少し早い目に心がけて起き出した。まだ6時半。今日はこちらの時間で18日の日曜日だが、日本時間だと19日は月曜日の1時半に相当する。5日貰った連休の最終日にあたる。
 ホノルルへ来る時は二人仲良く名古屋からであったが、帰りはバラバラである。自分はお昼に出る名古屋行きの83便。妻は夕方に出る羽田行きの89便。ここの夫婦は時々帰国がばらけるが、今回もそのパターンである。
 11:55に出発する名古屋行きに乗る前提で空港への送迎を頼んだら、8時に迎えに行くという指定をされてしまった。アメリカの出国、というより保安検査は厳しいから多少早めに空港に着いておくぐらいでちょうど良いとは思うが、8時出発は早いなぁと思う。早すぎる。
 とはいえ迎えに来るのを無視は出来ないのでそれまで出発の準備をする。身支度をしてから、昨日買った高橋果実店のサンドイッチを頬ばる。



 とんでもなく分厚い。ハムサンドの方は一つ5ドル、つまり400円する。買う時は少々高い気がしたけど、この厚さを見ると納得する。手抜きのない誇り高い仕事をしているような気配に圧倒される。

 さて8時ちょっと前。指定の通りに出る。空港への送迎サービスは各ホテルをぐるっと廻ってくるのが常で、空港に近いアラモアナホテルへは定刻にはやってこないだろうと踏んでいたのだが、待ち合わせ場所に行ってみると既に見慣れたクルマが到着していた。

 行きと違って満員。荷物を載せるスペースが無いから席に持ち込んでと言われて重たい荷物を狭い座席に持ち込む事になる。
 車内は見事に白人ばかり。空いている道を東に向かうと15分で空港が見えてくる。まずはハワイアン航空のターミナル。ここでお客さんが殆ど降りる。数人だけになって次がJALの使う第5ターミナル。ここで降ろして貰う。荷物を自分で持ち込んでいるし、全く持ってチップを払う義理は無いなぁと思う。でもケチな日本人と思われてもかなわんので、小さく畳んだ1ドル札を渡しておく。「さんきゅ」と返ってくる。

 JALのターミナルはがら空きだった。そりゃそうだ。9:30の成田行きに乗るには遅すぎるし、11:55の名古屋行きには早すぎる。それでもチェックインは受け付けていて、搭乗手続きは完了する。行列が無いからすぐ目の前のエコノミーのカウンタに行ったがすぐ、であった。
 アメリカという国は入国審査はあるが出国に関してはノーチェック。ただし保安検査だけは非常に厳しい。従って保安検査で30分とか1時間とか見ておく必要があるのだが、搭乗手続きが空いているから、保安検査場も空いていた。あまりに空いているからか、全員ホディースキャナに掛けられる。服を透視出来るというアレである。余りいい気分はしないが、逆らうと何をされるか分からないから大人しく従う。

 あまりに順調で9時前には制限エリアに入ってしまった。大人しくサクララウンジに入る。看板にはサクラのマークと一緒にAAのアドミナルクラブのマークもある。そういえばホノルルのラウンジはJLとAAの共同になったのだったっけ。
 10数人お客さんがいてまもなく、「9:30の成田行き〜」なんて放送が入ってみんな居なくなった。名古屋に行くには早過ぎる時間だ。


 ラウンジ改善の一環なのか、今日のサクララウンジ、以前は無かったクラムチャウダーなんてものがある。スプーンにはAAのマークがあったからアドミナルクラブとしてのサービスなのかも知れない。ひとまずスープと缶ビール。

後は大人しくコーヒーにして恥辱を進める。少しずつラウンジに人が増えてゆく。
 11時を過ぎて、83便名古屋行きの案内が入る。搭乗開始は出発30分前の11:25。それにはまだ間があるが、距離もあるし早めの案内なのだろう。そろそろ身支度をして出る事にする。


 日航ジャンボ機が集まるホノルル国際空港、と言うのは昔語りになったが、それでもホノルルでJALは大きい顔をしていられる。KEのジャンボ機を隅に追いやってJLのB767が1機、1機、もう1機。そこにB777、JA701Jがやってくる。羽田からの到着便だ。 

