思いがけず時間を喰ったが余裕を持って余裕を持って席を立ったのでどうにかなる。これから向かうのはメキシコの地方都市、アグアスカリエンテスと言う街。出張が決まるまで全く知らない街であったが、日系企業が多数進出しているそうで、今回の訪問先もその一つ。
搭乗機は先程、電車の窓から見えた中でもひときわ小さなエンブラエル145と言う機材。50人乗りリジョーナルジェット、運航もアメリカン航空ではなく、アメリカンイーグルのブランド名でエンヴォイ・エアと言う航空会社が運航するようだ。
搭乗はまだ始まっておらず、あたりの椅子員座っているのはメキシコ風の帽子を被った人だったり、推定アメリカ人だったり。日本人と思しき人もわずかではあるがいる。
搭乗開始に全く気付かずファイナルコールで慌てて乗り込む。搭乗橋を渡ると
サイズが合わないのか、取ってつけたような感じに渡し板が掛かっている。
機内は1-2列の3列座席が続いている。いわばSAAB340のような感じ。大きな荷物は仕舞うことが出来ないからか、明らかに収納に入らない荷物を持ち込もうとする人は係員に止められ、荷物を預けていた。
宛がわれたのは1Aという座席。ちなみにモノクラスなのでダラスまではビジネスクラスだったけど、この先はエコノミークラス。チケットを見ると普通エコノミー運賃、つまりYとあって、そのお蔭で1Aを呉れたのかも知れない。一人掛けの席で隣りは通路を挟んで非常口だ。
開け放たれた操縦席が見えて出発準備の様子が見える。客室には乗務員が一人。大ぶりなアメリカおばさん、と言う体裁の人が面倒くさそうに準備を進めている。
地上係員が書類を渡してドアが閉められる。時刻は10:33。搭乗率、半分ぐらいだろうか。
搭乗橋が離れてゆく。出発の案内は早口の英語。当然のように聞き取れない。非常口や非常設備の案内が始まる。機内にモニタなんてものは無いから、一人しかいない客室乗務員が実演して見せる。これはバンコク共通だから、まぁわかる。
10:40、Pushbuck。10:42、Taixing。大きな機体の多いターミナルDを進んでゆくと滑走路端へ。
離着陸機は多いが、滑走路も十分にあるからか、すぐに順番が回って来る。10:48、Takeoff RWy18L。
ダラスとメキシコは時差が1時間ある。日本基準でいうとメキシコは時差15時間。時計の針を1時間戻す事になる。飛行機が上昇するにつれて、
窓の外、雲が目立つようになる。揺れはしなかったが、地上は見通せなくなる。高度を上げると雲は辺り一面を覆い尽くすようになった。
折角のアメリカ大陸、折角の窓側座席だが、残念なフライトになる。
シートベルト着用サインは着いたままだが、客室乗務員は機内サービスの準備を始める。ワゴンを準備すると後ろ側へ。後ろが一番の上席なのか?だんだんと前に戻る形で一番最後に順番が回って来る。
オレンジジュースをお願いすると缶ごと渡される。氷は断るべきかも知れないけど、面倒だったので貰ってしまう。
そのジュースを二度三度に分けて飲み干す。窓の外は相変わらずの雲の上。機内は冷房が効きすぎていて寒いぐらい。一度は仕舞ったジャケットを着る。薄ぼんやりとした時間。今のうちに寝ようと決めて目を瞑る。程なく眠りに引きずり込まれる。
どのぐらい飛んだのだろう。気が付くと外の雲は無くなっていた。
荒野、と言うべき大地が続いている。時計を見ると11時半を過ぎている所。アグアスカリエンテスの着陸まで40分と言った所で、もうメキシコの大地には違いない。もう少し寝ようかなぁと思ったその11:34、ベルト着用サインが点灯する。早口の英語で案内。相変わらず聞き取れない。
大きな街が広がって来た。案外と高度が低くなっているようだ。どうやらこれがアグアスカリエンテスか、と思う事になる。
街が途切れるとまた荒野。荒野だがだいぶ高度が低くなっている。荒野がそのまま空港になった体裁で滑走路が現れて11:47、Landing、RWy17。
滑走路をUターンして駐機場へ。
奄美の離島か、というような空港が現れる。50人乗りの小さな飛行機しか飛ばないような所だからまぁ、そんなものかも知れないが、一応は国と国を結ぶ、国際線が到着したシーンなのである。
11:50、Spot in。ドアが開いたが、しばらく待たされる。
地上では飛行機とお客さんを迎え入れる準備が進んでいるようだ。何やら案内があって降機となる。相変わらずの早口英語だから聞き取れない。降りてみるとダラス搭乗時、機内に収納できなかった荷物を引き渡すようでその準備が出来ていた。元々預けた荷物は別の扱いのようだ。
飛行機からタラップで地上に降り立つの、久しぶりだ。この辺りもどこかの離島に来たような感じになる。外が暑いぐらいな事も、離島気分を際立たせている。
