CX416 B-HLT A330-300 HKG→ICN



 来た道をなぞり返す旅なので、行きと同様に今度は仁川に飛ぶ事になる。16:30発が30分遅れた今日の仁川ゆきCX416便。搭乗口に着いてみるとA330が出発を待っている。機体番号はB- と読める。そろそろ搭乗開始が始まる所。エコノミークラスには結構な行列が出来ている。
 ソウル-香港-バンコクビジネスクラス往復のチケットなので今回4度目のビジネスクラス。今度もスカイラックス風の変哲の無い座席が並ぶ。最後はヘリンボーンを期待していたが、これは予約した時の座席そのままである。二日前の台風で運用が狂って機材変更なんて事、期待していたのだが、そうは上手く行ってくれない。
 席に座る。ほぼ満席で隣も韓国人だろう、人が来た。夕方の香港発仁川行きはやはりと言うべきか韓国人の姿が目立つ。新聞を読む人の殆どがハングル語の紙面を眺めている。

 ウェルカムドリンクはシャンペン。今日は二日前ほど飲んでいないから、このフライトは全開でいける。まぁどこまで行くのかは知らないけれど。
 お隣はウェルカムドリンクを断っている。ビジネスクラスに乗り馴れた人なのだろう。自分にはこう言ったスマートな真似は出来ないよなぁと思う。出されるものは飲み、出されたものは食べる。アルコールの出ない朝便だと損だと思う。基本的にダメ人間だ。
 窓の外では出発準備が進んでいるのだろう。何となく曇り空の空港を眺める。

 搭乗橋の根元で係員が仕事をサボっている。居眠りでもしているのか、全く動かない。じっと眺めていたら視線を感じた、訳でないだろうが、しばらくしたら動き出した。クルマ止めか何かを放り投げだす。他所の国の、ごくごく普通の労働風景を見る機会など中々ないのだけど、何か、程度が低いなぁと思う。一人だけ見て全てを判断しては行けないのだろうけど。
 17:07、Doorclose。先任乗務員が挨拶をして廻っている。流暢な韓国語だが、韓国人のようには見えない。自分の所に来た所で、さて、と一瞬困った感じになった。次の瞬間、お呼びが掛かって後ろに行ってしまう。それっきり挨拶には来なかった。香港からの韓国線に日本人が乗っている。しかもキャセイパシフィックで。よほど変なのだろうか。
 17:13、Pushbuck。17:18、Taixing。各国の飛行機が居並ぶ中、誘導路を進む。太陽のアークなB747がいて、一瞬どきりとしたが、JALのロゴは落とされていた。売却整備中のB747らしい。まさか香港でお目にかかるとは思っていなかった。
 17:30、Take off RWy07R。穏やかに上昇してゆく。二点連打が鳴って、多分これが電子機器使用解除の意味なのだろうと勝手に思っている。客室乗務員が動き出すから、大きくは外れていないだろうと思う。

 飛行機は雲の上。雲の上に来てもすっきりとした夕空とはならない。雲の上に雲を重ねる、そんな天候かも知れない。
 17:45、揺れが来るがそれでも準備は進む。

 メニューが配られ、テーブルがセットされる。どうやらこのまま夕食時間帯に突入の様子。現在高度9,200m、対地速度は838km/h。概ね水平飛行に入ったという事らしい。

まずは飲み物を頂く。赤ワインをお願いしたらなみなみと注がれる事になる。おつまみは、、、ワゴンにナッツが積まれているのは見えたけど出されなかった。お願いしないと出てこないようになったのかも知れない。

 まもなく食事が提供されたからまぁ、問題は無いのだが、これはソウルから香港へのフライトでも提供されたものと全く同じメニュー。発地が違うから違うメニューを期待するところだけど、全く同じなので正直驚いた。勿論頂くけど、ちょっと詰まらん。

 西の空が暗くなってくる。香港を飛び立ってから1時間少々。空の景色は夕方から夜の景色へと移り変わってゆく。その頃、メインのメニューが運ばれてきた。3択の一つは行きのフライトでも頂いたものと全く同じ。も二つのうちの一つは忘れたが、残りの一つはビビンバだという。キャセイでビビンバ。これには驚いた。
 韓国人の皆さんがビビンバを頼むので、すぐに無くなってしまうのだけど「すぐにご用意いたしますので」と日本語で言われてしまう。

 そしてそのビビンバがやってくる。当然なんだけどご飯とコチュジャンのチューブも一緒。韓国系の会社ではおなじみと言う(食べた事はないけど)ビビンバだけど、まさかまさかのキャセイでお目に掛かれるとは思っていなかった。

 かき混ぜるとこんな感じに。もう少ししっかりかき混ぜたかったが、器が浅くて少々難しいかった。不十分ではあるけど、美味しく頂ける。というかビビンバと言う食事は地上でも機内でも、シンプルで間違いのしようがない食事ではある。これが評価される理由は分かる気がした。