 名古屋行き83便の出発は19番搭乗口から。

待っているのはJA613J。このレジには見覚えがある。前にもホノルル-名古屋で乗ったような気がする。
 搭乗待合室のお客さんはぱっと見た感じに200人以上、300人はいないかな?の体。月曜日夕方に日本に到着するホノルル便。11月であっても結構お客さんがいるものだ。
 11:20を過ぎて優先搭乗が始まる。子供連れのお客さんが大挙して機内に向かった後で搭乗開始。まだ空いている機内に入ってしまう。
 今回はエコノミークラス、前方窓側にした。何時までたってもお子さまなもので窓側は外したくないし、入国の事を考えると前方にしたいし。隣が空いているとラッキーだが、今日は混んでいるのでたぶん無理。案の定、お客さんが来る。「お隣失礼します」と声をかけてくれるから、まぁ悪い隣人ではなさそう。
 11:51、Doorclose。11:53、Pushbuck。名古屋までの飛行時間、8時間20分とのこと。途中、揺れが予想されるとの事だ。11:59、Taixing。海側の滑走路へと延々誘導路を進む。誘導路のすぐそばに青い海が見える。手を伸ばせば届きそうな距離に思えるが、もうあの世界とは隔絶されてしまっている。
 ようやく滑走路端にたどり着く。一息つくと12:09、Take off RWy08R。上昇しながら右へと旋回、旋回。180°向きを変えたら右手にオアフ島が見えることになる。斜めに広がる真珠湾が小さくなりながら後ろへと下がって行く。オアフ島が見えている間にはベルト着用サイン、残念ながら消えてくれない。

一揺れした後、12:20、ベルト着用サイン消灯となる。外には散らした雲と合間の海。青と白の織り成す世界が続く。

 雲が切れると大きな島が見えている。 島だろうか。でもこれを最後にしばらくの間、雲の上を飛び続ける事になる。

 12:30を過ぎて、おしぼりが配られる。簡単というか粗末というか、出来が良いとは言えないおしぼりだけど、無いよりはずっと良い。ひとまず気分は改まる。テレビモニタには18日19時のNHKニュース。ホノルル滞在中は見れない番組でもあり、最後まで見入る。
 名古屋まで9時間のフライト。中・長距離の範囲に入るホノルル線のサービスは少々手厚い。食事の前のドリンクサービスが復活している。ワゴンが廻って来る。その上にウィスキーのボトルが見えたもので

 頼んでみた、ロックで。お手洗いに立つのも気を使うし、水分少な目で行く事にする。ちなみに銘柄はシーバスリーガル。フルボトルからコップに注がれる形になる。
 NHKニュースの後は映画にしておく。ホノルルから名古屋は9時間以上の長丁場。その間に5時間というか19時間というか、時差を埋めなくてはならない。出来れば起きたまま名古屋まで行ってそのまま夜まで頑張る方法で乗り切りたいもの。
 ドリンクの提供から30分ほど、今度は食事の提供が始まる。チキンとカレーの2択というのでカレーにしてみる。ドリンクはどうしようかと思っていたらお変わりはいかがですか?と。ウィスキーのロックとカレーの組み合わせはどうかと思うが、面倒なのでそのままにしておく。

 やっぱり妙な組み合わせだがまぁいいや。
 ラウンジでも多少はぱく付いてきたので量としては十分。味にも特に不満はなく頂ける。最後に

 コーヒーを頂いて、クッキーと共に頂く。ホノルルクッキーって土産物としても売っている品物で、昨今のJALなら「ホノルル線エコノミークラスのデザートにホノルルクッキーが登場」なんて大げさにやりそうな気もするのだが、銀色の箱は慎ましくトレーの隅に鎮座されておられる。

 食事にも30分程。後は映画を見て過ごす。自分としては珍しく洋画を一本。その間に機内が減光、そして15時過ぎには消灯する。お客さんが乗り込んだときにはシェードが閉められた状態で、そのままの窓も多いので機内が完全に真っ暗になる。自分のところは開けてあったが、真っ暗な中で自分のところだけ光が入ってくるのも変なので遠慮して閉めておく。

 寝てくれと言うことなのかも知れないが、日本時間なら午前10時。この時間に寝ると夜が眠れなくなりそうなので映画を見る。暗い中、開いたジュースのパックを持って客室乗務員が廻っていたので一杯頂くておく。
 映画を一本見ただけでは日付変更線にすらたどり着かない。今日はジェット気流が弱いのか、900km/h以上は出ているけど、それでも先は長く、映画は二本目となる。機内は相変わらず真っ暗なまま。ビジネスクラスの客室も真っ暗になったから機内は完全に睡眠推奨モードとなる。隣の人もテーブルに突っ伏した状態でお休みの様子。こちらは2本目の映画でひたすら時間と眠気を潰す事になる。その間に日付変更線を越した筈だ。
 3本目の映画に突入した18:20、機内に明かりが点る。眠りに落ちている事になっている機内、人の息吹がし始める。

まもなく離陸後と同じようにおしぼりが配られて、ついでドリンク1杯がサービス。アルコールを頼めば出してくれるかどうか知らんが、

 結局トマトジュースを貰ってみる。気分転換になると言うか気分転換させられる。ついで二食目の機内食。ホノルルの時間なら夕食に相当する時間だが、あくまで軽食。

 冷やし中華なんてものが出た。機内で出るとは思っていない、ある意味突拍子もないメニューである。日本人には意外性と驚きがあるが、日本人以外だと何かわからず取っつきにくいかもしれない。無茶苦茶美味しい訳では無く、機内で出すには難しいよねと思ってしまうが、驚きの方が勝ったので印象としては良い。デザートは定番のアイス。日本出発便だとハーゲンダッツだが、ホノルル発はコナコーヒーのカップアイスとなる。