とはいえ、離島に着いたのではなくて、国際線で異国に降り立ったのであり、これから入国審査がある。入国と税関の書類、ダラスで貰っていたのだが、入国の書類。スペイン語しか書かれておらず何を書けば良いのかさっぱり分からない。税関の書類と見比べると税関の方は英語が併記されていて何となく書くべき事が分かるから、それを頼りに書いてみる。でもどうしても埋まらないまま手続きの順番が近づく。行列の整理をしていた係員が用紙を見せろと言うので見せてみる。そうすると係員、パスポートを見比べながら書ききれていないところを記入してくれる。アメリカの入国よりも圧倒的に親切だ。
入国は特に問題なく、完了。荷物を受け取ると税関。改めてX線検査があった上に結構根掘り葉掘り聞かれる。業務かと聞かれ、何か持っているかというのでノートブックはあると答え、それで完了。
アグアスカリエンテス。ウィキペディアによると人口70万人の都市らしいが、空港は小さく、のんびりした感じ。ここから市内へはバスもあるらしいのだが、一般的な交通手段はタクシーとのこと。そのタクシーに乗る。中心街までは250ペソの一律運賃。1ペソ10円なので運賃は2500円、と言う事になる。物価が分からないので高いのか安いのか良くは分からない。
タクシーで中心地に向かう。
南国らしい景色を眺めて市街地へ。途中、日系企業の大きな工場が幾つか見える。走っている車も結構日本車が多い。そもそも今乗っているタクシーも日本車だ。
街が近づくと渋滞気味になる。赤信号でクルマが停まると物売りが寄って来る。kの辺りは発展途上国だなぁと思う事になる。街は中心地へ。道が狭くなり急に街が欧風になる。
石畳の道に車は入って停まる。ここがホテルだった。時刻は13時。時差15時間だから日本時間なら28時、つまり午前4時。成田を発って17時間。ようやく到着である。
タクシーの運転手にチップを渡したいのだが、ペソの細かいの、生憎持っていない。試しに1ドル札を渡すとサンキューと受け取ってくれる。
ホテルにチェックイン。ドアマンが片言の日本語を話す。大阪にいたことがあるそうだ。
部屋に入る。まだ13時過ぎ。このまま部屋に居たら寝るだろうなぁという想像は出来る。少し街を歩いてみようか。
エレベータホールからの眺め。どうやら広場の向こうは教会らしい。昼食を兼ねて外に出てみる事にした。
この辺りが街の中心のようで広場を囲んで商店が軒を連ね、人は闊歩したり、ベンチで休んでいたり。賑やかな街である。メキシコは治安が悪いというが、アグアスカリエンテスは治安的には不安のない所だそうで、影のようなものは微塵も感じない。
中心地に来る途中に何度か見かけたコンビニのような看板が街中にもあったので入ってみる。確かにコンビニ。軽食、飲料、若干の日用品。ある程度は事足りそうな品揃えである。
歩行者専用の通りがあって商店街みたいになっている。木陰があって日の高い時間でも涼しげである。この中にスーパーみたいなお店があったから入ってみる。良く見て宇久とどちらかと言うとドラックストアのような品揃え。お土産になりそうな小分けの菓子を買い求めてみる。
さて、昼食。少々面倒になってホテルの真ん前にあった店に入ってみる。お客さんは誰もいない。時間帯のせいかも知れない。既に午後2時を過ぎたところだ。メニューはスペイン語。さっぱり読めないが、何となくサンドイッチと読めたものを頼んでみた。
飲み物はコーラを。万国共通、当たりはずれの無いものであり、ちょっと守りに入っている感じはする。いい加減、疲れているのかも知れない。
同じく文字の解釈さえあっていれば間違いのないメニューでお腹を満たす。価格は50ペソぐらいだったか。チップを払っても若干日本より安いかなぁというぐらいの価格。
ホテルに戻る。まだ真昼間。外は明るいが猛烈に眠くなる。ついついベットにごろりとしてしまう。そのまま2時間ほど寝てしまった。時差ボケ解消、と言う訳には行かなかった。
日が暮れて夜になる。会社から2人、別行動でこちらに向かっていて。二人は夜にアグアスカリエンテスに到着する予定。20時を過ぎてから連絡が来る。夕食を一緒に食べる事にする。
昼間歩いた方向と反対側に。営業中の店、店じまいに入っている店、色々とある。22時を過ぎると大体の店が閉じるそうだ。適当な一軒に入る。メニューはやはりスペイン語だけ。ああでもない、こうでもないと推測しながら注文する事になる。
結果はこんな感じ。いかにもメキシコ、的な物が出てくる。
飲み物込みで一人100ペソほどの支払い。日本で夕食を食べる事を考えると安いが、思った以上にペソが出てゆく。明日、少々でも両替したいなぁとは思う。
22時近くになった街を歩いてホテルへ。そろそろ人通りも少なくなっている。コンビニに寄り道してビールだけ買い求める。こちらは10ペソ程なのでだいぶ安い。部屋に戻ってビールを飲み干す。眠れるかどうかわからないが早々に寝てしまう。