら歩いてきたから少々道草は食っているが、それでも遠かった。優先搭乗は終わっていて、後方45番より60番のお客様ご搭乗くださいという状況。

 待っているのはJA606J。
 最後の最後の方に乗ったから座席はほぼ埋まっていた。唯二つ空いていた並びの席に落ち着く。11:50、Door close。11:53、Push buck。名古屋までの所要時間、8時間40分だそうだ。行きより2時間近く余計に掛かるそうだ。途中、雲と風の影響で少々揺れるそうだ。
 12:00、Taixing。地上係員がこちらに手を振る。振り返されると嬉しいものだと聞いたことがあるから試しにしばらく振り返して見たらこちらの方に向かって両手で手を振り始めた。
 飛行機は滑走路手前で一度止まる。着陸機を待つらしい。ホノルルの空港。向こう、軍用のエリアがあり、そしてなだらかに山が広がる。千歳から見る樽前山みたいな景色が、どこまでも明るい青い空の下に広がっている。しばらく眺めているとハワイアン航空の機体が1機、もう1機。降りてきた。
 2機降りてきてこちらが動き出す。そして滑走路を横切りさらに先へ。まもなく海が見えてきた。滑走路が現れる。12:18、Take off RWy26L。
 飛行機は右旋回して上昇してゆく。180度旋回するとオアフ島が大きく見えてくる。先ほど飛び立ったホノルルの国際空港。その隣には真珠湾が広がっている。上空から見ると真珠湾、湾口が小さくて奥が広がる。天然の要害なんだなぁと改めて思う。
 12:24、ベルト着用サイン消灯。まだオアフ島が見えている。慌てて

 写真、辛うじて間に合った。

 今日は一番後ろの座席。来る時の一番前。やはり前に座席があってポケットがある方が座っていてしっくり来る。
 オアフ島が遠ざかり一面の青い海原を進む。しばらくの後、カウアイ島が見えてくる。島の山の部分だけ雲を被る。その島も次第に離れるとあとは日本列島まで、小さな島が点在するだけの大海原を飛び続ける。
 機内サービスの準備が進み、まずはウェルカムドリンクが提供される。

 一番後ろの席だから順番的には最後。でも座席の数がそんなに多くはないからさほどの時間差は無い。まもなく提供される。来る時の記憶を反芻しつつそろりそろりと喉に流し込む。旨く感じるが、万事控え目に行こうと改めて思う。

窓の外、雲が広がり出して真っ白になった。飛行機が揺れる。上空に雲の中を抜け上空に宇宙を感じさせるような濃紺の空が広がっても、地上は真っ白に一面の雲。時折、はっと思うような揺れがくる中、テーブルがセットされる。来る時の中断みたいな事があるかも知れないけど、帰りはすぐに寝たいわけでないから、まぁそれでも良いかも知れない。
 再び窓の外が真っ白になり、今度は大揺れになる。その中でドリンクの注文が廻ってきて、考える。シャンパンをそのまま飲み続けたらまたダメになるかも知れない。今日は軽いお酒にしようと考えて、そう言えばハワイ線限定のカクテルがあるのではなかったか。
「ハワイ線限定のカクテルがありませんでしたか」
JALのですか」
「えぇと、スカイロワイヤル、でしたっけ」
 今度は乗務員さんが考える番になった。
「あぁ、お持ちします」
「ひょっとしてエコノミークラス限定でしたか」
「大丈夫です、お持ちします」
 Webか何かの記事で「JALの客室乗務員はございません、という言い方をしない。必ず○○ならございます、と代替案を提示してくる」なんて誉めていたのを読んだ覚えがあるけど今回の場合もある意味の無茶振りを聞いてくれた事になる。まもなく

 グラスに入ったスカイロワイヤルなる不思議な飲み物が運ばれてくる。前代未聞ではないだろうが、本日初演である事は間違いない。
 窓が真っ白になって揺れたり、揺れなかったりする中、飛行機は確実に東へ向かう。機内食の注文があって、3種類選べる中から、ハワイアンローカルという以前はなかった選択肢があったから選んでみた。後はフレンチと和食。まだ和食が懐かしくなるほど日本を離れているわけでないし、ハワイアンに食べ飽きたほどホノルルにいたわけでも無い。行きみたいに注文したはいいけど大揺れでベルト着用サイン点灯、サービス中断になりそうな気もする。でもサインは消えないまま。気象予報や先行機の状況の差なのか、機長さんの判断の差なのかはよく分からない。とにもかくも機内食は出てきた。時刻は13:55、飛行機に乗ったから2時間は経っている。

 ハワイアンローカル。真ん中のエビとホタテ。マンゴーの上に乗っているのがとっても目を引く。コスト的には大したこと無いのかも知れないなあと冷静になってみると思うのだけど、見た目には鮮やかで晴れ晴れしく、それでついついごまかされそうだ。味は悪くないし、自分の中では非常に満足する。そしてもしこれがロコ料理であるならば、今回食べたロコ料理の中では一番ご飯が美味しいということになる。