 残ったワインを飲みながら恥辱を進める。今日はまだ2杯目だが、なみなみと注いで貰えるので飲みがいがある。するとデザートのサービス。チーズだけ、フルーツはいらないと頼むと

 行きと全く同じ面子が搭乗する。リンゴは果物でないんですかいと思わなくは無いけど、ミニマムフルーツ、見たいなルールがあるんでしょうか。知らないけど。

 更にアイスクリーム。一緒に出してもらったのはアイリッシュクリーム。「アイリッシュ」が中々通じなくて苦労する。1〜2週間。こんな経験を積めば多少は英語も喋れるようになるのかなとは思わなくは無い。

 チョコレートが配られるとそろそろサービスもおしまい。それを待っていたかのように18:54、ベルト着用サインが点灯する。さして揺れる訳ではないけれど、点いたまま元に戻らない。飛行機は東シナ海朝鮮半島に向かって、弧を描くように飛び続けている。
 19:29、ベルト着用サイン消灯。あと1時間ぐらいで仁川到着の筈である。お手洗いで席を立ってみる。後ろ側、エコノミークラスとの境目で順番まちをしていたら、ギャレーの様子が見て取れた。片付けやらなにやら。残った機内食で食事を済ませる人も見えたりする。

 機内は明るいまま。寝るには早い時間だし、食事後の寛ぎの時間の体で。人それぞれの時間を過ごしている。
 19:56、機長さんからアナウンス。あと45分で仁川に着陸だそうだ。そろそろ時計を1時間進めなくてはならない。進めてしまうと20時前が突然21時前になる。今日の残りはわずか3時間。2時間の時差を吐き出すと、何か急に損をした気分になる。
 21:13、ベルト着用サインが点灯する。電子機器の使用もNGとなった。飛行機は高度を下げているのだろう。耳の辺りに少々の違和感を伴いつつ1気圧の世界へと一段ずつ戻ってゆく。機内、減光の後、消灯。シェードは全て開けられた。外には韓国の街並み。夜景として映っている。
 21:28、Geardown。もう仁川の空港はすぐ近くのようだ。見えていた海が急に陸へと変わると21:31、Landing、RWy34。21:38、Spot in SP126。
 出島のような仁川空港サテライト。隣のスポットにもう1機、キャセイがいる。台北経由ソウルゆきのCX420便だろう。どちらも仁川で夜明かしをして、翌朝、香港へと戻るスケジュールになっている。
 サテライト側から5分毎の新交通で本館側へ。この時間帯、韓国人の帰国は多くても外国人の入国は少ないから入国自体はスムーズに進む。荷物も比較的早く出てくる。

 24時間空港の仁川も21時台の到着で今日の便は最後。キャセイの到着は殆どビリに近い。後ろに控えるのは翌朝の便ばかり。24時間空港と言えども都心への交通が確保できないと実際の運用はなかなか難しい。
 22時を過ぎた。今日はソウル市内に宿を用意している。間違いない移動手段はAREXだが、ソウル駅の乗り換えが面倒である。何となく考えて久しぶりにバスでソウル市内へ向かおうと考える。昼間だと渋滞で1時間半は見なくてはならいが、土曜日の22時過ぎだからさほど渋滞はしないに違いない。

 鐘路3街までバスの切符を買い求める。10,000KRW。だいぶ値上がったような気がする。バスの出発は22:20。ちょっと間がある。外に出ると実に寒い。朝出たバンコクは夏の続きだったが、この季節のソウル。気温は10℃あるかないか。季節が一つ半進んだ気分。

 バスがやってきて席が半分ほど埋まる。もう一箇所バス乗り場に廻った後、ソウル市内へ。高速道路を飛ばしてゆく。疲れたし少し眠りたいが寝付けないまま高速道路を降りる。新村の辺りまでは覚えていたが、そこからどうやらウトウトしたらしい。
 気が付くとどうも妙な所を走っている。鐘路の辺りにしては妙にうらびれた感じ。ひとまず次のバス停で降りてみると乗り過ごした様子。バスの運転士がタクシーで5分ぐらいと教えてくれた。時刻は23:30を過ぎている。何か妙な事になった。
 地下鉄の駅があったので地下鉄で戻る事にする。

 東大門よりも更に先まで来ていた。暫く待たされて地下鉄の電車。酔っ払いが騒いでいて騒々しい。3駅ほどで鐘路3街に到着。改札を出るとそれと入れ替わりみたいにシャッターが閉じられる。どうやら最終電車だった様子。

 路地裏に有るという今日の宿まで地図を確かめてしっかりと歩く。おかげで迷わずに着いたけど、チェックインしたのは日付が変わって午前0時15分過ぎ。さすがに疲れる。
 今日一日長かった。明日ぐらいはゆっくり休みたいが予定では明日も早い。予定通りに動けなくても仕方ないかなぁと思いつつ、早い目に寝る事にする。