行程を立て直す

 係員の案内でターミナルに出る。預かり手荷物は熊本で返却との事で既にターンテーブルを荷物が廻っている。そして今度は搭乗窓口へ。

 乱入してきた到着機も律儀に案内する熊本空港の到着案内。1861便のお客さんを迎えに来た人は、さすがにいないだろうなぁ。

 一箇所、専用カウンターが設置されていてこちらで鹿児島までの交通費を渡される。搭乗券を提示し封筒と交通案内を頂く。封筒の中身は9,000円。そして交通案内は八代行きのバス、9:25空港発に乗って10:20新八代駅。新幹線は10:40に新八代を出て11:27鹿児島中央駅到着とある。
 受領書にサインをして封筒を頂くと9:22。バスの時間まではもう余裕が無い。朝食もまだだし、お手洗いにも行きたいが八代行きのバスに乗り遅れると厄介だからバスに向かう。

 マイクロバスに先程、鹿児島に行きそびれた人たちが乗り込む。それ以外のお客さんは殆どいない様子。振り替えのお客さんが大挙して乗ったからリムジンバスの体裁が整った印象すらある。
 バスは新八代の駅まで小一時間で走る。新八代の駅には10:20の到着予定。高速道を順調に走りながら考える。予定通り新八代の駅に着けば、手元の指定券を変更掛けられるなぁと。10時半発を12時半発に変更すればそのまま使えると。そこまで考えてふと思い至る。
(1)自分の未乗区間新八代-博多である
(2)乗るはずだったさくら558号は10時半に鹿児島中央を出て北上する
 新八代にさくら558号が停まるか否かは知らないけれど例え停まらなくても熊本まで新幹線で先行する事は出来るだろう。そうすれば、手元に新幹線代が残る上に行程も定時に戻る。考え付いてしまえば何の事はない、実にシンプルな解決法である。鹿児島に降りれない飛行機が宮崎や福岡ではなく、熊本に降りてくれたのはある意味、幸いであった。

 バスは順調に走り、10時20分より少し前に新八代の駅が見えてくる。手元の切符、JR東でのクレジット発券で変更を掛けるとなると厄介そうだが、ダメ元で聞いてみようかと思う。数年の間、新幹線の始発駅だった新八代も駅自体は小さくて窓口は一つ。少々の行列に並んで順番を待つ。
「この切符を新八代からに変更して欲しいのですが」
 と依頼するとすぐに取り掛かってくれる。
「博多で乗り継いだ方が早く着きますが」
 なんてアドバイスも頂いたがさくらには乗りたいのでそのままで良いと回答。熊本で30分ほど待ち合わせ時間があるそうだ。ほんの数分で新しい切符が出来て、差額まで返還される。手間を掛けた上に払い戻しがあるのだから一銭の得にもならない客なのだが、物柔らかなその応対に恐縮してしまう。 

 乗車変更で新しくなった切符。ベンチが畳みで出来ているけど、ここ八代はいぐさの産地。
 新八代10時半。本来は鹿児島中央でさくらに乗る時間であったが、この時間に新八代にいるとは2時間前にも思わなかった事だ。とりあえず空腹である。ちょっと考えて駅弁で朝食をとることに決めた。熊本までの乗車時間が13分で慌しいが、まぁ何とかなる。待合室のKIOSKに3種類だったか4種類だったか弁当が並んでいる。その中からベタではあるが一つお買い上げ。もうあまり時間が無いのでホームに上がってしまう。


 10:40、ここから巻き戻しの旅が始まる。最初に乗るのは5408A、U006編成。九州新幹線開業時に投入された800系である。普通席なのに4列シート。木材を生かした内装と個性的な車両ではあるが、残念ながら九州島内専用。博多までのつばめやさくらに使われている。熊本まではわずか13分の乗車で慌しい事限りない。未乗線区の景色は勿論気になる。気になるのだが、先程上空から眺めた景色でしかも防音壁が高いから景色を楽しむには若干不向き。
 そんな景色を横目にまずは