 こちらは妻の食べたフレンチ。メインを重視するならこっちでしょうね。

 ゆっくり食事をしたからデザートが出てくるともう14:30。前方席の人は既にデザートまで食べ終わってくつろいでいる時間帯。

 サイン消灯からデザートの間で映画を1本見終わる。機内の灯りが落とされお休みモードに入った15時過ぎに2本目の映画を見始める。普段の生活で見る機会がないから、機内でまとまった時間がある時ぐらいは見ておこうかと思うけど、ホノルルからの帰りは昼間だし、時間は9時間もある。1本目の映画が2時間弱。2本目がまた2時間弱。時折大きく揺れる度に手帳に揺れとメモするだけであとはずっと映画。揺れも大きいのが20〜30分毎の定期便みたいにやってくるので次第に驚かなくなり、手帳にメモするのもやめてしまった。
 2本目の映画が終わったところでさすがに現在地が気になり見ておく。相変わらず海の真ん中だったが、日付変更線だけは越えていた。22日の幕が切れないまま一応は23日になったようだけど、到着前に日本時間の案内が流れるまではホノルルの時間で考える事にする。

 映画が落ち着いたところで恥辱を進めておく。お供にお酒がほしくて、でも今日は濃い奴を飲む雰囲気でもないし体が受け付けるかも分からなかったから梅酒のソーダ割りなんてものにしておいた。頭で練る文章じゃなくてリズムで突き進む文章だから多少の酒はプラスに働く。梅酒もストレートなら酔いが回るかも知れないがソーダ割りだからあんまり飲んでる気がしない。今日はそのぐらいでちょうどいい。
 1時間ほどで昨日の分は出来上がる。買い物に付き合っているだけだとどうしてもあまり文章が伸びないらしい。今日の分に入ってさらに先に進める。まだ到着までは4時間近く。腕時計が指すホノルル時間の夕方とデジカメや の表示する日本時間のお昼過ぎが自分の感覚の中でだんだんと混じりあってきた。あと4時間かあ。日付変更線はとうに越えているがまだ先は長い。映画もう1本見るか。1フライト3本は初めてかも知れない。
 3本目の映画の途中である18:55、機内が明るくなる。ホノルルは夕暮れの時間だがだいぶ東へと飛んできて、二本の方が近いぐらいだからまだまだ明るい。

 改めて熱々のお絞りが提供される。改めて手を拭くと気分が変わる。軽食を出してくれるというので、改めての飲み物を尋ねられた。押し寿司だそうだ。何となく芋焼酎ををお湯割りで、というきっとタイ人乗務員にはあまり馴染みのない注文をしてしまう。

 出てきたのは笹の葉に包まれた押し寿司と漬け物のセット。お茶も合わせて出てくる。漬け物は焼酎や日本酒とよく合いそうだ。

 何故か押し寿司は温められて出てきた。これは冷たいままでも良いんじゃ、ないすか。
 好き嫌いの少ない自分は何を出されても取りあえず食べてしまうが、漬け物は絶対に口にせず、押し寿司も苦手だと言う妻は尻込みしている。軽食は選べないだけにこう言う時は確かに困る。かといって万人受けするものばかりだと、今度は何時乗っても代わり映えしないと非難されるに違いない。機内食の選定とは実に難しい。
 19:50、あと1時間10分で名古屋着陸と案内された。日本時間では日付が進んで23日の14:50。名古屋の天候、晴れで気温は14℃とのこと。現在地を示す地図、あと少しで房総半島に差し掛かる所である。窓の外は何時間も続く一面の雲。手元の新聞は23日東京の天気を雨のち曇りとしているから、分厚い雲の下は冷たい雨かも知れない。
 飛行機は房総半島の南側から日本列島に差し掛かる。富士山の頭ぐらいは雲の上に出ているかと目を凝らしてみる。

 富士山は分からなかったが、南アルプスと思しき山々が顔を覗かせている。ハワイ列島を離れて久しぶりに眺める陸地だが、雪を被った山頂は白い雲とそんなに代わり映えがしない。
 降下感を覚える15:39、エンタテイメントシステム終了を案内されてヘッドフォンの回収が始まる。ついでジャケットの返却があったり、改めて先任乗務員がお客さん一人一人にお礼の挨拶に回ったり。

 窓外の雲が切れて所々が赤く染まった山地が見えた15:45、ベルト着用サインが点灯する。大きく旋回すると海が見えてくる。三河湾だ。高度がずいぶんと低くなっている。少々の揺れ。遠くに知多半島、そしてセントレアの空港島。南側を回り込むように進み高度を下げる。やがて眼下に知多半島の先端が広がりだした。馴染みの無いエリアをじっくりと眺める。所々にリゾートホテルの並ぶちょっとした観光地がすぎてゆく。
 テレビモニタに映る滑走路がだんだんと大きくなる。海面が迫ってきて空港島が現れた。16:01、Landing、RWy36。大きな空港は閑散としていて、寂しい限り。ゆっくりとTaxingしてゆくと、16:06 Spot in、SP16。